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医療・病院・クリニック業界ではM&Aの需要が高まり、積極的に実施されています。医療・クリニック業界では事業承継問題の解決は急務で、特に地方では病院の廃業は地域住民にとって深刻な問題となります。本記事では、「医療・病院・クリニックのM&A」をテーマに、医療・クリニック業界におけるM&Aの動向やメリットについて、実際に行われた事例紹介ととも解説します。
ニッソンキャピタル(本社:東京都)は、経営支援を行うユニゾン・キャピタル5号投資事業有限責任組合を通じて、熊谷総合病院(埼玉県熊谷市)を譲り受けました。同社は社会医療法人北斗(北海道帯広市)の経営支援のもと、2016年に埼玉県厚生農業協同組合連合会(JA埼玉県厚生連、埼玉県熊谷市)から事業を譲り受けて発足しました。ユニゾン・キャピタルは、子会社で医療分野の経営ノウハウを提供する地域医療連携プラットフォーム(CHCP、東京都)を活用し、経営業務を進めていく予定です。北斗は、臨床能力の深化を支援する方針を固めています。
ユニゾン・キャピタル(東京)の投資先でヘルスケア分野での経営支援を行う地域ヘルスケア連携基盤(CHCP、同)は、地域医療体制の構築を支援するCHCPホスピタルパートナーズ(東京)を通じて、平和病院(横浜市)と平和会(横浜市)を買収しました。また、1951年に設立された平和会には、CHCPと社会医療法人北斗会(北海道帯広市)が経営支援を行います。CHCPと北斗、そして平和会の3者が一体となって、地域に根ざした医療提供体制を構築していきたいと考えています。
教育事業などのNSGグループ(新潟市)は、中条中央病院(新潟県胎内市)を運営する医療法人社団協生会を買収、経営権を引き継ぎました。同病院は90床を有し、NSGグループの施設を活用し、周辺地域での事業拡大や提携を図り、より強固な支援体制を構築しようとしています。
医療法人は、医療法に基づき病院、医師もしくは歯科医師が常勤する診療所、または介護老人保健施設といった施設を開設することが目的である組織です。
病院と診療所については病床数によって呼ばれ方が変わっており、20以上なら「病院」、20未満なら「診療所」となります。
一部例外として大企業が運営しているものも現存していますが、運営している法人は基本的に株式会社ではありません。
多くは医療法人が運営をしています。
株式会社の場合は意思決定で株主総会を開きますが、医療法人の場合は社員総会(社員とは会社員のことではなく、株主のように議決権をもつ人や法人のことです)で意思決定を行っていきます。
医療法人の型は大きく以下の2つに分けられます。
社団医療法人とは、出資者が複数人集まり病院などの開設や経営に携わることでできる法人格です。
出資のために集まった人は社員と呼ばれます。
下記で詳しく解説しますが、社団医療法人には出資持分の有無があり、出資持分がある場合、社員は出資比率に応じて解散時に払い戻しを受けられます。
医療法人のほとんどは社団医療法人で、数値にすると99%以上です。
財団医療法人とは、個人または法人の寄付といった基礎的な財産をもとに設立された法人格です。
そのため、社団医療法人よりも公益性が重視されます。
基盤となる財産があるため、社団医療法人よりも安定していることが強みでしょう。
持分はなく、法人解散時に財産は国や地方自治体に帰属されます。
現状は「出資持分あり」の社団医療法人が大半を占めています。
平成19年3月31日までに設立された場合は、出資持分ありの医療法人です。
一方で、平成19年4月1日以降に設立された場合は、出資持分なしの医療法人になります。
ただし、「出資持分あり」から「出資持分なし」への法人の変更は可能なため、以前は「出資持分あり」だったが、今は「出資持分なし」の法人となっているケースもあります。
変更を行う主な理由は相続の際の税金対策です。
「出資持分あり」の法人では、個人が出資持分をもっています。
たとえば、1,000万円の資金をもって個人がある医療法人を設立させたとして、長い年月を経てその医療法人を解散させるときがきたとき、築かれた医療法人の財産は1,000万円出資した個人に払い戻されます。
しかし、「出資持分なし」の法人では個人が出資持分をもっていません。
上記の例でいえば、築かれた医療法人の財産は個人へは戻らずに国または他の医療法人のものになります。
病院。クリニック業界の市場については以下のような現状があります。
病院や診療所を開くためには、都道府県からの許可を取得する必要があります。
しかし、地域によってはすでに必要な病床数を満たしているところもあり、そういった地域では新たな病床の開設は認められにくいです。
また、医療法人は医療法によって非営利性が厳しく決められているため、病院の開設が営利目的と判断された場合も許可は下りません。
さらに、有資格者の数にも配置基準があるため、病院・クリニック業界への参入障壁は高いといえるでしょう。
病院・クリニック業界の市場は高齢化の影響もあり、今後もゆるやかに拡大が続くと予想されています。
2025年は団塊の世代が75歳になるなど、国民医療費総額は50兆円を超えるといわれているのです。
2040年は高齢者人口のピークと予想されており、65歳以上の高齢者の数が4000万人弱まで増えるとの予想もあります。
現在の日本の人口構造からも、受療率の高い高齢者が増えていき、医療業界のニーズは高まっていくでしょう。
病院・クリニックの事業承継は、以下の2つに分けられます。
自分の子どもなど、親族に医院を引き継ぐ方法であり、最初に検討する医師は多いです。
親族内承継の場合、相続対策がしやすかったり、引き継ぐ側にとっては初期費用をおさえられたりするメリットがあります。
一方で、引き継ぐ人は医師である必要があり、医師免許がいります。
もし、親族に医師がいない場合は親族外承継を検討していかなければいけません。
親族外承継では、主に医院に長く勤めてきた従業員へ引き継ぐのが一般的です。
医院の状況をよく理解しており、周囲からも受け入れられやすいといったメリットがあります。
しかし、医院の承継にはまとまった資金が必要なため、従業員の立場では準備が難しいことも多いです。
また、M&Aで第三者に譲渡する場合もあり、近年ではよく選ばれるようになってきた事業承継の手段です。
M&A専門の仲介などに譲渡先を探してもらって譲渡できるので、後継者問題に悩んでいる医師にとっては非常に有効な手段といえます。
M&Aで病院・クリニックを事業承継する場合、上述した出資持分によってスキームが変わってきます。
出資持分がある場合とない場合について、M&Aでのスキームがどう変わるのか解説します。
出資持分ありの医療法人の場合は「法人譲渡」をするスキームが最も多いです。
医療法人すべてを譲渡し、経営をしていた人や法人は出資率に応じて払い戻しを得られます。
また、「事業譲渡」のスキームが選ばれることもあり、医療法人の出資持分や経営権は変えずに一部(またはすべて)の事業を譲渡します。
事業譲渡が選択されるのは以下のようなケースが多いです。
出資持分なしで最も多いM&Aのスキームとしては別の医療法人との合併です。
出資持分なしの場合、払い戻しはありませんが、蓄財した資金を退職金として受け取れます。
病院・クリニック業界では近年M&Aの件数が増加しています。
その理由としては以下の3点が考えられます。
それぞれについて解説します。
実は、経営難に陥っている病院やクリニックは多く、2020年度第3四半期には約46%の病院が赤字でした。
主な理由は、社会保障費負担の増加や医療制度の改革などによって、診療報酬は下がってきているからです。
その影響は大きく、病院・クリニックの努力だけで経営を安定させるのは難しいです。
病院・クリニック業界の人材不足は深刻化しており、M&Aで医師や看護師などの人材確保が図られています。
病院・クリニックで今課題となっているのが、人手不足の問題です。
原因としては、日本の少子高齢化の影響が大きいです。
医療が必要な高齢者の数が増える一方で、医師を目指す若者の数はなかなか増えていかず、需給バランスが崩れてきています。
また、病院やクリニックの労働環境は過酷であることも多く、医師や看護師が離職していくケースもめずらしくありません。
医師の高齢化も進んでおり、後継者問題に直面している医療法人も多いです。
少子化や働き方の多様化によって、医院を引き継いでくれる親族がいない医師も増えています。
そういった医療法人では、M&Aによって後継者を探すことも多いです。
病院・クリニックがM&Aを行ううえで、売り手側と買い手側それぞれ得られるメリットと注意点を解説します。
後継者がいないため、経営継続が厳しい病院やクリニックが多々あることをお伝えしました。
これまで運営してきた病院を守りたいと考えるのは普通のことです。
廃院しか手立てがないと考えていた場合にも、これからの病院の経営を安心して任せられるのです。
廃院となると、必然的にスタッフは解雇の流れとなります。
これまで苦楽を共にしてきた仲間だからこそ、解雇の決断は心苦しいものがありますよね。
新しい就職先を探すことも、スタッフによっては年齢的な問題もあり難しいかもしれません。
しかし、売却または譲渡の際にスタッフを引き渡せれば、雇用継続は可能となります。
廃院した場合困るのはスタッフだけではなく、継続して通院してきた患者です。
新たな病院を探そうにも、自分にあった病院を探すのはなかなかに難しいもの。
とくに高齢の患者が多い病院だと、通いやすさから選ばれていた理由もあると考えられます。
M&Aを行うことで、病院は存続できるため引き続き通えます。
また、医療スタッフも変わりなければ、今まで通り安心して通院してもらえるでしょう。
病院経営は信頼が不可欠です。
任せたところでずさんな経営をする買い手にあたってしまうと、これまで培ってきた実績等はすべて無駄になることも。
もちろんその場合患者にも迷惑がかかります。
安心して経営を任せられると判断したうえで売却等を行いましょう。
病院・クリニックを開業する場合、土地探しから建物、必要な機器の準備などかなりの時間とコストがかかります。
しかし、M&Aを行うと、設備からスタッフまで基盤の整った状態で経営を開始でき、開業資金をおさえることが可能です。
新規でスタッフを採用すると、研修も必要となります。
また、思うような人材が集まる保証もありません。
実際に病院で働いているスタッフは、即戦力となる人材です。
頼りになるうえ、これからの活躍が期待できます。
すでにある病院を買収することで、さらなる事業拡大が見込めます。
希望のエリアや診療科をピックアップして探せるので、全体としてのステップアップが目指せるでしょう。
買収したいと考える病院の現状を細かく把握しておくことが大切です。
ビジョンと求めるニーズにマッチするか、判断する材料となります。
経営状況から、スタッフの雇用・離職状況、周辺の医院の調査まで念入りに行うことで、リスクを最低限におさえたM&Aができるでしょう。
病院・クリニック業界のМ&Aの相場については、立地や在籍している医師・薬剤師などの従業員、医師の手術実績などによって変わるため、一概に算出することは難しいです。
ただ、実際に取引される金額としては1,000万円~4,000万円ほどの金額であることが多いです。
M&Aを行うにあたり、譲受ニーズの高い病院・クリニックの特徴は以下のとおりです。
譲受側が最も恐れるのは買収によるリスクです。
経営不振等の医療施設を買収すると、利益を回収するまで一定の時間を要することになります。
しかし、病院の経営状況は安定していますが、後継者が不在であるため今後経営を続けられない理由でM&Aを行うケースだと、譲受側は利益回収へのスピードが見込めます。
リスクを最小限におさえたいと考える譲受側のニーズにあっている理由だといえるでしょう。
買収後すぐの診察開始を考えると、看護師や事務員、放射線技師など専門的資格を有する人材が必要となります。
また、同じ現場で働いている経験がある人材こそ、これからの運営でも頼りになるでしょう。
既存の従業員をそのまま引き継ぐことで、新たな人材確保や研修等に要する時間やコストを削減できるメリットもあるのです。
内装や設備も同様で、そのまま使用できると修繕や導入にかかる初期コストを削減できます。
多くの譲受側が求めるのは、ローリスク・ハイリターンです。
成功イメージをしやすい条件が揃っているほど、買収後のビジョンが鮮明になります。
また、現在は経営不振でも、回復させる見込みがあるケースももちろん需要があります。
たとえば以下です。
長い経営実績は、これまで多くの患者に支持されてきた背景があります。
病院と患者との間に信頼関係が構築されているといえるでしょう。
新規の患者の獲得も大切ですが、既存の患者が継続して来院してくれることで、安定した患者数の確保が目指せます。
何かに特化した病院であると、強みを活かした経営ができます。
その地域にあまり〇〇科(専門科)がない場合、もちろん需要は高いです。
また、立地も重要であると考えます。
アクセスしにくい立地にあると、通院し続けるのは患者にとって負担になることも。
反対に、バス停や駅の近く、市街地にあると車をもっていない方でも通いやすいです。
来院が予想される患者の年代や状況を把握し、通院しやすい環境と判断できれば、経営不振であっても状況を変えられる見込みはあると考えられます。
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