暦年贈与とは?税制改正と7年ルール、相続税対策と生前贈与の注意点

着手金・中間金無料 完全成功報酬型

暦年贈与とは、1年間に受けた贈与額の合計が基礎控除額の範囲内であれば贈与税がかからない仕組みを活用し、毎年財産を移転していく生前贈与の方法です。暦年贈与に関係する税制改正が注目されていますが、特に、贈与税の基礎控除や生前贈与加算の期間延長といった変更点は、今後の相続対策に大きな影響を与える可能性があります。

本記事では、暦年贈与の仕組みから、税改正後のポイントや注意点、さらにどのようなケースで暦年贈与が適しているかを詳しく解説します。暦年贈与および生前贈与に関する疑問を解消し、最適な相続対策をする一助にしてください。

暦年贈与とは

暦年贈与(読み方:れきねんぞうよ)とは、1年間(1月1日~12月31日)に贈与された財産の合計額に対して贈与税が課される制度です。年間110万円の「基礎控除」が設けられており、この金額までは贈与税がかからない点が特徴です。

暦年贈与は日本の税制において、相続税対策の一環として広く用いられている方法の一つであり、贈与を通じて生前に資産を計画的に移転することが可能です。制度上は「暦年課税」に基づく贈与ですが、実務上はこれを暦年贈与と呼ぶのが一般的です。1年ごとに区切って考える点が特徴で、長期的な資産移転との相性が良い制度といえます。

暦年贈与の仕組み|贈与税と年間110万円の基礎控除

贈与税は、贈与された財産の金額から基礎控除額を差し引いた残りの金額に対して課税されます。つまり、年間110万円までは非課税となり、贈与税の負担を軽減することが可能です。

例えば、1年間で合計150万円の贈与を受けた場合、110万円の基礎控除を差し引いた40万円に対して贈与税がかかることになります。暦年贈与では、複数回に分けて贈与が行われた場合でも、同じ暦年内であれば合計金額が課税の対象となります。

この110万円の控除は、受贈者ごとに適用される点がポイントです。例えば、子と孫にそれぞれ贈与する場合は、各人について110万円以内かどうかを個別に確認します。複数人への贈与を前提にすると、家族全体で移転できる金額の設計がしやすくなります。

贈与税の税率

贈与税の計算は国税庁の定める税率表に基づいて行われます。贈与税は、贈与者と受贈者の関係によって「特例税率」と「一般税率」があり、それぞれ税率が異なります。

特例税率は直系尊属(父母や祖父母)から 18歳以上の子・孫への贈与時に適用され、一般税率はそれ以外の夫婦間、兄弟間、親から未成年の子への贈与などに適用されます。

特例税率税率は一般税率よりも低い優遇税率です。累進課税方式を採用しており、贈与額が大きくなるほど段階的に高くなり、10%から55%まで設定されています。

【特例税率の速算表】

基礎控除後の課税価格税率控除額
200万円以下10%0円
400万円以下15%10万円
600万円以下20%30万円
1,000万円以下30%90万円
1,500万円以下40%190万円
3,000万円以下45%265万円
4,500万円以下50%415万円
4,500万円超55%640万円
 (出所:国税庁「贈与税の計算と税率(暦年課税)」)

暦年贈与が相続対策で使われる理由

暦年贈与が相続対策で広く用いられている理由は、贈与税の基礎控除を活用しながら、計画的に資産を移転できる点にあります。具体的なメリットとしては以下の点が挙げられます。

  • 年間110万円までの贈与は非課税であるため、贈与税の負担なく資産を移転できる。
  • 長期間にわたって繰り返し贈与することで、相続時の財産評価額を減少させることができる。
  • 一度に多額の資産を移す場合に比べて、贈与税の税率が高くなるリスクを抑えられる。
  • 贈与を受ける側も毎年一定の資産を受け取るため、資産の分散や活用計画が立てやすい。
  • 遺言や相続手続きとは別に、生前に資産移転が可能であり、相続争いのリスク軽減になる場合もある。

これらの理由から、暦年贈与は相続開始まで時間がある場合や、長期的に資産を分散して移したい場合に特に有効な方法とされています。ただし、贈与の際には基礎控除の範囲内で行うことが重要であり、超過すると贈与税が課されるため注意が必要です。また、贈与の計画を立てる際には、将来の相続税の税率や資産の種類、受贈者の状況なども踏まえて慎重に判断するようにします。

    必須
    必須
    必須
    必須

    個人情報につきましては、当社の個人情報保護方針に基づき適切に管理いたします。詳しくは「個人情報の保護について」をご確認ください。

    img

    THANK YOU

    お問い合わせが
    完了しました

    ご記入いただきました情報は
    送信されました。
    担当者よりご返信いたしますので、
    お待ちください。

    ※お問い合わせ後、
    2営業日以内に返信がない場合は
    恐れ入りますが
    再度お問い合わせいただきますよう、
    よろしくお願い致します。

    お急ぎの場合は
    代表電話までご連絡ください。

    phone
    03-6269-3040
    受付:平日 9:00~18:00
    img
    img

    暦年贈与に関する税制改正ポイント

    2023年度税制改正では、生前贈与の扱いが見直され、暦年贈与を活用した相続税対策にも影響が生じています。もっとも、暦年贈与そのものが廃止されたわけではありません。ここでは、まず制度改正の中身を整理したうえで、改正後にどのように相続税対策を考えるべきかを確認します。

    生前贈与加算と期間延長(3年→7年)

    税制改正で特に押さえておきたいのが、生前贈与加算の対象期間が3年から7年へ延長された点です。 これにより、従来のように「毎年110万円以内で贈与していれば相続税対策として有効」と単純に考えることは難しくなりました。

    生前贈与加算とは、被相続人が亡くなる前の一定期間内に行った贈与について、相続税の計算上、相続財産に持ち戻して課税対象に含める仕組みです。 暦年贈与では、年間110万円の基礎控除を活用しながら少しずつ財産を移転できますが、相続開始直前の贈与まで完全に相続税の対象外になるわけではありません。この点を調整するのが生前贈与加算です。

    従来は、相続開始前3年以内に行われた一定の贈与が加算対象とされていました。しかし、2023年度税制改正により、この対象期間は3年から7年へ延長されました。いわゆる「7年ルール」と呼ばれる改正です。

    この改正によって、相続開始が近い時期に行う暦年贈与は、以前よりも相続税対策としての効果が限定されやすくなりました。例えば、亡くなる直前数年の間に贈与した財産については、贈与税がかからなかったとしても、相続税の計算上は相続財産に加算される可能性があります。贈与税の非課税と、相続税の課税関係は別の論点として整理する必要があります。

    [参照]国税庁「令和5年度:相続税及び贈与税の税制改正のあらまし」

    改正後の相続税対策

    税制改正後、相続税対策では、暦年贈与を引き続き活用するにしても、従来以上に開始時期と継続期間が重要になります。相続開始まで時間がある場合には、7年加算の影響を相対的に受けにくく、長期的な資産移転の手段として一定の有効性を保ちます。一方で、相続開始が近いと見込まれる場合は、贈与した財産が相続税の計算上持ち戻される可能性が高く、以前ほどの節税効果を期待しにくくなります。

    このため、改正後は誰に・いつから・どの程度の資産を移転するのかを全体設計の中で考えることが重要です。特に、子だけでなく孫を含めた複数人に分散して贈与したい場合や、長期にわたり段階的に資産承継を進めたい場合には、暦年贈与は引き続き有力な選択肢となり得ます。

    また、改正後は暦年贈与だけでなく、相続時精算課税制度との比較検討も欠かせません。短期間でまとまった資産を移転したい場合や、値上がりが見込まれる資産を早期に移したい場合には、相続時精算課税の方が適しているケースもあります。逆に、毎年の基礎控除を活用しながら少しずつ移転したい場合には、暦年贈与の方が適することもあります。制度ごとに適した場面が異なるため、改正後は選択肢をより慎重に見極める必要があります。

    加えて、相続税対策として暦年贈与を行う場合には、贈与の事実を適切に残すことも引き続き重要です。たとえ制度上有効なタイミングで贈与を行っていても、記録が不十分であれば、名義預金や形式的な贈与とみなされるリスクがあります。改正後は制度の有利不利だけに注目するのではなく、実際の贈与が税務上きちんと認められる形になっているかまで含めて対策を考える必要があります。

    今回の税制改正によって、暦年贈与は短期型の対策から中長期型の対策へと位置づけがより明確になった制度といえます。改正内容を正しく理解したうえで、自身の状況に合った方法を選ぶことが重要です。

    暦年贈与が適しているケース

    暦年贈与は、年間110万円の基礎控除を活用しながら長期的に資産を分散して移転できる方法として、多くの相続対策に適しています。ここでは、暦年贈与が特に適している以下のケースを紹介します。

    • 相続開始まで時間がある場合
    • 長期的に資産を移転したい場合
    • 孫など法定相続人以外に贈与したい場合
    • 複数の相手に均等に贈与したい場合

    相続開始まで時間がある場合

    暦年贈与は、相続開始まで時間がある場合に特に活用しやすい方法です。相続までの期間が十分にあれば、税制改正で導入された7年加算の影響を受けにくく、贈与した財産が相続税の計算に持ち戻されるリスクを抑えやすくなります。 そのため、相続対策として暦年贈与を検討するなら、できるだけ早期着手することが重要です。

    また、時間をかけて長期的な贈与を行える場合は、毎年の基礎控除を積み重ねながら、相続財産の総額を少しずつ減らしていくことができます。結果として、将来の相続財産の圧縮につながりやすく、資産承継の選択肢も広がります。 暦年贈与は、相続が近づいてから慌てて行うよりも、余裕を持って始めることで効果を発揮しやすい制度です。

    長期的に資産を移転したい場合

     暦年贈与は、長期的に資産を移転したい場合に適した方法です。毎年の基礎控除を活用しながら、少しずつ財産を渡していくことで、相続時点での財産総額を徐々に抑えやすくなります。 一度にまとまった金額を移すのではなく、時間をかけて計画的に進められる点が、暦年贈与の大きな特徴です。

    また、暦年贈与は単に相続税の軽減を狙うだけでなく、家族への資金移転を段階的に進めたい場面とも相性がよい制度です。たとえば、子や孫の生活資金、教育資金、将来の資産承継を見据えて、無理のない範囲で少しずつ移していくといった使い方が考えられます。 このように、長期的な視点で資産を承継したい場合には、暦年贈与は有力な選択肢の一つになります。

    孫など法定相続人以外に贈与したい場合

    暦年贈与は、孫など法定相続人以外に贈与したい場合にも活用しやすい制度です。

    法定相続人以外に贈与する際のポイントは次のとおりです。

    • 年間110万円の基礎控除は孫にも適用され、非課税での贈与が可能。
    • 生前贈与加算の7年ルールにより、相続開始7年以内の贈与は相続税の対象になる。
    • 贈与契約書や振込記録など、贈与の実態を証明する手続きを確実に行う。
    • 複数の孫に分散して贈与することで、総額の非課税枠を活用できる。
    • 相続税対策としては、長期的な計画と記録管理が重要。

    贈与税の基礎控除額である非課税枠は、孫など法定相続人以外の受贈者にも適用されます。つまり、孫に対しても年間110万円以内の贈与であれば贈与税はかかりません。この点は暦年贈与の大きなメリットであり、複数人の孫に分けて贈与すれば、総額として大きな非課税移転が可能になります。ただし、贈与した財産が被相続人の死亡前7年以内のものであった場合、生前贈与加算の対象となり相続税の計算に含まれるリスクがあります。これは孫であっても同様であり、相続税の節税効果を最大限にするためには、7年以上前から計画的に贈与を開始することが望ましいです。

    また、贈与の方法としては、贈与契約書の作成や贈与を証明するための振込記録の保存など、手続きを適切に行うことが重要です。形式的な贈与や名義預金とみなされると、税務署から贈与の否認を受ける可能性があるため、実態のある贈与であることを示す証拠を残しましょう。

    法定相続人以外への贈与は相続税対策として有効ですが、税制改正に伴う生前贈与加算の期間延長を踏まえて計画的に行うことが重要です。

    複数の相手に均等に贈与したい場合

    暦年贈与は、複数の相手に資産を移したい場合にも有効です。贈与先を一人に集中させるのではなく、子や孫など複数の受贈者に均等に贈与することで、資産移転を分散贈与しやすくなります。 この方法であれば、将来の相続を見据えながらの財産分与が可能です。

    また、暦年贈与では受贈者ごとに年間110万円の基礎控除を使えるため、家族全体で見た場合に移転できる額が大きくなるケースがあります。例えば子や孫それぞれに少額ずつ贈与すれば、個別には非課税の範囲内でも、全体としては相応の資産を移転できます。 将来の相続時に財産の偏りを避けたい場合や、一定のバランスで配分したい場合には有効な方法です。

     また、孫への贈与は、単なる相続対策にとどまらず、教育資金や生活支援の一環として行われることもありますが、進学や生活の節目に合わせて段階的に資金を移すことで、家族内で必要な支援を行いやすくなります。 一方で、贈与の目的や金額によっては、税務上の扱いが変わる場合があり、教育資金に関する他制度が適しているケースもあるため、制度の違いや使い分けを確認したうえで検討するようにします。

    暦年贈与と相続時精算課税

    暦年贈与と相続時精算課税は、どちらも生前に資産を贈与する際に利用される制度ですが、それぞれ特徴や適用条件が異なります。

    ここでは、相続時精算課税制度と暦年贈与との違いをふまえたうえで、どのようなケースでどちらの制度が有力か、両制度の併用が可能かどうかについて解説します。

    相続時精算課税制度とは

    相続時精算課税制度とは、60歳以上の父母・祖父母から、18歳以上の子・孫へ生前贈与する際に選択できる制度です。贈与時には年間110万円の基礎控除と累計2,500万円の特別控除を活用でき、超えた部分には一律20%の贈与税がかかります。 贈与した人が亡くなった際に(相続時)、それまでの贈与財産と相続財産を合算して、相続税でまとめて精算する仕組みです。

    以下の表に、暦年贈与と相続時精算課税の違いをまとめます。

    【暦年贈与と相続時精算課税制度の比較】

    項目暦年贈与相続時精算課税
    非課税枠年間110万円(受贈者ごと)一括2,500万円まで(累計・受贈者ごと)
    課税タイミング贈与時に課税(基礎控除内は非課税)贈与時に申告が必要だが納税は相続時まで猶予
    申告義務110万円超で翌年申告必要初年度に届出書を提出。以降は110万円超の贈与時と相続時に申告
    加算期間7年ルール適用死亡時に一括精算(加算期間の概念なし)
    適用対象者誰でも利用可能60歳以上の親から18歳以上の子・孫

    暦年贈与・相続時精算課税に適するケース

    相続時精算課税と暦年贈与はどちらも生前贈与の制度ですが、それぞれに適したケースが異なります。

    • 暦年贈与に適するケース: 長期間にわたり毎年少額ずつ資産を分散して移転したい場合や、複数の受贈者に均等に贈与したいケース
    • 相続時精算課税に適するケース:短期間でまとまった資産を移転したい場合や、贈与税の納税を相続時まで繰り延べたいケース

    それぞれの特徴と有力なケース、注意点を以下の表にまとめます。

    制度特徴適するケース注意点
    相続時精算課税・60歳以上の親から18歳以上の子や孫への贈与
    ・2,500万円までの一括非課税枠がある
    ・初年度に届出が必要で、年間110万円超の贈与時に申告、相続時に精算
    ・加算期間の制限なし
    ・短期間でまとまった資産移転を希望する場合
    ・贈与税の納税を相続時に繰り延べたい場合
    ・相続時の資産評価が高くなると予想される場合
    ・同じ贈与者・受贈者では原則暦年贈与の併用はできない。(年間110万円の非課税枠はあり)
    ・申告漏れや手続きミスのリスクがある
    暦年贈与・年間110万円の基礎控除を活用し毎年分散贈与可能
    ・誰でも利用できる
    ・贈与時に課税(基礎控除内は非課税)
    ・生前贈与加算の7年ルール適用
    ・長期的に資産を分散移転したい場合
    ・複数の相手に均等に贈与したい場合
    ・相続開始まで時間があり計画的に贈与できる場合
    ・加算期間内の贈与は相続税に持ち戻されるリスクがある
    ・短期での大口贈与には不向き

    両制度の選択は、資産の規模や相続開始までの期間、贈与の目的によって大きく異なります。
    相続時精算課税は、一度に大きな資産を贈与し、相続税納付を遅らせたい場合に有効です。一方で、暦年贈与は長期的に少額ずつ贈与し、贈与税の基礎控除を活用しながら計画的に資産を移転したい場合に適しています。

    暦年贈与と相続時精算課税の併用はできるか

    同じ贈与者から同じ受贈者への贈与においては、暦年贈与と相続時精算課税は原則として併用できません。一度、相続時精算課税を選択すると、その贈与者からの贈与は暦年贈与の対象外となります。

    ただし、以下のような条件では、併用が可能です。

    • 贈与者が異なる場合 贈与者が違えば、同じ受贈者であっても、それぞれ別の制度を選べます。例えば、父からの贈与には相続時精算課税制度を使い、母からの贈与には暦年贈与を使う場合です。
    • 受贈者が異なる場合 同じ贈与者から、異なる受贈者であれば、それぞれ別の制度を選べます。例えば、父から長男への贈与には相続時精算課税制度、次男には暦年贈与といった使い分けができます。
    • 特定の非課税特例との併用
      住宅取得等資金の贈与の非課税や、結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度は、暦年課税・相続時精算課税のどちらとも併用できます。

    また、2024年の税制改正により相続時精算課税制度自体に年間110万円の基礎控除が新設されました。これにより小規模な贈与に対する選択肢が増えました。

    暦年贈与と相続時精算課税の使い分けは、適切な制度選択と手続きの管理を行うことで効果的な相続対策の一つとなります。専門家と相談しながら計画を進めることをおすすめします。

    [参照]国税庁「相続時精算課税の選択」

    暦年贈与を検討する際の注意点

    暦年贈与を行う際には、税務上のリスクや手続きの注意点を十分に理解し、計画的に実施することが重要です。

    以下の注意点を押さえることで、贈与税の申告漏れや税務署からの指摘を避け、安心して資産移転を進められます。

    • 贈与の事実を証明する記録の保存
      贈与契約書の作成や、贈与金の振込記録、通帳のコピーなど、贈与の実態を示す証拠をしっかりと保管しましょう。これにより、税務署の調査時に贈与の正当性を説明しやすくなります。
    • 名義預金とみなされるリスクの回避
      贈与の実態が不明確な場合、税務署は名義預金と判断し、贈与を否認することがあります。贈与金は受贈者の口座に確実に振り込み、家族間での金銭のやり取りも明確にしておくことが必要です。
    • 贈与税の申告期限の遵守
      年間110万円を超える贈与があった場合は、翌年の2月1日から3月15日までに贈与税の申告を行う必要があります。期限を過ぎると延滞税や加算税が発生するため、注意が必要です。
    • 生前贈与加算の期間に注意
      2023年の税制改正により、相続開始前7年以内の贈与は相続税の計算に加算されるため、短期間での贈与集中は節税効果が薄れる可能性があります。長期的な計画を立てて贈与を進めることが望ましいです。
    • 税務署の調査リスクの認識
      贈与の内容や金額が大きい場合、税務署から調査を受けることがあります。適切な書類の準備と記録の整備で、調査に備えることが重要です。
    • 計画的な暦年贈与の実施
      暦年贈与は年ごとの基礎控除を活用するため、毎年の贈与額や贈与先を計画的に決め、無理のない範囲で継続的に行うことが成功の鍵です。

    以下で、特に大切なポイントについて詳しく解説します。

    誰に・いつから・いくら贈与するかを事前に設計する

    暦年贈与を効果的に活用するためには、「誰に贈与するか」「いつから贈与を始めるか」「いくら贈与するか」を事前に計画的に設計することが不可欠です。特に、2023年の税制改正での生前贈与加算の期間「7年ルール」の影響を考慮し、長期的な視点で資産移転を進める必要があります。

    以下の表に、暦年贈与のタイミングと設計のポイントをまとめます。

    設計要素ポイント注意点
    贈与対象者法定相続人を中心に、均等に分散して贈与するのが効果的。法定相続人以外も対象となるが、生前贈与加算の期間に注意贈与契約書や振込記録など、贈与の実態を証明できる手続きが必要
    贈与開始時期できるだけ早期に開始し、相続開始までの期間を長くとることで7年ルールの影響を緩和相続開始が近いと生前贈与加算の対象となりやすい
    贈与金額年間110万円の基礎控除枠を活用し、無理のない範囲で毎年継続的に贈与する短期間での大きな贈与は7年ルールのリスクを高める
    長期的な設計7年以上の期間を見据え、贈与を段階的に進めることで相続税対策の効果を最大化計画的な記録管理と税務申告の遵守が必要

    これらを踏まえ、暦年贈与の実施にあたっては専門家のアドバイスを受けながら、贈与対象者の選定、開始時期の設定、年間贈与額の決定を慎重に進めることが重要です。

    相続開始時期の見通しを踏まえて贈与方針を検討する

    暦年贈与を効果的に活用するためには、相続開始時期の見通しを踏まえた贈与方針の検討が欠かせません。相続開始までの期間を考慮し、暦年贈与の計画を立てる際には以下の点に重視します。

    • 相続開始まで7年以上ある場合
      この場合は「7年ルール」の影響を受けにくいため、年間110万円の基礎控除を活用した長期的な分散贈与が有効です。計画的に毎年贈与を続けることで、相続財産の圧縮効果を最大化できます。
    • 相続開始が7年以内に予想される場合
      相続開始が近いと、直近7年以内の贈与は相続税の計算に持ち戻されるため、短期間で多額の贈与は節税効果が限定的になります。この場合は贈与のタイミングや金額を慎重に見極め、他の相続税対策との併用を検討することが重要です。
    • 相続開始時期が不確定な場合
      この場合はリスク分散の観点から、極端な集中贈与を避け、年間基礎控除内で継続的に贈与を行う方法が望ましいです。長期的な計画を立て、状況の変化に応じて柔軟に対応できる体制を整えましょう。

    贈与の事実を証明できる記録を適切に残す

    暦年贈与を行う際、贈与の事実を税務署に対して明確に証明できる記録を適切に残すことが大切です。適切な記録がないと、贈与が形式的なものや名義預金とみなされ、税務上の否認リスクが高まります。

    贈与の実態を証明するために推奨される具体的な記録方法と保存のポイントを以下にまとめます。

    • 贈与契約書の作成:贈与の内容、金額、贈与者と受贈者の情報、贈与日などを明確に記載した契約書を作成し、双方で署名押印を行います。これにより、贈与の合意が正式に成立したことを証明できます。
    • 振込記録の保存:贈与金が現金ではなく銀行振込で行われた場合、振込明細や通帳のコピーを保存しましょう。受贈者の口座に確実に資金が移動していることが証明でき、名義預金と疑われるリスクを減らせます。
    • 通帳や入出金記録の管理:受贈者の通帳やオンラインバンキングの入出金明細も保管し、贈与金の使途や管理状況を把握できるようにしておくと安心です。
    • 贈与の履歴の整理:暦年贈与は毎年の贈与記録が重要となるため、年度ごとに贈与契約書や振込記録を整理し、すぐに確認できるように保管してください。
    • 税務署からの問い合わせへの対応準備:税務調査などで贈与の実態を問われた場合に備え、これらの書類を適切に管理しておくことで、説明責任を果たしやすくなります。

    資産の種類や家族関係によっては専門家へ相談する

    暦年贈与を行う際は、贈与する資産の種類や家族関係によって贈与方法や手続きの複雑さが変わるため、専門家への相談が重要です。特に不動産や株式、現金など資産の性質により、課税や名義変更の手続きが異なるため、適切な対応が求められます。

    また、贈与の相手が子供だけでなく孫や法定相続人以外の場合、贈与の条件や税務上の扱いに違いが生じることがあります。家族構成や受贈者の年齢、関係性によっては、税務署からの指摘リスクを避けるためにも専門的な助言が有効です。以下に該当する場合は、特に専門家への相談を考慮します。

    • 不動産の贈与で名義変更や登記手続きが必要な場合
    • 株式や投資信託など金融資産の贈与で評価や手続きに注意が必要な場合
    • 贈与相手が孫や法定相続人以外で、税務上の特別な条件が適用される場合
    • 複雑な家族関係や相続対策を含む総合的な資産移転計画を立てたい場合
    • 税務署からの問い合わせや調査リスクを軽減したい場合

    贈与を確実にスムーズに、かつ安心して行うためにも、税理士や司法書士、ファイナンシャルプランナーなどの専門家への早めに相談が大切です。

    まとめ

    暦年贈与は、毎年少しずつ財産を移転することで、贈与税の負担を軽減しながら資産を次世代に引き継ぐ方法として、多くの人が注目しています。特に税制改正により、贈与税の基礎控除や生前贈与加算期間の変更が生じ、相続時精算課税制度の併用や確定申告の手続きにも影響があるため、国税庁の最新情報を確認することも重要です。暦年贈与を活用するメリットとして、相続税の節税効果や財産分与の円滑化が期待できるものの、贈与額の計算方法や7年ルールなどの注意点を押さえる必要があります。

    まずは、資金状況や不動産・株式などの資産の種類、受贈者の年齢や範囲を踏まえて適用条件を確認し、必要に応じて税務署や専門家への相談を検討するようにします。税制や法律は複雑かつ、個々の事情によって最適な選択肢は異なるため、専門家のアドバイスを受けながら適切な手続きを行うことで、暦年贈与を安全かつ効果的な相続税対策として活用できます。

    ご自身の大切な資産を守り、次世代にスムーズに引き継ぐためには、法定相続人以外(孫やひ孫など)への段階的・連年贈与の制度を活用し、年度内に申告用紙を提出して納税証明を取得する手続きをしっかり行うことが第一歩になります。

    M&Aロイヤルアドバイザリーでは、M&A(企業の合併・買収)や事業承継に関するご相談を承っております。M&Aや経営課題に関するお悩みはお気軽にお問い合わせください。

    CONTACT

    お問い合わせ

    Feel free to contact us.

    当社は完全成功報酬ですので、
    ご相談は無料です。
    M&Aが最善の選択である場合のみ
    ご提案させていただきますので、
    お気軽にご連絡ください。

    無料
    お気軽にご相談ください
    phone
    03-6269-3040
    受付:平日 9:00~18:00
    icon 無料相談フォーム
    icon
    トップへ戻る

    M&Aロイヤルアドバイザリーは、
    一般社団法人 M&A仲介協会の正会員です。