減価償却費の計算方法!定率法と定額法の計算式もわかりやすく解説

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減価償却費 定額法・定率法の計算

減価償却費の計算方法には「定額法」と「定率法」の2つがあり、どちらの償却方法を採用するかは資産の種類や税務上の取り扱いによって異なります。本記事では、減価償却費の計算に必要な基礎知識から、定額法と定率法の計算方法、ケース別の計算例までわかりやすく解説します。また、計算時の注意点にも触れ、実務で役立つ内容を提供します。

減価償却費の計算方法をわかりやすく解説

減価償却費を正しく計算するには、まず情報を整理することが大切です。なぜなら、減価償却費は「いくらで取得したか」だけでなく、資産の種類や耐用年数、償却方法によっても異なるためです。

また、同じ固定資産でも、減価償却の対象にならないものもあります。計算を誤ると、会計処理だけでなく税務申告にも影響が出るため、まずは減価償却費の基本を押さえておきましょう。ここでは、減価償却費を計算する前に確認しておきたいポイントを順に解説します。

減価償却費の計算に必要な要素

減価償却費を計算するためには、最低限いくつかの情報をそろえる必要があります。 主に確認したいのは、取得価額・耐用年数・償却方法・取得時期の4つです。

  • 取得価額
    取得価額とは、固定資産を購入するためにかかった金額のことです。単純な購入代金だけでなく、引取運賃や設置費用など、その資産を使用可能な状態にするまでにかかった費用も含まれる場合があります。どこまで取得価額に含めるかで減価償却費は変わるため、ここは慎重に確認したいポイントです。
  • 耐用年数
    耐用年数とは、固定資産を何年間にわたって使用すると考えるかを示す年数で、資産の種類ごとに異なります。建物、車両、機械装置、備品などでは年数が異なるため、資産の区分を誤ると計算結果も変わってしまいます。
  • 償却方法
    減価償却費を計算する際には、どの償却方法を採用するかも確認が必要です。代表的な方法には定額法と定率法があり、どちらを使うかによって毎年の減価償却費の計上額が異なります。
  • 取得時期
    年度の途中で資産を取得した場合は、一年分をそのまま計上するのではなく、使用した月数に応じて月割り計算が必要になることがあります。そのため、取得日や事業年度との関係もあわせて確認しておくことが大切です。

減価償却の対象資産

減価償却費として計上できる資産についても把握しておきましょう。「固定資産として計上したものはすべて減価償却する」と考えてしまう方もいますが、これは正確ではありません。資産の種類や性質によって処理方法は異なるため、計算に入る前に、その資産が本当に減価償却の対象かを確認することが大切です。

減価償却の対象となるのは、時間の経過や使用によって価値が減少していく資産です。そのため、すべての固定資産が減価償却資産になるわけではありません。例えば、建物、建物附属設備、機械装置、車両運搬具、工具・器具・備品などです。また、ソフトウェアや営業権などの無形資産も対象となります。これらの資産は、購入した年に全額を費用にするのではなく、使用する期間にわたって少しずつ費用化していきます。

一方で、代表的な非対象資産として挙げられるのが土地です。土地は時間の経過によって価値が減少するものとして扱われないため、減価償却は行いません。このほか、借地権など、性質上減価償却の対象にならない資産もあります。

参考:国税庁「減価償却のあらまし」

定額法と定率法の違い

減価償却費の計算方法には「定額法」と「定率法」があります。定額法は、毎年ほぼ同じ金額を計上していく方法です。一方、定率法は、資産の帳簿価額に一定の率をかけて計算する方法です。定率法では、取得直後の減価償却費は大きく、年数が経つにつれて金額は小さくなっていきます。使用開始直後に価値が大きく減少しやすい資産には、実態に合いやすい方法といえるでしょう。

どちらの方法で計算するかは、資産の種類や適用ルール、事業者の状況によって異なります。例えば、建物および建物付属設備、構築物は原則として定額法が使用されます。また、その他の資産についても償却方法が法律上決められているものもあり、異なる償却方法を選択する場合は事前に税務署への届出が必要となります。

届出がない場合には法定償却方法で計算することになります。なお、償却方法を変更する場合も税務署への事前申請と承認が必要となります。このように、実際に使用する償却方法は資産や税務上の取扱いによって決まっていることがあるため、「どちらでも自由に選べる」とは限らない点に注意しましょう。

比較項目定額法定率法
毎年の償却額ほぼ一定初年度が大きく、徐々に減る
向いている資産の例建物、長期利用資産機械装置、車両、備品
向いている考え方損益を安定させたい早めに費用化したい
計算のわかりやすさ比較的わかりやすいやや複雑

参考:国税庁「定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後に取得する場合)」

減価償却の償却率とは

償却率とは、減価償却費を計算する際に用いる割合のことです。 特に定額法や定率法で計算する場合には、この償却率を使って各年度の減価償却費を求めます。

償却率は、耐用年数に応じて定められています。つまり、同じ取得価額の資産でも、耐用年数が異なれば償却率も変わり、その結果として毎年の減価償却費も変わります。耐用年数が短い資産ほど、一般的には1年あたりの償却額が大きくなりやすいと考えるとイメージしやすいでしょう。

定額法では、取得価額に一定の償却率を掛けて、毎年ほぼ同じ金額を費用計上していきます。これに対して定率法では、未償却残高に償却率を掛けていくため、初年度ほど金額が大きくなりやすい特徴があります。また、税制改正により、平成24年4月以降に取得した資産を定率法で計算する場合、償却率は定額法の2倍になります(200%定率法)。

償却率の一例(平成19年4月1日以後に取得した資産の場合)

耐用年数定額法の償却率定率法の償却率(200%定率法)
20.5001.000
30.3340.667
40.2500.500
50.2000.400
60.1670.333
70.1430.286
80.1250.250
90.1120.222
100.1000.200

参照:国税庁「減価償却資産の償却率等表」

減価償却費を正確に計算するには、耐用年数だけでなく、その耐用年数に対応する償却率まで確認する必要があります。実際の計算では、最新の法令や公表資料に基づく償却率を用いることが大切です。

減価償却費の定率法での計算方法

定率法は、資産の価値減少の実態により近い減価償却方法として、多くの企業が採用しています。初年度に大きな減価償却費を計上できるため、設備投資直後の節税効果が高く、特に機械装置や車両などの資産に適用されます。ただし、計算が複雑になるため、正しい理解が求められます。

ここでは定率法による減価償却費の計算方法を解説します。

定率法の計算式

定率法の計算式は次のとおりです。

1年目の減価償却費  :取得価額×定率法の償却率
2年目以降の減価償却費:未償却残高×定率法の償却率

未償却残高とは、取得価額から過去の減価償却費累計額を差し引いた金額で、毎年変動します。定率法では、一定の償却率を未償却残高に掛けて計算するため、初年度の減価償却費が最も大きく、その後は年々減少していきます。この特徴により、資産価値の実際の減少パターンをより適切に反映できます。 

ただし、定率法で計算した減価償却費が「償却保証額(取得価額×保証率)」を下回った場合、その年度から以下の計算方法に切り替わります。

改定取得価額(期首未償却残高)×改定償却率

この計算式により、耐用年数内での完全な償却を保証しています。なお、保証率および改定償却率は資産の耐用年数によって異なります。保証率と改定償却率の一部は次のとおりです(200%定率法の場合)。

耐用年数保証率改定償却率
30.11081.000
40.12491.000
50.10800.500
60.09910.334
70.08680.334
80.07900.334
90.07120.250

参照:国税庁「減価償却資産の償却率等表」

定率法が適用できる資産は、機械装置、車両運搬具、工具器具備品などです。これらの資産は原則として定率法を使用しますが、届出によって定額法を選択できます。なお、建物、建物附属設備、構築物、ソフトウェアには適用できません。平成28年度税制改正により、平成28年4月1日以降に取得した「建物附属設備」および「構築物」の償却方法は、定額法に一本化されました。

定率法の計算例(機械・車両)

減価償却費を定率法で計算した場合の例を見ていきましょう。

事例:営業車両の場合
普通自動車(営業車)を500万円で取得した場合を考えます。耐用年数6年、定率法償却率0.333、改定償却率0.334、保証率0.09911とします。 

まず償却保証額を計算します。

償却保証額:500万円×0.09911=49万5,550円 

各年の減価償却費の計算方法は以下のとおりです。 

【1年目】
減価償却費:500万円×0.333=166万5,000円  
未償却残高:500万円-166万5,000円=333万5,000円 

【2年目】
減価償却費:333万5,000円×0.333=111万555円  
未償却残高:333万5,000円-111万555円=222万4,445円 

【3年目】
減価償却費:222万4,445円×0.333=74万740円  
未償却残高:222万4,445円−74万740円=148万3,705円 

【4年目】
通常計算:148万3,705円×0.333=49万4,113円 
この金額が償却保証額49万5,550円を下回るため、改定償却率に切り替えます。  
減価償却費:148万3,705円×0.334=49万5,557円 

【5年目以降】
同様に改定償却率0.334を適用し、最終年は備忘価額1円を残して完了します。 

定率法は初期の節税効果が高く、キャッシュフローの改善に寄与しますが、後年の減価償却費が少なくなるため、長期的な資金計画に注意が必要です。また、計算が複雑になるため、経理システムの活用や専門家への相談が重要になります。 

定率法で計算するメリット・注意点

定率法は、資産を取得した初年度に多くの減価償却費を計上し、その後は徐々に金額が小さくなっていく計算方法です。購入直後に使用量が多い資産や、早い段階で価値が下がりやすい資産とは相性がよく、実態に近い形で費用配分しやすい点がメリットです。

また、初年度から比較的大きな減価償却費を計上できるため、利益が出ている時期の課税所得を抑えやすい点も特徴です。設備投資の負担が大きい時期に、会計上・税務上の費用を厚めに計上しやすいことから、資金計画を考えるうえで有効に働く場合があります。

一方で、定率法は定額法に比べると計算がやや複雑です。毎年、帳簿価額をもとに減価償却費を計算するため、同じ金額を機械的に計上するわけにはいきません。年度ごとの計算を誤ると、帳簿価額や費用計上額にずれが生じるおそれがあります。

さらに、資産の種類や適用ルールによっては、定率法を採用できない場合もあります。実務では「節税になりそうだから定率法にする」と単純に決めるのではなく、その資産にどの方法が認められているか、また自社の利益計画や会計方針に合っているかを確認することが大切です。

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    減価償却費の定額法での計算方法

    定額法は、減価償却費の償却方法の中でも計算がシンプルでわかりやすいという特徴があります。定額法は多くの中小企業が採用しており、特に建物や設備投資の減価償却で用いられる計算方法です。毎年一定額を減価償却費として計上するシンプルな仕組みにより、財務計画の予測が立てやすく、経営の安定性に寄与します。 

    定額法の計算式

    定額法の計算式は非常に単純であり、耐用年数期間中は毎年同じ金額を減価償却費として計上します。

    減価償却費:取得価額×定額法の償却率

    定額法の償却率は耐用年数に応じて決められており、例えば耐用年数4年の場合は0.250、5年の場合は0.200となります。この償却率は国税庁の「減価償却資産の償却率等表」で確認できます。 

    定額法の大きな特徴は、計算の簡便性と予測可能性です。毎年の減価償却費が一定であるため、年間の費用計画や資金繰り計画を立てやすく、財務管理の安定性に貢献します。また、建物、建物附属設備、構築物、ソフトウェアについては、法令により定額法の適用が義務付けられています。 

    なお、耐用年数の最終年には、資産が帳簿上に残っていることを示すため、減価償却費から1円を差し引いた金額を計上し、備忘価額として1円を残します。これにより、償却完了後も資産の存在を帳簿で確認できます。 

    定額法の計算例(建物・設備)

    減価償却費を定額法で計算してみましょう。

    事例1:事務所建物の場合 
    鉄筋コンクリート造の事務所建物を5,000万円で取得した場合を考えます。鉄筋コンクリート造事務所の耐用年数は50年、定額法償却率は0.020です。 

    年間減価償却費:5,000万円×0.020=100万円 

    毎年100万円ずつ、50年間にわたって減価償却を行います。最終年(50年目)のみ、99万9,999円を計上し、1円を備忘価額として残します。 

    事例2:製造設備の場合
    製造業で使用する機械装置を1,200万円で取得した場合を見てみます。製造業用機械の耐用年数は10年、定額法償却率は0.100です。 

    年間減価償却費 = 1,200万円×0.100=120万円 

    毎年120万円ずつ、10年間にわたって減価償却を行います。10年間の総減価償却費は1,199万9,999円となり、最終的に1円が帳簿に残ります。 

    定額法は計算が簡単で理解しやすいため、中小企業の経理担当者にとって扱いやすい方法です。また、毎年の費用が一定であることから、設備投資の影響を平準化でき、安定した財務運営に寄与します。特に不動産賃貸業や製造業など、長期的な設備投資を行う業種では、定額法による計画的な費用配分が経営の安定性向上に重要な役割を果たします。 

    定額法で計算するメリット・注意点

    定額法は、毎年ほぼ同じ金額の減価償却費を計上していく方法です。計算がわかりやすく、毎期の費用額も安定するため、減価償却の基本として最も理解しやすい方法といえます。経理処理の負担を抑えやすく、継続的に同じペースで費用を配分したい場合にも向いています。

    また、毎年の費用が一定になりやすいため、損益の見通しを立てやすい点もメリットです。利益が大きくぶれにくくなるため、予算管理や経営計画との整合も取りやすくなります。ただし、資産の価値が使用開始直後に大きく下がるようなケースでは、実際の使用実態と費用配分が一致しにくいことがあります。

    つまり、会計上は毎年均等に費用計上していても、実際には最初の数年で価値や使用効率が大きく変化していることもあるということです。また、定額法は初年度の減価償却費が急激に大きくなるわけではないため、短期的に費用を厚く計上したい場面では、定率法と比べてインパクトが小さく見えることがあります。

    減価償却費の計算例を5つのケース別に紹介

    実際の業務で遭遇する様々なシチュエーションにおける減価償却費の計算を、具体的な数値を用いて解説します。これらの計算例を理解し、計算方法を身につけることで、日常の経理業務からM&A時の資産評価まで、幅広い場面で正確な減価償却費の算出が可能になります。 

    事務所建物を取得した場合(定額法)

    木造の事務所建物を3,000万円で取得したケースです。木造事務所の耐用年数は24年、定額法償却率は0.042となります。 

    年間減価償却費:3,000万円×0.042=126万円 

    毎年126万円ずつ24年間計上し、最終年は125万9,999円を計上して1円を残します。木造建物は鉄筋コンクリート造(50年)に比べて耐用年数が短いため、年間の減価償却費が大きくなり、早期の費用計上が可能です。 

    製造設備を導入した場合(定額法)

    製造業で使用する専用機械を2,500万円で導入した場合を考えます。製造業用機械の耐用年数は10年、定額法償却率は0.100です。 

    年間減価償却費:2,500万円×0.100=250万円 

    10年間にわたって毎年250万円を計上します。製造設備は事業の中核となる資産であり、適切な減価償却により投資効果を長期的に反映できます。また、設備の更新計画も立てやすくなります。 

    営業車両を購入した場合(定率法)

    普通自動車(営業車)を400万円で購入した場合の計算例です。耐用年数6年、定率法償却率0.333、改定償却率0.334、保証率0.09911とします。 

    償却保証額:400万円×0.09911=39万6,440円 

    1年目:400万円×0.333=133万2,000円  
    2年目:(400万円-133万2,000円) ×0.333=88万8,444円  
    3年目:(266万7,556円-88万8,444円)×0.333=59万2,592円 

    4年目は計算結果が償却保証額を下回るため、改定償却率を使用します。このように定率法では初期の節税効果が高く、資金繰りの改善に寄与します。 

    中古資産を取得した場合 

    中古資産の減価償却費は新品を購入した場合と計算方法が異なります。3年経過した中古の普通自動車を250万円で取得した場合を例に見ていきましょう。まず中古資産の耐用年数を計算します。新車の耐用年数6年から経過年数3年を考慮した計算は以下のとおりです。

    耐用年数:(6年-3年)+ (3年×20%) =3年+0.6年=3.6年

    1年未満は切り捨てるため、耐用年数は3年となります。この場合の定額法償却率は0.334です。 この償却率に取得価額を乗じて減価償却費を算出します。

    年間減価償却費:250万円×0.334=83万5,000円 

    中古資産は新品より耐用年数が短くなるため、年間の減価償却費が大きくなり、早期の費用計上による節税効果が期待できます。 

    年度途中で取得した場合の月割計算 

    年度途中で取得した場合は年間ではなく月割計算になります。4月から3月が事業年度の会社が、10月1日にパソコンを60万円で購入し、同日から使用開始した場合の計算式を紹介します。パソコンの耐用年数は4年、定額法償却率は0.250です。

    通常の年間減価償却費:60万円×0.250=15万円 

    10月から3月までの6ヶ月間の月割計算

    初年度の減価償却費:15万円 × (6ヶ月÷12ヶ月) =7万5,000円 

    翌年度以降は通常通り年間15万円を計上し、最終年度は残りの期間に応じて月割計算を行います。年度途中での取得は月割計算が必要であり、使用開始月から計算を開始する点に注意が必要です。 

    これらの計算例を参考に、自社の資産取得時には適切な減価償却費の計算を行い、正確な財務管理を実現してください。 

    減価償却費を計算する際の注意点

    減価償却費は、計算式に数字を当てはめれば終わりというものではありません。同じように見える資産でも、取得時期や資産の状態、金額、適用できる特例の有無によって、実際の処理は変わることがあります。

    特に実務で間違いやすいのが、特例の見落とし、年度途中取得の月割り、中古資産の耐用年数、少額資産の処理方法です。これらを正しく理解していないと、減価償却費の金額がずれるだけでなく、税務申告にも影響が出るおそれがあります。ここでは、減価償却費を計算する前に確認しておきたい注意点を整理しておきましょう。

    適用できる特例を確認

    減価償却では、通常の計算ルールだけでなく、一定の要件を満たすことで使える特例が設けられている場合があります。代表的なのが、中小企業向けの少額減価償却資産の特例です。こうした制度を使えるかどうかで、その年に費用計上できる金額や税負担が変わることがあります。

    そのため、固定資産を取得したときは、まず通常どおり減価償却するのか、それとも特例の対象になるのかを確認することが大切です。特例を使えば有利になるケースもありますが、適用には資本金や事業規模、取得価額、適用期限などの条件が設けられていることも少なくありません。

    「とりあえず通常の減価償却で計算する」と進めてしまうと、本来使えたはずの制度を見落とす可能性があります。節税や資金繰りの面でも影響が出るため、資産取得時には最新の制度内容を確認しておくと安心です。

    年度途中は月割り計算

    固定資産を年度の途中で取得した場合、1年分の減価償却費をそのまま計上できるとは限りません。一般的には、その資産を事業に使用した月数に応じて、月割りで減価償却費を計算します。

    例えば、期首に取得した資産と期末近くに取得した資産とでは、実際に使用した期間が異なります。それにもかかわらず同じ1年分の減価償却費を計上してしまうと、費用配分として不自然になってしまいます。そのため、取得日や事業供用日をもとに、その年度に計上できる金額を調整する必要があります。

    特に、取得した日と実際に使用を開始した日が異なる場合は注意が必要です。いつから減価償却を始めるのかを誤ると、初年度の費用計上額がずれてしまいます。減価償却費を正しく計算するには、金額や耐用年数だけでなく、取得・使用開始のタイミングもあわせて確認することが大切です。

    中古資産の耐用年数に注意

    中古資産は、新品の資産と同じ耐用年数をそのまま使えるとは限りません。減価償却費は耐用年数によって大きく変わるため、中古資産を取得した場合は、まず耐用年数の考え方を慎重に確認する必要があります。

    実務では、中古資産については法定耐用年数ではなく、使用可能期間や簡便法にもとづいて耐用年数を見積もることがあります。その結果、新品よりも短い年数で減価償却するケースも少なくありません。耐用年数が短くなれば、1年あたりの減価償却費は大きくなります。

    一方で、「中古だから短くしてよい」と自己判断してしまうのは危険です。資産の種類や使用状況によって扱いが異なり、税務上のルールに沿って判断しなければなりません。中古の設備や車両などを取得したときは、新品と同じ前提で計算せず、適切な耐用年数を確認したうえで処理することが重要です。

    少額減価償却資産・一括償却資産の取扱いに注意

    取得価額が比較的少額の資産については、通常の減価償却とは異なる処理が認められる場合があります。代表的なのが、少額減価償却資産や一括償却資産の取扱いです。

    具体的には、中小企業が取得した30万円未満の減価償却資産を少額減価償却資産といい、購入した事業年度に全額を費用計上できる場合があります。なお、税制改正により令和11年3月31日までは40万円未満の減価償却資産が合計300万円を限度に全額損金算入できます。

    また、取得額が10万円以上20万円未満の減価償却資産については3年間で均等に償却する一括償却資産として処理できるケースもあります。こうした制度を使うことで、通常の耐用年数にもとづく減価償却よりも簡便に処理できることがあります。

    ただし、どの方法が使えるかは、資産の取得価額や事業者の区分、適用要件によって異なります。金額が小さいからといって必ず一括で費用にできるわけではなく、通常の減価償却が必要になることもあります。少額資産は処理が簡単そうに見えて判断を誤りやすいため、取得金額と適用ルールを確認したうえで処理方法を選ぶことが大切です。

    参考:中小企業庁「少額減価償却資産の特例」

    まとめ

    本記事では、減価償却費の計算方法について、定額法と定率法の違い、償却率の考え方、活用できる特例制度までわかりやすく解説しました。減価償却は、同じ種類の資産でも取得時期や耐用年数、選択する償却方法によって計算結果が異なります。また、資産によっては償却方法や適用条件が定められている点にも注意が必要です。

    減価償却費を正しく計算し、税務申告にも適切に反映することは、企業の信頼を守るうえでも欠かせません。また、例制度の有無や最新の取扱いを確認しておくことも重要です。特例が適用できるかどうかによって、減価償却するのか、それとも一括計上できるのかが変わることがあるためです。必要に応じて税理士など専門家に相談しながら、自社の状況に合った計上方法を選び、根拠をもって実務に落とし込んでいきましょう。

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