【M&Aの事例】2024年の主要事例や中小企業の事例を紹介 

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【2024年】国内企業によるM&A金額上位5事例

2024年の日本企業によるM&A市場では、海外企業を対象とした大型案件が目立ちました。国内企業が主導した大型M&Aの多くは、グローバル市場での競争力強化や事業ポートフォリオの転換を目的としています。ここでは、2024年に実施された国内企業によるM&A金額上位5事例を紹介します。 

日本生命|約1.2兆円 

2024年12月、日本生命保険は米国などで既存保険契約の買取を手掛けるレゾリューションライフグループを約1.2兆円(約82億米ドル)で買収することを発表しました。人口減少により国内生保市場が縮小する中、世界最大規模で安定成長が見込まれる米国保険市場等での事業拡大を目指す戦略的判断です。 
 
レゾリューションライフのグローバルな既契約受託事業や再保険事業のノウハウ獲得により、海外事業収益の長期安定化を図ります。また、傘下の豪州レゾリューションと日本生命の子会社MLCを統合し、豪州保険事業も強化する計画です。この買収は日本の保険会社として過去最大規模であり、中期経営計画の成長投資枠(2兆円超)の大半を初年度に投入する積極的な一手となりました。 

参考:日本生命保険相互会社「レゾリューションライフの完全子会社化等について」 

ルネサスエレクトロニクスの事例|約8,900億円 

2024年2月、半導体大手のルネサスエレクトロニクスは、オーストラリアのプリント基板設計ソフトウェア企業アルティウムを約8,900億円で買収すると発表し、同年8月に完了しました。 
 
この買収により、ハードウェア(半導体デバイス)とソフトウェア(PCB設計)を統合し、電子機器の設計からライフサイクル管理までをカバーする革新的なプラットフォームの構築を目指します。 
 
設計データや機能の統合・標準化、部品ライフサイクル管理の強化により、開発リソースの大幅な削減と生産性向上を実現するシナジーが期待されています。この買収は、ルネサスがハードウェア中心からソリューション提供へと事業モデルを進化させる上での戦略的ステップと位置づけられています。 

参考:ルネサス エレクトロニクス株式会社「子会社への増資および特定子会社の異動に関するお知らせ」 

積水ハウスの事例|約6,879億円 

2024年1月、積水ハウスは米国の住宅会社M.D.C.ホールディングス(MDC社)を約6,879億円で買収することを発表し、4月に完了しました。この買収により、米国での事業展開エリアを従来の7州から16州へと一挙に拡大し、全米5位のホームビルダーとなりました。海外市場での年間供給1万戸という目標も前倒しで達成する見込みです。 
 
積水ハウスは日本で培った高品質な住宅建築技術(シャーウッド等)や環境技術(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス等)をMDC社に導入し、ソフト・ハード両面での提供価値向上を図ります。規模拡大による資材調達やサプライチェーン統合を通じたコスト削減効果も期待されており、MDC社の業績寄与により、買収関連費用を織り込んでも2024年度の連結業績見通しを上方修正しています。 

参考:積水ハウス株式会社「M.D.C. Holdings, Inc.の株式取得(完全子会社化)に関するお知らせ」 

日本ペイントホールディングスの事例|約6,300億円 

2024年10月、日本ペイントホールディングスは米国の特殊化学品メーカーAOCを約6,300億円(約43.5億米ドル)で買収することを発表しました。AOCは不飽和ポリエステル樹脂等の配合設計・製造・販売を行う「スペシャリティ・フォーミュレーター」であり、高い収益性(2023年EBITDAマージン35%)とキャッシュ創出力が特徴です。 
 
この買収は、主力の建築用塗料事業に加え、コーティング剤、接着剤、シーリング材等の高収益な塗料周辺領域へ進出するための戦略的判断です。また、米国・欧州市場で強い地位を築くAOCを獲得することで、アジア偏重だった地域ポートフォリオのバランス改善も図ります。買収初年度から通年で1株当たり15~17円の利益貢献を見込んでおり、株主価値最大化に直結する買収として市場からも好意的に受け止められています。 

参考:日本ペイントホールディングス株式会社「AOC社の買収について」 

平和の事例|約5,100億円 

2024年12月、パチンコ機器大手の平和はアコーディア・ゴルフの親会社であるPJC Investments株式会社を約5,100億円で買収することを発表しました。主力の遊技機事業の市場縮小リスクに対応し、「総合レジャー企業」への転換を目指す中で、ゴルフ事業を中核に据えるための決定的な一手です。 
 
この買収により、国内最大手のアコーディア・ゴルフ(173コース)と既に傘下に持つ国内2位のPGMホールディングス(148コース)を合わせ、合計321コースを保有する世界最大のゴルフ場運営グループとなります。 
 
買収後はグループの売上高・営業利益に占めるゴルフ事業の割合が8割超へと大幅に高まり、安定収益基盤の強化が図られます。両社の経営効率化やスケールメリットによるシナジー効果も期待されますが、買収資金の大半を銀行借入で賄うため、財務負担は大幅に増加する見込みです。 

※参照:株式会社 平和「株式会社アコーディア・ゴルフの親会社である PJC Investments 株式会社の株式の取得完了、同社の商号変更及び本店所在地変更並びに代表者異動に関するお知らせ」 

業界別M&A事例で見るトレンド

2024年の日本企業におけるM&A市場は業界を問わず活発な動きを見せています。各業界では「地殻変動」とも呼べる大きな変化が起きており、事業拡大や技術獲得、国際競争力強化を目的としたM&Aが増加しています。ここでは業界別の最新M&A動向と代表的な事例を見ていきましょう。 

自動車業界 

自動車業界では、電動化や自動運転技術の獲得を目的としたM&Aが活発化しています。2024年12月には、ホンダと日産自動車が経営統合に向けた協議を開始することで基本合意し、大きな話題となりました。両社は当初、2026年8月に共同持株会社を設立する計画を立てていましたが、2025年2月に協議終了を発表。ホンダが日産の子会社化を提案したことに対し、日産側が受け入れられなかったことが主な理由とされています。この事例は、業界再編の難しさを示すと同時に、自動車メーカーが厳しい国際競争環境の中で生き残りをかけた戦略を模索していることの表れでもあります。 

IT・ソフトウェア業界 

IT・ソフトウェア業界では、2024年にAI関連のM&Aが大幅に増加しています。この背景には、生成AIや機械学習などの技術進化、業界特化型AI企業への注目、AI人材やノウハウの獲得を目的とした動きが挙げられます。その一方で、IT・ソフトウェア業界は深刻な人材不足問題を抱えています。旺盛なDX(デジタルトランスフォーメーション)需要により人材の獲得競争が激化し、2030年には最大で約79万人のIT人材が不足すると予測されています。 

2024年2月にルネサスエレクトロニクスが米半導体ソフト大手「アルティウム」を8,879億円で買収した事例をはじめ、11月にはSCSKがITインフラ構築のネットワンシステムズをTOBで子会社化(3,574億円)、11月にはKDDIがサイバーセキュリティ事業のラックをTOBで子会社化(246億円)するなど大型の案件が相次ぎました。KDDIによるラックの子会社化は、生成AIやIoTの普及でサイバー攻撃が「人vs人」から「AIvsAI」に移行する中、セキュリティソリューション事業の強化を図る狙いがあります。今後もIT・ソフトウェア業界では、人材獲得とDX化を中心にM&Aの活況が続くと予測されています。 

運輸業界 

運輸業界では「物流の2024年問題」を背景に、M&Aが活発化しています。その背景には、トラックドライバーの時間外労働の上限が年間960時間となり、人材不足に拍車がかかったことが挙げられます。特に中・長距離輸送は人材不足や燃料費高騰などの課題が深刻化しています。 

2024年5月、アルプス物流が米KKR傘下のロジスティードによるTOBを受け入れ、5月にはSGホールディングスがC&Fロジホールディングスを対抗TOBで子会社化するなど大型案件が目立ちました。物流業界では3PL(サードパーティー・ロジスティクス)の強化を図る案件も増加し、ヤマトホールディングスは物流サービス大手のナカノ商会を買収。電子部品物流に強みを持つアルプス物流を傘下に収めたロジスティードは、3PL事業の基盤強化と拡大を目指しています。 

2024年は3PL、低温物流、電子部品物流がM&Aの主要キーワードとなりました。これらの分野は、高度なノウハウや取り扱い管理が求められるニーズの高い領域であり、物流業界では事業効率化や競争力強化を目的とした再編が進んでいます。また、三菱電機は物流子会社の三菱電機ロジスティクスの株式66.6%をセイノーホールディングスに譲渡するなど、物流関連会社を手放す動きも見られています。2025年も引き続き、物流の課題解決と業界再編を目的としたM&Aが活発に行われると予測されています。 

外食・フードサービス業界 

2024年の飲食業界は円安に伴う原材料・人件費、エネルギー価格の上昇、さらにはコロナ禍に対する支援策の縮小・終了などが重なり、厳しい経営環境が続いています。 

そうした厳しい環境下にあっても、2024年の外食・フードサービス業界を対象としたM&Aは活況でした。M&Aの目的も変化しており、2023年5月の新型コロナ5類移行までは事業譲渡案件が目立ちましたが、2024年は外食企業が同業を取得する買収が増加しています。内容を分析すると、消費者に支持される新ブランド・新業態の獲得、インバウンド需要の取り込み、海外進出・海外事業拡大を目的としたM&Aに集約されています。 

2024年5月、日本KFCホールディングスが米投資ファンドのカーライル・グループによるTOBを受け入れ株式非公開化したほか、9月にはすかいらーくホールディングスが北九州発祥のうどん店をチェーン展開する「資さん」を子会社化(240億円)しました。 

2025年も引き続きインバウンド需要や海外展開を狙ったM&Aが行われると予想できます。 

小売業界 

小売業界では2024年、ドラッグストアとスーパーが相互に商品ラインナップを拡大し業態の境界が曖昧になる中、M&Aが活発化しています。主要案件では、セブン&アイ・ホールディングスが米スノコから204店舗を取得(1,457億円)、アインホールディングスがFrancfrancを子会社化(499億円)、イオン北海道が西友の北海道スーパー事業を取得(170億円)しました。 

ドラッグストア業界では、イオン傘下のウエルシアホールディングスと業界2位のツルハホールディングスによる経営統合協議が開始され、業界再編が本格化。コンビニエンスストア業界ではKDDIがローソンのTOBを実施し、三菱商事との共同経営に移行。DXの深化による付加価値の高いサービス提供を目指し、KDDIのテクノロジーと会員基盤を活用した新サービス開発に注力するとみられています。 

2025年も小売業界では競争激化とデジタル化の進展を背景に、スケールメリットによるコスト削減を目指した業界再編型M&Aが継続すると見込まれています。

参照:ダイヤモンド社「M&A年鑑2025」 

中小企業のM&A成功事例5選

M&Aは大企業だけではなく、中小企業にとっても事業継続や成長戦略として重要な選択肢となっています。ここでは、M&Aロイヤルアドバイザリーが仲介した中小企業のM&A成功事例を5つ紹介します。これらの事例は、M&Aが単なる事業承継だけでなく、企業の持続的成長と競争力強化にも大きく貢献することを示しています。 

「守りから攻めへ」高級美容室の挑戦を支えたM&A 

神奈川県相模原市で美容室「Appias」を5店舗展開する株式会社アッピアスは、2024年9月にプライベート・エクイティファンドのブルパス・キャピタルとM&Aを実施しました。創業者兼代表取締役の小泉豪氏は、ミルボン社のオージュアを先駆けて導入した高級サロンとして事業を成長させてきましたが、「ワンマン経営から脱却し、ロジックを持った強いチームと提携することで安定基盤を得たい」という思いからM&Aを検討しました。 

このM&Aの成功要因は以下の通りです。 

  • 明確な条件設定:「経営に引き続き関与できること」「従業員に大きな変化を強いないこと」  
  • 業界課題の解決策:美容業界全体で深刻な人材不足に対するAshantiの採用・育成ノウハウ  
  • 成長戦略の加速:店舗拡大を効率的に進めるための経営基盤の強化  
  • 経営者のマインドシフト:「守りの姿勢ではなく夢を持てるようになった」という意識変革  
  • 将来ビジョンの拡大:海外進出などこれまで実現困難だった目標への挑戦 

この事例は、中小規模の美容室がM&Aを活用して人材採用力の強化と経営基盤の安定化、新たな成長戦略の実現という課題を解決した好例といえるでしょう。特に注目すべきは、M&Aが単なる事業承継や規模拡大だけでなく、経営者自身のマインドセットを「守り」から「攻め」へと変化させる契機となった点です。適切なパートナー選びが経営者の可能性を広げ、ビジネスに新たな活力をもたらした事例として参考になります。 

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「300年の歴史と誇りを未来へ」老舗物流企業の積極的買収戦略 

福島県喜多方市に本社を置く株式会社大善は、元文5年(1740年)の創業以来、約300年の歴史を持つ老舗物流企業です。9代目となる矢部善兵衛社長の下、「質の高いグループ売上100億円」を目標に掲げ、M&Aを成長戦略の柱として積極的に取り組んでいます。2024年には人材派遣・倉庫管理・物流事業を手がける有限会社コーワーカーズとの資本業務提携が実現しました。 

このM&A戦略の成功要因は以下の通りです。 

  • 人重視の姿勢:財務面だけでなく経営者の人柄や企業文化を重視した相手選定  
  • 明確な成長目標:「質の高いグループ売上100億円」という具体的なビジョンの設定  
  • 相互補完性:多様な人材が活躍できる環境づくりと物流ノウハウの相互活用  
  • 伝統と革新の融合:300年の歴史を持ちながら「挑戦に対しての抵抗は全くない」姿勢  
  • プラットフォーム思考:「会社はプラットフォームでありたい」という幅広い領域での成長志向 

老舗企業が培ってきた「人を大切にする文化」を核としながら、M&Aという新たな成長手法を取り入れ、次の300年に向けた挑戦を続ける姿勢は、多くの中小企業にとって参考になる事例といえるでしょう。特に、長い歴史を持つ企業がその歴史に縛られることなく、積極的な成長戦略を展開している点は、伝統産業における新たなビジネスモデル構築の好例となっています。 

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「経営者の孤独から解放」人気カフェが選んだ新たなステージ 

名古屋市を中心に人気カフェ「KANNON COFFEE」を7店舗展開する株式会社KANNONは、2024年8月に建設・建具メーカーの株式会社ホクショーとM&Aを実施しました。創業者の道川慎一氏はイギリス・ロンドンでの経験をもとに自家焙煎コーヒーとオリジナルスイーツを提供するカフェを展開し、美容師としても活動する多忙な日々を送っていました。 

このM&Aの成功ポイントは以下の通りです。 

  • 経営負担の分散:ワンマン経営の限界を感じ、労務や経理業務の負担軽減を実現  
  • 相性重視の相手選定:「足並みを揃えて共に伸ばしていける会社」という基準で選定  
  • 販路の多角化:ホクショーの卸やEC事業のノウハウを活かした新たな販路開拓  
  • 精神的な解放:「肩の荷が下りて気持ちが楽になった」と実感できるマネジメント体制 ・成長機会の獲得:「自分にはできなかった成長」を実現するためのリソース確保 

この事例は、カフェ経営者が「経営者の孤独」から解放され、新たな成長ステージに挑戦する選択肢としてM&Aが有効であることを示しています。特に多忙な創業者が本来の強みを発揮するために、バックオフィス機能の充実と経営リソースの獲得を同時に実現した好例といえるでしょう。 

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「M&Aは足し算ではなく掛け算」エンターテイメント業界の新たな挑戦 

「ダイニングダーツバーBee」などのエンターテイメント・ダイニング事業を展開する株式会社ビーリンクは、2024年12月にアクアリウムクリエイター「GA☆KYO」こと宮澤雅教氏が代表を務める株式会社UWS ENTERTAINMENTとのM&Aを実現しました。このM&Aは「単なる事業拡大」ではなく、「世の中にないエンターテイメントを創造する」という新たな価値創造を目指したものです。 

株式会社ビーリンクの経営企画部長である宮口氏によると、このM&Aの特徴は以下の点にあります。 

  • 相互補完:空間演出とオペレーションの強みを掛け合わせる戦略  
  • 理念の共通性:「感動を提供する」という共通理念が基盤  
  • 経営者同士の相性:人を大切にする経営者同士の価値観の一致  
  • 新たな創造:既存事業の単純統合ではなく、全く新しい価値の創出 

このM&Aによって株式会社ビーリンクは、コロナ禍で認識した「単一事業だけではリスクが高い」という課題を解決しつつ、新たなエンターテイメント領域への挑戦を加速させることに成功しています。 

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「夢と成長の両立」IT企業が描いた新たな未来 

ネットワークとサーバーの設計・構築から電気・通信工事までをワンストップで手がける株式会社exusは、創業者の津村篤史氏が長年抱いてきた飲食店経営の夢を実現するため、2024年10月に北関東最初の情報処理専門企業として創業した株式会社ジーシーシーへの譲渡を選択しました。 

このM&Aの成功要因は以下の点にあります。 

  • 明確な目的意識:創業者の夢実現と会社の更なる発展という両立する目標  
  • 互いの強みの認識:東京での施工能力とデータセンター運営ノウハウの相互補完  
  • 企業文化の尊重:「今まで通りやってください」と言い切れる信頼関係  
  • 計画的な準備:コロナ禍を通じて会社の強みと特性を明確化した戦略的判断  
  • 専門家の効果的活用:M&A仲介会社を「安心を買う」必要経費と位置づけ 

このM&Aは、単なる事業承継ではなく、創業者が自らの夢を追求するための計画的な経営判断であったことが特徴的です。譲渡後も企業の特性や強みが尊重され、むしろ成約時よりも大きな相乗効果が期待できるポジティブな状況が生まれています。両社の連携により、東京都内での受注拡大や新たなソリューション提供など、今後の成長が加速する見込みです。 

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M&A事例から学ぶ成功の3つの共通点

様々なM&A事例を分析すると、業界や企業規模を問わず成功へと導く共通の要素が浮かび上がってきます。ここでは、中小企業がM&Aを検討する際に参考となる3つの成功の共通点を紹介します。 

理念とビジョンの共有 

M&A成功の第一の鍵は、明確な目的と長期的なビジョンの共有です。株式会社ビーリンクと株式会社UWS ENTERTAINMENTの事例では、「感動を提供する」という共通理念が基盤となり、「世の中にないエンターテイメントを創造する」という明確なビジョンがM&A成功を支えました。同様に、株式会社exusも創業者の夢実現と会社の発展という明確な目標設定がありました。 

M&Aを検討する際は次の点を明確にしましょう。 

  • 解決したい経営課題とM&Aの関連性 
  • M&A後の具体的な事業展開計画 
  • 期待されるシナジー効果の数値化 
  • 中長期的な成長戦略における位置づけ 

漠然とした規模拡大だけでは、統合後の価値を最大化することはできません。特に中小企業では、限られた経営資源を効果的に活用するため、目的とビジョンの明確化が不可欠です。 

強みの相互補完 

成功するM&Aの二つ目の特徴は、両社の強みを相互補完できる関係性です。ビーリンクと UWS ENTERTAINMENTは空間演出とオペレーションの強みを、exusとジーシーシーは東京での施工能力とデータセンター運営ノウハウを相互に補完し合う関係を構築しました。 

効果的な相互補完には次のような組み合わせがあります。 

  • 技術力と販路の融合  
  • 人材と設備の最適配置  
  • 地域補完による市場拡大  
  • 専門性と経営効率化の両立  
  • ブランド価値の相乗効果 

こうした相互補完関係があってこそ、M&A後の価値が単純な足し算以上になり、真の相乗効果を生み出すことができるのです。 

人と文化の尊重 

M&A成功の三つ目の共通点は、両社の企業文化と人材を尊重する姿勢です。exusの事例では「今まで通りやってください」と企業の独自性を尊重し、KANNON COFFEEの道川氏は「肩の荷が下りた」と語るなど、経営者の想いを大切にする関係が構築されています。 

人材マネジメントのポイント  

  • キーパーソンの特定と適切な処遇  
  • 段階的な組織統合と明確な役割分担  
  • 従業員との丁寧なコミュニケーション  
  • 両社の良い文化を融合した新たな企業文化の構築 

特に中小企業では、人的資産の価値が大きく、人材流出はM&A後の価値を大きく毀損するリスクがあります。「買収」ではなく「引き継ぐ」という姿勢で、相手企業の文化や人材を尊重することが成功への鍵となります。 

まとめ:M&A事例から学び、自社の戦略に活かそう

本稿で紹介した国内大企業から中小企業までの多様なM&A事例から、成功に導く共通点が見えてきました。M&Aは単なる企業の売買ではなく、経営戦略の一環として位置づけることが重要です。業界動向や自社の課題を踏まえ、相互補完できる相手を選ぶことがM&A成功の第一歩となります。特に中小企業では、理念やビジョンの共有、強みの相互補完、そして人と文化の尊重という3つの要素が成功を左右します。

M&Aのプロセスでは専門家の支援を活用し、買収後の統合(PMI)に注力することで、企業価値の最大化を実現しましょう。環境変化に応じて柔軟にM&A戦略を見直し、持続的な成長につなげていくことが大切です。 M&Aや事業承継に関するお悩みはM&Aロイヤルアドバイザリーへご相談ください。

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