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DESとは「デット・エクイティ・スワップ」の略で、企業の財務改善や事業再建において重要な役割を果たす手法です。借入金などの債務を株式に転換することで、企業の資本構成を改善し、財務基盤の強化を図ることができます。
近年、M&Aや事業承継の場面でも活用されることが増えており、中小企業の経営者にとっても知っておくべき重要な手法といえるでしょう。本記事では、DESの基本的な仕組みから、疑似DESやDDSとの違い、具体的な手続きの流れ、メリット・デメリット、さらには実務上の注意点まで、わかりやすく解説していきます。
目次
DES(Debt Equity Swap)とは、文字通り「債務の株式化」を意味する金融手法です。企業が抱える借入金や社債などの債務を、株式に転換することで、負債を資本に変更する取引を指します。
この手法は、主に財務状況が悪化した企業の再建や、事業承継時の財務改善などに活用されます。DESを実行することで、企業は負債の減少と純資産の増加を同時に実現でき、財務体質の健全化を図ることができます。
近年、DESが注目される背景には、いくつかの要因があります。まず、企業の財務健全性に対する要求の高まりが挙げられます。金融機関の融資審査が厳格化する中で、自己資本比率の改善は企業にとって重要な課題となっています。
さらに、事業承継時における後継者の負担軽減や、相続税対策としての活用も増えています。特に中小企業においては、オーナー経営者の相続時に発生する税務負担を軽減する手段として、DESが有効活用されています。
DESを実行する基本的な効果としてまず、負債の減少により、企業の返済負担が軽減されます。同時に、純資産の増加により、財務指標の改善が期待できます。
また、利息負担の軽減により、キャッシュフローの改善効果も見込めます。これらの効果により、企業の信用力向上や、新たな資金調達の可能性が広がることになります。
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DESの手続きには、主に「現物出資型」と「金銭出資型(擬似DES)」の2つの方法があります。それぞれの特徴と手続きの流れを理解することで、自社に最適な方法を選択することができます。
現物出資型が一般的に採用される理由は、手続きの簡便さと税務上の取り扱いにあります。一方、金銭出資型は、特定の状況下で選択される場合があります。
現物出資型DESは、最も一般的な手法です。債権者が保有する債権を現物として出資し、その対価として株式を発行する方法です。この場合、実際の現金移動は発生せず、上の処理のみで完結します。
手続きの流れは、第三者割当増資の手続きに準じて行われます。具体的には、募集要項の決定を行い、株主や債権者への通知と募集を実施し、割当先の決定後に現物(債権)の引渡しと登記手続きという流れで進みます。
金銭出資型DESは、擬似DESとも呼ばれます。この方法では、債権者が一旦現金で出資を行い、その現金を借入金の返済に充当した後、株式を発行するという流れになります。
実質的な効果は現物出資型と同等ですが、現金の移動が発生するため、税務上の取り扱いや手続きが若干異なります。特定の状況では、この方法が選択される場合があります。
DESの手続きを進めるにあたって、必要な書類の準備が重要です。主な書類には、取締役会議事録、株主総会議事録、株主リスト、総数引受契約書、資本金計上証明書などがあります。
また、税務上の適格性を確保するための検討や、既存株主への影響評価も必要です。これらの準備を適切に行うことで、スムーズな手続きの実行が可能になります。
DESを実行する際には、債務者側と債権者側の双方にメリットとデメリットが存在します。これらを正しく理解することで、適切な判断を行うことができます。
特に中小企業においては、経営者と金融機関の関係性や、将来の事業計画との整合性を考慮することが重要です。
企業側にとってのメリットは多岐にわたります。最も大きなメリットは、財務改善効果です。負債の減少と純資産の増加により、自己資本比率の改善が期待できます。
また、利息負担や元本返済の義務がなくなることで、キャッシュフローの改善も実現できます。資本金の増加により信用力が向上し、新たな融資の獲得や取引先との関係改善にもつながる可能性があります。
さらに、事業承継時には、後継者の負担軽減効果も期待できます。借入金が株式に転換されることで、後継者が引き継ぐ債務が減少し、経営の安定化に寄与します。
一方で、企業側にはいくつかのデメリットも存在します。まず、株式を発行することで、配当負担が発生する可能性があります。また、新たな株主を迎えることにより経営の自由度が制限される場合もあります。
さらに、資本金の増加により、中小企業向けの税制優遇措置の適用外となるリスクもあります。具体的には、軽減税率の適用除外や交際費の損金算入限度額の変更などが考えられます。
債権者側のメリットとしては、経営参加による関与強化があります。株主として企業の経営に参画することで、より積極的な支援が可能になります。また、企業の業績回復時には、キャピタルゲインや配当収益の獲得も期待できます。
しかし、デメリットも存在します。利息収入や元本返済の確実性を失うことになり、企業の再建が失敗した場合の損失リスクを負うことになります。特に非公開株式の場合、換金性が低く、投資回収の時期が不確実になる可能性があります。
DESを実行する際には、税務上の取り扱いに十分注意が必要です。適格性の判定や課税関係の整理は、専門的な知識を要する重要な論点です。
特に、債務消滅益の課税や贈与税の問題は、実務上頻繁に問題となる事項です。事前の検討と適切な対策が不可欠です。
DESにおいて最も重要な税務論点の一つが、適格・非適格現物出資の判定です。非適格現物出資と判定された場合、債務消滅益として課税対象となります。
適格現物出資の要件を満たすためには、完全支配関係があることや主要な資産や負債の移転、従業員の80%が被現物出資法人の業務に従事することなどが必要とされます。しかし、金融機関が債権者の場合、これらの要件を満たすことは困難な場合が多いです。
このため、実務上は非適格現物出資として取り扱われることが一般的であり、債務消滅益の課税を前提とした計画立案が必要になります。
DESの実行により資本金が1億円を超える場合、中小企業向けの税制優遇措置の適用外となります。具体的には、以下のような影響が考えられます。
これらの影響を総合的に検討し、DESの実行可否を判断することが重要です。場合によっては、資本金の額を調整する必要も生じます。
DESを実行する際に注意が必要なのが、株主間の贈与税問題です。新株発行により既存株主の持分割合が変動し、実質的な利益移転が発生する可能性があります。
有利発行に該当する場合、既存株主から新株主への贈与とみなされ、贈与税の課税対象となる可能性があります。この問題を回避するためには、適正な株価による発行価額の設定が必要です。
DESは、M&Aや事業承継の場面において、非常に有効な手法として活用されています。特に、財務状況の改善や相続税対策として、その効果が注目されています。
以下の表は、DESとDDS(デット・デット・スワップ)の主な違いを示しています。
項目 | DES | DDS |
---|---|---|
内容 | 借入金を株式に転換 | 借入金を劣後ローンに借換 |
効果 | 資本構成の改善 | 財務改善(債務順位の変更) |
主な対象 | 株式発行が可能な企業 | 中小企業が中心 |
税務影響 | 債務消滅益の課税リスク | 比較的影響が少ない |
DESは、後継者の負担軽減にも大きな効果をもたらします。借入金が株式に転換されることで、後継者が引き継ぐ債務が減少し、事業承継後の経営安定化に寄与します。
特に、個人保証を提供している場合、DESにより借入金が減少することで、後継者の保証負担も軽減される可能性があります。これにより、後継者はより安定した経営環境でスタートを切ることができます。
M&Aを検討している企業にとって、DESは企業価値の向上に寄与する手法です。財務体質の改善により、買収候補企業としての魅力度が向上し、より良い条件での譲渡が期待できます。
また、デューデリジェンスにおいても、健全な財務状況は高く評価される要素となります。事前にDESを実行することで、スムーズなM&A取引の実現が可能になります。
DESを実際に実行する際には、様々な実務上の注意点があります。これらを事前に理解し、適切な対策を講じることで、想定外のトラブルを避けることができます。
特に、専門家との連携や、関係者間の合意形成は重要な要素です。十分な準備と検討を行うことで、DESの効果を最大化できます。
DESの実行には、多岐にわたる専門知識が必要です。税務、、法務の各分野において、専門家の助言を仰ぐことが不可欠です。
特に、以下の専門家との連携が重要です。
これらの専門家と連携することで、DESの効果を最大化し、リスクを最小化することができます。
DESの実行により、既存株主の持分割合が変動します。このため、事前に既存株主との十分な調整が必要です。特に、同族会社においては、親族間の利害調整が重要な要素となります。
株主間契約の見直しや、議決権の取り扱いについても、事前に検討し、必要に応じて調整を行うことが重要です。
DESの実行時期は、その効果に大きな影響を与えます。事業年度や決算時期、相続発生時期などを考慮し、最適なタイミングを見極めることが重要です。
また、税制改正の動向や金融環境の変化も考慮に入れる必要があります。適切な時期に実行することで、DESの効果を最大化できます。
DESは、企業の財務改善や事業承継において非常に有効な手法です。借入金を株式に転換することで、財務体質の健全化とキャッシュフローの改善を同時に実現できます。
ただし、税務上の取り扱いや既存株主への影響など、注意すべき点も多く存在します。適切な専門家との連携のもとで、慎重な検討と準備を行うことが成功の鍵となります。
M&Aや事業承継を検討している企業経営者にとって、DESは重要な選択肢の一つです。自社の状況に最適な手法を選択し、効果的に活用することで、企業価値の向上と円滑な事業承継が実現できます。DESの実行を検討する際は、早期の段階から専門家に相談し、総合的な戦略の一環として検討することをお勧めします。
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