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CFC税制(外国子会社合算税制)とは、低税率国・地域を利用した過度な租税回避を防ぐため、日本の親会社に外国子会社の所得を合算して課税する制度です。海外展開を行う企業にとって重要な国際税務ルールの一つです。
本記事では、CFC税制の目的や仕組み、適用対象となる基準、課税方法、海外子会社の設立やグループ内取引、M&Aで注意すべきポイントについて、さらに、必要な準備資料や2023年度・2026年度税制改正の内容、グローバル・ミニマム課税との関係まで、わかりやすく解説します。CFC税制を正しく理解し、海外事業における税務リスクの適切な管理に役立ててください。
目次
まず、CFC税制に関する基本的な知識について解説します。
CFC(Controlled Foreign Company)税制(外国子会社合算税制)は、日本の内国法人や一定の居住者が支配する外国関係会社を利用した不適切な所得移転や租税回避を防ぐための制度です。 海外へ事業を展開すること自体が対象となるわけではなく、外国関係会社の区分や租税負担割合、経済活動基準などを総合的に判定した上で、一定の要件を満たす場合には、その所得の全部または一部を日本の親会社などの所得へ合算して課税します。
また、租税負担割合が一定水準以上である場合は、原則として会社単位の合算課税の対象外となります。目安となる租税負担割合は、ペーパー・カンパニーや事実上のキャッシュ・ボックスなどの特定外国関係会社は27%以上、それ以外の外国関係会社は20%以上です。 一方で、経済活動基準を満たす外国関係会社であっても、配当や利子、使用料など一定の受動的所得については、部分合算課税の対象となる場合があります。 (出所:財務省「外国子会社合算税制の概要」)
タックスヘイブンとは、税負担が軽い国や地域を指し、企業が海外子会社へ所得を移して租税回避に利用することがあります。これを防ぐ制度は、一般的にはCFC税制・タックスヘイブン対策税制とも呼ばれます。
日本のCFC税制では、内国法人などが支配する軽課税国の外国子会社について、留保所得のうち持分に応じた金額を内国法人の所得とみなし、日本で合算して課税します。ただし、現地で実体ある事業を行い、経済合理性が認められる場合は適用を除外します。つまり、タックスヘイブンは租税回避に利用される地域であり、CFC税制はその利用による課税逃れを防ぐ仕組みです。外国子会社ではなく、日本の親会社に擬制収益として課税します。
(参考:国税庁「我が国タックス・ヘイブン税制と租税条約の関係」)
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CFC税制の目的には、次のものがあります。
それぞれについて解説します。
CFC税制には、企業間の税負担の公平性を確保する役割があります。仮に、低税率国や地域の外国関係会社へ利益を移転することで税負担を大幅に軽減できる企業がある一方、日本国内のみで事業を行う企業が通常どおり課税されると、事業内容が同じでも税負担に差が生じ、公平な競争環境が損なわれるおそれがあります。そのため、CFC税制では、一定の要件に該当する外国関係会社について、その所得の全部または一部を日本側で課税対象とすることで、税率の違いだけを利用した過度な節税を抑制しています。
一方で、海外で製造や販売などの実体ある事業を営み、経済活動基準などを満たす外国関係会社については、適用除外となる場合があります。このように、租税回避を防止しつつ、適正な海外事業まで不当に制限しないよう制度が設計されています。
企業活動のグローバル化に伴い、各国の税制の違いを利用して利益を低税率国へ移転する手法が広がったことから、租税回避への対応は一国だけでは十分ではなくなりました。そのため、CFC税制は日本だけでなく、アメリカやイギリスをはじめ、多くの国や地域で導入されています。
また、近年はOECDとG20が推進するBEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクトを契機として、各国が国際課税ルールの見直しを進めています。日本のCFC税制も、こうした国際的な議論を踏まえて制度が見直されており、各国との制度の整合性を図りながら、国境を越えた租税回避への対応を強化しています。国際的なルールと足並みをそろえることで、企業による過度な所得移転を防止すると共に、日本企業が海外で事業を展開する際の予見可能性や制度の安定性を高めることにもつながっています。
次に、外国子会社合算税制(CFC税制)の対象となりうる国や地域について説明します。
外国子会社合算税制(CFC税制)には、対象国・地域を限定する固定的な一覧はありません。ただし、税負担が軽い国や地域に所在する外国関係会社は対象となる可能性があり、代表例としてケイマン諸島や、英領ヴァージン諸島、バハマ、バミューダなどが挙げられます。
また、シンガポールや、香港、マン島、ガンジー島、ジャージー島、モナコ、ラブアン、バーレーン、モーリシャス、セーシェル、クック諸島、パナマなどに所在する外国関係会社についても、租税負担割合や事業実体、経済活動基準などの判定結果によっては、外国子会社合算税制の対象となる可能性があります。
ただし、所在地だけで適用が決まるわけではありません。外国関係会社の租税負担割合や事業実体、現地での経済活動、所得の種類などを総合的に判定した上で、一定の要件に該当する場合に、日本の親会社などへ合算して課税されます。
CFC税制(外国子会社合算税制)は、税率の低い国や地域に所在する外国関係会社を一律に対象とする制度ではありません。実際には、外国関係会社の租税負担割合、事業実体、経済活動基準、所得の内容などを総合的に判定し、会社単位の合算課税または受動的所得のみを対象とする部分合算課税のいずれに該当するかを判断します。
そのため、同じ国や地域に設立された外国関係会社であっても、現地で実体ある事業を行っている会社と、実質的な活動を伴わない会社では適用結果が異なる場合があります。経済活動基準の具体的な内容については、後ほど詳しく説明します。
次に、CFC税制の仕組みについて解説します。
日本企業が保有する特許権や商標権、ノウハウなどを海外企業に使用させ、その対価となる使用料を日本企業が直接受け取る場合、その収入は日本企業に帰属します。受け取った使用料は日本国内の所得として計上され、原則として法人税が課されます。この取引では、使用料が低税率国などに設立した外国子会社へ移転されず、国外に所得が留保されることもありません。そのため、外国子会社の所得を日本企業の所得へ合算して課税するCFC税制は、通常適用されません。
つまり、使用料を直接受け取る場合は、日本で通常どおり課税されます。CFC税制は、外国子会社を介して使用料などの所得を海外に留保し、日本での税負担を軽減する場合に適用が問題となる仕組みです。
日本企業が使用料などを外国子会社を経由して受け取る場合、その収入は、まず外国子会社の所得として計上されます。日本の親会社へ配当されず、海外に留保されている間は、日本で直ちに課税されないことがあります。特に、外国子会社が税率の低い国や地域に所在していると、現地での税負担を抑えながら利益を蓄積できます。その結果、日本企業が直接受け取る場合より、日本での課税時期が遅れたり、全体の税負担が軽くなったりする可能性があります。
こうした仕組みを利用した不適切な所得移転や課税逃れを防ぐため、CFC税制が設けられています。一定の要件を満たす場合には、外国子会社に留保された所得を日本の親会社の所得へ合算し、日本で課税します。
CFC税制では、一定の要件を満たす外国関係会社について、外国関係会社の所得の全部または一部を、日本の親会社などの所得へ合算して課税します。合算対象となる金額は、日本側の持分割合などに応じて計算されます。また、外国関係会社の区分、租税負担割合、経済活動基準などの判定結果によって、会社全体の所得が合算対象となる場合と、配当・利子・使用料など一定の受動的所得のみが部分合算課税の対象となる場合があります。
このように、外国関係会社の実態や所得の内容に応じて課税対象が決まることで、租税回避を防ぎつつ、実体ある海外事業とのバランスを図る仕組みとなっています。
CFC税制(外国子会社合算税制)の対象となる基準として次のものがあります。
それぞれについて、わかりやすく解説します。
(参考:JETRO「タックスヘイブン対策税制:日本」・財務省「外国子会社合算税制の概要)
CFC税制を適用する際は、まず対象となる外国法人が外国関係会社に該当するかを確認します。原則として、日本の内国法人や居住者が、その外国法人の株式や議決権などを直接または間接に合計で50%超保有している場合が対象です。間接保有分の判定は、各階層の持株割合を掛け合わせる方式から、50%超の保有関係が連続しているかを確認する方式へ改正されました。これにより、多層の子会社を通じた支配関係も把握しやすくなっています。
また、持株割合が50%以下でも、契約や資金関係などを通じて事業方針や財産処分を実質的に支配している外国法人は対象に加えられます。形式的な保有割合だけでなく、実質支配の有無まで確認する必要があります。
特定外国関係会社に該当するかは、CFC税制(外国子会社合算税制)の適用を判断する重要な基準です。対象には、事務所などの固定施設を持たず、本店所在地国や地域で事業の管理・支配を自ら行っていないペーパーカンパニーが含まれます。また、総資産に占める受動的所得の割合が30%を超え、かつ有価証券、貸付金、無形固定資産などの合計額が総資産の50%超を占める場合は、事実上のキャッシュボックスに該当します。
さらに、租税情報交換などに非協力的として財務大臣が指定する、いわゆるブラックリスト国や地域に本店などを置く外国関係会社も対象です。これらに該当すると、原則として会社単位で所得が合算課税されます。
経済活動基準は、外国関係会社が現地で実体を伴う事業を行っているかを判断する基準です。主たる事業が株式保有など一定の事業に該当しない「事業基準」と、現地に事業に必要な事務所や設備を有する「実体基準」があります。
さらに、本店所在地国で事業の管理、支配、運営を自ら行う「管理支配基準」を満たす必要があります。名目上だけ現地に会社を置くのではなく、意思決定や日常的な業務運営が実際に現地で行われているかを確認します。
加えて、主として所在地国で事業を行う「所在地国基準」、または主として関連者以外と取引する「非関連者基準」のいずれかを満たす必要があります。これらを全て満たせば、会社単位の合算課税は原則として免除されます。
租税負担割合は、外国関係会社がCFC税制の適用対象となるかを判断する重要な基準です。現地で負担した法人税などを所得金額に対する割合として計算し、一定水準以上の税負担があるかを確認します。ペーパーカンパニーやキャッシュボックスなどの特定外国関係会社は、租税負担割合が27%以上であれば、原則として会社単位の合算課税の対象外となります。一方、その他の外国関係会社は、20%以上が会社単位の合算課税の適用除外基準となります。
ただし、経済活動基準を満たす外国関係会社であっても、配当や利子、使用料など一定の受動的所得については、部分合算課税の対象となる場合があります。そのため、租税負担割合だけでなく、会社の区分や経済活動基準、所得の内容なども含めて総合的に判定する必要があります。
合算課税の対象となるかは、外国関係会社の区分、租税負担割合、経済活動基準などを順に確認して判断します。特定外国関係会社で租税負担割合が27%未満の場合は、原則として会社単位の合算課税の対象となります。
その他の外国関係会社は、租税負担割合が20%未満で、経済活動基準を満たさない場合、原則として会社全体の所得が合算されます。経済活動基準を満たす場合でも、利子、配当、使用料などの受動的所得は、部分合算課税の対象となることがあります。
また、外国関係会社に対して日本で源泉所得税などが課されている場合、そのうち合算課税対象金額に対応する金額は、合算課税を受ける内国法人の法人税額から控除できます。例えば、利子に対して日本で源泉徴収された所得税を控除し、同じ所得への二重課税を調整します。
次に示すようなケースでは、CFC税制を確認すべきです。
それぞれのケースについて解説します。
法人税率の低い国や地域へ子会社を設立する場合は、設立前からCFC税制(外国子会社合算税制)の適用可能性を確認することが重要です。確認する際は、租税負担割合だけでなく、現地に十分な事業実体があるか、事業の管理や意思決定を現地で行っているか、受動的所得の割合が高くならないかなど、多面的に検討する必要があります。
低税率国や地域に子会社を設立しただけで、直ちにCFC税制の対象となるわけではありません。しかし、ペーパー・カンパニーや事実上のキャッシュ・ボックスに該当する場合や、経済活動基準を満たさない場合には、会社単位の合算課税や部分合算課税の対象となる可能性があります。そのため、設立段階から事業計画や組織体制、取引内容などを整理し、現地で実体ある事業を行う体制を整えておくことが重要です。
特許権や商標権、ノウハウなどの知的財産を海外子会社へ移転・集約し、日本や他国のグループ会社からロイヤリティを支払う場合は、CFC税制(外国子会社合算税制)の適用有無を確認する必要があります。
海外子会社が受け取る使用料は、事業実体や所得の性質によって、受動的所得として部分合算課税の対象となる可能性があります。特に、低税率国に所在し、知的財産の管理や事業運営を実質的に行っていない会社は注意が必要です。
さらに、知的財産の移転価格やロイヤリティ率が独立企業間価格として適正か、移転価格税制の観点からも確認します。契約上の権利関係だけでなく、実際の研究開発、管理、意思決定、費用負担、リスク負担の所在まで整理することが重要です。
海外子会社とのグループ内取引が多い場合は、CFC税制(外国子会社合算税制)の適用有無を確認する必要があります。特に、売り上げや仕入れの多くを関連会社との取引が占めると、経済活動基準のうち非関連者基準を満たさない可能性があります。非関連者基準を満たさず、実体基準や管理支配基準など他の要件も満たさない場合、海外子会社の所得が日本の親会社へ合算されることがあります。ただし、業種によっては所在地国基準が用いられるため、事業内容に応じた判定が必要です。
また、商品売買や業務委託、貸し付け、ロイヤリティなどの取引価格が独立企業間価格として適正か、移転価格税制も確認します。契約書だけでなく、実際の機能、費用負担、リスク負担の所在まで整理することが重要です。
次に、CFC税制が適用された場合の課税方法について解説します。
合算課税では、まず外国法人が、日本の内国法人等に直接または間接に50%超保有されているか、あるいは実質的に支配されているかを確認し、外国関係会社に該当するかを判定します。その後、事業実体や所得構成などに応じて区分します。ペーパーカンパニー、事実上のキャッシュボックス、ブラックリスト国所在会社などの特定外国関係会社は、租税負担割合が27%未満の場合、原則として会社単位の所得が合算されます。対象外国関係会社も、同割合が20%未満なら会社単位で合算されます。
経済活動基準を全て満たす部分対象外国関係会社は、租税負担割合が20%未満の場合でも、配当、利子、使用料など一定の受動的所得のみが合算対象です。ただし、その金額が税引前利益の5%以下または2,000万円以下であれば、部分合算課税は免除されます。
CFC税制が適用される場合、まず外国関係会社の所得を基に、日本の親会社へ合算する課税対象金額を計算します。その前提として確認するものが租税負担割合であり、外国関係会社の調整後の租税額を、調整後の所得金額で割って算出します。
分母となる所得金額は、現地の税務申告上の課税所得をそのまま用いるのではありません。一定の非課税所得、損金算入配当金、外国法人税などを加減し、日本のCFC税制上のルールに従って調整します。これにより、合算課税の判定と課税対象金額の計算の基礎となる所得を求めます。
分子となる租税額も、現地で納付した法人税だけではなく、他国の源泉税や一定の日本の税金などを加減して計算します。算出した租税負担割合が基準を下回り、その他の要件も満たす場合には、外国関係会社の調整後所得を基に、日本の親会社の持分割合などを反映して課税対象金額を計算します。
CFC税制により外国関係会社の所得が日本の内国法人へ合算されると、同じ所得について外国と日本の双方で税負担が生じることがあります。このような二重課税を調整するため、外国税額控除の仕組みが設けられています。
一定の要件を満たす場合には、外国関係会社が負担した外国法人税等のうち、合算課税対象金額に対応する部分について、外国税額控除の適用を受けることができます。ただし、控除対象となる税額や控除限度額は法令に基づいて計算されるため、外国で納付した税額の全てが控除されるわけではありません。 この制度により、同一所得に対する二重課税を調整し、国際的な事業活動における税負担の公平性を確保しています。
M&A(企業の合併・買収)におけるCFC税制の注意点として次の点が挙げられます。
それぞれについて、わかりやすく解説します。
M&Aで海外子会社を取得する場合は、買収後にCFC税制の適用対象となる可能性があるかを事前に確認することが重要です。特に、低税率国や地域に所在する外国関係会社は、租税負担割合や事業実体などによって会社単位の合算課税や部分合算課税の対象となる可能性があります。
そのため、対象会社の租税負担割合、事業内容、現地での管理・運営体制、受動的所得の割合などを調査し、CFC税制の適用可能性を把握する必要があります。併せて、過去の税務申告状況や組織体制も確認し、買収後に想定外の税務リスクが発生しないよう備えることが重要です。
海外子会社を取得した後にCFC税制が適用されると、外国関係会社の所得の全部または一部が日本の親会社へ合算され、想定以上の法人税負担が生じる可能性があります。そのため、対象会社の利益計画や所得構成、租税負担割合などを踏まえ、CFC税制が適用された場合の税額やキャッシュフローへの影響を事前に試算することが重要です。
試算結果を踏まえて、買収価格や契約条件、買収後のグループ体制を検討することで、買収後の税務リスクを見据えた意思決定につながります。
M&Aでは、対象となる海外子会社について税務デューデリジェンスを実施し、CFC税制に関するリスクを把握することが重要です。具体的には、租税負担割合、経済活動基準への適合状況、事業実体、受動的所得の割合、過年度の税務申告状況などを確認します。
また、必要な資料が適切に保存されているか、CFC税制の判定根拠が整理されているかも重要な確認項目です。事前に税務リスクを把握しておくことで、買収後の追加納税や申告漏れのリスクを低減し、必要に応じて契約条件や組織体制へ反映させることができます。
CFC税制に対応するために準備しておきたい資料として次のものがあります。
それぞれについて解説します。
CFC税制では、外国関係会社が現地で実際に事業を営んでいることを説明できる資料を準備・保存しておくことが重要です。事務所や工場などの固定施設に関する資料だけでなく、意思決定の記録、従業員の勤務実態、取引内容を示す資料なども、経済活動基準を満たすことを説明する重要な証拠となります。
税務調査で資料の提示を求められる場合もあるため、日頃から継続的に整理・保存しておきましょう。
CFC税制では、外国関係会社が本店所在地国で事業の管理、支配、運営を自ら行っていることを示すため、意思決定の記録を準備しておく必要があります。具体的には、株主総会議事録、取締役会議事録、経営会議資料、稟議(りんぎ)書などが挙げられます。
また、事業計画の策定、重要な契約の締結、資金調達、設備投資、人事、価格決定などについて、誰が、どこで、どのような検討を行い、最終決定したのかを説明できる資料も重要です。現地役員の出席記録や署名、会議資料、メールなども保存します。
意思決定が実際には日本の親会社で行われ、海外子会社が形式的に承認しているだけと判断されると、管理支配基準を満たさない可能性があります。そのため、現地で自律的に経営判断を行っていることを示す記録を、平時から継続的に整理・保存することが大切です。
CFC税制では、外国関係会社が現地で実際に事業を行っていることを示すため、従業員の勤務実態に関する資料を準備しておく必要があります。具体的には、従業員名簿、雇用契約書、給与台帳、社会保険関係書類、就業規則などが挙げられます。
さらに、出勤簿や勤務表、職務分掌表、組織図、業務日報、業務報告書などを保存し、現地従業員がどの部署に所属し、どのような業務を継続的に担当しているかを説明できる状態にします。単に従業員が在籍しているだけでなく、実際に事業運営へ関与していることを示すことが重要です。
税務当局から資料の提示や提出を求められた際に、勤務実態を十分に説明できない場合、実体基準や管理支配基準を満たさないと判断される可能性があります。そのため、従業員の配置、勤務状況、担当業務を裏付ける資料を平時から継続的に整理・保存しておくことが大切です。
CFC税制では、外国関係会社が経済活動基準を満たすかについて、判定結果だけでなく、その根拠を示す資料も準備しておく必要があります。各基準に該当すると判断した理由を、社内の判定メモやチェックシートなどに整理します。
判定根拠には、事業基準、実体基準、管理支配基準、所在地国基準・非関連者基準ごとの検討内容を記載します。定款、登記資料、財務諸表、議事録、契約書、取引明細などの裏付け資料と対応させることが重要です。
税務当局から説明や資料の提出を求められた際に、判定過程を示せないと、経済活動基準を満たさないと判断される可能性があります。そのため、判定内容と根拠資料を毎期見直し、継続的に整理・保存しておくことが大切です。
CFC税制では、外国関係会社が現地で実際に取引を行っていることを示すため、取引実態に関する資料を準備しておく必要があります。主な資料には、売買契約書、業務委託契約書、請求書、注文書、納品書などがあります。
また、顧客別売上明細、仕入先別仕入明細、取引先一覧、入出金記録なども重要です。これらにより、誰と、どのような条件で、どの程度の取引を行っているかを確認できます。
資料が不足すると、所在地国基準や非関連者基準を満たすことを十分に説明できない可能性があります。そのため、関連者取引と非関連者取引を区分し、毎期継続して整理・保存しておくことが大切です。
CFC税制では、外国法人が外国関係会社に該当するかを判定するため、株主・資本関係を示す資料を準備しておく必要があります。主な資料には、株主名簿、出資者一覧、登記簿、定款、株式譲渡契約書などがあります。
また、直接保有だけでなく、複数の会社を経由する間接保有割合や、50%超の保有関係が連続しているかを確認できる資本関係図も重要です。議決権、配当請求権、残余財産分配請求権の内容も整理します。
資料が不足すると、外国関係会社への該当性や日本側株主の持分割合を正確に判定できません。そのため、増資、株式譲渡、組織再編などがあった場合は、最新の資本関係を反映して継続的に更新・保存することが大切です。
次に、CFC税制の最新動向について説明します。
2023年度税制改正では、グローバル・ミニマム課税(第2の柱)の導入に伴い、企業の事務負担が増加することを踏まえ、CFC税制の一部が見直されました。特定外国関係会社(ペーパー・カンパニー等)については、会社単位の合算課税の適用が免除される租税負担割合が、従来の30%以上から27%以上へ引き下げられています。
また、経済活動基準を満たす部分対象外国関係会社については、部分適用対象金額がない場合や、部分適用対象金額が2,000万円以下など一定の要件を満たし部分合算課税の対象外となる場合には、申告書への一定書類の添付が不要となりました。ただし、税務調査に備えた書類の保存義務は引き続き必要です。
さらに、株主の氏名、住所、保有株式数などについては、従来の株主等に関する書類に代えて、外国関係会社と株主との関係を系統的に示す図へ記載する方法も認められました。これらの改正は、2024年4月1日以後に開始する内国法人の事業年度から適用されています。
グローバル・ミニマム課税の導入により、対象企業では国際税務に関する申告・情報収集の負担が増加します。そのため、2023年改正では、CFC税制との重複的な事務負担を軽減する見直しが行われました。
具体的には、特定外国関係会社の合算課税が免除される租税負担割合を30%以上から27%以上へ引き下げ、一定の部分対象外国関係会社については書類添付を不要としました。
また、株主情報の提出方法も簡素化されました。グローバル・ミニマム課税とCFC税制は併存しますが、両制度への対応が過度な負担とならないよう、CFC税制側で実務上の軽減措置が講じられています。
(参考:国税庁「グローバル・ミニマム課税への対応に関する改正のあらまし」)
2026年度税制改正では、次の見直しが行われました。
ペーパーカンパニーに該当するかどうかを判定する資産割合要件について、外国関係会社の事業年度終了時点の総資産額が0である場合には、資産割合の判定を行わないこととされました。
従来は、総資産がない会社についても資産割合要件との関係がわかりにくい場面がありましたが、今回の改正により、総資産額が0である場合の取り扱いが明確化されています。休眠会社や清算手続き中の会社など、総資産を保有していないケースにおける判定方法が整理され、制度の適用関係がよりわかりやすくなりました。
租税負担割合の計算では、一定の累進課税制度を採用している国・地域について、最高税率を用いて計算できる特例があります。 2026年度税制改正では、通常は適用されることが見込まれない高額所得区分にのみ最高税率が設定されているなどの特殊な累進課税制度については、この特例を適用できないことが明確化されました。 これにより、形式的に高い最高税率が設けられているだけの税制を利用して租税負担割合を判定できなくなり、各国・地域の実際の税負担に即した判定が行われるよう制度が見直されています。
2026年度税制改正では、一定の部分対象外国関係会社や外国金融子会社等が解散した場合の取り扱いについて、新たな特例が設けられました。一定の要件を満たす場合には、解散後の一定期間においても部分対象外国関係会社等とみなすことや、異常所得・異常資本に係る所得の計算方法について特例が設けられています。
また、解散したことだけを理由にCFC税制上の取り扱いが大きく変わることがないよう、清算期間中の課税関係についても一定の整理が行われました。これにより、海外子会社の解散や清算を行う際の制度運用が明確化されています。
最後に、CFC税制に関するQ&Aについて説明します。
赤字の外国子会社であっても、CFC税制の適用判定そのものが不要になるわけではありません。外国関係会社への該当性、租税負担割合、経済活動基準、受動的所得の有無などは、黒字・赤字にかかわらず確認する必要があります。
その事業年度に合算対象となる所得がなく、欠損となっている場合は、日本の親会社に合算される課税所得は通常生じません。ただし、翌期以降に黒字化した場合や、所得構成が変化した場合には、合算課税の対象となる可能性があります。
また、欠損事業年度についても、財務諸表、現地の税務申告書、欠損金の計算資料などを保存しておくことが重要です。赤字であることだけを理由に対象外と判断せず、毎期継続して適用可能性を確認します。
駐在員事務所や海外支店は、通常、日本法人とは別の法人格を持たず、日本本社の一部として活動します。そのため、それ自体がCFC税制の対象となる「外国関係会社」に該当することは、原則としてありません。
海外支店で生じた所得は、外国子会社の所得ではなく、日本法人自身の国外所得として扱われます。従って、現地で課税された税額について外国税額控除を検討するなど、日本法人の法人税計算の中で処理します。 ただし、名称が支店や駐在員事務所であっても、現地法上は独立した法人として設立されている場合があります。その場合は、株式の保有割合や議決権、実質支配関係などを確認し、CFC税制の対象となるかを個別に判定する必要があります。
一定の要件を満たす場合には、日本の居住者である個人にも適用されます。CFC税制は、法人だけでなく、一定の外国関係会社を直接または間接に保有・支配する日本の居住者である個人にも適用されます。要件を満たす場合には、外国関係会社の所得の全部または一部について、その個人の持分などに応じた金額が日本で課税対象となります。
個人に適用される場合の所得区分や税額の計算方法は、税法上の規定や個別の事実関係によって異なります。また、二重課税の調整方法についても法人とは取り扱いが異なる場合があるため、海外子会社への出資や海外投資を行う際は、事前に税理士などの専門家へ確認することが重要です。
海外子会社が複数ある場合、CFC税制の適用は、原則として各外国子会社を一つの単位として個別に判定します。企業グループ全体の所得や事業内容をまとめて、一括で適用の有無を判断するわけではありません。
各子会社について、所在地国での租税負担割合、事業実態、主たる事業、適用除外基準への該当性などを確認し、会社単位で合算課税の要否を判断します。そのため、同じ企業グループ内でも、ある子会社は合算課税の対象となり、別の子会社は適用除外となる場合があります。複数の海外子会社がある場合は、各社の状況と資本関係を整理して検討することが重要です。
CFC税制の適用可否は、原則として外国関係会社の事業年度ごとに判定する必要があります。前年に対象外とされた外国子会社であっても、その判定結果が翌年以降も自動的に引き継がれるわけではありません。
租税負担割合、事業内容、従業員数、事務所の有無、所得の種類や受動的所得の割合などは、事業年度ごとに変化する可能性があります。そのため、各期の実際の状況に基づいて、合算課税の対象となるかを確認します。前年は対象外でも翌年に対象となる場合があり、反対に前年は対象でも翌年は適用を受けないこともあります。財務諸表や現地申告書などの資料を継続的に収集し、毎期見直すことが重要です。
休眠中の海外子会社であっても、外国関係会社に該当する限り、CFC税制の適用判定は必要です。事業活動を停止していることだけを理由に、CFC税制の対象外になるわけではありません。
休眠会社は、事業実態や現地での管理・支配が乏しいことから、ペーパーカンパニーに該当する可能性があります。その判定では、実体基準、管理支配基準、外国子会社株式や不動産の保有状況、資産割合などを確認します。このうち資産割合要件については、事業年度末の総資産が0である場合、判定を不要とする取り扱いが設けられました。休眠会社や清算過程の会社で、総資産がなく形式的に判定できなかった問題を解消する措置です。
CFC税制の適用対象であるにもかかわらず、外国子会社の所得を合算せずに申告した場合、法人税や所得税の申告漏れとして扱われます。税務調査で指摘されると、修正申告や更正により不足税額を納付しなければなりません。不足税額に加えて、納付が遅れた期間に応じた延滞税や、過少申告加算税などが課される可能性があります。意図的な所得の隠蔽(いんぺい)や仮装が認められた場合には、より負担の重い重加算税の対象となり得ます。
また、財務諸表や株主関係図などの必要書類を提出・保存していなければ、適用除外を主張できない場合もあります。判定漏れが判明した際は、早めに税理士へ相談し、自主的に修正することが重要です。
CFC税制(外国子会社合算税制)は、海外子会社を通じた過度な租税回避を防ぐために設けられた制度です。特に、低税率の国・地域に所在する外国子会社を持つ企業にとっては、自社が制度の対象となるかを正しく理解し、適切に対応することが欠かせません。
この制度では、一定の要件に該当する場合、外国子会社の所得を日本の親会社の所得に合算して課税します。そのため、制度の仕組みや判定基準を把握しておくことは、想定外の課税リスクを避け、適切な海外事業体制を構築するうえで重要です。近年はOECDによる国際課税ルールの見直しも進んでおり、各国の税務規制を踏まえた対応がこれまで以上に求められています。必要に応じて専門家の支援を受けながら、海外事業スキームや税務体制を定期的に見直すことで、課税リスクを抑えつつ、適切な国際税務コンプライアンス体制を整えることができます。
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