株式併合とは?メリット・デメリットや株価への影響、注意点を解説

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株式併合とは メリット・デメリット

株式併合とは、企業の発行済み株式の総数を減らすために複数の株式を一つにまとめることです。発行株式数を減らすことで、企業は株価の適正化や管理コストの削減、経営の意思決定の迅速化などのメリットが期待できます。 しかし、株式併合には端数株の発生や一時的な株式の流動性の低下、上場廃止リスクなどのデメリットも存在するため、実行する際には慎重な検討が求められます。

本記事では、株式併合とは何か、基本的な仕組みからメリット・デメリット、株価への影響や実施手続きまで、企業経営者や投資家が知っておくべきポイントをわかりやすく解説します。

株式併合とは?基本概念をわかりやすく解説

株式併合とは、企業が発行している複数の株式を1つにまとめて、発行済株式総数を減少させる手法です。例えば、3株を1株に併合する場合、3,000株を保有していた株主の持ち株は1,000株になります。 ただし、1株あたりの価値は上昇するため、株式数が減少してもトータルの資産価値は維持されます。

株式併合の目的

株式併合の目的の一つが株価の適正化です。既存の株式を圧縮することで株価の調整を行い、株式の管理をしやすくしたり、経営効率を高めることができます。株価を調整することで、株主が長期保有しやすくなります。また、株式併合では既存株主の保有株式数は減少しますが、株価もそれに伴い上昇するため株式の価値は理論上変わりません。

例)200株×1,000円→1対2の株式併合→100株×2,000円

ただし、併合比率によっては端数株や単元未満株が発生する可能性があります。例えば、200株を1対3とする場合、66.66株となります。株式併合は株主に不利益が生じる恐れがあるため、実施には株主総会での特別決議が必要となります。 

  • 端数株:1株未満の株式
  • 単元未満株:最低売買単位である1単元に満たない株式。売買単位は銘柄によって異なる。

株式併合と株式分割の違い

株式併合とは対なる手法が株式分割です。株式併合が複数の株式を1株にまとめて発行済株式数を減らすのに対し、株式分割は1株を複数に分けて発行済株式数を増やします。 例えば、1株を2株に分割する場合、株主の保有株数は2倍になりますが、1株当たりの価値は半分になります。

また、目的や手続き面でも違いがあります。株式分割の主な目的は、株価を下げて投資家が購入しやすくすることです。一方、株式併合は株価を引き上げて適正水準に調整することを目指します。手続きにおいては、株式分割は取締役会の決議で実施できますが、株式併合は株主への影響が大きいため、株主総会の特別決議が必要です。 

株式併合のメリット

株式併合を実施することで、企業は経営上の様々なメリットがあります。株式併合の主なメリットは次のとおりです。

  • 株価を適正水準に調整
  • 少数株主の整理
  • 管理コスト削減
  • 事業承継の円滑化

それぞれのメリットについて解説します。

株価を適正水準に調整

株式併合のメリットの一つが、低迷した株価の調整です。東京証券取引所では、望ましい投資単位を「50万円未満」と定めており、2026年3月の日本取引所グループのデータでは、10万円以上20万円未満を投資単位としている企業が最も多いことが示されています。

株価が市場水準と比較して低すぎる「低位株」は、値動きが激しく、流動性も低いため、投資家からは敬遠されがちです。また、資金調達や事業提携において不利な状況に陥る可能性もあります。株式併合は、このような負のスパイラルを断ち切る有効な選択肢となります。

例えば、株価が100円まで下落した企業が10株を1株に併合すれば、理論上の株価は1,000円となり、1単元が100株であれば投資単位は10万円と適正範囲に収まります。株式併合により、株価が調整されることで、株式の流動性の向上、金融機関や投資家からの評価の向上が期待できます。

過去には、みずほフィナンシャルグループが投資単位調整を目的とした株式併合を実施し、機関投資家からの評価向上を図った事例もあります。適正な株価水準の維持は、企業の信用力向上や将来的な資金調達の円滑化にも直結するため、長期的な企業価値向上の観点からも重要な施策となります。

少数株主の整理

株式併合は、少数株主を整理する手段としても有効です。株主が分散している状況では、株主総会の運営や経営判断において様々なリスクが生じる可能性があります。特に、企業経営において、少数株主による権利行使が意思決定の障害となることがあります。例えば、重要な経営判断に対して反対意見を持つ少数株主がいると、株主総会での決議が難航する恐れがあります。

株式併合により発生した端数株は会社が買い取る必要があるため、少数株主を排除することになり、実質的なスクイーズアウト効果を得ることができます。これにより、株主構成が整理され、経営陣は安定した企業運営を行える環境を整備できます。 

ただし、少数株主の排除を目的とした株式併合は、無効や取消となる可能性があるため、正当な事業目的に基づいて実施することが重要です。また、株式併合によるスクイーズアウトを実行する際には、適正な手続きと公正な価格での買取りが不可欠です。反対株主が買取価格に納得しない場合は裁判所に価格決定の申立てを行うことになり、これらの手続きが煩雑になります。

管理コスト削減

株式併合は管理コストの削減と効率化にも寄与します。発行済株式数が多いと、それに比例して株主数も増加し、様々な管理コストが膨らみます。株主総会の運営費用、招集通知の郵送費、配当金の振込手数料など、株主一人ひとりに対応するコストは決して小さくありません。 

株式併合により発行済株式数を減らすことで、株主構成も整理され、管理コストを大幅に削減できます。特に、数株しか保有していない小口株主が多い企業では、効果が大きく現れます。 

また、株主構成の整理によって、少数株主の権利行使に関する事務処理や株主名簿の管理、株主総会での議決権行使の集計作業なども簡素化され、事務作業の効率が向上します。これにより、企業は本来の事業活動により多くのリソースを投入できるようになります。 

デジタル化が進む現代でも、法的に必要な書面での通知や手続きは残っており、株主数の削減がもたらすコストや労力の削減効果は依然として大きい傾向にあります。特に、事業承継や組織再編を検討している企業にとっては株式併合による管理コストの削減は大きなメリットとなるでしょう。

事業承継の円滑化

株式併合には、事業承継の円滑化というメリットもあります。株式併合によって、分散した株式を整理することで、株主構成がシンプルになり、後継者への株式移転や経営権の集約がより効率的に行えるようになります。

これにより、事業承継時の複雑な手続きを軽減し、承継後の安定的な経営基盤を構築することが可能になります。これは特に、複数の親族や従業員が株式を保有している企業において有効な手法です。株式併合により、株式を非公開化して子会社化するケースや株式併合を活用した中小企業の事業承継なども見られます。

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    株式併合のデメリット

    株式併合には多くのメリットがある一方で、実施にあたっては慎重に検討すべきデメリットや注意点も存在します。 株主への影響、市場での評価、法的リスクなど、様々な観点から潜在的な問題点を理解しておくことが、適切な経営判断につながります。

    株式併合の主なデメリットとして以下の点が挙げられます。

    • 株主が権利を失う可能性
    • 購入ハードルの上昇
    • 上場廃止リスク
    • 手続きの複雑さ

    それぞれのデメリットについて解説します。

    株主が権利を失う可能性

    株式併合の最も注意すべき点は株主への影響です。例えば、200株を保有していた場合、1対3の株式併合を行うと保有株数は66.66株となり、端数株が生じます。1株未満の株式は会社が強制的に買い取ることになり、該当する株主はその分の議決権を失います。

    特に非上場企業の株式の場合、一度手放した株式を再取得することは非常に困難であるため、株主としての地位を永久に失うリスクがあります。これは、従業員持株会や取引先が保有する少数株式において問題となる可能性があります。

    また、端数株の買取価格の算定についても、株主との間で争いが生じる可能性があります。会社法では公正な価格での買取りが定められていますが、非上場企業の株式評価は複雑であり、株主が納得できる価格設定が困難となることもあります。

    購入ハードルの上昇

    株式併合により1株あたりの価格が上昇すると、最低投資金額が高くなり、個人投資家にとって購入のハードルが上がります。例えば、株価300円の株式を10株併合すると1株3,000円となり、1単元が100株単位の企業では30万円の投資が必要になります。

    このような投資単価の上昇は、市場での流動性の低下を招く可能性があります。流動性の低下は、将来的な株式売却や資金調達において不利な状況を生み出す可能性があります。

    また、購入ハードルが高くなることで、需給バランスが崩れやすくなり、株価の変動が大きくなります。 東京証券取引所では、望ましい投資単位として50万円未満と示していますが、2025年には最低投資単価を10万円程度に引き下げることを求める発表がされました。

    いずれも努力義務であり、強制的なものではありませんが、株式併合により投資単位が上昇すると投資家層の縮小が懸念されるため、企業の成長段階や目的、将来の資金調達計画を十分に考慮した上で併合比率を決定する必要があります。

    上場廃止リスク

    上場企業が株式併合を実施する場合、株主数の減少により上場維持基準を下回るリスクがあります。各証券取引所では、上場維持のための最低株主数が定められており、これを下回ると上場廃止となる可能性があります。

    • プライム市場:株主数800人以上
    • スタンダード市場:株主数400人以上
    • グロース市場:株主数150人以上

    上場廃止は企業の信用力や資金調達能力に重大な影響を与えるため、株式併合の実施前に十分なシミュレーションを行い、上場維持基準への影響を慎重に検討する必要があります。必要に応じて、併合比率の調整や代替的な施策の検討も重要です。

    手続きの複雑さ

    株式併合のデメリットには、手続きの複雑さも挙げられます。株式併合は株主への影響が大きいため、実施には株主総会の特別決議による承認が必要となります。この過程では取締役会の決議、株主への通知、総会の開催準備など、多岐にわたる作業が発生し、時間とコストがかかります。

    また、株主への対応にも配慮が必要です。既存株主には十分な情報開示と丁寧な説明を行い、反対株主にも適切に対応することが求められます。特に、単元未満株式が発生した場合の買取価格の算定が難航する可能性もあり、これが手続きの遅延や株主間の不信につながるリスクも考えられます。

    手続きに不備がある場合、法的効力が認められず株式併合が無効となる可能性もあるため、弁護士や税理士などの専門家の助言を得ることが大切です。これらの手続きの煩雑さは、企業にとって大きな負担となり、事業運営の妨げになる場合もあるため、慎重に進めることが重要です。

    株式併合の実施手順の流れ

    株式併合を実施するには、会社法に定められた厳格な手続きを踏む必要があります。株式併合の流れを実務的な観点から5つのステップで紹介します。

    株式併合は以下の流れで進みます。

    1. 取締役会での決議
    2. 株主総会の開催
    3. 決議事項の通知・告知
    4. 反対株主の株式買取対応
    5. 登記変更

    それぞれの手順について解説します。

    1.取締役会での決議

    取締役会において株式併合の実施を決定後、株主総会の招集を行います。取締役会では、併合比率や効力発生日など、具体的な内容を慎重に検討し、議案として取りまとめます。 

    株主への招集通知は、株主総会の開催日から起算して原則2週間前までに発送する必要があります。また、事前開示書面の備置きも必要です。株式併合に関する詳細な説明書類を本店に備え置き、株主が自由に閲覧できるようにします。実務上は、株主の理解を深めるため、株式併合の必要性や影響について図表を用いたわかりやすい説明資料を添付することが一般的です。

    事前開示書面の備置きの期間は、株主総会を開催する2週間前または通知・公告の日のいずれか早い日から効力発生後6か月間です。また、株式併合に反対する株主は、株主総会が開催される前日までに反対の旨を書面にて通知する必要があります。

    2.株主総会の開催

    株式併合では、株主総会の特別決議を行います。特別決議で承認を得るには、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要です。株主総会では、株式併合の必要性や株主への影響について詳細な説明を行います。

    決議事項には、併合比率、効力発生日、発行可能株式総数などが含まれます。株主の判断に重要な影響を与えるため、十分な情報開示が必要です。 また、株式併合の反対を表明した株主は株主総会でも反対票に投じることが求められます。

    特別決議が必要な理由(会社法309条2項11号) 

    株式併合に特別決議が必要とされるのは、株主の権利に重大な影響を与えるためです。会社法309条2項11号では、株主保護の観点から、通常の過半数決議よりも厳格な要件を定めています。 

    特に、端数株や単元未満株の発生により一部の株主が実質的に株主としての地位を失う可能性があることから、株式併合には慎重な判断が求められます。このような手続きが求められる理由は、株主が不利益になる株式併合を防ぐためです。

    3.決議事項の通知・公告

    株主総会で株式併合が承認されたら、効力発生日の2週間前まで(端数株が生じる場合は20日前まで)に、決議内容を株主に通知または公告します。 上場企業は、証券取引所での適時開示も必要です。

    通知には、併合比率、効力発生日、端数処理の方法、買取請求の手続きなど、株主が知っておくべき重要事項を明記します。通知により、反対株主は買取請求権の行使を検討する機会を得ます。端数株がある場合は、企業は市場でその端数株を売却し、その代金を株主に交付します。

    4.反対株主の株式買取対応

    株式併合に反対する株主は、効力発生日の20日前から前日までの間に、保有株式の買取を請求できます。企業は株主からの請求に対して誠実に対応し、公正な価格での買取を行う義務があります。企業は効力発生日から60日以内に合意した価格を株主に支払います。

    ただし、買取価格について合意に至らない場合は、協議期間終了後30日以内に裁判所に価格決定の申立てを行います。企業は不測の事態を避けるため、市場価格を基準とした適正な価格を提示することが重要です。

    5.変更登記

    株式併合は株主総会で決定した効力発生日をもって効力が発生します。効力発生日から6か月間は本店に事後書面を備置く必要があります。また、株式併合の効力発生日から2週間以内に、法務局で変更登記を申請します。登記事項には、発行済株式総数の変更などが含まれます。 

    上場企業の場合は、証券保管振替機構(ほふり)への届出も必要です。株主名簿の書き換えや、新しい株式数での取引が可能となります。実務的には、効力発生日の数日前から準備を開始し、関係各所との調整を密に行うことで、移行を実現します。

    株式併合による株価や株主への影響

    株式併合は株主の権利に直接影響を与えるため、法律では様々な救済措置が用意されています。企業は、株式併合による株価や株主への影響を理解し、株主の利益を保護しながら手続きを進める必要があります。 ここでは、株式併合の影響について触れていきます。

    株式併合の株価への影響

    株式併合により複数の株式をまとめることで、見かけ上の株価は上昇しますが、市場での実際の株価が必ず上がるとは限りません。これは、企業の本質的な価値は変わらないためです。

    株式併合後の株価は、企業の業績や市場環境、投資家の評価などによって決まります。株式併合はあくまで株価調整の手段であり、企業価値向上の根本的な解決策ではないことを理解しておく必要があります。 

    また、株式併合によって株価が下落する可能性もあります。株式併合の発表が業績不振のシグナルと受け取られた場合、株価が下落することもあります。特に、経営再建中の企業が実施する株式併合は、市場からネガティブに評価される傾向があります。 

    さらに、株式併合と同時に第三者割当増資を行う場合、既存株主の持分が希薄化するため、株価下落の圧力となります。投資単価の上昇により流動性が低下し、需給バランスが崩れることも下落要因となり得ます。 

    株式併合の企業価値への影響

    株式併合自体は会社の企業価値を変化させません。発行済株式数は減少しますが、1株あたりの価値が比例して上昇するため、時価総額は理論上変わりません。 

    ただし、株式併合により経営効率が向上し、コスト削減や意思決定の迅速化が実現すれば、中長期的には企業価値の向上につながる可能性があります。株式併合は企業価値向上の手段ではないものの、経営効率の向上などが期待できるため、企業価値向上のきっかけとして活用することが大切です。

    株式併合の少数株主への影響

    会社法では、株式併合により不利益を受ける株主を保護するため、様々な制度が用意されています。反対株主の買取請求権、端数株の適正価格での買取、価格決定の申立て制度などがその代表例です。 

    株主総会での特別決議要件により、多数株主の横暴を防ぐ仕組みも整備されています。企業は、保護制度を適切に運用し、すべての株主の利益に配慮した株式併合を実施することが求められます。また、端数株などの株式の買取価格は、直近の市場価格を基準に、プレミアムを付加して決定されることが一般的です。 

    最近では、少数株主保護の観点から、独立した第三者委員会による株式併合の妥当性評価を実施する企業も増えています。透明性の高い手続きにより、株主からの信頼を維持することが可能となります。 

    株式併合による注意点

    株式併合を実施する際には以下の注意点に留意しましょう。

    • 端数処理と単元未満株の買取請求 
    • 売買停止期間が生じるタイミング 
    • 少数株主排除が違法と判断される場合 

    それぞれのポイントについて説明します。

    端数処理と単元未満株の買取請求 

    株式併合により生じた端数株は、会社が一括して処理し、代金を株主に支払います。単元未満株となった株主は、会社に対して買取請求権を行使できます。 

    端数株の買取価格は原則として市場価格を基準としますが、反対株主が異議を申し立てした場合は協議のうえ決定されます。協議が整わない場合は、裁判所が適正な価格を決定する仕組みになっています。 

    売買停止期間が生じるタイミング 

    株式併合の効力発生日前後には、売買停止期間が設定される場合があります。この期間中は市場での取引ができないため、株主は売却機会を失うことになります。 

    企業は売買停止期間を最小限に抑えるよう、証券取引所と綿密に調整を行う必要があります。株主への事前告知を徹底し、混乱を防ぐことが重要です。 

    少数株主排除が違法と判断される場合 

    株式併合を利用した少数株主の排除(スクイーズアウト)は、正当な事業目的がない場合、裁判所により無効と判断される可能性があります。 

    特に、対価が著しく不当である場合や、特定の株主を狙い撃ちにした恣意的な併合比率の設定は、株主平等の原則に反するとして違法となります。企業は公正性と透明性を確保した手続きを心がける必要があります。 

    株式併合の具体的な事例

    実際の企業による株式併合の事例を通じて、その目的や効果、注意点について具体的に理解することができます。ここでは、代表的な事例を取り上げて詳しく解説します。

    佐渡汽船の大規模併合事例

    2022年に実施された佐渡汽船の株式併合は、27万株を1株にまとめるという極めて大規模な併合として注目を集めました。この併合の主な目的は、債務超過約30億円という厳しい経営状況の中での経営再建とスクイーズアウトでした。

    この事例では、大部分の少数株主が端数株主となり、実質的に株主から除外される結果となったため、少数株主保護の観点から様々な議論を呼びました。一方で、経営の安定化と再建への集中という目的は一定程度達成されたと評価されています。

    佐渡汽船の事例は、経営危機にある企業が株式併合を活用する際の参考となる一方で、株主の権利保護の重要性についても重要な示唆を与えています。特に、公正な買取価格の算定や十分な情報開示の必要性が浮き彫りになりました。

    また、佐渡汽船は2026年4月にも10万株を1株とする株式併合を実施しています。

    参考:佐渡汽船株式会社|株式併合に関する公告

    双日の投資単位調整事例

    2021年に実施された双日の株式併合は、東証の望ましい投資単位である5万円以上50万円未満の範囲に調整することを目的としていました。当時の株価307円では投資単位が30,700円と低すぎたため、併合により適正な水準への調整を図りました。

    この事例では、機関投資家からの評価向上や株式の流動性改善などの効果が期待されました。実際に、併合後は投資家からの注目度が高まり、株価の安定化にも寄与したとされています。双日の事例は、投資単位調整を主目的とした株式併合の成功例として、多くの企業が参考にしている事例です。特に、適切な併合比率の設定や市場への丁寧な説明が功を奏した点が評価されています。

    参考:双日株式会社|株式併合に関するお知らせ

    中小企業における事業承継活用事例

    中小企業においても、事業承継の円滑化を目的とした株式併合の活用が増加が見込まれます。ニデックによるTAKISAWAの完全子会社化の事例では、経営の意思決定を迅速化し、グループ一体での戦略を推進するために株式の非公開化が行われました。

    この事例では、まず株式公開買い付け(TOB)によって市場の株式を買い集め、その後、株式併合を実施しました。これにより、TOBに応じなかった少数株主の株式を1株未満の端株(はかぶ)にして整理し、TAKISAWAを完全子会社としました。

    少数株主の整理によって、株主総会の運営コスト削減や、迅速な意思決定が可能になるなど、経営効率化に大きく寄与しました。

    このプロセスにおいて、少数株主との関係維持に細心の注意を払い、TOBにおける公正な買取価格(プレミアムを上乗せした価格)の提示と、手続きに関する十分な情報開示を行ったことが成功の要因となりました。この事例は、企業が株式併合を活用して経営改革を進める際の重要なポイントを示しています。

    参考:ニデック株式会社|株式会社 TAKISAWA の株式併合の効力発生および、完全子会社化に関するお知らせ

    会社法改正による影響事例

    近年の会社法改正により、株式併合の手続きや要件に変更が加えられたことで、企業の対応にも変化が見られます。改正により、株主保護の仕組みが強化され、より慎重な手続きが求められるようになりました。

    会社法改正の影響により、株式併合を検討する企業は、従来以上に株主への説明責任や公正な価格算定の重要性を認識するようになっています。これにより、専門家の助言を求める企業が増加し、より適切な手続きが行われる傾向にあります。

    企業名併合比率主な目的効果・結果
    佐渡汽船27万対1経営再建・スクイーズアウト株主数大幅減少・経営安定化
    双日5対1投資単位調整機関投資家評価向上
    みずほFG10対1投資単位最適化投資単価の適正水準化

    まとめ|株式併合の影響を理解し、適切に対応しよう

    株式併合は、株価の適正化、管理コストの削減、経営の効率化など、企業に多くのメリットをもたらす重要な手法です。しかし、実施には株主への影響や法的リスクなど、慎重に検討すべき要素も多く存在します。 

    株式併合のメリットを最大化するには、明確な目的設定と綿密な計画立案が不可欠です。単なる株価調整にとどまらず、企業価値向上の総合的な戦略の一環として位置づけることが重要です。株主との丁寧なコミュニケーションと、法令遵守の徹底により、円滑な実施を心がけることが成功への鍵となります。 M&Aや経営課題に関するお悩みはM&Aロイヤルアドバイザリーへご相談ください。

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