IT・ソフトウェア業界のM&A事例5選【2024年最新版】

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IT・ソフトウェア業界ではM&Aの需要が高まり、積極的に実施されています。若い世代の経営者が多いIT・ソフトウェア業界では事業承継問題の解決だけでなく、更なる成長・発展という前向きなM&Aも目立ちます。本記事では、「IT・ソフトウェア業界のM&A」をテーマに、IT・ソフトウェア業界におけるM&Aの動向やメリット、成功させるポイントなどについて、実際に行われた事例紹介ととも解説します。

IT・ソフトウェア業界のM&A事例

IT・ソフトウェア業界のM&Aについて、過去の事例を紹介します。

2022年11月にカヤックがPapillonを買収

譲渡企業
  • Papillion
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カヤックは、Web制作、トーナメントを企画・運営するツール「Tonamel」に取り組んでいます。Papillonの「e-players」は、東南アジア向けです。両社のノウハウを結集し、世界に通用する大会プラットフォームを構築することで、カヤックがeスポーツ事業の海外展開の第一歩を踏み出すことを目指します。

2022年10月にSYSホールディングスがつくばソフトウェアエンジニアリングを買収

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譲受企業
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つくばソフトエンジニアリングは、映像編集を中心としたソフトウェアの受託開発等の事業を行っています。また、タイに子会社を持ち、現地の日系優良企業と取引をしています。SYSホールディングスは、タイに会社を持つグループの顧客への営業連携や、採用ノウハウの共有をすることにより、グループの事業拡大を図っていく予定です。

2022年9月にカカクコムがPatheeを買収

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Patheeは、実店舗の情報サイト「Pathee.com」や小売店向け販促サービス「STORECAST」を運営しております。カカクコムは、購買支援サイト「価格.com」を運営しております。
両社のノウハウを共有し、実店舗での購買行動に対しても付加価値の高いサービスを提供するために提携することを発表しました。

2022年7月にZpeerがハロペを買収

譲渡企業
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譲受企業
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Zpeerは、獣医師コミュニティサイト「ベットピア」を運営しています。ハロペは、動物病院向けクラウド型顧客会計管理システム「Halope H」を運営しています。Zpeerは2021年末から動物病院向け電子カルテの開発を進めており、両社のシステムを基に、総合的に動物医療を総合的に支援するデジタルプラットフォーム「aino」の構築を目指します。

2022年7月にJR九州システムソリューションズがウイズユニティを買収

譲渡企業
  • ウイズユニティ
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  • 未上場
  • IT・ソフトウェア業界
譲受企業
  • JR九州システムソリューションズ
  • 福岡県
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  • IT・ソフトウェア業界

JR九州システムソリューションズは、九州旅客鉄道株式会社の子会社で、情報システムのコンサルティング、開発、運用管理業務を受託しています。ウイズユニティは、医療系システムや業務系システムの開発・保守を行っています。特に、電子カルテなどの医療系システムなどの分野に強みを持ちます。今後は、九州の医療機関への営業の多様化や商材のクロスセルなどを通じて、相乗効果を図っていきます。

IT業界とは?定義と現状

IT業界とは、PCやインターネットを活用し、情報技術(Information Technology=IT)に付随するサービスを提供する業界です。

2020年のコロナ禍の影響もあり、テレワークやリモートワークなどをきっかけに企業でITが急速に普及しました。

また、「働き方改革」などで企業のIT化の後押しもあり、DX(デジタルフォーメーション)と呼ばれるデジタル改革の勢いは加速し続けています。

とくに、近年ではクラウドやAI、5G、IoTなどがIT業界のトレンドになっていて、市場規模は拡大傾向が続いています。

IT・ソフトウェア業界とは?IT業界の分類・構造

IT業界といってもさらに細かく業界分けができ、IT・ソフトウェア業界ではソフトウェア開発(電子機器で動くプログラムの製造)をして販売することが主です。

システムの企画・設計から開発を行い、導入後の保守・運用なども行っています。

IT業界は以下のように、ソフトウェア業界を含めて5つの業種に分類されます。

  • インターネット・Webサービス
  • 情報処理サービス
  • 通信インフラ
  • ソフトウェア
  • ハードウェア

それぞれの分野が何をしているか表にまとめます。

業界業務内容
インターネット・Webサービスインターネットを通した各種サービスを提供します。たとえば、インターネット広告やWebサイトの制作、SNSやECサイトの運用や展開等です。
WebデザイナーやWebディレクターなどの職種が該当します。
情報処理サービス企業に必要なシステムのサポートを提供します。
顧客の課題や希望に応じて、IT技術を使ったサービスの開発やシステムの導入、運用までを行います。
課題のヒアリングやコンサルティング、導入するソフトウェアの開発、運用・管理などが業務で、異業種との連携や交渉が多いです。
セールスエンジニアやITコンサルタントなどの職種があります。
通信インフラインターネットや電話などの通信インフラを構築したり、既存の通信サービスや新規のものを提供したりします。
電気、ガス、水道に並ぶ第4のインフラと言われ、KDDIやSoftBank、NTT docomoなどが企業例です。
ソフトウェアスマホやPCで利用するアプリやソフトの開発や提供をします。
超大手で言えば、Microsoftなどが代表企業例です。
ハードウェアスマホやPC、モニター、キーボード、ゲーム機などの電子機器そのものの開発や提供をします。
FUJITSUやNEC、HITACHIなどがその企業例です。

IT業界の売上の約半分はソフトウェア業界で、ソフトウェアも領域は広く、以下の5つの種類があります。

  • OS(オペレーティングシステム)
  • アプリケーション
  • デバイスドライバ
  • ミドルウェア
  • ファーウェア

「OS」はスマホやPCを動作させるための基盤ソフトで、「アプリケーション」はある特定の機能を動作させるものです。

このOSとアプリケーションの間をとりもつソフトが「ミドルウェア」です。

「デバイスドライバ」は内蔵された機器やプリンタなど外部接続されたIT機器を制御するソフトを指します。

ファームウェアはIT機器に組み込まれたシステム制御のためのソフトです。

ソフトウェア業界の仕事内容

ソフトウェア業界の具体的な仕事内容ですが、主に以下の2つがあります。

  • 受託ソフトウェアの開発
  • パッケージソフトウェアの開発

受託ソフトウェア開発はBtoB型の企業向けサービスで、クライアント企業から「こういったソフトを開発して欲しい。」という依頼を受けて作成を行うスタイルです。

パッケージソフトウェア開発は、自社開発して販売している既存のソフトをさらにバージョンアップしたり、新しいパッケージソフトを作成したりします。

職種としては、システムエンジニアやプログラマをはじめ、プロジェクトマネージャーなどです。

IT・ソフトウェア業界の商流

IT業界は、商流のピラミッド構造(多重下請け構造)がよく見られます。

概要としては、クライアント企業の発注した業務は元請け(SIer)と契約され、SIerから下請けの中小企業へと仕事が回るなど、業務分担されるケースが多いです。

下請け企業も一次下請け→二次下請けへと多重下請け構造で業務が分担されていきますが、基本的に元請けSIerが頂点になっています。

SIerとはシステムインテグレーターの略で、システム開発会社のことを意味しています。

基本的には、情報処理サービス業界やソフトウェア業界にいる企業がSIerになっていることが多いです。

SIerは顧客からの依頼案件を受けてITシステムの設計から構築、運用を行っていますが、システム業務以外にも下請けとの連携などのマネジメント系の業務もあります。

SIerにも種類があり、主にハードウェアを扱うメーカー系や、親会社が大企業の商社や金融会社であるユーザー系、独自経営の独立系などがあります。

メーカー系の企業例は、NECソリューションイノベータ、富士通エフ・アイ・ピー、IBMなどです。

ユーザー系の企業例としては、伊藤忠テクノソリューションズや新日鉄住金ソリューションズがあり、独立系では大塚商会や富士ソフトなどがあります。

IT・ソフトウェア業界の今後と将来性

IT業界は今後も伸びると言われている業界であり、将来性は非常によいです。

今後もあらゆるサービスのクラウド化や仮想化が進み、AIやビッグデータも活発化していくでしょう。

業界の動きに着目したときに、予想されている今後の動向は以下のとおりです。

  • IT業界はトップ産業に
  • IT人材の需要が増す
  • ピラミッド構造(多重下請け構造)の是正
  • 企業の地方分散
  • シナジー効果の期待性が高まる

それぞれ解説します。

IT業界はトップ産業に

2022年の世界時価総額ランキングをみても、アメリカのIT企業がトップを占めています。

GAFAMといわれるGoogle(alphabet)、Apple、Facebook(Meta)、Amazon、MicrosoftなどのITの超大手企業が上位を占めているのを見ると一目瞭然です。

国内の民間企業もIT市場へどんどん参入しており、「働き方改革」などでIT投資も増えてきました。

2022年現在の国内市場規模は約20兆円(国内市場の全産業中で最大規模)であり、今後もITへの投資は進むことが予想されています。

年々IT業界の需要が高まってきたことにつれて、IT業界のM&Aも徐々に増えてきています。

IT人材の需要が増す

IT業界の市場拡大に伴って、IT業務に携われるIT人材の需要も年々高まり続けます。

現時点でも国内のIT人材のニーズに、供給が追いついてない人材不足の状態です。

背景問題として日本の労働人口そのものの減少もあります。

実際に経済産業省は、2019年の IT人材全体数の需要・供給に関する調査結果でIT人材不足を示唆しています。

最悪のシナリオでは、2030年で国内のIT人材の需給ギャップは約79万人という数値もだしているほどです。

ピラミッド構造(多重下請け構造)の是正

上述したようなIT業界のピラミッド構造(多重下請け構造)には大きく2つの問題点があります。

一つ目は、収入格差の問題です。

下請けへの委託が増えるたびにマージンが抜かれるため、二次下請け企業よりも一次下請け企業の方が、三次下請け企業よりも二次下請け企業の方が年収は高くなります。

この収入格差が大きいことが現時点の問題のひとつです。

二つ目は、教育制度の問題です。

下請けも下層になるほど、単純作業が増えていき、新しい技術の習得や経験が難しいといった状態になります。

一方で、一次下請けなどの上流工程では、基礎的な作業を下層に割り当てるため、プログラミングなどの技術が定着しづらいといった問題があります。

このような状態から脱却を図るため、最近ではM&Aなどの事業拡大に踏み切る企業も多いです。

IT企業の地方分散

新型コロナウイルス感染症の影響などによって近年急速にテレワークやリモートワークが普及し、全国どこにいても仕事ができる環境が実現してきています。

東京に拠点を置いていたIT企業も遠隔で事業を行える環境なため、思い切って地方に移転するケースも少なくありません。

国もITを活用した地方活性化を進めているということもあり、自治体のバックアップ体制も整ってきています。

地方移転のメリットとしては、固定費などのコスト削減や自治体の支援制度の活用はもちろん、通勤時間の削減などで社員のワークライフバランスを整えやすいこともあるでしょう。

社員のストレス削減は、生産性のアップにも大きく寄与します。

とくに近年は、福岡が注目されており、IT企業がどんどん増えて活発になっています。

このトレンドは今後も続くでしょう。

シナジー効果の期待性が高まる

シナジー効果とは「相乗効果」を意味し、企業がタイアップしたり経営の多角化をしたりして想定以上のビジネス展開ができることです。

とくにM&Aなどをきっかけにして、シナジー効果を生み出せるケースが多いです。

シナジー効果を狙って、実際にIT業界ではM&Aが選択されることも増えてきました。

IT・ソフトウェア業界でM&Aが増えている理由

IT・ソフトウェア業界はIT業界の中でもとくにM&Aが増えている業界です。

M&Aとは「Mergers and Acquisitions」の略で、企業の合併と買収を意味しています。

小売業界や不動産業界だけでなくIT業界でも近年は活発化しています。

一般的な売却メリットとしては、買収企業から資金を支援してもらえたり、買収企業の資源やブランド力で事業拡大を狙えたりすることがあげられます。

また、経営者が高齢化し後継者が不在で譲渡が難しい場合などは、事業承継を狙えるのも売却の強みでしょう。

実はIT業界では、株式を譲渡した後も半数以上のオーナーが経営者のポジションに就いており、M&Aは単なる譲渡ではなく経営戦略とも言えるのです。

一方、買収のメリットとしては、優秀な従業員を確保できたり、新規事業や営業ルートを開拓できたりすることです。

また、買収した企業が蓄積してきた技術や営業に関するノウハウを自社にいかせるのもメリットでしょう。

そして、とくにIT・ソフトウェア業界については、業界の構造や高い専門性が求められることから以下の理由でM&Aが行われています。

  • ピラミッド構造(多重下請け構造)からの脱却
  • 大企業の傘下に入る経営戦略
  • IT人材の不足問題の解決
  • 技術獲得や新しいビジネス展開

それぞれ解説します。

ピラミッド構造(多重下請け構造)からの脱却

上述したように、IT業界にはピラミッド構造(多重下請け構造)が散見され、下流の下請け企業は薄利で労働条件も悪くなっているケースが多いです。

一方で、上流は重要な取引をメインで扱えるため利益をあげやすく、社員への待遇がよい企業が多いです。

下流にいる下請けになっている場合、こういった状況からの脱却を目的に、M&Aで会社の譲渡を検討する経営者やオーナーさんも増えてきました。

大企業の傘下に入る経営戦略

IT・ソフトウェア業界は他の業界と比較してもベンチャー企業やスタートアップなど実績がまだ十分でない企業が多いです。

こういった企業は資金不足の問題になりやすく、経営を安定させるためにM&Aで大手企業の傘下に入ることを検討するケースも増えてきました。

資金難問題の解決策として、以前はIPO(新規上場株式)で複数の企業からの資金調達が中心でしたが、最近ではM&Aで株式を譲渡するケースも多いです。

大手企業とM&Aをすることによって、経営基盤を強化するだけでなく新しい技術や人材によって企業の成長スピードを早められます。

IT人材の不足問題の解決

上述したように、どの企業でもIT人材不足は深刻な問題です。

仕事はあっても、対応できる専門性をもった人材がいないために受注ができないといったケースもめずらしくありません。

IT・ソフトウェア業界は技術変化が激しく、技術者の保有しているスキルで売上や取引の継続が左右されます。

エンジニアが多く所属する企業をM&Aすることによって、一気に技術者を獲得して人材不足を解消し、取引の成約件数を伸ばす企業事例も多いです。

実際、社内で新しいIT人材を育てたり、1人ずつ採用したりするよりもスピーディに問題解決を図っていけます。

技術獲得や新しいビジネス展開

近年ではとくに「AI」や「IoT」が注目されており、IT・ソフトウェア業界の技術革新のスピードは非常に早いです。

新しい技術や機能をM&Aでとりこみ、ビジネス展開の幅を広げているケースも増えてきています。

中でも、IT業界以外の業種からIT企業へのM&Aの需要が高まっています。

たとえば、不動産とITを掛け合わせ、ITの力で不動産売買や貸借を行う不動産テックというビジネスが急速に拡大しています。

この不動産テックによって、不動産業界そのものがハード(物件の所有や取得)からソフト(物件の利用)にビジネスを移してきています。

IT・ソフトウェア業界でM&Aを成功させるポイント

IT・ソフトウェア業界のM&Aを行う場合は、その業界に強いM&A仲介会社に相談することをおすすめします。数多くの候補先企業を紹介してくれるだけでなく、業界特有のリスク等の助言が受けられます。

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無料相談は随時お受けしておりますので、お気軽にご連絡ください。

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