赤字とは?赤字の種類や赤字決算のメリット・デメリットを解説

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企業経営において避けて通れない課題の一つが「赤字」です。赤字とは深刻な問題として受け止められがちですが、実際には赤字決算は税務上のメリットもあり、必ずしも悪いことばかりではありません。赤字には様々な種類があり、それぞれ異なる原因と対処法が存在します。創業間もない企業や事業転換期にある企業では、一時的な赤字が成長への投資として位置づけられる場合もあります。一方で、恒常的な赤字とは企業の存続に関わる重大な問題となり得るため、適切な理解と対策が不可欠です。 本記事では、赤字とは何か、その定義や種類別の特徴、メリット・デメリット、具体的な脱却方法まで包括的に解説いたします。

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    赤字決算とは

    赤字決算について理解するためには、まず基本的な定義と関連する概念との違いを明確にする必要があります。赤字は企業の財務状況を表す重要な指標であり、その意味を正確に把握することで適切な経営判断が可能になります。

    赤字の基本的な定義

    赤字とは、会計期間における収益が費用を下回り、損失が計上された状態を指します。これは法人企業・個人事業主を問わず共通する定義であり、損益計算書上でマイナスの利益として表示されます。赤字が発生したからといって、直ちに倒産の危機に直面するわけではありませんが、継続的な赤字は企業の持続可能性に大きなリスクをもたらす可能性があります。

    赤字の発生は、売上高の減少、原価や費用の増大、または両方の要因が組み合わさることで生じます。特に中小企業においては、市場環境の変化や競合他社との競争激化により、予想以上に早期に赤字に転落する場合があります。しかし、赤字そのものが必ずしも経営の失敗を意味するわけではなく、戦略的な投資や事業拡大の過程で一時的に発生する場合も少なくありません。

    債務超過との違い

    赤字と混同されやすい概念として債務超過があります。債務超過とは、企業の負債総額が資産総額を上回る状態のことで、純資産がマイナスになっている状況を指します。これは貸借対照表上の問題であり、仮に全ての資産を売却したとしても、すべての債務を返済できない状態を意味しています。

    赤字は損益計算書上の一定期間の業績を示すものであるのに対し、債務超過は貸借対照表上の特定時点における財政状態を表します。赤字企業であっても十分な資産を保有していれば債務超過には陥りませんし、逆に黒字企業でも過去の累積損失により債務超過状態にある場合もあります。債務超過は企業の存続により深刻な影響を与える状態であり、金融機関からの信用失墜や取引先からの取引停止などのリスクが高まります。

    資金ショートとの関係

    資金ショートは、運転資金の枯渇により支払い不能状態に陥ることを指します。赤字企業であってもキャッシュフローが健全であれば資金ショートは回避可能である一方、黒字企業であっても売掛金の回収遅延や在庫の滞留により資金ショートに陥る可能性があります。これは損益とキャッシュフローが必ずしも一致しないためです。

    特に成長企業においては、売上拡大に伴う運転資金需要の増加により、利益は出ているにもかかわらず資金繰りが悪化するケースが見られます。このような状況では、金融機関からの追加融資や取引条件の見直しなど、早急な対策が必要になります。資金ショートは企業の即座の破綻リスクを高めるため、損益管理と併せて資金繰り管理の重要性も認識しておく必要があります。

    赤字の種類と特徴

    赤字にはいくつかの分類方法があり、それぞれ異なる原因と対策が求められます。まずは損益計算書の各利益段階における赤字の種類を理解し、続いて発生時期や性質による分類について詳しく見ていきましょう。

    損益計算書上の区分別分類

    損益計算書には複数の利益段階があり、どの段階で赤字が発生しているかにより、問題の深刻度や対策の方向性が大きく異なります。売上総利益から当期純利益まで、各段階での赤字の特徴を正確に把握することが、効果的な改善策立案の第一歩となります

    売上総利益の赤字は、売上高から売上原価を差し引いた段階で損失が生じている状態です。これは収益構造そのものに根本的な問題があることを示しており、商品やサービスの価格設定、原価管理、調達戦略の見直しが急務となります。営業利益の赤字(営業損失)は、売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引いた段階での損失で、本業のコスト管理が不十分であることを意味します。

    経常利益の赤字(経常損失)は、営業外収支も含めた継続的な事業活動における損失を表します。借入金利息などの財務コストが利益を圧迫している場合もあり、資本構成の見直しが必要になる場合があります。当期純利益の赤字(当期純損失)は、特別損益や税金を考慮した最終的な赤字で、企業の総合的な業績を示す指標となります。

    発生時期・性質別の分類

    赤字は発生する時期や性質によっても分類することができ、それぞれ異なるアプローチが求められます。創業赤字、恒常赤字、臨時的赤字の3つに大別され、経営者はどのタイプの赤字に直面しているかを正確に判断する必要があります。

    創業赤字は企業設立初期に発生する一時的な赤字で、設備投資や人材採用、マーケティング活動などの初期投資負担によるものです。この種の赤字は事業の成長過程において自然に発生するものであり、将来の収益性向上への投資として位置づけられます。適切な事業計画に基づいている限り、過度に心配する必要はありませんが、資金調達計画は慎重に立てる必要があります。

    恒常赤字は長期間にわたって継続する構造的な赤字で、競争力不足や市場縮小などが主要因となります。この状態が続くと企業の存続に深刻な影響を与えるため、抜本的な事業再構築や戦略転換が必要になります。臨時的赤字は、自然災害、訴訟、貸倒れなどの突発的な要因により発生する一時的な赤字です。通常の事業活動とは別の特別な要因によるものであり、適切なリスク管理により予防や影響軽減が可能です。

    業種別にみる赤字の特徴

    業種によって赤字の発生パターンや対処法は大きく異なります。製造業では設備投資や原材料費の変動が赤字の主要因となることが多く、サービス業では人件費や賃料などの固定費負担が重要な要素となります。

    IT関連業種では初期の研究開発投資や人材確保のコストが先行し、収益化までのタイムラグにより創業赤字が発生しやすい傾向があります。各業種の特性を理解し、業界平均や同業他社との比較分析を行うことで、自社の赤字の性質をより正確に把握することができます。

    赤字決算のメリット

    赤字決算には確実にデメリットが存在しますが、同時に税務上や財務上のメリットも存在します。これらのメリットを適切に理解し活用することで、企業の財務負担を軽減し、将来の成長につなげることが可能になります 。

    法人における税務メリット

    法人が赤字決算となった場合、最大のメリットは法人税の負担軽減です。課税所得がゼロまたはマイナスとなるため、法人税や所得に連動する地方税の納付が不要になります。ただし、消費税や法人住民税の均等割については、赤字であっても納付義務が継続することに注意が必要です。

    繰越欠損金控除は、赤字決算の重要なメリットの一つです。最大10年間にわたって、翌期以降の利益と相殺することが可能で、特に資本金1億円未満の中小法人では全額控除が認められています。これにより、将来黒字化した際の税負担を大幅に軽減することができます。

    欠損金の繰戻し還付制度も重要なメリットです。資本金1億円以下の法人については、前期が黒字で当期が赤字の場合、前期に納付した法人税の還付を受けることができます。これは資金繰り改善に直接的な効果をもたらし、特に一時的な赤字に陥った企業にとって有効な制度です。また、予定納税を行っている場合の過払い分についても還付対象となるため、キャッシュフローの改善に寄与します。

    個人事業主における税務メリット

    個人事業主が事業で赤字を計上した場合も、いくつかの税務メリットを享受することができます。事業所得が赤字となった場合、所得税の納付が不要になり、確定申告の義務も免除される場合があります

    青色申告を行っている個人事業主については、純損失の繰り越し控除が最長3年間認められています。これにより、当年の事業赤字を翌年以降の事業所得から控除することが可能になります。また、純損失の繰戻し還付制度により、前年分の所得税の還付を受けることもできます。これらの制度を適切に活用することで、個人事業主であっても赤字による税務負担の軽減効果を得ることができます。

    戦略的な赤字活用

    一部の企業では、税務メリットを最大化するため戦略的に赤字決算を選択する場合があります。例えば、大型の設備投資や研究開発費を集中的に計上することで、一時的に赤字にして税負担を軽減し、将来の競争力強化につなげる戦略です。この場合、単年度の利益よりも中長期的な企業価値向上を重視した経営判断となります。

    また、事業承継を控えた企業では、株式評価額を下げる目的で意図的に赤字決算とする場合もあります。これにより事業承継時の相続税や贈与税の負担を軽減することが可能になります。ただし、このような戦略的な赤字活用は、税理士などの専門家との十分な相談の上で実施する必要があり、税務調査等のリスクも考慮しなければなりません。

    赤字決算のデメリットと経営への影響

    赤字決算のメリットがある一方で、多くのデメリットも存在します。これらのデメリットは企業の信用力、資金調達能力、従業員のモチベーションなど、経営全般に広範囲にわたって影響を与える可能性があります。

    金融機関評価への悪影響

    赤字決算の最も深刻なデメリットの一つは、金融機関からの評価悪化です。債務者区分が「正常先」から「要注意先」などにダウングレードされる可能性が高く、これは今後の融資条件に大きな影響を与えます。創業間もない企業や一時的な特別要因による赤字の場合は影響が限定的ですが、恒常的な赤字の場合は評価への影響が大きくなります。

    金融機関は企業の返済能力を厳しく査定するため、赤字決算により既存融資の条件見直しを求められる場合があります。具体的には金利の引き上げ、担保の追加提供、返済期間の短縮、経営者保証の強化などが挙げられます。これらの条件変更は企業のキャッシュフローをさらに圧迫し、経営状況の悪化を加速させる悪循環を生む可能性があります。

    新規融資についても、赤字企業への審査は格段に厳しくなります。事業計画の妥当性や改善策の具体性、経営者の資質など、通常以上に詳細な検討が行われます。また、融資が承認されたとしても、金利や担保条件は厳しいものになることが一般的です。

    債務超過・倒産リスクの増大

    継続的な赤字は企業の純資産を減少させ、最終的には債務超過状態に陥る可能性を高めます。債務超過となると金融機関からの追加融資がさらに困難になり、連鎖的な資金ショートのリスクが増大します。このような状況では事業継続そのものが危険な状態となり、最悪の場合は倒産に至る可能性もあります

    取引先からの信用も低下し、掛取引の停止や前払い条件の要求など、事業運営に支障をきたす事態が発生する可能性があります。特に下請け企業や小規模事業者にとって、主要取引先からの取引条件変更は致命的な影響を与える場合があります。また、優秀な人材の流出や新規採用の困難化により、競争力のさらなる低下を招く可能性もあります。

    従業員モチベーションと組織への影響

    赤字決算は従業員のモチベーションに深刻な影響を与えます。倒産への不安や給与減少の懸念により、優秀な人材の離職が増加し、残った従業員の生産性や定着率も悪化する傾向があります。このような人材面での問題は、企業の競争力回復を一層困難にし、赤字からの脱却を遅らせる要因となります

    また、赤字状況下では賞与の削減や昇給の凍結などが実施される場合が多く、これらは従業員のモチベーション低下に直結します。特に中小企業では、経営者と従業員の距離が近いため、赤字の影響がより直接的に伝わりやすく、組織全体の士気に与える影響も大きくなります。人材育成投資の削減により、将来的な競争力向上の機会も失われる可能性があります。

    取引先との関係悪化

    赤字決算により信用力が低下すると、仕入先との取引条件にも影響が及びます。支払いサイトの短縮や現金取引への変更を求められる場合があり、これは運転資金需要の増大につながります。また、新規取引先の開拓も困難になり、事業拡大の機会が制限される可能性があります。

    販売先についても、長期契約の更新拒否や取引量の削減など、様々な形で影響が現れる場合があります。特にBtoB事業においては、取引先の与信管理により継続取引が困難になるケースも見られます。これらの取引関係の悪化は、売上減少という形で企業業績にさらなる悪影響を与える可能性があります。

    影響範囲主な悪影響対処の緊急度
    金融機関融資条件悪化、新規借入困難
    取引先取引条件変更、新規開拓困難
    従業員モチベーション低下、人材流出
    株主・出資者株式価値下落、追加出資要求

    赤字からの脱却に向けた具体的対策

    赤字からの脱却には体系的なアプローチが必要です。財務面での改善から事業戦略の見直しまで、多角的な取り組みを通じて持続可能な収益構造の構築を目指します。早期の対策実施により、赤字の長期化を防ぎ、企業の競争力回復を図ることが可能になります。

    キャッシュフロー管理の徹底

    赤字脱却の第一歩は、キャッシュフロー管理の徹底です。資金繰り表やキャッシュフロー計算書の整備により、現金の流入・流出を正確に把握し、将来の資金需要を予測することが重要です。特に赤字企業では、損益とキャッシュフローのギャップを理解し、資金ショートを防ぐための対策を講じる必要があります。

    売上債権の回収期間短縮は、キャッシュフロー改善の有効な手段です。請求書発行の早期化、回収期間の短縮交渉、債権管理の強化により、運転資金需要を削減することができます。一方、支払いサイクルについては、取引先との関係を維持しながら可能な限り延長を図り、資金繰りの改善を目指します。在庫回転率の向上も重要な要素であり、適正在庫の維持により資金効率を高めることができます。

    緊急時の資金調達手段も事前に検討しておく必要があります。金融機関との関係維持、資産の流動化、ファクタリングの活用など、複数の選択肢を準備することで、予期せぬ資金需要に対応することが可能になります。

    収益性改善のための戦略的取り組み

    商品・サービスの単価向上は、赤字脱却のための重要な戦略です。既存顧客に対するアップセルやクロスセル戦略により、一顧客当たりの売上増加を図ります。価値訴求を通じた価格改定も効果的であり、品質やサービス向上により顧客の支払意欲を高めることで、適正な価格設定を実現できます

    新商品・新サービスの開発により、収益の多様化を図ることも重要です。市場ニーズを的確に捉えた商品開発により、競合他社との差別化を図り、価格競争から脱却することが可能になります。また、定期的な収益源の確保により、売上の安定化を図ることもできます。

    営業体制の強化も収益性改善に直結します。営業プロセスの標準化、顧客管理システムの導入、営業担当者のスキル向上により、営業効率と成約率の向上を実現します。デジタルマーケティングの活用により、新規顧客獲得コストの削減と効果測定の精度向上も期待できます。

    コスト削減と事業効率化

    全社的なコスト見直しは赤字脱却の基本的な取り組みです。仕入先との価格交渉や相見積もりの実施により、調達コストの削減を図ります。固定費についても、賃料、保険料、通信費などの見直しにより、継続的なコスト削減効果を得ることができます。人件費については、慎重な検討が必要ですが、適正な人員配置や業務効率化により、生産性向上を図ることが重要です。

    不採算部門の整理も重要な選択肢の一つです。事業譲渡や撤退により、経営資源を収益性の高い事業に集中することで、全体的な収益性向上を図ることができます。選択と集中の戦略により、限られた経営資源を最も効果的に活用し、競争力のある事業領域での地位確立を目指します

    外部支援の活用

    赤字脱却には外部の専門家による支援も有効です。経営コンサルタントによる客観的な現状分析と改善提案、税理士による税務最適化、中小企業診断士による補助金活用支援など、様々な専門知識を活用することができます 。

    金融機関との関係改善も重要な要素です。経営改善計画書の作成と提出により、金融機関からの理解と支援を得ることができます。リスケジュールや条件変更により、当面の資金繰りを安定化させ、事業再生に集中することが可能になります。

    • 専門家による現状分析と課題抽出
    • 経営改善計画の策定と実行支援
    • 補助金・助成金の活用による資金調達
    • 金融機関との交渉支援
    • 事業承継M&Aによる解決策の検討

    中長期的な企業体質改善

    赤字からの完全脱却のためには、中長期的な企業体質改善が不可欠です。管理会計システムの導入により、部門別・商品別の収益性を正確に把握し、データに基づく経営判断を可能にします。予算管理制度の確立により、計画と実績の差異分析を定期的に実施し、迅速な軌道修正を図ることができます。

    市場環境の変化に対する適応力強化も中長期的な課題です。定期的な市場分析と競合調査により、事業環境の変化を早期に察知し、戦略的な対応を図ることが重要です。イノベーションへの投資により、将来的な競争優位性の確保を目指します。

    まとめ

    赤字決算は企業経営において深刻な課題である一方、適切な理解と対策により克服可能な問題でもあります。赤字の種類や原因を正確に把握し、税務メリットを活用しながら、体系的な改善策を実施することが重要です。

    キャッシュフロー管理の徹底、収益性改善、コスト削減、外部支援の活用など、多角的なアプローチにより赤字からの脱却を図り、持続可能な企業成長を実現することが可能になります。早期の対策実施と継続的な取り組みにより、企業の競争力回復と将来的な発展につなげることができるでしょう。

    赤字企業の事業再生や戦略的な事業売却を検討される場合は、M&A専門家による客観的な企業価値評価と最適な解決策のご提案が可能です。

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