着手金・中間金無料 完全成功報酬型
ロングリストとショートリストの作成はM&Aを成功させる上で欠かせません。
本記事では事業承継において最適な売却または買収先を見つけるためのロングリストのショートリストの基本概念やメリット、作成方法を解説していきます。
目次
ロングリストとショートリストは、M&Aにおいて売却または買収相手となる候補企業の情報が記載されたリストのことです。
ロングリストやショートリストの作成はM&Aの初期段階で行われるもので、取引を成功させ、事業成長を促進させる最適な相手を見つける上で欠かせないプロセスとなります。
ロングリストとショートリストの役割や特徴、違いについて解説していきます。
ロングリストとは、M&Aを検討している企業をリストアップしたものですが、ショートリストよりも記載される企業の数は多く、30社~100社ほどになります。
ロングリストを作成する際には一定の基準を定め、その基準を満たした企業が掲載されます。
ロングリストの役割はできるだけ多くの候補企業を拾うことなので、この時点での選定基準はショートリストよりも広く、リストに掲載される項目も企業名や業種、資本金、売上高などの一般的な情報になります。
ショートリストの役割はロングリストの中からさらに自社のニーズとマッチし、取引相手として相応しい企業を見つけるための絞り込みです。
ロングリストの中から5社~10社ほどに絞られ、さらに優先順位の高い順に交渉を行っていきます。
ショートリストの項目には、企業の強みや弱み、想定されるシナジー効果やブランド力といったロングリストよりも詳細な情報が記載されます。
ロングリストとショートリストの目的や役割を述べましたが、さらに細かく両者の違いを比較してみましょう。
ロングリストとショートリストの違いは大きく3つあります。
1つ目の違いはリストを作成する目的です。
ロングリストは一定の条件に沿って候補者を広く集めて一覧として並べ、ショートリストはロングリストの中から絞り込みを行い実際に取引を行う相手を絞り込んでいきます。
ロングリストは絞込みではなく、取引相手となる可能性のある候補企業をできるだけ多く集めることにあるので、ここで基準を高くしてしまうと、シナジー効果を生み出す企業を取りこぼしてしまう可能性があります。
少しでも可能性がある企業はロングリストに入れていくのがロングリスト作成の際のポイントです。
2つ目の違いは記載する項目です。
ロングリストに記載される項目は一般的な企業情報が中心です。一方、ショートリストに記載される項目は事業の強みや弱み、ブランド力、財務状況、株主構成などのロングリストよりも詳細な内容になります。
ショートリストの項目からM&Aの交渉相手を選定し、優先順位をつけていくため、精度が高く細かい情報が必要となります。
ロングリストの項目 | 会社名 代表者名 所在地 主な事業内容 資本金 従業員数 売上・利益 会社のホームページ 問い合わせ先 |
ショートリストの項目 | 事業の強みや弱み ブランド力 ノウハウ 財務状況 取引銀行 株主構成 主な取引先 時価総額 想定できるシナジー効果 |
ロングリストとショートリストの項目の一例ですが、ロングリストよりもショートリストのほうが詳細な情報であることがわかります。
3つ目の違いは作成のタイミングです。
ロングリストもショートリストもM&Aの初期段階のソーシングで活用されます。ソーシングとは、候補企業の特定や情報収集のプロセスです。
ソーシングの手順は4つあります。
具体的な流れは以下のようになります。
ロングリストは可能性のある相手を網羅するために先に行われ、ショートリストはロングリストの後に行われます。
ロングリストの段階では企業の細かい調査は行わず、一般的な情報のみでスクリーニングを行います。そのため、リストには数十社から100社と多くの企業の情報が掲載されます。
作成の目的 | 項目の内容 | 作成のタイミング | |
ロングリスト | 候補企業の網羅 | 一般的な情報 | 先に行われる/数十社~100社ほど |
ショートリスト | 候補企業の絞り込み | 詳細な情報 | 後に行われる/5~10社ほど |
ロングリストを作成するメリットは、M&Aの候補企業を選定する上で効率よく進められる点にあります。
M&A仲介業者などが所有する膨大なデータから1つ1つの企業をすべて細かく調べるとなると多大な時間と労力が必要になります。
しかし、表面的な情報だけで細かく絞ってしまうと、シナジー効果の高い最適な取引相手が候補から漏れてしまう可能性があります。
ロングリストの作成によって、ある程度の基準を定めて数十社に絞ることで、候補となる企業を網羅しながらも可能性のない企業を排除することができ、高精度のスクリーニングを行うことができるのです。
ショートリストを作成することのメリットは自社の強みを生かし、弱みを補完できる取引相手を見つけることができることです。
ロングリストの項目だけでなく、さらに詳細な情報を調査することによって、相手企業の強みや弱み、求めていることなどもわかるため、M&Aを行う際に自社のニーズと相手企業のニーズがマッチするか、シナジー効果が生まれるかなどのイメージも掴みやすくなります。
また、様々な項目をまとめることで複数の会社を比較することができるため、優先順位もつけやすくなります。
さらに自社と他社のニーズを把握することはM&Aの交渉場面でも役立ちします。
ショートリストを作成することは最適な候補相手を見つけるだけでなく、交渉においても戦略的な使い方ができるということです。
このようにロングリストとショートリストにはそれぞれの役割があり、2段階の絞り込みを行うことで、よりM&Aの成功率を高めることができるのです。
ロングリストを作成する場合の方法や流れについて紹介します。
ロングリスト作成の流れを簡単にまとめるとこうなります。
ロングリストを作成するそもそもの目的はシナジー効果の高い企業を見つけてM&Aを成功させることにあります。
M&Aを成功させるためには、事業承継を行う目的や自社の強みや弱みなどいった課題を明確にし、どういった取引相手を探しているのかを明確にする必要があります。
自社の現状と課題を分析し、シナジー効果が高いのはどのような企業なのか戦略を決めていきます。
分析方法には「SWOT分析」「PEST分析」「3C分析」などがあります。
M&Aの目的に合わせて対象となる企業の基準や条件を決めます。
従業員が不足していれば従業員数、事業の拡大であれば事業規模といったように目的だけでも基準の決め方が変わるため、M&Aの目的が何かを意識することが大切です。
データベースの中から情報収集を行い、候補企業を選定していきます。
この時に大切なのは決めた基準をもとに客観的にリストに加えていくことです。主観が入ってしまうと、重要な企業が候補から漏れてしまったり、不要な企業が含まれてしまい、ショートリストを作成する際の精査の手間が増えてしまったり、ロングリストの役割を果たせなくなってしまいます。
自社で情報収集が難しい場合は専門家に依頼することも可能です。できるだけ多くの候補企業をみつけるためにデーターベースから機械的に抽出していきましょう。
情報収集を行った企業の中から、設定基準に該当する企業の一般的な情報を項目ごとにリストに記載していきます。
ロングリストに記載する内容の一例を紹介します。
ロングリストを作成する上でのポイントをお伝えします。
作成の流れでもお伝えしましたが、M&Aの目的によって候補企業の条件も変わります。
そのため、まずはM&Aを行う目的や自社の解決したい課題などを明らかにした上で、マッチングしたい企業の条件を明確にすることが必要です。
M&Aで達成したい目的と候補企業の選定条件がずれていると、候補となる企業が漏れてしまう、または候補リストに含まれなくなってしまい、スクリーニングの精度が低くなってしまいます。
M&Aの目的を達成するためにはどのような条件の企業が最適なのかを事前に明らかにしておくことでロングリストが生かされることになります。
M&Aの一番の目的はシナジー効果の創出でしょう。
自社にとって相性のいい企業であっても相手にとってメリットがなければ取引に応じてもらうことは難しくなります。
ロングリストを作成する際は、相手企業とのシナジー効果も考慮することが大切です。
続いてショートリストの作成の流れを見ていきましょう。
ショートリストの作成はロングリストの中から行います。さらに細かく候補先を絞り込んでいくため、候補企業の詳細な情報が必要になります。
どのような情報が必要なのかはM&Aの目的によって異なります。
評価基準をもとにロングリストから候補者を洗い出していきます。
詳細に分析することで、候補企業の弱みや課題、求めていることも見えてくるため、自社の強みが弱みを補完したり、課題解決につながるかなども分析することによって、ショートリストを戦略および交渉に役立てることもできます。
ショートリストの作成において、自社の魅力やニーズを明確にしておくことがポイントです。ニーズを考える上で大切なのは、好みなどの主観で判断するのではなく、客観的な視点で考えることです。
最終的に交渉相手を選ぶ場合には好みも含まれるかもしれませんが、ショートリストは候補を決める段階ですので、ニーズがある企業がリストに入れておくことで取りこぼしを減らすことができます。
ニーズが明らかになったら、ロングリストの候補企業をニーズ別に分類します。
M&Aの主なニーズは「経営資源の獲得」「経営の安定化」「シナジー効果の獲得」「成長企業への投資」の4つです。他にも自社のM&A目的に適した項目を増やすといいでしょう。
分類をおこなった際に複数のニーズに該当する企業もあれば、1つも当てはまらない企業も出てきます。ニーズに1つも該当しない場合はショートリストから除外していきます。
ロングリストをニーズごとに分類していくことで、質の高いショートリストを作成でき、交渉企業の優先順位もつけやすくなります。
満足いく買い手候補が一つもなかった場合は、ロングリストの選定が適切でなかった可能性があり、作り直しが必要です。
ショートリストに記載する内容の一例を紹介します。
絞り込んだショートリストの中からさらに譲れない条件などを決めて優先順位をつけていきます。決められない場合は経験豊富な専門家のアドバイスも参考にするといいでしょう。
最終的に作成したショートリストの中から最も優先順位の高い候補企業から交渉を行っていきます。
ショートリストの作成に必要な情報を収集するにはどこからどのように情報を取得するかがポイントとなります。
上場している企業であれば、決算説明資料や有価証券報告書などから情報を得ることができますが、未上場企業の場合は開示されていないものもあるでしょう。
最新かつ正確な情報をどこから入手するかが精度の高いスクリーニングを行い、最適な取引相手を見つける上で大切になってきます。
ロングリストを作成するにあたって注意しなければならないのが、情報の漏洩を防ぐことです。
これはリスト作成時だけでなく、M&Aを行う全プロセスにおいて意識しなければならない点になります。
企業の様々な情報が外部に漏れてしまえば企業の存続にも関わってきますから、最新の注意が必要です。
ロングリスト及びショートリストを作成する際には情報が正確であるか信頼できるものかを確認する必要があります。
不完全なデータベースの場合、正しいスクリーニングができません。情報収集においては1つの情報だけでは得られるものに限界があり、確実性も薄いです。そのため複数の情報源を活用しましょう。
情報収集の方法としては商業データーベースや業界レポート、ウェブ検索、人脈を通じた方法があります。
ロングリストを作成する際にデータベース独自のバイアスがかかてしまうことを考慮する必要があります。
そのため、リストに含まれた本来は候補にならない企業を除外するネガティブな絞り込みを行います。
ショートリストにおいても先入観や個人の主観が入ってしまうとM&Aによるシナジー効果を十分に発揮できません。
自社の力だけでロングリストやショートリストを作成しようとすると、不要な企業が候補に入ったり、重要な候補企業が漏れてしまう可能性もあります。
ロングリストやショートリストの作成に不安な場合はM&Aアドバイザリーなどの専門家を活用することで精度の高いリストを作成することができます。
実績が豊富なM&Aアドバイザーに協力してもらうことで、ロングリストやショートリストの作り方のアドバイスだけでなく、M&Aのあらゆるプロセスを相談することができ、取引を成功に導くことができます。
ロングリストとショートリストを上手に活用することで、最も適した相手と交渉を行うことができます。
買い手からすれば、自社と売り手企業のシナジー効果が高い企業を見つけることができますし、売り手の場合は買い手企業とのニーズがマッチすれば高値で売却が可能となります。
自社の強みや魅力を把握し、シナジー効果の高い企業の条件を明確することによって質の高いロングリストとショートリストを作成することができ、M&Aの成功確率を高めることができます。
M&Aロイヤルアドバイザリーでは、M&Aや事業承継の初期的な関心でもご相談いただけます。事業承継には時間がかかるものなので、早い段階で情報収集を行い、M&Aを含めた最適な解決策を検討することが重要です。
今後のプランを考えるためにも、ぜひM&Aロイヤルアドバイザリーにご相談ください。
CONTACT
当社は完全成功報酬ですので、
ご相談は無料です。
M&Aが最善の選択である場合のみ
ご提案させていただきますので、
お気軽にご連絡ください。