親族外承継とは?後継者不足を解決し事業成功へ導く具体策とポイント

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親族外承継は、親族以外の人物に事業を引き継ぐ事業承継の方法の一つです。親族内に後継者がいない経営者にとって自社の役員や従業員または第三者を後継者とし、事業を承継することは企業の存続を維持する上で欠かせません。

この記事では、親族外承継の種類やメリットとデメリット、M&Aとの違いや親族外承継を成功させるためのポイントについて詳しく解説していきます。

親族外承継とは?

親族外承継とは、会社の後継者が親族以外の人物である場合の事業承継の方法を指します。近年、少子化や核家族化の影響で親族内に後継者がいない経営者が増えており、役員や従業員、他社など第三者に事業を引き継ぐ企業が増えています。

親族外承継と親族内承継の違い

親族外承継と親族内承継にはいくつかの重要な違いがあります。まず、親族内承継は、会社の経営権を親や祖父母から子や孫、甥や姪などの親族に引き継ぐことをいいます。この方法の場合、後継者が会社の歴史や文化を深く理解していることが多く、引継ぎがスムーズに進みやすいというメリットがあります。

一方、親族外承継の場合は後継者が親族外の第三者となります。親族外承継には社内からの内部昇格や外部からの招聘があります。内部昇格による親族外承継では、社内の従業員や役員が後継者となり、経営のみ承継されます。

外部招聘の場合、経営者としての経験や専門知識を持つ外部の人材を経営者に迎えることで、新たな視点や戦略を導入できる可能性がありますが、その一方で、会社の文化や業務に適応するまでに時間がかかる可能性もあります。

親族内承継と比較して、親族外承継は後継者候補の選択肢が広がるため、優れた経営者を選定できる可能性が高まりますが、その分、選定過程での慎重な判断が求められます。双方の方法にはそれぞれのメリットとデメリットがあり、企業の状況や経営者の意向に応じて最適な方法を選ぶことが重要です。

親族外承継と第三者承継の違い

親族外承継とは、企業の経営権を役員や従業員など親族以外の人物に引き継ぐことを意味します。一方、第三者承継は、M&Aなど企業の外部の第三者に事業を譲渡することを指します。

広義では、親族外承継に第三者承継も含まれます。

親族外承継の重要性

親族外承継の重要性は、現代の少子高齢化や核家族化の進展によりますます顕著になっています。親族内での後継者が見つからない場合、親族外承継は企業の存続と成長を支える重要な手段となります。例えば、有能な従業員に事業を引き継ぐことで、企業のノウハウや文化を継続的に維持しやすくなります。また、専門的な知識やスキルを持つ人材に引き継ぐことで、企業の競争力を向上させることも可能です。

企業の成長戦略を継続的に実施するためには、新しい後継者は経営のビジョンを共有し、企業の持続的な発展を目指す必要がありますし、親族外承継を成功させるためには、適切な人材の選定や育成、効果的なコミュニケーションも欠かせません。

このように、親族外承継は単なる経営権の移譲ではなく、企業の未来を見据えた戦略的な選択肢と言えます。親族に後継者がいない場合や企業を成長させ続けたいと考える場合、親族外承継の重要性を理解し、計画的に準備を進めることが求められます。

親族外承継の方法

親族外承継には役員や従業員への承継と社外への承継があります。また、経営のみを承継する方法と株式ごと承継する方法に分けられます。経営を承継する場合、内部昇格や外部からの招聘が考えられ、株式を承継する際にはMBOやEBO、M&Aといった手法が用いられます。

経営を承継する方法

親族外承継で経営のみを承継する方法としては、内部昇格と外部招聘の二つがあります。内部昇格では、企業内での後継者育成が重視され、企業文化や業務に既に精通した従業員が後継者となります。外部招聘では、外部から経営者を迎えることで新たな知識や経験を取り入れ、企業成長を図ることができます。

内部昇格

内部昇格は、既存の従業員の中から後継者を選び、経営権だけを引き継ぐ方法です。この方法の最大のメリットは、選ばれた後継者が企業の業務や文化に既に精通していると、スムーズな引き継ぎが期待できる点です。また、内部の従業員を後継者にすることは、第三者を後継者にするよりも他の社員や取引先から信頼を得やすく、引継ぎの際の抵抗が少なくなります。

ただし、後継者に経営者としてのスキルやリーダーシップが十分に備わっているかどうかの評価が必要です。社内の育成プログラムや研修を通じて、将来的な経営者を計画的に育てていくことが求められます。

外部招聘

外部招聘は、企業外部から優秀な経営者を迎えて事業を承継する方法です。この方法には、外部の視点で企業運営を見直し、新鮮なアイデアや技術を取り入れられる利点があります。特に、現状の内部人材だけでは対応できない課題や大きな変革が必要な場合には、外部からの新しい風が企業の成長を促進することがあります。

しかし、外部招聘には課題も伴います。新たに迎える経営者が企業文化や業務に馴染むには時間がかかる可能性がありますし、従業員や取引先からの信頼を築くことも重要です。選定プロセスでは、企業のビジョンや価値観に合った人物を見極めることが求められます。

株式を承継する方法

親族外承継で株式を承継する方法には、MBO、EBO、M&Aなどの手段があります。

MBO

MBO(Management Buyout)とは、現経営陣が自己資金や外部からの資金を使って企業の株式を取得する方法です。これまでの経営ノウハウや企業文化を継承できるため、安定した経営が期待できます。

EBO

EBO(Employee Buyout)は、従業員が株式を買い取り、事業の買収や経営権の取得をする方法です。MBOとの違いは経営権を承継するのが企業の役員か従業員かの違いです。

M&A

M&Aは、企業の合併または買収によって第三者に承継する方法です。M&Aの大きなメリットは、事業承継問題の解決や会社の信用力向上、事業シナジーの創出が挙げられます。また、買収先の企業が既に経営のノウハウを持ち、新たな資本が注入されることで、企業の成長が期待できます。

しかし、一方で買収者の意向が大きく作用するため、現経営者や従業員にとって負担が生じる可能性もあります。M&Aを成功させるためには、事前に買収先の企業文化や経営方針を十分に調査し、適切な買収者を選ぶことが重要です。

親族外承継のメリット・デメリット

親族外承継は、親族以外の第三者に事業を引き継ぐ方法です。親族外承継のメリットとデメリットについて見ていきましょう。

後継者候補の選択肢が広がる

親族外承継を選択することで、後継者候補の選択肢が大幅に広がります。企業の成長や経営者のビジョンに合った後継者を見つけることができるため、企業の競争力を維持・強化することが可能となります。例えば、非常に有能な従業員や外部からの経営人材を選定することで、企業の持続的成長を目指すことができます。

引継ぎがスムーズにできる

親族外承継の場合、特に社内から後継者を選定する場合は、その人物が既に企業の業務に精通していることが多いです。そのため、引継ぎのプロセスがスムーズに進むことが期待できます。既存の従業員が後継者となる場合、業務の流れや会社の文化に深い理解があるため、事業運営を滞りなく続けることができます。

関係者からの理解を得やすい

すでに他の従業員や取引先との関係性があることから、社外の第三者への承継に比べると後継者が役員や従業員、取引先に受け入れやすいという特徴があります。現経営者が長年かけて築き上げた信頼関係を引き継ぐことで、社内外の関係者との円滑なコミュニケーションが可能となるでしょう。

親族外承継のデメリット

親族外承継にはいくつかのデメリットが存在します。これらを理解し、対策を講じることが成功の鍵となります。

後継者に資金力が必要

親族外承継のデメリットの一つは、後継者に資金が必要である点です。親族内承継では、親族間で財産や資産を相続することが一般的ですが、親族外承継ではそうはいきません。後継者が事業を買収するためには、多額の資金が必要となる場合があります。

また、企業の財務状態によっては、負債の引き受けや追加の資本金の調達が求められることもあります。これによって、後継者の資金力が承継の成否に大きく影響を与えることになるのです。この点をクリアするためには、事前に資金調達計画を立て、金融機関や投資家からの支援を受けることが重要になります。

個人保証(経営者保証)の引継ぎ問題

親族外承継では、個人保証、特に経営者保証の引継ぎが大きな問題となり得ます。後継者がこの責任を引き受けることに消極的であったり、金融機関が後継者の信用力を信頼しない場合、円滑な承継が難しくなります。近年は「経営者保証ガイドライン」が策定され、一定の条件を満たせば個人保証を解除することができます。

親族からの理解を得られない可能性

経営者に親族がいる場合は、親族からの理解を得られない可能性があることもデメリットとして挙げられます。親族は一般的に、家族経営を継続することを望む傾向があり、親族外の人物に事業を譲ることに対して抵抗感を持つことが少なくありません。このため、親族からの反対や不信感が生じる可能性があります。

このような状況を避けるには、親族に対して事業承継の必要性とその理由を丁寧に説明し、理解を求める努力が必要です。また、親族が新たな経営者との信頼関係を築けるように、事前に交流の機会を増やすことも一つの方法です。さらに、専門家の力を借りて第三者の視点を交えた公正な説明やコンサルティングを行うことで、親族の納得を得やすくなるでしょう。

親族外承継の手順

親族外承継を成功させるためには、以下の手順を踏むことが大切です。

自社の現状分析

親族外承継を円滑に進めるためには、まず自社の現状を正確に把握することが不可欠です。事業の現状を理解するには、業績、財務状況、組織体制、市場環境などを詳しく分析することが求められます。例えば、自社の主要な経営数値を把握し、事業の強みと弱みを明確にすることで、後継者に対する経営指針を提供することができます。

また、従業員のスキルやモチベーションも重要な要素です。現場の声を聞き、企業文化やチームのダイナミクスを理解することで、承継後のスムーズな運営につながります。市場環境の分析も怠ってはいけません。競合他社の動向や業界のトレンドを把握し、市場のニーズに対応できる戦略を練ることが重要です。このように、自社の現状を客観的に分析し、後継者選定や事業計画の策定を行うことが、親族外承継の成功につながります。

後継者選定

次に、後継者の選定が重要なステップとなります。親族外承継では、後継者の選定においてより慎重な判断が求められます。まずは企業にふさわしい人物像を明確にしましょう。求められるスキルセット、経営哲学、そして企業文化に適合するかといった観点から、候補者を評価します。内部昇格か外部招聘かも重要な選択肢です。内部昇格では既存の従業員を登用するため、業務に精通している利点があります。

一方、外部招聘では新たな視点や専門知識を持ち込む機会となります。後継者候補に対する評価方法としては、業績評価や行動評価、360度評価が挙げられます。また、経営者としての資質だけでなく、倫理観やリーダーシップの資質も含めて総合的に判断することが重要です。適切な後継者を選ぶことで、円滑な引継ぎと事業の安定が図れます。

事業承継計画の策定

後継者が決定したら、次に事業承継計画を具体的に策定します。事業承継計画は、現在の状況と将来のビジョンを明確にし、後継者に対する方向性を示す重要なツールです。計画には、会社の経営ビジョン、中期・長期の経営目標、そして具体的な戦略が含まれます。経営戦略だけでなく、財務計画、人的資源計画、マーケティング戦略など、各分野にわたる詳細な計画を練り込む必要があります。

また、事業承継のタイムラインも設定し、いつ、どのようにして引継ぎを行うかを具体的に決めます。事業承継計画を策定することで、後継者は自信を持って経営に取り組むことができ、従業員や取引先も安心して業務に臨むことができます。

関係者への周知

事業承継計画が整ったら、次に行うのが関係者への周知です。これは、従業員や取引先、銀行などの金融機関を含む、企業の主要なステークホルダーに対して、事業承継の計画を正式に伝えるプロセスです。

周知の際には、後継者のプロフィールや経営方針を詳しく説明し、信頼関係を築くことが重要です。最初に、内部の従業員に対して詳細な説明会を開き、不安を解消し、新しいリーダーの元での一体感を醸成することが目指されます。

次に、主要な取引先に対しても直接説明を行い、安心して取引を続けてもらえるように努めます。特に金融機関への周知は慎重に行い、後継者に対する信頼を確立するための説明や資料の準備を怠らないようにしましょう。このように、関係者への周知を徹底することが事業承継の円滑な進行と企業の信頼性維持に繋がります。

株式譲渡契約の締結

事業承継のプロセスにおいて、具体的な行動に移る段階として、株式譲渡契約の締結が重要です。後継者との間で正式に契約を交わし、株式の譲渡が法的に認められる手続きを行います。

契約内容は、法的な専門家である弁護士や公認会計士の協力を得て慎重に検討し、不備がないようにします。また、譲渡後の経営方針に関する合意事項、例えば後継者が一定期間内にどのような経営目標を達成するかなども明らかにしておくと良いでしょう。株式譲渡契約が適切に締結されることにより、企業の所有権が正式に移転し、後継者の立場が明確になります。

株式譲渡と株主名簿の書き換えなど

株式譲渡契約が締結された後、実際の譲渡手続きを進める必要があります。まず、譲渡された株式の記録を正確に行い、株主名簿の書き換えを行います。次に、会社登記に関する手続きを実施し、新しい経営者の氏名や役職を登記簿に記載します。

また、株式譲渡に付随して税務関連の手続きも怠らないようにしましょう。税務署への申告や、適切な税金の計算と納付を行うことで、法的な問題を未然に防ぎます。最後に、社内外の関係者に対して公式に承継完了の報告を行い、理解と協力を得ることが大切です。この一連の手続きがスムーズに行われることで、後継者は新体制での経営をスタートさせることができます。

親族外承継を成功させるポイント

親族外承継を成功させるためには、いくつかのポイントがあります。まず、関係者全員の理解と協力を得ることが不可欠です。次に、後継者の計画的な育成です。十分な育成期間を確保することが大切です。さらに、事業承継税制の活用も検討することで、財政面での安定を図ることができます。

取引先や家族、他の従業員から理解を得る

親族外承継では、取引先や家族、従業員などの関係者から理解を得ることが非常に重要です。そのためには、早い段階から透明性を持って情報共有を行い、各方面の意見や懸念に真摯に向き合うことが求められます。これにより、協力しやすい環境を整えることができます。

後継者を計画的に育成する

後継者育成は親族外承継における鍵となるポイントです。後継者には企業のビジョンや価値観を共有し、業務に精通させるだけでなく、リーダーシップスキルや経営判断力を磨くための教育プログラムを用意しましょう。これにより、承継後の経営をスムーズに進めることができます。

事業承継税制を活用する

事業承継税制とは、中小企業の事業承継を円滑に進めるために設けられた税制優遇措置のことです。この税制には、特定の条件を満たすことで贈与税や相続税の納税猶予が受けられる仕組みがあります。たとえば、後継者が特定中小企業の株式を取得した場合、その株式にかかる贈与税や相続税の支払いを一時的に猶予してもらうことができます。これにより、後継者の資金負担を軽減することができます。

親族外承継での事業承継税制の注意点

親族外承継で事業承継税制を活用する際にはいくつかの注意点があります。まず、親族外の後継者が事業承継税制の適用を受けるには、いくつかの要件を満たしていることと事前に計画的な準備が必要です。特に、税務負担の軽減効果を最大限に活かすため、後継者が企業経営に関する十分な知識と経験を持っていることが求められます。

次に、税制適用のための手続きや条件については専門家の助言を仰ぐことが重要です。適用条件を満たさなかった場合、税制優遇措置が無効になる可能性があるため、慎重な判断と対応が必要です。また、事業承継税制の効果を維持するためには、継続的なフォローアップが必要です。

最後に、経営環境や税制改正に伴う影響にも対応するための柔軟な戦略も大切です。これらの注意点を理解し、適切に対応することで親族外承継を成功に導くことができます。

専門家に相談する

親族外承継を成功させるためには、適切な専門家に相談することが重要です。専門家のサポートを受けることで、法律や税務、経営の観点から最適な方法を見つけることができます。例えば、経営コンサルタントや税理士、弁護士などが親族外承継のサポートを行っています。これらの専門家は、事業承継に関する多くの経験と知識を持っているため、複雑な問題にも対応できるでしょう。

専門家に相談する際には、まず自社の現状を詳しく説明し、承継の目標やビジョンを共有することが大切です。これは、専門家が最適なアドバイスを行うために必要な情報を提供することになります。専門家との連携を密に保つことで、親族外承継がスムーズに進むようになります。

親族外承継の市場動向

帝国データバンクの「全国「後継者不在率」動向調査(2024年)」によると、前経営者と現経営者の関係性は内部昇格が36.4%、同族承継が32.2%と発表されています。2020年は内部昇格が31.9%、同族承継が39.3%であることから、親族への承継から親族外への承継へと変化していることがわかります。

後継者候補の属性も親族以外が増加しており、今後も経営者の高齢化と少子化の影響から親族外またはM&Aによる事業承継は増えていくと推察されます。

まとめ:親族外承継の成功に向けて

親族外承継の成功には、様々な要素が絡み合います。後継者の選定から育成、関係者への周知、そして法的手続きを含むスムーズな引き継ぎまで、綿密な計画と実行が求められます。特に、第三者承継やMBO、M&Aなどの手法を用いる場合、専門家の助言は不可欠です。

M&Aのプロセスは複雑で、的確な判断を必要とします。M&Aロイヤルアドバイザリーは、豊富な経験と専門知識を持ち、事業承継の成功をサポートします。

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