MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)とは?策定方法を徹底解説

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MVVとは、企業が目指す未来や存在価値を頭文字で表した言葉です。近年は、多くの企業がMVVを掲げていますが、「結局何のために必要なのか」と疑問を持つ方も少なくありません。実際、理念を掲げても現場へ浸透せず、形だけになってしまうケースもあります。 

また、働き方や価値観が多様化する中で、企業には利益だけではない存在意義が求められるようになっています。そのため、MVVを適切に設計・運用できるかどうかは、採用・組織づくり・ブランド形成にも大きく影響します。 

本記事では、MVVの意味や企業理念やパーパスとの違い、注目されている背景、策定方法、浸透させるポイントまでを網羅的に解説します。

MVVとは?意味や違いをわかりやすく解説

MVVとは、企業が目指す方向性や役割を言語化したものであり、企業で働く社員や従業員はMVVに従った経営が求められます。しかし、MVVが十分に社内に浸透しなければ形骸化したものになってしまいます。まず最初に、MVVの基本についてわかりやすく紹介します。

MVVの意味 

MVVとは、「Mission(ミッション)」「Vision(ビジョン)」「Value(バリュー)」をまとめた考え方であり、それぞれの頭文字を取った言葉です。企業がどのような目的を持ち、どの方向へ進み、どのような価値観を大切にするのかを整理するときに使われます。 

  • Mission(ミッション):企業が社会の中で果たす役割や存在する理由を表したものです。「自社は何のために事業を行うのか」という考えを明確にする役割があります。
  • Vision(ビジョン):企業が将来的に実現したい姿や目標を示します。数年後や将来に向けて、どのような企業・組織を目指すのかを言語化したものです。
  • Value(バリュー):企業で働く人たちが共有する価値観や行動基準を意味します。業務の進め方や意思決定を行う際の判断軸として活用されます。 

この3つはそれぞれ役割が異なりますが、互いに密接に関連しています。 

企業理念との違い 

企業理念とは、企業が大切にしている考え方や価値観を示したものです。会社として何を重視し、どのような姿勢で社会と関わっていくのかを表す、企業活動の土台となる考え方として使われます。 

つまり、企業理念が企業全体の考え方そのものを示すのに対し、MVVはそれを実際の組織運営や意思決定で活用しやすい形へ落とし込んだものといえます。また、企業理念は長期的に変わりにくい傾向がありますが、MVVは事業環境や組織状況に合わせて見直される場合があります。 

経営理念との違い 

経営理念とは、企業がどのような方針で経営を行うのかを示したものです。事業運営における方向性や経営者として重視する考え方を表現する際に使われます。 

MVVとの違いは、対象範囲にあります。MVVは、企業の存在意義から将来像、行動基準までを体系的に整理する考え方ですが、経営理念は主に「どのような経営を行うか」に重点が置かれます。また、経営理念は経営方針や事業戦略と結び付きやすいため、経営体制の変更や事業転換などをきっかけに内容が見直されるケースもあります。 

一方で、MVVは組織全体の共通認識として機能する点が特徴です。社員の意思決定や組織文化にも影響するため、単なる経営方針より広い役割を持っています。 

行動指針との違い 

行動指針とは、社員が業務を進める際に意識する具体的な行動ルールや判断基準のことです。日々の仕事の中で、どのように行動するべきかを明確にする役割があります。 

MVVとの違いは、抽象度にあります。MVVは企業全体の方向性や価値観を示すものですが、行動指針はそれを現場で実践できるレベルまで具体化したものです。例えば、Valueで「挑戦を重視する」という価値観を掲げている場合、行動指針では「新しい提案を積極的に行う」「失敗を共有して改善につなげる」といった具体的な行動へ落とし込まれます。

つまり、MVVが組織の考え方や方向性を示す軸であるのに対し、行動指針は社員が日常業務で実践するための行動ルールという違いがあります。 

パーパスとの違い 

パーパスとは、企業はなぜ存在するのか」という社会的な存在意義を示す考え方です。単に利益を出すだけではなく、「社会にどのような価値を提供する存在なのか」を明確にする役割があります。 

MVVとの違いは、考える起点にあります。MVVは、「自社が何を目指し、どのように行動するか」という企業側の意思や方向性を整理する考え方です。一方、パーパスは、「なぜこの会社が社会に必要なのか」という社会視点で存在意義を捉える点が特徴です。 

つまり、MVVが企業の方向性や行動指針を整理するための考え方であるのに対し、パーパスは企業の存在理由そのものを社会視点で示す考え方という違いがあります。 

MVVが注目されている背景 

MVVとは企業の在り方を明確にしたものであり、企業の経営や運営、組織体制にも大きく影響を与えます。MVVが注目されている背景は、次のとおりです。 

  • 社会的責任が重視されている
  • 働く人の価値観が変化している
  • 経営環境の変化が激しくなっている
  • 企業姿勢の発信が重要になっている 

それぞれを解説します。 

社会的責任が重視されている 

近年は、企業に対して単なる利益追求だけではなく、社会に対する責任や持続可能性への配慮が求められるようになっています。 

環境問題や人権問題、労働環境への関心が高まったことで、企業には「どのような価値を社会へ提供するのか」を明確に示すことが必要になりました。特に、ESG投資やSDGsへの注目拡大により、企業姿勢を重視する投資家や消費者が増加しています。 

そのため、企業としての存在意義や価値観を整理し、社内外へ共有する手段としてMVVが重視されるようになっています。 

働く人の価値観が変化している 

働き方や仕事に対する考え方が変化していることも、MVVが注目される背景の一つです。

従来は、給与や知名度などの条件面を重視する傾向が強く見られました。しかし近年は、給与だけでなく、どのような理念を持ち社会にどのような価値を提供しているのかを重視して企業を選ぶ人が増えています。

特に若い世代を中心に、企業理念や組織文化への共感を重視する傾向が強まっており、企業側にも自社の考え方や方向性を明確に発信することが求められています。 

経営環境の変化が激しくなっている 

市場環境や社会情勢の変化が激しくなっていることも、MVVが必要とされる理由です。近年は、技術革新の加速や国際情勢の変化、消費者ニーズの多様化などにより、将来予測が難しい時代になっています。こうした不確実性の高い環境では、短期的な計画だけで経営判断を行うことは難しいです。 

そのため、企業として何を大切にするのかといった共通の軸を持つ重要性が高まっています。MVVは、変化が大きい状況でも組織の方向性を維持するための指針として活用されています。 

企業姿勢の発信が重要になっている 

近年は、企業が自社の考え方や将来像を積極的に発信する重要性も高まっています。 

採用活動やブランディングでは、企業の価値観や目指す方向性を明確に伝えることが求められています。また、人的資本経営や情報開示への関心が高まったことで、組織文化や人材育成方針を社外へ示す企業も増えています。 

MVVを明文化することで、企業としての考え方を統一しやすくなるだけでなく、社員・求職者・取引先・投資家など、さまざまなステークホルダーに対して企業姿勢を分かりやすく伝えられます。 

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    MVVを策定するメリット 

    MVVを策定するメリットは、次のとおりです。 

    • 意思決定の迅速化
    • 従業員のエンゲージメント向上
    • 採用ミスマッチの防止
    • ブランド価値の向上 

    それぞれを解説します。 

    意思決定の迅速化 

    MVVを明確にすることで、企業として何を重視し、どの方向を目指すのかを組織全体で共有しやすくなります。 

    共通の判断基準がない状態では、部署や担当者ごとに考え方がズレやすく、確認や調整に時間がかかる場合があります。一方で、MVVが浸透している組織では、社員一人一人が判断基準を共有できるため、意思決定をスムーズに進められます。 

    また、変化の激しい環境でも、組織としての方向性を維持しやすくなる点もメリットです。 

    従業員のエンゲージメント向上 

    MVVには、社員が仕事の目的や役割を理解しやすくする効果があります。 

    会社が目指す方向や存在意義が明確になることで、「自分の仕事が何につながっているのか」を把握しやすくなります。業務への納得感を持ちやすくなるため、仕事に対するモチベーション向上にもつながる点がメリットです。 

    また、組織全体で共通の価値観を持ちやすくなることで、一体感や帰属意識の向上も期待できます。 

    採用ミスマッチの防止 

    MVVを明文化することで、企業の考え方や価値観を求職者へ伝えられます。企業理念や組織文化が曖昧な場合、入社後に「想像していた会社と違った」と感じるミスマッチが発生しやすくなります。一方で、MVVが整理されている企業では、求職者が事前に企業の方向性を理解できます。 

    その結果、自社の価値観に共感する人材を採用しやすくなり、定着率向上にもつながる点がメリットです。 

    ブランド価値の向上 

    MVVは、企業としての考え方や提供価値を整理する役割も担っています。広報やマーケティング、営業活動などをMVVに基づいて行うことで、企業としてのメッセージに一貫性を持たせられます。 

    また、社員自身も企業の強みや存在意義を理解しやすくなるため、商品やサービスの魅力を伝えやすくなる点もメリットです。社外に対して企業姿勢を明確に示しやすくなることで、信頼形成にもつながります。 

    MVV策定のタイミング 

    MVVを策定することで、経営者と従業員が同じ目標を共有し、全員が掲げた目標に向かって業務に取り組むことができます。MVVを策定するタイミングは、次のとおりです。 

    • 創業期
    • 事業転換期
    • 組織拡大期
    • 合併・買収時
    • 経営体制の変更時 

    それぞれを解説します。 

    創業期 

    会社設立や事業立ち上げの段階は、MVVを策定する代表的なタイミングです。 

    創業期は、事業内容や組織文化がまだ固まっていないため、経営者の考え方や目指す方向性を明確にしておくことが重要になります。特に、初期メンバーの間で価値観や判断基準が共有されていないと、事業拡大とともに方向性のズレが生じやすいです。 

    そのため、MVVとして整理しておくことで、組織としての土台を作る必要があります。採用活動や営業活動においても、企業としての考え方を説明しやすくなるため、創業初期からMVVを整備する企業が増えています。 

    事業転換期 

    新規事業への参入やサービス変更など、事業の方向性が大きく変化するタイミングでも、MVVを見直すケースがあります。 

    事業内容が変わると、これまで掲げていたMVVと実際の事業方針にズレが生じる場合があります。特に、新しい市場へ進出する場合や顧客層が大きく変わる場合は、企業としての存在意義や目指す方向を再整理する必要があります。 

    また、事業転換期は社員が将来への不安を感じやすい時期でもあります。MVVを改めて整理し、企業としてどこへ向かうのかを共有することで、組織内の認識を統一することが大切です。 

    組織拡大期 

    従業員数の増加や拠点拡大など、組織規模が大きくなるタイミングも、MVVを再確認する重要な時期です。小規模な組織では、経営者の考え方や価値観が自然に共有されやすい傾向があります。しかし、社員数が増えるにつれて、部署ごとに考え方や行動基準が異なりやすいです。 

    特に中途採用が増える段階では、組織文化の統一が難しくなるケースも少なくありません。そのため、MVVを明文化し、組織全体へ浸透させることで、企業としての価値観や方向性を共有する必要があります。また、評価制度やマネジメント方針を整備する際にも、MVVが判断基準として活用されることがあります。 

    合併・買収時 

    M&A合併・買収)やグループ統合を行う際にも、MVVの整理が重要になります。異なる企業文化や経営方針を持つ組織同士が統合される場合、価値観や仕事の進め方の違いによって混乱が発生することがあります。特に、統合後に方向性が曖昧な状態になると、社員間の認識差が広がることはめずらしくありません。 

    そのため、新しい組織としてどのような価値観を共有するのかを明確にする目的で、MVVを再定義する企業が多いです。共通の方向性を示すことで、組織間の一体感を作りやすくなり、統合後の組織運営を進められます。 

    経営体制の変更時 

    経営者交代や組織再編など、リーダーシップ体制が変わるタイミングでも、MVVを見直すことがあります。経営者が変わると、事業戦略や組織運営の考え方が変化する場合があります。その際、従来のMVVが現在の経営方針と合わなくなるケースが多いです。 

    また、新しい経営体制では、今後どのような企業を目指すのかを改めて社内外へ示す必要があります。MVVを再整理することで、新しい方向性を社員へ共有しやすくなり、組織としての認識統一にもつながります。 

    変化の大きい時期だからこそ、企業としての軸を明確にする目的でMVVを見直すことが重要です。 

    MVVの作り方の手順 

    MVVを策定する手順は、次のとおりです。 

    • 自社の考え方や存在意義を整理する
    • 社内で議論し方向性を共有する
    • MVVを言語化する
    • 社内外の反応を確認する 

    それぞれを解説します。 

    自社の考え方や存在意義を整理する 

    MVVを策定する際は、まず「なぜこの事業を行っているのか」を整理することが重要です。創業時の想いや事業を通じて実現したいこと、社会に対してどのような価値を提供したいのかを明確にしていきます。

    特に経営陣や創業メンバーの考え方を深掘りすることで、企業としての軸を整理できます。また、自社の強みや市場での立ち位置、顧客からの評価などを客観的に分析することも重要です。現状を整理することで、理想だけではなく自社に合ったMVVを作れます。 

    社内で議論し方向性を共有する 

    MVVは経営陣だけで決定するのではなく、社内の意見を取り入れながら整理することが重要です。部署や立場によって、会社に対する考え方や感じている課題は異なります。そのため、管理職だけでなく、現場社員や若手社員なども含めて議論を行うことで、多角的な視点を取り入れられます。 

    また、策定段階から社員が関わることで、MVVへの理解や共感を得やすくなる点もメリットです。ワークショップやアンケート、ヒアリングなどを活用しながら、組織として方向性を共有していきます。 

    MVVを言語化する 

    議論や分析で整理した内容をもとに、Mission・Vision・Valueを具体的な言葉へ落とし込んでいきます。MVVは、長すぎたり抽象的すぎたりすると、社内で浸透しにくい傾向があります。そのため、できるだけシンプルで分かりやすい表現にまとめることが重要です。 

    また、Missionは企業の存在意義、Visionは将来像、Valueは価値観や行動基準など、それぞれの役割を整理しながら作成する必要があります。複数の案を作成し、社内でフィードバックを集めながら調整することで、共感されやすいMVVへブラッシュアップできます。 

    社内外の反応を確認する 

    MVVを策定した後は、社内外からどのように受け取られるかを確認することも重要です。 社内では、「実際の業務とかけ離れていないか」といった視点で確認を行います。 

    また、社外に対しても、企業イメージやブランド価値にどのような影響を与えるかを検討する必要があります。特に、取引先や求職者、投資家などのステークホルダーにどのような印象を与えるかは重要なポイントです。 

    第三者視点を取り入れながら調整することで、企業としての方向性をより分かりやすく伝えられます。 

    MVVを策定するときのポイント 

    MVVを策定するときのポイントは、次のとおりです。 

    • MVV全体の整合性を意識する
    • シンプルかつ具体的な表現にする
    • 社会や顧客視点を取り入れる 

    それぞれを分かりやすく解説します。 

    MVV全体の整合性を意識する 

    MVVは、Mission・Vision・Valueを個別に作るのではなく、それぞれがつながる内容にすることが重要です。 

    例えば、企業が目指す未来像と、社員に求める行動基準が一致していなければ、組織としての方向性が曖昧になってしまいます。また、Missionで掲げる存在意義とVisionの内容に関連性がなければ、企業として何を実現したいのかが伝わりにくいです。 

    そのため、「なぜ存在するのか」「どこを目指すのか」「どのように行動するのか」が一貫してつながる構成にすることが重要です。MVV全体に統一感を持たせることで、社員も理解・行動しやすいといえます。 

    シンプルかつ具体的な表現にする 

    MVVは、できるだけ短く分かりやすい言葉で表現することが重要です。理想や理念を詰め込みすぎると、文章が長くなり、社員や社外の人に内容が伝わりにくくなります。抽象的な表現だけでは、人によって解釈が変わってしまう可能性もあります。 

    また、「社会に貢献する」といった汎用的な言葉だけでは、自社らしさを表現しにくくなります。どのような相手に、どのような価値を提供したいのかまで整理することで、独自性を持たせられます。MVVは覚えやすく、日常業務の中で自然に意識できる内容にすることが大切です。 

    社会や顧客視点を取り入れる 

    MVVを策定する際は、自社視点だけで内容を決めないことも重要です。自社の商品やサービスを中心に考えるだけでは、企業としての存在意義が伝わりにくい傾向があります。そのため、社会や顧客のどのような課題を解決したいのかという視点を持つ必要があります。 

    また、近年は企業の価値観や姿勢に注目する消費者や投資家も増えています。時代背景や社会性を踏まえた内容にすることで、社外からの共感や信頼を得やすいです。特に、インターネットやSNSの普及によって企業姿勢が広く共有されやすくなっているため、言葉選びにも注意が必要です。 

    MVVを浸透させる方法 

    MVVを浸透させる方法は、次のとおりです。 

    • 経営層が継続的に発信する
    • 社員が参加できる場を作る
    • MVVを体現する人材を増やす
    • 日常的にMVVへ触れられる環境を作る 

    それぞれを解説します。 

    経営層が継続的に発信する 

    MVVを組織へ浸透させるためには、経営層が繰り返し発信することが重要です。

    単にMVVを文章として共有するだけでは、「なぜこの理念を掲げているのか」「企業として何を大切にしたいのか」が社員へ十分に伝わらない場合があります。そのため、経営層自身が策定の背景や想いを自らの言葉で説明する必要があります。 

    例えば、全社会議や朝礼、研修などで定期的にMVVについて触れることで、社員が理念を意識する機会を増やせます。継続的に発信することで、MVVを一時的なスローガンではなく、組織として重視している考え方として認識してもらえるでしょう。 

    社員が参加できる場を作る 

    MVVを浸透させるには、社員自身が主体的に関われる機会を設けることも重要です。 

    会社側から一方的に理念を伝えるだけでは、「上から与えられた方針」として受け取られる場合があります。そのため、「MVVをどのように仕事へ活かせるか」「自分の業務とどのようにつながっているか」を社員同士で考えられる場を作ることが効果的です。 

    例えば、ワークショップやグループディスカッションを実施し、自分の言葉でMVVについて話す機会を設けることで、理念への理解を深められます。自分事として捉えられるようになることで、日々の業務でも意識できます。 

    MVVを体現する人材を増やす 

    MVVを社内へ広げるためには、理念に沿った行動を実践する人材の存在も重要です。特に、管理職やリーダー層がMVVを意識した行動を取ることで、周囲の社員にも価値観が伝わります。 

    また、単に理念を理解するだけではなく、どのような行動がMVVにつながるのかを説明できる人材を増やすことで、組織全体へ浸透しやすいです。 

    日常的にMVVへ触れられる環境を作る 

    MVVは、社員が日常的に目にする環境を作ることで、自然に意識されやすくなります。例えば、自社サイトへ掲載することで、社員だけではなく求職者や取引先にも企業としての考え方を伝えられます。

    また、名刺や社員証へ記載することで、日常業務の中でもMVVへ触れる機会を増やせるでしょう。特に、短く覚えやすい言葉へ整理することで、社員にも印象が残ります。日々繰り返し接する環境を作ることで、MVVが浸透します。 

    MVVを根付かせるためのポイント 

    MVVを根付かせるためのポイントは、次のとおりです。 

    • MVVを行動レベルまで具体化する
    • 経営判断とMVVを一致させる
    • 人事評価やマネジメントへ反映する
    • 自社独自の価値観を反映する
    • 組織や事業に合わせて見直す 

    それぞれを解説します。 

    MVVを行動レベルまで具体化する 

    MVVを定着させるためには、理念を抽象的な言葉だけで終わらせないことが重要です。

    例えば、「挑戦する」といった表現だけでは、人によって解釈が異なる場合があります。そのため、「どのような行動を取ることがMVVに沿っているのか」を具体的に整理する必要があります。 

    特にValueは、日々の業務で迷った際の判断基準として使えるレベルまで落とし込むことで、実際の行動へ結び付きやすくなります。 

    経営判断とMVVを一致させる 

    MVVを掲げていても、実際の経営判断や組織運営と矛盾している場合、社員からの信頼を失いやすくなります。例えば、「挑戦を重視する」と掲げながら失敗を許容しない環境になっている場合、社員はMVVを建前だと感じやすくなります。 

    そのため、経営層の言動やマネジメント方針、人事制度などをMVVと一致させることが重要です。理念と現実にズレがある状態を放置すると、MVVは形骸化しやすくなります。 

    人事評価やマネジメントへ反映する 

    MVVを定着させるためには、日常的な評価やマネジメントへ組み込むことも重要です。 

    理念を掲げていても、実際の評価基準が売上や成果だけに偏っている場合、社員はMVVを優先できません。そのため、MVVに沿った行動ができているかを評価項目へ反映することで、組織として重視している価値観を示すことが大切です。 

    また、1on1ミーティングなどを活用し、MVVに沿った行動についてフィードバックを行うことで、理念を実際の業務へ結び付けられます。 

    自社独自の価値観を反映する 

    MVVを根付かせるには、他社でも使えるような一般的な表現だけで構成しないことも重要です。そのため、創業背景や企業文化、事業への想いなどを反映し、自社らしい言葉へ落とし込むことが重要です。 

    独自性のあるMVVほど、社員も共感しやすくなります。 

    組織や事業に合わせて見直す 

    MVVは、一度策定すれば終わりではありません。組織規模の拡大や事業内容の変化、市場環境の変化などによって、現在のMVVが実態と合わなくなる場合があります。 

    そのため、定期的に現在の組織や事業内容に合った内容になっているかを確認し、必要に応じて見直すことが重要です。現状とのズレを放置しないことで、MVVが形だけの存在になることを防げます。 

    MVVが「意味がない」と言われる理由 

    MVVが「意味がない」と言われる理由は、次のとおりです。 

    • 判断基準として機能していない
    • 現場との温度差が生まれやすい
    • きれいごとに見えてしまう 

    それぞれを解説します。 

    判断基準として機能していない 

    MVVを掲げていても、実際の意思決定で活用されていなければ、「意味がない」と感じられやすいです。 例えば、業務で判断に迷った際にMVVを基準として考えるのではなく、最終的に「上司の考え」や「短期的な利益」が優先されている状態では、社員は理念を実態のないものとして受け取りやすくなります。 

    また、会議や経営判断の場面でMVVがほとんど使われていない場合、「掲げているだけの存在」という印象を持たれます。その結果、策定したMVVが形骸化してしまうケースが多いです。 

    現場との温度差が生まれやすい 

    MVVを掲げても、現場の状況とかけ離れている場合、社員にとっては現実味のない言葉として受け取られやすくなります。特に、創業直後や経営状況が厳しい時期などは、目の前の売上や業務対応が最優先になりやすく、将来の理想像を語っても現場へ響きにくい傾向があります。 

    また、日々の業務負担が大きい状態で理念ばかり強調されると、「理想論を言っているだけ」と感じられてしまうケースもあります。そのため、組織のフェーズや現場状況を考慮せずにMVVを運用すると、経営層と現場の間に温度差が生まれてしまいます。 

    きれいごとに見えてしまう 

    MVVが抽象的な言葉だけで構成されている場合、きれいごとを言っているだけだと感じられることがあります。言葉が整いすぎていると、「本音ではなく、外向けに作られたメッセージ」という印象を持たれてしまうことも多いです。 

    社員が共感しにくいMVVは、行動基準としても機能しにくく、結果として「結局何を大切にしたい会社なのか分からない」と受け取られてしまい、意味がないと言われる原因になります。 

    MVVが合わない企業の特徴 

    MVVは、全ての企業に必ず必要というわけではありません。組織の構造や経営方針によっては、MVVを導入しても十分に機能しなかったり、かえって現場を混乱させたりするケースもあります。 

    トップダウン型の組織 

    経営者の判断が絶対であり、社員には指示通りの実行を求める組織では、MVVが機能しにくいことが多いです。MVVは、本来社員一人一人が判断基準として活用し、自律的に行動するための考え方です。しかし、全ての意思決定を経営者が行う環境では、社員が理念を基準に考える場面が少なくなります。 

    その状態で「主体的に行動しよう」などとMVVを掲げても、実際には上司の指示が優先されるため、現場が混乱してしまいます。 

    短期利益を最優先する企業 

    短期的な利益確保のみを重視する企業では、MVVが形だけになる傾向があります。 特に、事業の目的が社会的価値の提供ではなく、短期間で利益を上げることに偏っている場合、高い理念を掲げても実際の経営方針とのズレが生まれてしまいます。 

    その結果、掲げている内容と現実が一致していないと受け取られ、社員から理念への共感を得にくくなるケースが多いです。 

    現状維持を重視する組織 

    定型業務を正確に進めることが重視される組織では、MVVが必要とされない傾向があります。 例えば、厳格なルールやマニュアルに沿って業務を進めることが最優先される環境では、社員の自律的な判断や新しい挑戦が求められる場面は多くありません。 

    また、大きな変化やイノベーションを前提としていない組織では、将来像を示すVisionが実務へ結び付きにくい場合もあります。このような組織では、MVVを整備するよりも業務ルールや運用フローを明確化する方が、実務上の効果につながりやすいケースが多いです。 

    MVVの成功事例 

    MVVの成功事例を紹介します。 有名企業の多くがミッション・ビジョン・バリューを掲げています。代表的な企業のMVVを見ていきましょう。

    トヨタ自動車 

    トヨタ自動車は、「人々の移動を通じて社会を豊かにする」という考え方を軸に、MVVを長期的な事業戦略へ落とし込んでいる点が特徴です。 

    • Mission:幸せを量産する
    • Vision:可動性(モビリティ)を社会の可能性に変える
    • Values:「トヨタウェイ」 

    単なる自動車メーカーとしてではなく、移動を通じて社会を豊かにする存在として企業の役割を定義しています。また、モビリティサービスや未来都市構想など、新たな領域へ事業を拡大する中でも理念が一貫しており、MVVが長期戦略の軸として機能しています。 

    参考:トヨタ自動車株式会社|トヨタフィロソフィー

    ソニー 

    ソニーは、「技術」そのものではなく、「感動」を理念の中心に据えている点が特徴です。 

    • Mission:テクノロジーの力で未来のエンタテインメントをクリエイターと共創する
    • Vision:世界の人に感動を提供し続ける 

    ゲーム・音楽・映画など、多様な事業を展開していますが、感動を届けるという考え方でブランド全体が統一されています。幅広い事業を持ちながらも、企業としての方向性がブレにくい点は、MVVが機能している企業の特徴といえるでしょう。 

    参考:ソニー株式会社|ミッション/ビジョン

    サントリーホールディングス 

    サントリーは、「やってみなはれ」という短い言葉に企業文化が凝縮されている点が特徴です。 

    • Mission:人と自然と響きあい、豊かな生活文化を創造し、「人間の生命いのちの輝き」をめざす
    • Values:「Growing for Good」「やってみなはれ」「利益三分主義」 

     挑戦を重視する考え方がシンプルに表現されており、社員も日常業務の中で意識しやすくなっています。MVVは、難しい表現を使うよりも、覚えやすく行動へ結び付きやすいことが重要だと分かる事例です。 

    参考:サントリーホールディングス|グループ企業理念

    ソフトバンクグループ 

    ソフトバンクグループは、Valuesが具体的で、実際の行動レベルまで落とし込まれている点が特徴です。 

    • Mission:情報革命で人々を幸せに
    • Vision:「世界に最も必要とされる会社」を目指して
    • Values:「No.1」「挑戦」「逆算」「スピード」「執念」 

     特に、「スピード」や「挑戦」といった価値観は、経営判断や企業文化そのものへ強く反映されています。抽象的な理念だけではなく、どのように行動するかまで明確化されている点が、MVV浸透のポイントといえるでしょう。 

    参考:ソフトバンク|経営理念・ビジョン

    メルカリ 

    メルカリは、Valuesが採用や人事評価など、組織運営へ深く組み込まれていることで知られています。 

    • Mission:あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる
    • Values:「Go Bold」「All for One」「Be a Pro」 

    理念を単に掲げるだけではなく、日常的なコミュニケーションや制度へ反映することで、社員が実際の行動へ落とし込みやすい環境を作っています。MVVを文化として定着させている代表的な事例といえるでしょう。 

    参考:株式会社メルカリ|私たちについて

    楽天グループ 

    楽天グループは、「エンパワーメント」という考え方をグループ全体の軸としている点が特徴です。 

    • Mission:イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする
    • Vision:グローバル イノベーション カンパニー 

    EC・金融・通信・スポーツなど、多様な事業を展開していますが、人や社会の可能性を広げるという理念が共通しています。 事業領域が広がっても方向性がぶれにくく、グループ全体で統一感を持ったブランド形成につながっている点が特徴です。 

    参考:楽天グループ|企業理念

    MVVは、多角化した企業でも組織や事業を一つの方向へまとめる役割を果たしていることが分かる事例です。 

    MVVに関するQ&A 

    最後に、MVVに関するよくある質問とその回答を紹介します。 

    MVVの策定で生成AIは活用できるか 

    生成AI(人工知能)は、MVVの言葉を整理したり、表現をブラッシュアップしたりする際に活用できます。ただし、最初からAIにMVVを作らせると、他社と似たような抽象的な表現になりやすいため注意が必要です。

    特に、どこかで見たような綺麗な言葉だけが並び、自社らしさや熱量が薄れてしまうケースも少なくありません。そのため、まずは経営陣や社員同士で話し合い、想いや価値観を整理することが重要です。 

    そのうえで生成AIを活用すると、MVVを分かりやすく整理しやすくなります。例えば、「この想いを短く覚えやすい言葉へ要約してほしい」「熱量が伝わる表現へ言い換えてほしい」といった使い方が有効です。 

    BtoB企業でもMVVは効果があるか 

    BtoB企業など一般消費者から見えにくい業界でも、MVVは非常に効果があります。特に、知名度や給与面で大手企業と競争しにくい企業ほど、MVVが企業の魅力を伝える武器になりやすいです。

    BtoB企業や地方企業の場合、事業内容が求職者へ伝わりにくく、「何をしている会社なのか」がイメージされにくいケースがあります。そのため、仕事内容だけを説明しても企業の魅力が十分に伝わらないことがあります。 

    そこでMVVを活用し、「なぜこの事業を行っているのか」「社会へどのような価値を提供しているのか」を明確に発信することで、企業の存在意義や働く魅力を伝えられます。 

    MVVの策定メンバーはどう決めるべきか 

    MVVを策定する際は、経営陣だけではなく、現場メンバーも含めた混成チームで進めることが重要です。一般的には、経営層に加えて、各部門のリーダー層や次世代を担うメンバーを含めた5〜8名程度のチーム構成が適しているでしょう。 

    経営陣だけでMVVを決めてしまうと、現場から「上層部が決めた理念」と受け取られやすく、浸透しにくくなる場合があります。一方で、現場メンバーだけで作成すると、経営戦略や事業の方向性とズレが生じる可能性もあります。

    そのため、経営視点と現場視点の両方を取り入れながら議論することが重要です。また、社歴の長いベテラン社員だけではなく、若手社員や中途入社メンバーを加えることで、「これからの時代に必要な価値観は何か」といった客観的な視点も取り入れやすいです。

    このように、多様な立場のメンバーを巻き込みながら策定することで、現場にも受け入れられやすく、実際に機能するMVVを作れます。 

    MVVの策定にかかる期間はどのくらいか 

    MVVの策定にかかる期間や費用は企業規模によって異なりますが、中小〜中堅企業の場合は、策定から社内共有まで半年〜1年程度かかるケースが一般的です。ただし、MVVは「作って終わり」ではありません。本当に重要なのは、その後の浸透フェーズです。 

    そのため、MVV関連の予算は、一時的な制作費として考えるのではなく、中長期的な組織づくりや組織開発への投資として考えることが重要です。 

    MVVの変更は、歴史や想いの否定になるか 

    MVVを見直すことは、必ずしも企業の歴史や創業者の想いを否定することにはなりません。多くの場合、時代とともに変化するのは、事業環境や使われる言葉、社会から求められる役割です。一方で、「社会をより良くしたい」といった根本的な考え方は、長く受け継がれるケースは少なくありません。 

    そのため、MVVを変更する際には、創業時から大切にしてきた価値観を残しながら、現在の事業や社会に合った表現へ整理し直すことが重要です。 

    MVVが浸透率は数値化できるか 

    MVVの浸透度は、社員アンケートなどである程度数値化できます。 

    特に、「認知」「理解」「行動」の三つに分けて確認すると、MVVがどの段階まで定着しているかを把握できます。例えば、「会社のMVVを説明できるか」といった認知度、「自分の業務とMVVの関係を説明できるか」といった理解度、「周囲でMVVに沿った行動を見かけたか」といった行動面を、5段階評価で定期的に確認する方法があります。 

    毎月の簡易アンケートとして継続的に実施することで、部署ごとの差や浸透度の変化も把握可能です。特定の部署だけスコアが低い場合は、マネジメントやコミュニケーション方法に課題がある可能性も考えられるため、改善施策につなげやすくなるでしょう。 

    MVVに合わない社員は解雇対象になるか 

    MVVへの共感だけを理由に、解雇することは適切ではありません。 

    例えば、周囲へのハラスメントや組織の価値観を著しく損なう行動など、Valueに反する行動が継続している場合には、「どの部分が会社の価値観とズレているのか」を具体的に説明しながら、改善へ向けたフィードバックを行うケースはあります。 

    そのうえで、改善機会を設けても価値観や行動のズレが大きい状態が続く場合には、「お互いに合う環境を考える」という形で、配置転換や退職について話し合うことが望ましいでしょう。つまり、MVVは解雇のための道具ではなく、組織として大切にする価値観を共有し、対話を進めるための基準として活用されるものと考えることが重要です。 

    MVVが浸透しすぎるデメリットは何か 

    MVVの浸透が進みすぎると、組織内の価値観が同質化し、多様性が失われるリスクがあります。 本来、MVVは組織の方向性をそろえるために重要な考え方ですが、全員が同じ価値観や考え方を強く求められる状態になると、「会社の価値観に合わない意見」が出しにくくなる場合があります。 

    特に、既存の価値観と異なる視点を持つ人材や新しい発想をする人が受け入れられにくくなると組織全体が内向きになり、変化への対応力が低下する可能性があります。また、Valueの解釈が固定化されすぎると、「こう考えるべき」という空気が強まり、同調圧力につながるケースもあります。 

    そのため、MVVを運用する際には、価値観を統一するだけではなく、「異なる意見を歓迎する」といった柔軟性を持たせることも重要です。 

    個人のMVVとは何か 

    個人のMVV(パーソナルMVV)とは、企業が掲げるMVV(Mission・Vision・Value)の考え方を、個人の人生やキャリアへ当てはめたフレームワークです。「自分は何のために行動するのか」「どのような人生を目指したいのか」「何を大切にして判断するのか」を整理し、自分自身の軸を明確にする目的で活用されます。 

    近年は、働き方やキャリアの選択肢が多様化し、一つの会社に依存し続ける働き方が当たり前ではなくなっています。そのため、「どの会社へ行くか」だけではなく、「自分は何を大切にしたいのか」を明確にする重要性が高まっています。 

    個人のMVVは、変化の激しい時代の中でも迷いにくくするための羅針盤として活用されています。

    まとめ 

    MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)が企業にとってどれほど重要であるかを理解していただけたでしょうか。企業の方向性や価値観を明確にするMVVは、社員のモチベーションを高め、ブランドを強化するための重要な要素です。しかし、ただ策定するだけではなく、社員に浸透させ、日々の業務に活かすことが必要です。

    大手企業のMVVも参考にしながら、貴社の企業文化や目指すべき方向性に適したMVVを策定することが、企業全体の一体感を生み出し、さらなる成長を促す鍵となるでしょう。

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