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クリニック・医院経営者の高齢化が進む中、事業承継は避けて通れない重要な課題となっています。後継者不在による廃業は地域医療に深刻な影響を与えるため、計画的な承継準備が不可欠です。
親族内承継から第三者承継(M&A)への転換が進む現在、どちらの方法を選ぶべきか、どのように進めるべきか、多くの経営者が悩んでいます。また、医療機関特有の行政手続きや患者・スタッフへの配慮など、一般企業とは異なる注意点も多く存在します。
本記事では、クリニック・医院の事業承継を成功させるための5つのステップを中心に、承継方法の選び方から具体的な手続き、失敗を避けるためのポイントまでを詳しく解説します。
事業承継を検討している医師の方はもちろん、将来的に承継を考えている方にも役立つ実践的な内容となっています。地域医療を守りながら、スムーズな引き継ぎを実現するために、ぜひ参考にしてください。
目次
クリニック・医院の事業承継は、地域医療を維持する上で極めて重要な課題となっています。高齢化が進む経営者の引退時期が迫る中、後継者不在により廃業を余儀なくされるクリニック・医院が増加しており、地域医療体制の維持が危ぶまれています。
日本の医療機関における経営者の高齢化は深刻な状況にあります。厚生労働省の令和4年(2022年)「医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」によると、クリニック・医院に勤務する医師全体の平均年齢は60.4歳でした 。これは、2024年の中小企業白書による日本の企業経営者の平均年齢60.5歳 と同水準です。診療所医師の約23.0%が70歳以上であるというデータもあり 、引退時期が迫る経営者が多いことがうかがえます。
さらに、帝国データバンクの2024年の調査によると、「医療業」における後継者不在率は61.8%に達しており 、これは全産業の全国平均後継者不在率52.1% を大きく上回っています。この数値には、経営者がまだ若く後継者選定をしていないケースも含まれますが、医療業界の後継者不在率は他業種と比較しても高い水準にあり、楽観視できない状況となっています。
後継者不在によるクリニック・医院の廃業は地域医療に深刻な影響を与えています。2023年度の医療機関の休廃業・解散動向調査によると、クリニック・医院の休廃業・解散件数は580件に上り、病院の19件を大きく上回っています。
特に地方部での廃業が顕著であり、地域住民のかかりつけ医不在は、高齢者の健康管理や慢性疾患の継続的な治療に支障をきたしています。また、救急医療体制への負担増加や、患者の遠方通院による身体的・経済的負担の増大など、地域医療全体のサービス低下につながる悪循環が生じています。
従来、クリニック・医院の承継は親子間での親族内承継が主流でしたが、近年は第三者承継(M&A)を選択するケースが増加しています。その背景には、医師の子供が必ずしも医師になるとは限らない社会の変化があります。
また、子供が医師であっても専門科目が異なる場合や、勤務医としてのキャリアを優先する場合も多く見られます。さらに、開業医の経営責任の重さや、設備投資などの経済的負担、ワークライフバランスの重視など、若い世代の価値観の変化も影響しています。
このような状況から、地域医療を継続するための現実的な選択肢として、第三者への承継が注目されています。
クリニック・医院の事業承継には、親族内承継と第三者承継(M&A)の2つの方法があります。それぞれの特徴を理解し、自院の状況に応じて最適な方法を選択することが、承継成功の鍵となります。
親族内承継のメリットは、患者やスタッフからの理解と受け入れやすさです。既に院内で勤務している親族であれば、診療方針や患者との関係性も把握しており、スムーズな引き継ぎが可能です。
また、相続や贈与を活用することで、事業・資産の引き継ぎが比較的簡単に行えます。生前贈与や相続税の特例を計画的に活用することで、税負担を大幅に軽減できる利点もあります。
一方、デメリットとして、経営方針の相違による対立が生じる可能性があります。後継者が新しい診療方針や経営理念を持っている場合、現経営者との意見の相違から承継がうまくいかないことがあります。また、診療科目が異なる場合は承継自体が困難になることもあります。
第三者承継の最大のメリットは、後継者の選択肢が広がることです。診療科目に適した医師を後継者として選定でき、業務の引き継ぎや育成の手間が比較的少なくて済みます。
また、譲渡対価を得ることができ、引退後の生活資金確保にもつながります。スタッフの雇用維持や患者の継続的な診療も可能となり、地域医療の継続に貢献できます。
デメリットとしては、適切な後継者を見つけるまでに時間がかかる可能性があります。また、譲渡条件の交渉が必要となり、希望する条件での承継が難しい場合もあります。診療方針の大きな変更により、患者離れやスタッフの離職リスクも存在します。
個人開業医の承継では、事業譲渡方式を採用します。譲渡側は診療所廃止届を保健所と厚生局に提出し、譲受側は新たに診療所開設届と保険医療機関指定申請を行う必要があります。保険医療機関コードも変更となるため、診療報酬請求の切り替え手続きが必要です。
医療法人の承継では、出資持分の譲渡と社員の入れ替えによって経営権を引き継ぎます。出資持分のある医療法人の場合、全ての出資持分を買い取ることで経営権を取得します。
医療法人では保険医療機関コードが変わらないため、診療報酬請求は承継前と同様に行えます。また、法人格が継続するため、許認可等の引き継ぎが比較的スムーズです。
承継方法の選択には、以下の3つの判断基準を考慮することが重要です。
親族内に適任者がいる場合は親族内承継が第一選択となりますが、診療科目が異なる場合や経営方針に大きな相違がある場合は、第三者承継も検討すべきです。
承継時期に余裕がある場合は、じっくりと最適な後継者を探すことができますが、急を要する場合は選択肢が限られることもあります。また、地域医療への貢献度や患者との関係性、スタッフの雇用継続など、総合的な観点から判断することが大切です。
クリニック・医院の事業承継を成功させるには、十分な準備期間と綿密な計画が不可欠です。多くの経営者が承継の必要性を感じながらも、日々の診療に追われて準備を先延ばしにしがちですが、早期の準備開始が承継成功の鍵となります。
承継の準備は、理想的には引退予定の5年前から開始することが推奨されます。親族内承継の場合は、後継者の育成期間を含めて3〜5年、第三者承継の場合は、マッチングから引き継ぎ完了まで1〜2年程度が一般的な準備期間です。
具体的な時期の目安として、経営者が60歳を迎えた時点で承継の検討を開始し、65〜70歳での承継実施を目標とすることが望ましいでしょう。ただし、健康状態や家族の事情により、より早期の承継が必要となる場合もあります。
重要なのは、体力・気力が充実しているうちに準備を開始し、余裕を持って承継プロセスを進めることです。
また、診療科目や地域特性により承継時期は異なります。内科や小児科など、長期的な患者関係が重要な診療科では、より長い引き継ぎ期間が必要となることがあります。
承継準備の第一歩は、現在の診療方針と経営状況を明確に整理することです。まず、自院の診療理念、特徴的な治療方針、患者層の分析を行います。これらの情報は、後継者へ引き継ぐべき重要な資産となります。
経営状況の整理では、過去3年分の財務諸表を準備し、収益性、患者数の推移、設備投資の状況を把握します。また、スタッフの雇用状況、勤続年数、給与体系なども重要な情報です。医療機器の保有状況と更新時期、不動産の所有形態(自己所有か賃貸か)、借入金の残高と返済計画も明確にしておく必要があります。
さらに、地域における自院の位置づけや、他医療機関との連携状況、医師会との関係性なども文書化しておくことで、後継者がスムーズに地域医療に参加できる環境を整えることができます。
早期に承継準備を開始することで、さまざまなメリットが得られます。第一に、後継者選定の選択肢が広がります。親族内承継であれば後継者の育成に十分な時間を確保でき、第三者承継であれば理想的な候補者を見つけるまでじっくりと探すことができます。
次に、財務面での準備が可能となります。相続税・贈与税対策を計画的に実施でき、必要に応じて経営改善を行い、より良い条件での承継が可能となります。設備更新のタイミングを承継時期と調整することで、無駄な投資を避けることもできます。
また、患者やスタッフへの配慮も重要です。急な承継は患者の不安やスタッフの動揺を招きますが、時間をかけて準備することで、段階的な引き継ぎが可能となり、診療の継続性を保つことができます。承継後の診療体制について、患者やスタッフと十分なコミュニケーションを取る時間も確保できます。
早期準備により、予期せぬ事態への対応力も高まります。健康問題や家族の事情で急な承継が必要となった場合でも、基本的な準備が整っていれば、スムーズな対応が可能です。
事業承継の準備が整ったら、次は専門家のサポートを受けながら最適な後継者を選定します。医療機関の承継は一般企業とは異なる特殊性があるため、経験豊富な専門家の助言が成功の鍵となります。
クリニック・医院の事業承継では、複数の専門家の協力が不可欠です。それぞれの専門家の役割と活用方法を理解し、適切に連携することが重要です。
M&A仲介会社は、特に第三者承継において中心的な役割を果たします。医療業界に特化した仲介会社を選ぶことで、診療科目や地域特性を理解した適切なマッチングが期待できます。仲介会社は、承継候補者の探索、条件交渉、契約書作成のサポート、スケジュール管理など、承継プロセス全体をコーディネートします。
税理士は、承継に伴う税務対策において重要な役割を担います。相続税・贈与税の試算と対策立案、事業用資産の評価、承継スキームの税務面からの検討などを行います。医療機関に精通した税理士であれば、医療法人特有の税務問題にも対応できます。
弁護士は、契約書の作成・レビュー、労務問題への対応、行政手続きのサポートなど、法的側面からの支援を行います。特に、従業員の雇用継続や患者情報の取り扱いなど、医療機関特有の法的問題に対応できる弁護士の選定が重要です。
公認会計士は、財務デューデリジェンスの実施、企業価値評価、財務改善のアドバイスなどを担当します。承継価格の妥当性評価や、承継後の経営計画策定にも関与します。
後継者選定において重要な条件は以下の通りです。
親族内承継の場合は、医師としての技術面だけでなく、経営者としての資質も重要な選定基準となります。医療経営の研修受講歴や、他院での管理職経験なども考慮すべきポイントです。
第三者承継の場合は、現在の診療方針との親和性が重要です。診療理念や患者層への理解、既存スタッフとの協調性なども選定基準に含めるべきです。また、承継後の投資計画や経営方針についても、事前に十分な確認が必要です。
年齢も考慮すべき要素の一つです。若すぎる後継者は経験不足の懸念があり、高齢すぎる場合は再度の承継問題が早期に発生する可能性があります。一般的には、35〜50歳程度の医師が理想的とされています。
後継者候補との面談は、承継成功の重要な分岐点となります。複数回の面談を通じて、以下のポイントを確認することが大切です。
初回面談では、医師としての経歴と専門性を確認します。診療経験年数、専門医資格、得意とする治療分野、これまでの勤務先での実績などを詳しく聞き取ります。また、承継を希望する理由や、開業への意欲についても確認します。
2回目以降の面談では、診療方針や経営理念について深く掘り下げます。現在のクリニック・医院の診療方針への理解度、承継後に変更を考えている点、地域医療への考え方などを確認します。特に、患者層や診療内容の急激な変更は避けるべきであることを理解しているかが重要です。
経営面での確認事項として、資金調達能力、経営計画の妥当性、設備投資への考え方なども重要です。また、現在のスタッフの雇用継続についての意向、新規スタッフ採用の計画なども確認します。
最終的な面談では、実際にクリニック・医院を見学してもらい、施設・設備の状態、患者層、スタッフとの相性などを確認してもらいます。可能であれば、診療の様子を見学し、現在の診療スタイルを理解してもらうことも有効です。
面談を通じて最も重要なのは、相互の信頼関係を構築できるかどうかです。承継は単なる事業の売買ではなく、地域医療を共に支えるパートナーを見つけるプロセスであることを、双方が理解することが大切です。
後継者が決定したら、具体的な承継条件の交渉を開始します。この段階では、双方が納得できる条件を見出すことが重要であり、専門家のサポートを受けながら慎重に進める必要があります。
クリニック・医院の譲渡対価は、一般的に1,000万円から4,000万円程度が相場とされていますが、これはあくまで目安であり、クリニック・医院の規模、診療科目、立地、収益性、そして個人経営か医療法人かによって大きく異なります。 譲渡対価の基本的な算定方法は、一般的に「時価純資産価額 + 営業権(のれん代)」で評価されます 。
時価純資産:
クリニック・医院の資産(医療機器、内装設備、備品など)を時価で評価し、負債を差し引いたものです。
営業権(のれん代):
クリニック・医院のブランド力、患者数、技術力、立地などの無形の価値を評価したものです。個人開業医の場合、営業権は「事業利益の0~1年分」または「院長の年間所得の1年分」程度が目安とされることがあります 。一方、医療法人の場合は「直近の営業利益の3~5年分」が目安とされることが多いですが 、評価方法や専門家によって異なる場合があります。
診療科目による相場の違い:
その他の評価要素として、不動産(土地・建物)の有無、営業権(のれん)としての立地優位性、患者数、ブランド力なども価格に反映されます。
承継において最も重要な要素の一つが、従業員と患者の引き継ぎです。
従業員の引き継ぎ条件:
患者引き継ぎのポイント:
また、紹介元・紹介先医療機関との関係維持も条件に含め、地域医療連携の継続を図ることが重要です。
条件交渉が整ったら、基本合意書を締結し、その後最終契約へと進みます。
基本合意書の主要項目:
デューデリジェンス(買収監査)の実施:
最終契約書の重要条項:
契約締結の注意点として、必ず弁護士によるリーガルチェックを受け、医療機関特有の法規制に配慮した内容とすることが重要です。また、資金調達が必要な場合は、金融機関との調整も並行して進めます。
契約締結後は、行政手続きと実際の引き継ぎ作業を進めます。医療機関の承継では、保健所や厚生局への届出が必要となり、これらの手続きを適切に行うことが、スムーズな診療継続の鍵となります。
医療機関の承継には、複数の行政機関への届出が必要です。個人診療所と医療法人では手続きが異なるため、それぞれの場合について理解しておく必要があります。
個人診療所の承継では、譲渡側と譲受側がそれぞれ以下の手続きを行います。
譲渡側の手続き:
譲受側の手続き:
医療法人の承継では、法人格が継続するため、理事長変更届を保健所と厚生局に提出するのみで済みます。ただし、診療科目の変更や施設の改修を行う場合は、追加の届出が必要となることがあります。
重要な注意点として、保険医療機関の指定申請の締切日は、管轄する地方厚生局によって異なります。例えば、関東信越厚生局管内では指定を受けたい月の前月10日前後が申請締切日となる一方 、和歌山市の例では前月15日までとされているなど地域差があります 。
この期限に遅れると、診療報酬の請求に支障が生じる可能性があるため、必ず事前に管轄の厚生局に確認し、スケジュール管理を徹底することが極めて重要です。
また、各種届出には添付書類が必要となります。診療所の平面図、医師免許証の写し、管理者の経歴書など、事前に必要書類を確認し、準備しておくことが大切です。所轄の保健所や厚生局に事前相談を行い、手続きの流れと必要書類を確認することをお勧めします。
承継形態によって、保険医療機関コードの取り扱いが異なります。この違いは、診療報酬請求事務に大きな影響を与えるため、適切な対応が必要です。
個人診療所の承継では、開設者が変わるため、保険医療機関コードも新規に取得する必要があります。コード変更に伴い、以下の対応が必要となります。
承継月の診療報酬請求は特に注意が必要です。承継前の診療分は旧コードで、承継後の診療分は新コードで請求する必要があります。月末承継の場合は、2つのコードでの請求が必要となるため、レセプト作成時に混乱が生じやすくなります。
医療法人の承継では、法人格が継続するため、保険医療機関コードは変更されません。そのため、診療報酬請求事務は通常通り継続でき、システムの設定変更も最小限で済みます。
コード変更に備えて、システムベンダーと事前に打ち合わせを行い、切り替え作業のスケジュールを調整します。また、職員への研修を実施し、新しいコードでの請求方法を周知徹底することも重要です。承継初月の請求では、通常よりも慎重にレセプトチェックを行い、請求漏れや誤請求を防ぐよう注意しましょう。
カルテは重要な個人情報ですが、医療機関の承継においては特別な取り扱いが認められています。個人情報保護法では、事業承継の場合、患者の個別同意なくカルテを引き継ぐことが可能とされています。
ただし、以下の条件を満たす必要があります。
患者への告知は、承継の1〜2か月前から開始することが望ましいです。院内掲示、ホームページでの案内、診察時の口頭説明など、複数の方法で周知します。告知内容には、承継の時期、新しい院長の紹介、診療方針の継続性、カルテの引き継ぎについての説明を含めます。
カルテの保存義務(5年間)は承継後も継続されます。電子カルテの場合は、システムの引き継ぎ方法をベンダーと協議し、データの完全性を確保します。紙カルテの場合は、保管場所の確保と適切な管理体制の構築が必要です。
患者から個別にカルテ引き継ぎの拒否があった場合は、その意向を尊重する必要があります。ただし、実際にはほとんどの患者が引き継ぎに同意する傾向にあります。拒否された場合は、カルテの返却または廃棄について、患者と相談の上で対応します。
また、カルテ以外の個人情報(予約システムのデータ、問診票など)についても、同様の配慮が必要です。承継に伴うセキュリティ対策を強化し、情報漏洩のリスクを最小限に抑えることが重要です。
承継が完了し、新体制での診療が始まっても、真の成功はこれからです。患者やスタッフとの信頼関係を維持しながら、診療の継続性を確保し、経営を安定化させることが重要な課題となります。
承継後の最初の数か月は、患者とスタッフの不安を解消し、信頼関係を構築する重要な期間です。
患者対応のポイント:
スタッフとの関係構築:
前院長との引き継ぎ:
診療の継続性を保つためには、承継前からの診療体制を急激に変更しないことが基本です。
システム・運用面の配慮:
医療面での継続性:
地域連携の維持:
設備・経営面の改善:
これらの工夫により、患者離れを防ぎ、安定した診療継続が可能となります。
クリニック・医院の事業承継では、見落としがちな落とし穴がいくつか存在します。これらの注意点を事前に把握し、適切な対策を講じることで、承継の失敗リスクを大幅に減らすことができます。
行政手続きの不備は、承継後の診療に重大な支障をきたす可能性があります。特に、保険医療機関の指定申請の期限を逃すと、診療報酬が請求できない事態に陥ることがあります。
よくある失敗例:
対策:
費用はかかりますが、手続き不備による損失を考えれば、専門家活用は必要な投資です。
承継に伴うスタッフの不安や不満は、大量離職につながり、診療の質低下や患者離れを招く重大なリスクとなります。
スタッフの主な不安要素:
・雇用継続への不安
・待遇変更への懸念
・新院長との相性
・業務負担の増加
対策:
・承継決定後の早期説明会開催
・雇用条件維持・改善の明確な約束
・個別面談による意見聴取
・重要スタッフへの特別配慮
・新旧院長協力による関係構築
労務専門家を活用し、適切な労務管理体制を構築することも重要です。
患者への配慮不足は、承継後の患者離れを招く最大の要因となります。特に長期通院患者や高齢患者は、変化に対する不安が大きいため、丁寧な対応が必要です。
患者説明の重要ポイント:
承継告知の進め方:
これらの注意点を守ることで、主要な失敗リスクを回避できます。
クリニック・医院の事業承継は、地域医療を守りながら経営者の引退を実現する重要な選択肢です。成功のカギは、早期の準備開始(理想的には引退予定の5年前)と計画的な実行にあります。
親族内承継か第三者承継かを適切に選択し、5つのステップを着実に進めることが重要です。行政手続きの確実な実施、スタッフとの丁寧なコミュニケーション、患者への配慮ある対応は、承継後の診療継続と経営安定化に直結します。
譲渡対価はケースバイケースで大きく変動し、一般的に1,000万円から4,000万円程度が一つの目安とされています。ただし、これは診療科目や地域、収益性、医療設備の状態など、個別の要因によって大きく変動します。
特に自由診療主体のクリニックや都市部で患者数が安定しているクリニックでは、4,000万円を超えるケースや数億円規模になる場合もあります。一方、小規模なクリニックや地方の診療所では、譲渡対価が1,000万円未満となることもあります。個別の事情を考慮した詳細な評価が必要です。
適正な評価には医療機関M&Aに精通した専門家の助言が不可欠です 。クリニック・医院の事業承継は、地域医療の継続という社会的責任を伴うものです。まずは信頼できる専門家に相談し、自院の状況分析から始めることをお勧めします。
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