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倒産は、企業が資金繰りに行き詰まり、債務の支払いができずに経営を継続できなくなる状態を指します。
「倒産」と聞くと、なんとなく怖い、あるいは人ごとのように感じるかもしれませんが、実際には中小企業や個人事業主でも起こり得る、身近な経営リスクのひとつです。原因や手続きの流れを知っておけば、万が一の際に冷静に対処し、再起への道を探ることも可能です。
本記事では、倒産の基本的な定義から、手続きの種類、関係者への影響などを分かりやすく解説します。
目次
まず、倒産に関する基本的な知識について解説します。
倒産とは、企業が資金繰りに行き詰まり、債務の返済や取引先への支払いが不能となり、事業の継続が困難になる状態を指します。法律上の明確な定義はありませんが、信用調査会社などが用いる実務上の用語であり、広く定着しています。
倒産状態に陥った企業は、破産や民事再生といった倒産処理手続きを選択し、負債整理や事業再建に進みます。
業績不振は、企業倒産の最も一般的な原因です。売り上げが伸び悩むことで資金繰りが悪化し、仕入や借入金の返済が困難になります。競合他社の台頭や顧客ニーズの変化、風評被害、商品力の低下などが要因となります。
業績不振は漸進的に進む場合と突発的に進行する場合がありますが、いずれも早期発見と対応が重要です。
過剰な借り入れは返済負担の増加を招き、経営に重くのしかかります。景気悪化や売り上げ減少が重なると、返済資金が捻出できず資金繰り破綻に至ることがあります。
特に収益力が不安定な中小企業では、返済原資の見通しを誤ることで倒産リスクが高まります。
依存度の高い取引先が倒産すると、売掛金の未回収や取引停止により自社も資金難に陥り、連鎖的に倒産することがあります。特に特定の得意先に売り上げが集中している場合、このリスクは高くなります。
経営判断の誤りや会社の私物化、財務管理の甘さなどによって倒産するケースも多いです。
過度な楽観的見通しに基づく投資や、内部統制の欠如による資金流出、不適切な人事が経営の混乱を招きます。業績が一時的に好調な時ほど、慢心による経営の緩みが目立ち、悪化した際に急速に表面化する傾向があります。
顧客・金融機関・仕入先など、企業を取り巻く利害関係者との信頼関係が損なわれると、受注減や資金調達難を招きます。
信用失墜の原因は、情報開示の不備、不誠実な対応、不祥事など多岐にわたります。一度失った信用を回復するのは容易ではなく、短期間での資金ショートにつながる可能性があります。
企業が支払手形や小切手を二度にわたって不渡りにした場合、銀行から「取引停止処分」を受けます。この処分は事実上、金融取引からの退場を意味し、2年間にわたり当座取引などが凍結されます。
取引先や金融機関からの信用を完全に失うため、業務継続は極めて困難となり、倒産状態に陥ったと見なされます。法的手続きを経ずとも「実質的な倒産」として認識される最も明確な兆候です。
内整理とは、企業が債務超過や資金難に直面した際に、裁判所を介さず、債権者と直接交渉して債務の減免や返済条件の変更を図る方法です。
法的な手続きを取らずに経営者の自主的判断で進めるため、外部からは目立ちにくいものの、実質的には経営が立ち行かない状態にあるといえます。
企業が自ら経営の継続困難を認め、裁判所に対して破産、民事再生、会社更生、または特別清算の申し立てを行った段階で、「法的倒産状態」にあるとされます。
これらはいずれも債務の整理を法的に行う手続きであり、破産・特別清算は会社の清算を前提とし、民事再生・会社更生は再建を目指すものです。いずれの場合も、企業の信用は大きく損なわれ、取引停止や雇用維持困難など深刻な経営支障が伴います。
倒産に近い言葉に次のものがあります。
それぞれについて倒産との違いを解説します
「破産」は破産法に基づいて行われる法的手続きの一種で、会社または個人が裁判所に申し立て、全財産を換価・分配して清算するものです。
倒産の一形態として破産は含まれますが、倒産 = 破産ではなく、民事再生や会社更生などの再建型手続きも倒産に含まれます。
「廃業」とは、自発的に事業活動を終了することを指し、法的な手続きや債務不履行が伴わないケースも多く含まれます。後継者不在や高齢による引退、事業承継の失敗などが主な理由であり、財務的には健全なまま静かに幕を閉じる企業もあります。
廃業は任意の終了、倒産は経済的破綻による終了といえます。
「経営破綻」は、倒産と同様に法的な定義がないものの、主に経済的・経営的に持続不能な状態を意味します。新聞報道などで広く使われ、二回目の不渡りや返済不能などが明らかになった企業に対して「経営破綻した」と表現されます。
倒産と類似する概念ではありますが、経営破綻は破綻が事実上認定された瞬間の状態を表す表現であり、倒産に至る入口や兆候を指す文脈で多用されます。
倒産手続きは次のように分類されます。
また、清算型の法的整理には「破産」と「特別清算」が、再建型の法的整理には「民事再生」と「会社更生」があります。
破産とは、企業が債務を返済できない状態に陥った際に、裁判所の監督の下、全財産を換価・分配して事業を終了させる法的手続きです。
破産開始決定後、破産管財人が選任され、経営者に代わって資産の管理と処分を行います。債権者には債権額に応じて配当され、手続き終了後は法人格が消滅します。
透明性が高く、財産の不正流出があった場合には否認権で回収できる利点がありますが、費用(管財人報酬・弁護士費用など)は高額で、規模によっては100万円以上かかる場合もあります。
特別清算は、債務超過の疑いがある株式会社が裁判所の監督下で行われる整理手続きです。株式会社以外の法人は利用できません。また、債権者の同意が必要な点が破産との大きな違いです。
破産よりも柔軟かつ簡易に進められ、債権者ごとに異なる内容で和解を図ることも可能です。手続きを主導するのは株主総会で選任された清算人であり、多くの場合は代表取締役が就任します。
裁判所は監督にとどまり、否認権の行使や財産回収の強制力がないため、厳格さには欠けますが、費用が比較的低く抑えられる点が特徴です。
民事再生は、企業が資金繰りの悪化などで経営難に陥った際に、裁判所の監督の下で再生計画を作成・遂行することで、事業の継続を図る法的手続きです。再生計画には債権者の過半数の同意が必要ですが、全会一致は不要なため、私的整理が困難な場合にも活用されます。
原則として経営者の交代が不要で、中小企業に適した手続きとされています。ただし、担保権の実行制限が弱く、信用不安や資金繰り悪化の懸念が強まるため、事前にスポンサー(金融機関や他企業など)を確保することが望ましいとされます。
会社更生は、主に大企業を対象とした再建型の法的手続きで、裁判所が選任する更生管財人が主導して会社の再建を進めます。
経営陣は退任し、債務者の財産や事業運営の権限は管財人に移ります。民事再生とは異なり、担保権の実行も包括的に制限でき、再建の自由度が高い反面、株主の権利は100%減資により失われます。手続きは複雑で費用が高額となるため、実務上は大規模企業に限定されて用いられます。
私的整理とは、企業が債務超過や支払不能に陥った際に、裁判所を介さずに債権者と直接協議し、債務の減額や返済条件の変更を行う倒産処理手続きです。内々に行うため「内整理」とも呼ばれ、費用や手間を抑えつつ、信用毀損(きそん)を最小限にとどめることが可能です。
取引先全体ではなく特定債権者との調整に限定することもでき、柔軟な対応が可能です。一方で、債権者の同意がなければ進まず、法的拘束力や透明性に乏しいという課題もあります。そのため、円滑に進めるために「事業再生ADR」や「私的整理ガイドライン」などの枠組みが活用されます。中小企業では廃業時の選択肢としても多く用いられます。
倒産にはマイナスなイメージが強いですが、破産する場合と企業を再建する場合でそれぞれメリットがあります。
破産手続きを選んだ場合、会社の資産を全て換価・分配した後、残った債務は原則として消滅します。そのため、返済に追われる日々から解放され、今後の資金繰りに悩む必要がなくなります。
破産を申し立てると、弁護士が債権者に「受任通知」を送るため、以後の督促は弁護士が窓口です。経営者が自ら債権者と交渉したり、督促に追われたりする必要がなくなり、精神的な負担が大きく軽減されます。
また、手続きは裁判所の管理下で進められ、破産管財人が債権者への公平な配当を行うため、債権者側も手続きに納得しやすく、対立を最小限に抑えることが可能です。
中小企業では、代表者が会社の借入金の連帯保証人となっていることが一般的です。会社が倒産した場合、その債務が代表者個人に請求される可能性があります。
しかし、会社と同時に代表者自身も破産申立てを行えば、免責許可決定により連帯保証債務が免除され、経済的再出発が可能です。
破産手続きは、関係者への影響をできるだけ抑える枠組みが整っています。従業員には「未払賃金立替払制度」があり、給与の一部が労働局を通じて支給されます。
取引先も、破産が公的な手続きであることで、損失を早期に認識し、貸倒れ処理などの対応が可能です。
再建型の倒産手続きによって、企業は事業の継続と企業価値の維持が可能です。
新たな融資などによって設備や在庫の劣化、技術者の流出を防ぎ、企業再建後の収益回復に向けた基盤づくりが行えます。
独自技術やノウハウを有する企業では、技術資源を社内にとどめたまま再建に踏み切れます。これにより、技術の流出や競争力の喪失を防ぎ、将来的な製品開発や競争優位性の再確立の可能性が高まります。
企業再建によって事業継続が可能になると、従業員の雇用を維持できる可能性が高まり、企業内部だけでなく地域経済全体への悪影響を抑えられます。
特に中小企業では、地域に根ざした雇用を担っていることが多く、倒産による失職や人口流出を防ぐ意義は大きいです。安定した雇用は再建過程でも従業員の士気や業務継続性を確保し、再建の成功率を高める要因にもなります。
破産する場合と企業を再建する場合でそれぞれデメリットもあります。
破産手続きは清算型の倒産処理であり、手続き終了後には会社の法人格が消滅します。つまり、事業を再開したり、継続したりすることは不可能です。
仮に同じ事業を再開する場合は、新たに会社を設立し、ゼロから信用と顧客基盤を築く必要があります。将来的な再起を望む場合には、再建型と慎重に比較検討すべきです。
中小企業では、代表者や親族、取引先の役員などが会社の借入金に連帯保証人として関与していることが一般的です。
会社が破産すると、債権者は連帯保証人に返済を請求し、結果として連帯保証人も自己破産に追い込まれる可能性があります。
破産を申し立てた代表者は、信用情報機関に事故情報として登録され、7年程度はクレジットカードの発行やローンの借り入れが困難になります。
また、破産手続きは官報に掲載されるため、取引先や金融機関、地域社会に事実が広く知られます。これにより、代表者としての社会的信用は大きく損なわれ、再起後の事業展開にも大きな障害が生じる可能性があります。
破産が単なる経営不振ではなく、粉飾決算や資産の不正流出、違法な配当などが原因である場合、経営者は民事・刑事の責任を問われる可能性があります。
特に、破産手続きにおいて破産管財人が調査を行う中で、故意または重大な過失による損害が発覚した場合、債権者代表訴訟の提起や検察への告発に発展することもあります。
再建型の倒産手続きでは、新規資金の調達が必要ですが、通常の融資より高金利で厳しい条件が課される傾向があります。
また、法的手続きの準備や再建計画の立案には、弁護士・会計士・再生コンサルタントなど複数の専門家の関与が不可欠となり、手続き費用や報酬が重くのしかかります。
再建手続きを公に進めることにより、企業が倒産状態であることが取引先や市場に広く認識されます。これにより、新規契約の獲得が困難になったり、既存の取引先から与信限度を引き下げられるなど、営業・資金調達の両面で不利益が生じる可能性があります。
特にブランドイメージやサプライチェーンへの悪影響は、再建の進行にも大きく影を落とす懸念があります。
再建手続きにおいては、融資やスポンサー支援を受ける対価として、経営の自由度が制限されるケースが少なくありません。
融資契約に特定資産の売却が義務付けられたり、再建計画の実行に際して外部の承認を要することもあり、経営陣の独自判断が取りづらくなります。スポンサー側が再建の主導権を握る場合には、従来の経営方針が大きく変更されることもあります。
倒産手続きが行われる場合、次の関係者に対してさまざまな影響があります。
それぞれについて解説します。
会社が破産や特別清算などの清算型手続きをとった場合、会社は消滅するため、従業員との雇用契約も終了します。突然の解雇によって、生活基盤を失い、精神的・経済的な不安にさらされます。
一方で、民事再生や会社更生といった再建型の手続きでは、会社が存続するため雇用が維持される可能性もありますが、場合によっては整理解雇や賃金の引き下げが行われることもあります。
破産時に給与や賞与が未払いとなることは少なくありません。従業員は会社に対する債権者として手続きに参加し、法律上優先的に弁済を受けることが認められています。
また、「未払賃金立替払制度」を利用すれば、一定要件を満たすことで未払い給与の最大80%を労働者健康安全機構から立替払いで受け取れます。
退職金も賃金同様、優先的に扱われる債権です。退職のタイミングや制度内容によって、財団債権や共益債権として随時支払いが可能な場合があります。
また、退職金も未払賃金立替払制度の対象になり得ますが、支給規定がある場合に限られ、上限額も年齢に応じて定められています。
倒産した企業が取引先に対して商品・サービスの提供を受けたまま代金を支払えない場合、取引先は売掛金の回収が困難となり、債権者として損失を被ることになります。特に中小企業では、資金繰りが一気に悪化する要因となり、連鎖倒産に発展するケースも多いです。
これを防ぐために、事前に担保権(動産譲渡担保、売掛債権譲渡登記など)を設定したり、契約書に期限の利益喪失条項などを盛り込んだりするなどの対策が取られます。
倒産企業が原材料や部品の主要な供給元だった場合、取引先企業の生産やサービス提供が停滞する恐れがあります。特に代替供給先の確保が難しいケースでは、生産ラインの停止や納期遅延につながり、自社の信用失墜や顧客離れを引き起こしかねません。
こうしたリスクを軽減するために、代替仕入先の確保、契約の多様化、在庫の適正管理など、サプライチェーンの分散化が必要不可欠です。
企業が倒産すると、金融機関が融資していた貸付金が回収不能となり、不良債権化するリスクが高まります。特に担保が不十分であったり、代表者の連帯保証しかない場合、貸付金の大部分が回収不能です。
金融機関が同じ業種や地域に多く融資している場合は、一社の倒産が他社にも波及し、信用リスクが一気に高まることがあります。その結果、金融機関は新たな融資に慎重になり、健全な企業にも資金が回りにくくなる恐れがあります。
業務不振などによって倒産手続きを選択する場合、次の順番で検討を行います。
それぞれについて解説します。
倒産処理は法的・財務的に高度な知識が必要となるため、まずは弁護士や会計士などの専門家に相談することが出発点です。
経営状況や資金繰り、債務の内容などを踏まえて、最適な手続きを選定するための助言を受けます。なお、従業員や取引先への説明方針や債権者との対応方法、資産保全策などの実務的な段取りもこの時点で検討されます。早期相談によって選択肢が広がるため、破綻の兆候があれば速やかに対応すべきです。
まず検討されるのは、裁判所を介さずに債権者と個別交渉を行う私的整理(内整理)です。
信用毀損(きそん)を最小限に抑えつつ、柔軟な債務調整が可能であるため、再建の初期段階では有力な選択肢です。ただし、債権者が交渉に応じない場合や、債務が過大で整理不能な場合には、実行は困難です。
事業の継続可能性がある場合は、再建型手続きを優先的に検討します。これにより、雇用や取引関係を維持しつつ、裁判所の保護下で債務を調整しながら再建を目指せます。
スポンサーの支援や事業の一部譲渡によって、企業再生が実現するケースもありますが、実行には、一定の資金的余裕や継続的な収益基盤が必要です。
再建が困難な場合には、破産などの清算型の手続きを選択します。
返済不能な債務を会社を清算することで返済するため、債権者への公平な処理が可能ですが、会社の消滅と従業員の雇用喪失は避けられません。
倒産手続きにおいて、選択されることの多い破産の手続きについて解説します。
破産手続きは次の順番で行われます。
破産手続きは、経営者または代理人弁護士が裁判所に申立てを行うことで開始されます。
申立てには、会社の財務状況を示す書類(貸借対照表・損益計算書・資産一覧など)が必要で、弁護士による事前準備が不可欠です。申立てと同時に、弁護士から債権者に対して「受任通知」を送付し、督促などの直接交渉を一時的に停止させます。
従業員の解雇や未払給与対応もこの段階で準備されます。
申立て後、裁判所は経営者との面談(審尋)を行います。ここでは、倒産に至った経緯や負債の内訳、資産の状況、債権者対応の履歴などが詳しく確認されます。裁判所はこれを基に、会社が「支払不能」または「債務超過」に該当するかを判断し、正式な破産手続きの開始可否を決定します。
通常、審尋は1回で終わりますが、必要に応じて追加審理が行われる場合もあります。
審尋を経て裁判所が破産原因を認定すると、「破産手続き開始決定」が下され、官報に公告されると同時に破産管財人が選任されます。
破産管財人は、会社とは無関係な第三者(多くは弁護士)が選ばれ、会社財産の管理処分権を取得します。これにより、経営者による財産処分はできなくなり、債権者による差押えなどの個別的行為も禁止されます。
破産管財人は、会社の全財産・債権債務を把握するため、帳簿や契約書を精査し、代表者や従業員からの聞き取りを行います。不正取引があれば「否認権」により財産を取り戻します。
併せて、売掛金の回収や不動産・設備の売却など資産を現金化(換価)し、債権者に配当する準備を進めます。同時に、誰がどの程度の債権を持つのかを確定していきます。
破産手続き開始から2〜3カ月後を目安に、債権者集会が裁判所で開催されます。ここでは、破産に至った経緯、資産の状況、換価の進捗(しんちょく)、今後の配当見通しなどについて破産管財人から報告が行われます。
申立代理人弁護士や会社の代表者も同席します。多くの場合、債権者の出席は少なく、形式的に行われることもありますが、重大な争点がある場合には複数回開催されることもあります。
破産管財人は、現金化した資産から、税金や社会保険料、未払賃金など優先債権を先に支払い、残った資金を法定順位に従って一般債権者へ配当します。
抵当権などの担保付き債権は優先されますが、無担保の一般債権者は配当率が大幅に低下するか、配当がない場合もあります。資産が十分でない場合には配当が行われず、「異時廃止」によって裁判所が手続きを終了させることもあります。
全ての資産処分と配当が完了すると、破産手続きは終了し、法人は法的に消滅します。法人格の消滅により、会社名義での契約や取引は不可能となります。
債務が残ったとしても、法人が消滅するため返済義務も消滅します。ただし、代表者が連帯保証人である場合は、引き続き個人としての債務整理(自己破産や個人再生)を行う必要があります。
倒産の予兆などがある場合に次の方法で倒産を回避できるかもしれません。
経営悪化が見られた段階で、弁護士や公認会計士、中小企業診断士などの専門家に早期相談することが、倒産を回避する第一歩です。
財務の健全性や事業の収益構造を分析し、必要に応じて再献策や債務調整、資金調達などの具体策を提示してもらえます。特に、法的整理に進むか否かの判断は専門知識が不可欠であり、早期の判断と対策が再建の可否を大きく左右します。
経営再建の基本は、現状分析と具体的な改善策に基づく経営改善計画の策定です。収益性のある事業への集中、不採算部門の縮小、販路の見直し、DX導入による業務効率化などを盛り込んだ計画を作成し、数値目標を設定した上でPDCAサイクルを回すことが重要です。
金融機関との交渉やM&Aなどでも、この計画が再建の信頼性を左右する要素となります。
倒産回避には資金繰り改善が最優先課題です。不要な経費を徹底的に見直し、特に固定費(賃料・人件費・水道光熱費)の削減に取り組むことが効果的です。
また、遊休資産や不要在庫の売却による資金調達も視野に入ります。不採算事業の撤退、業務の外注化、リース契約の見直しなどにより、月次キャッシュフローを安定させられます。
資金繰りが厳しい状況では、返済条件の見直し(リスケジュール)を金融機関に打診することが有効です。返済猶予や利息減免、借換融資など、柔軟な支援を受けられる可能性もあります。
ただし、信用維持の観点からも交渉のタイミングは早いほどよく、破綻直前では対応が難しいです。弁護士を通じた協議も有効です。
自社単独での再建が困難な場合は、M&Aによって事業継続を図る選択肢もあります。
第三者に株式や事業を譲渡することで、従業員や顧客との関係を維持したまま、債務整理や経営刷新が実現可能です。連帯保証の解消、資金力の強化、ノウハウ導入といった副次的メリットも期待され、近年は中小企業でも積極的に活用されています。
倒産手続き中に行う資金調達および企業再建として、次の方法が挙げられます。
それぞれについて解説します。
DIPファイナンスとは、再建型の倒産手続き中の企業に対して、金融機関が新たに実行する融資です。裁判所の監督下にあるため、既存債務より優先的に返済される「優先債権」として扱われることが多く、金融機関にとっては一定の安全性があります。
企業にとっては、運転資金や再建投資を確保できる貴重な手段であり、スポンサー獲得や事業継続にも直結します。
スポンサー型事業再生は、自力再建が困難な企業が、外部スポンサーから資金や経営支援を受けて再建を図る手法です。スポンサーは、事業運営のノウハウを持つ「事業会社型」と、資金供給を目的とする「ファンド型(ファイナンシャルスポンサー)」があります。
信用が回復しやすく、M&Aと組み合わせて用いられることも多いです。法人格を維持しつつ再出発できるため、再建の実効性が高い手法とされています。
会社譲渡は、経営者が保有する株式を第三者に売却し、経営権を移転する再建方法です。法人格や契約関係、雇用体制をそのまま維持できるため、事業の連続性を保ちやすく、後継者不在の中小企業などで活用されます。
譲渡手続きは比較的簡便ですが、簿外債務や訴訟リスクなど、企業が抱えるリスクも譲渡先に引き継がれます。
事業譲渡は、会社全体ではなく、特定の事業単位(資産・契約・従業員など)を第三者に譲渡する手法です。譲渡元は法人格を維持したまま、残余資産の清算や別事業の継続が可能です。
譲渡先は、収益性の高い部門だけを選択的に取得できるメリットがあり、事業再編やスポンサー再生と併用されることもあります。ただし、契約移転・労務対応などの事務負担は大きくなります。
最後に、倒産に関するよくある質問とその回答を紹介します。
どちらも再建型の倒産手続きですが、主に対象企業の規模・手続きの厳格さ・管財人の有無が異なります。
会社更生は株式会社のみが利用可能で、原則として経営陣が交代し、裁判所が選任する管財人が全てを主導します。適用対象は大企業や複雑な債権構成を持つ企業が多く、手続きは厳格で時間・費用がかかります。
一方、民事再生は中小企業向けの手続きであり、経営者が原則として残留しながら再建を進められます。管財人は選任されないことが多く、迅速かつ柔軟に再建できるため、中堅・中小企業に適した制度です。
倒産法とは、企業や個人が債務の返済ができなくなった際に、法的な手続きを通じて債務を整理し、債権者と債務者の権利関係を調整するための法律群を指します。
代表的な法律には、破産法、民事再生法、会社更生法、会社法(特別清算手続きの場合)があります。
倒産防止共済(経営セーフティ共済)とは、中小企業が取引先の倒産に伴う売掛金の未回収などによって連鎖倒産するのを防ぐために、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する共済制度です。
毎月一定額(5,000円〜20万円)を積み立て、万が一取引先が倒産した場合には、掛金総額の10倍または8,000万円まで無利子で貸し付けを受けられます。
税制面でも掛金は全額損金算入できるため、リスクヘッジと節税の両面でメリットがありますが、加入には一定の審査基準があります。
リストラクチャリングとは、経営悪化を未然に防ぐ、あるいは早期に立て直すために実施される自主的な改革です。人員削減や事業撤退、資産売却、負債の再編、組織再編などが含まれ、必ずしも法的手続きを必要としません。
リストラクチャリングは倒産とは異なり、あくまで「再生・改革」が主眼であり、企業が自立的に経営健全化を目指す手段です。倒産は既に事業継続が困難となった結果ですが、リストラクチャリングはその一歩手前、もしくは回避策として講じられます。
倒産は通年で発生していますが、3月・12月といった決算期末に集中しやすい傾向があります。
また、東京商工リサーチの調査によると、2000年以降に倒産した23万社の倒産発生日で最も多かったのは「5日」であり、次いで「10日」「6日」「7日」「4日」と、上位5位が全て月初に集中しています。
これは、月末に手形が不渡りとなり、土日などをはさんだ3営業日後に銀行取引停止処分を受けるため、「月初5日前後」に倒産手続きが表面化するケースが多いためです。
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