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会社経営において「株の持ち分」は、そのまま経営権や意思決定の影響力につながります。特に近年では、上場企業だけでなく、中小企業においても“乗っ取り”が現実のリスクとして注目されています。
では、いったい株式を何パーセント保有すると「乗っ取り」と見なされるのでしょうか。また、株式の保有率において法律上の明確なラインはあるのか、実際の乗っ取りの手口とはどのようなものなのか、対策はできるのか、といった疑問・懸念点も少なくありません。
そこでこの記事では、株式比率と支配力の関係性、乗っ取りの仕組みと予防策、そしてM&Aにおける注意点までを、わかりやすく解説していきます。
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目次
「乗っ取り」と聞くと、映画やニュースで見るような派手な企業買収劇を想像する方もいるでしょう。 しかし、会社の乗っ取りは日常的に起こりうる経営リスクであり、特に中小企業にとっては対岸の火事ではありません。
「乗っ取り」に明確な法律上の定義はありませんが、一般的には第三者が経営権を掌握する行為を指します。大きく分けると以下の2つがあります。
「うちは非上場だから関係ない」「身内だけでやっているから安心」と思っている企業こそ要注意です。事業承継がうまく進んでいない企業や、株主構成が曖昧な企業ほど、乗っ取りの温床になります。
例えば、かつて信頼していた元幹部社員や親族が、自社株を外部に売却してしまい、知らぬ間に第三者が筆頭株主になっていたというケースもあります。こうしたトラブルは、株式の持ち分とその影響力を正しく理解していないことが原因となる場合が多いのです。
「株を何%持つと乗っ取りになるのか?」という疑問に答えるには、株式保有比率ごとにどのような権限や経営上の影響力が発生するのかを理解することが不可欠です。
ここではまず、株式の持つ基本的な力を押さえたうえで、保有比率ごとの支配力の違いを整理します。
株式を保有するということは、単に配当を受け取る権利を得るだけでなく、会社の意思決定に参加する「議決権」を持つことを意味します。この議決権を通じて、取締役の選任や報酬の決定、定款の変更といった会社の根幹をなす事項に関与することが可能になります。
つまり、株式の保有比率が高まるほど、会社の経営に対する影響力が強くなるという構造です。これこそが、株の「支配力」とも呼ばれる所以です。
上場企業においては、株式の保有が5%を超えた場合、金融商品取引法に基づき「大量保有報告書」を提出する義務があります(通称「5%ルール」)。一方、3%というラインは法的義務が発生するわけではありませんが、経営陣や他の株主から「買い集めの兆候」として注目される水準です。非上場企業には直接的な報告義務はありませんが、経営管理の観点から警戒されることがあります。
日本の会社法では、株主が議決権の1%以上、または300個以上の議決権を一定期間保有している場合、株主総会に対して議案を提案する権利(株主提案権)を持つことができます。この権利を行使することで、取締役の解任や定款の変更などを議題として提出することが可能です。 この段階では、「自分の意見を会社の議題に載せられる」という形での影響力が発生します。
会社の重要事項(合併・定款変更・増資など)を決定する際には、株主総会での特別決議が必要です。特別決議は「出席株主の議決権の3分の2以上の賛成」が必要とされます。そのため、33.4%以上の株式を保有していれば、特別決議を単独で拒否できる「拒否権」を持つことになります。 このラインを超えると、「経営の重要な判断を止められる立場」になり、乗っ取りや経営干渉の起点となる比率のひとつです。
株主総会の普通決議(取締役の選任・解任、報酬の決定など)は、出席株主の過半数(50%超)の賛成によって成立します。つまり、51%以上の株式を保有すれば、普通決議を単独で可決できるため、事実上の経営支配権を握ることが可能です。 この段階では、経営陣の入れ替えや取締役会の構成変更も思いのままにできるため、「実質的な乗っ取り」が成立するラインと言えるでしょう。
株式の3分の2超(66.7%以上)を保有することで、特別決議も単独で可決することが可能になります。これにより、定款変更、合併、会社の解散、大規模な資産売却など、会社の根本に関わる意思決定を一人で行える状態となります。 ここまでくると、「完全支配」と言って差し支えありません。M&A(企業の合併や買収)においても、買収側がこの比率を目指して交渉することが一般的です。
「株を何%持てば乗っ取りになるのか?」という疑問に対して、実は法律上、明確な“乗っ取りライン”は存在しません。しかし、経営に対する実質的な支配力という観点から、一定の比率を超えると“乗っ取り的”と見なされるケースがあるのは事実です。
「乗っ取り」は法律用語ではなく、経営権の掌握という結果に対する俗称に過ぎません。そのため、「○%以上保有したら乗っ取りになる」と明記されたルールは存在せず、実態と状況によって評価されるグレーな概念です。とはいえ、意思決定機関における投票権限や経営支配の観点から、ある程度の目安となる比率は存在します。
一般的に、「乗っ取り」とされるのは以下のような状況になったときです。
つまり、議決権を通じて会社の意思決定を支配できるようになった瞬間に「乗っ取りが起きた」と見なされるのです。
前述のとおり、実務上では以下の比率が「乗っ取りリスクが顕在化する境界」として意識されています。
このように、法的な定義はなくとも、経営権の構造から見た“影響力の境界線”は存在しており、乗っ取りの危険度もそれに比例して高まるということになります。
会社の乗っ取りは、必ずしも映画のような劇的な展開で起こるわけではありません。多くのケースでは、気づかないうちにじわじわと支配権を奪われていくのが実情です。ここでは、実務上よく見られる乗っ取りの手法を紹介します。
上場企業でよく見られる手口が、市場を通じた株式の買い占めです。対象企業の経営陣に知らせることなく、株式を取得し続け、気づけば過半数以上の議決権を握られていたというケースです。
このような手法は「敵対的買収」と呼ばれ、買収者が経営陣の同意なしに企業の支配権を得ようとするもので、株主構成が分散している企業では特に注意が必要です。
非上場企業においては、既存の少数株主や退職者、親族などから水面下で株式を買い集めるケースが目立ちます。
例えば、財務的に困っている親族から安く株式を譲り受ける、持株会を通じて徐々に比率を高めていくなど、表立たない形で影響力を強めることが可能です。これは「静かなる乗っ取り」とも呼ばれ、経営陣が気づいたときには手遅れになっているケースも少なくありません。
最も厄介なのが、社内や親族からの「内部乗っ取り」です。例えば、共同創業者や後継予定者が裏で他の株主と連携を取り、議決権の過半数を確保して現経営者を退任に追い込むといった事例です。
中小企業では、株主の大半が親族・役員・社員で構成されているため、社内関係の変化ひとつで経営権が一気に移ることがある点に注意が必要です。
乗っ取りのリスクは、会社の規模や上場・非上場を問わず存在します。しかし、事前に対策を講じておくことで、多くの乗っ取りは未然に防ぐことが可能です。ここでは、実務で有効とされる具体的な防止策を紹介します。
経営者がすべての株式を持っていない場合、株式の集中により支配権を奪われるリスクが高まります。そのため、あらかじめ信頼できる複数の人物に戦略的に株式を分散保有させることが有効です。
また、定款に「譲渡制限条項」を設けることで、第三者への株式の売却に会社の承認を要するようにし、不審な株式取得を防ぐ仕組みも重要となります。
非上場企業では、株主の変動が表に出にくいため、経営者自身が株主構成の変化を把握していないことがよくあります。そのため、定期的に株主名簿を確認し、誰がどのくらいの株を持っているかを把握しておくことが不可欠です。
特に、退職者や親族間での株式移動があった場合には、意図しない支配構造が生まれていないか注意深くチェックする必要があります。
法的な制度を活用して、議決権や経営権のコントロール構造を設計することも効果的です。例えば、以下の工夫ができます。
このような方法により、乗っ取りのリスクを法的・構造的にブロックすることが可能です。
M&Aは経営権の移転をともなう取引である以上、乗っ取りと表裏一体の側面を持っています。特に、中小企業のM&Aでは、情報が非公開であることから、相手の真意や目的を見極めることが難しいケースも少なくありません。
ここでは、M&Aにおける乗っ取りリスクとその見落としやすいポイントを解説します。
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『M&Aの仕組みとプロセス:初心者でもわかりやすく徹底解説』https://ma-la.co.jp/m-and-a/ma-how-it-works/
M&Aで株式譲渡を受ける側(買い手)は、事前に株主構成を確認するのが一般的ですが、売り手側が既に株式の一部を手放している場合、経営権がすでに外部に流出していることもあります。
一方、売却を検討している企業にとっても、知らぬ間に株式が第三者に集まっており、会社の方向性が制御不能になるといったリスクもあり得ます。
M&Aでは、単に会社を「買う」「売る」だけでなく、株主構成とその変動リスクを常に把握しておくことが肝要です。
買収提案のなかには、最初は友好的なスタンスで接近し、徐々に支配権を高めていく“偽装的な友好的買収”も存在します。特に、非上場企業では、書面や契約だけでは相手の本音を見抜くのが難しく、実は乗っ取りが目的だったというケースも報告されています。
そのため、買収の背景や資金の出どころ、経営方針の整合性などを慎重に見極める必要があります。
このようなリスクを回避するためには、中立かつ専門的な立場から、第三者の視点で取引を設計・チェックしてくれるM&Aアドバイザーの存在が不可欠です。例えば、アドバイザーを介入させることで、以下の対策を行うことが可能です。
このように、「知らぬ間に経営権を失っていた」という最悪の事態を防ぐためのチェック体制として、アドバイザーの活用が重要になります。
会社の乗っ取りリスクに対処するには、単なる注意喚起ではなく、法務・財務・契約面における具体的な安全設計が不可欠です。
M&Aロイヤルアドバイザリー株式会社では、中小企業に特化した実務支援と完全成果報酬型の相談体制を通じて、乗っ取りリスクを事前に回避するM&A支援を行っています。
同社では、買収提案があった際や株式譲渡を検討する段階で、乗っ取りにつながる構造的なリスクを事前に分析し、契約内容に反映させるサポートを行っています。具体的な内容は以下のとおりです。
これらの契約調整を通じて、“知らぬ間に経営権を失う”といった事態を未然に防ぐ体制が整えられます。
M&Aロイヤルアドバイザリーは、会計・法務に精通した専門家(公認会計士・弁護士)と連携し、株主構成や議決権分布、株式の譲渡制限の状況まで含めた総合的なリスクチェックを行います。
特に、中小企業の場合、株式の扱いが曖昧なまま長年放置されていることも多く、買収・譲渡時に初めてリスクが顕在化するケースも少なくありません。そのような見落としを防ぐ実務支援が評価されています。
M&Aロイヤルアドバイザリーは、譲渡側・譲受側のどちらに対しても完全成功報酬型でサービスを提供しています。つまり、相談段階では費用がかからず、経営者が安心して「まず相談」できる仕組みが整っているということです。
初めてのM&Aで「何がリスクなのかもわからない」という段階でも、必要な知識と対策をゼロから丁寧に伴走支援させていただきます。
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株式の保有比率は、単なる数字ではなく、経営に対する影響力そのものを意味します。乗っ取りとは何か、どの比率でどのような権限が発生するのかを正しく理解することで、自社の経営権を守るための判断力が身につきます。
特に中小企業では、株主構成が曖昧なまま放置される状況や、親族や従業員に気軽に株式を譲ってしまうことがあり、その結果、意図せずして乗っ取りに近い状況を招いてしまうことがあります。そのため、「何パーセント持たれると危険か?」という問いに対しては、「持たれ方」と「管理の仕方」が重要であるという答えが本質です。
株主構成の見直し、定款や種類株式の整備、そして信頼できるアドバイザーとの連携など、できる対策は数多く存在します。M&Aや株式譲渡を考える前段階でも、早めに信頼できる専門家へ相談することで、大切な会社を守る備えができます。
「乗っ取りを防ぐ」という視点は、すなわち会社を未来へつなぐためのリスクマネジメントです。冷静に、そして戦略的に、今できる備えを一歩ずつ進めていきましょう。
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