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「共同経営とは?」と聞いて、明確に答えられる経営者は意外と少ないかもしれません。共同経営は、企業同士がパートナーとなって出資・運営・意思決定を共有する経営形態であり、合弁会社(JV)や資本提携、事業提携などさまざまな形で存在します。
事業の拡大、新規市場への進出、リスク分散、そして何より「一人ではできないことを、共に実現する」という経営戦略として、近年注目が高まっています。特に中小企業やスタートアップでは、後継者不在や経営資源の限界を補う手段として、「M&Aではなく共同経営」という選択肢を検討するケースもあります。
しかし、共同経営には成功のチャンスがある一方で、明確な準備とルールがなければ失敗のリスクも大きいのが現実です。パートナーの選び方から契約の作り方、運営体制の設計、そして万が一の解消時の対応まで、事前に理解すべきことは少なくありません。
本記事では、「共同経営とは何か?」という基本から始まり、パートナー選び・契約設計・運営のコツ・リスク対応・解消の仕方まで、実務に即した知識と戦略を専門家の視点で徹底解説します。これから共同経営を始めたい方、現在の体制に不安を感じている方は、ぜひ最後までご一読ください。
目次
共同経営とは、2者以上の企業または個人が、経営資源を出し合い、経営の意思決定と運営責任を共有する形態を指します。日本語では「協業経営」「共同出資型経営」などと呼ばれることもありますが、共通するのは「一方が他方を買収・支配する関係ではなく、対等または準対等の立場で協力する」という点です。
典型的な形態は、合弁会社(Joint Venture)や業務提携、資本業務提携などであり、M&Aの一環として検討されることもあります。とくに中小企業やスタートアップにおいては、資金力・販路・技術・人材などの面で補完し合う目的で採用されることが多く、事業シナジーの創出や市場参入のスピードアップが期待されます。
ただし、単なる契約関係(業務委託や請負)とは異なり、共同経営には「経営責任」や「利益配分」が伴うため、法的・財務的な観点での整理が不可欠です。曖昧なまま開始すると、責任の所在が不明確になり、後々大きなトラブルに発展しかねません。
近年、共同経営という選択肢が注目を集めている背景には、いくつかの経済的・社会的な要因があります。
1つは、中小企業の後継者不在問題です。経営者の高齢化が進むなかで、事業承継の手段としてM&Aを選ぶ企業も多い一方、「完全譲渡ではなく、しばらく共同で経営しながら引き継ぎたい」という需要も増加傾向にあります。共同経営は、段階的な経営交代や、信頼構築期間の確保という点で柔軟性があります。
もう1つは、資本力とスピードが求められる市場環境です。自社だけでは乗り切れない変化に対して、他社と手を組むことで迅速な意思決定とリスク分散を図る経営者が増えています。とくにIT・製造・物流・地方創生などの分野では、共同経営を起点とした新しい価値創出の事例も数多く見られます。
また、スタートアップ業界では「経営チームの共同体制」が一般的となっており、創業初期から複数人で経営責任を担う「共同創業者モデル(co-founder model)」も、広義の共同経営と位置づけられます。
共同経営は、M&Aや事業提携と混同されがちですが、両者との明確な違いがあります。
まずM&Aは、株式や事業の全部または一部を「取得・譲渡すること」により、企業の支配権が移る点が特徴です。買収された側の経営権は多くの場合、新しい経営陣に引き継がれます。一方、共同経営では、両者が経営に参画し続け、相互の関与が前提となります。
また、事業提携は「業務連携」や「販路協力」など、業務上の協力関係にとどまることが一般的です。経営意思決定には関わらず、相互の独立性を保ったままの関係です。
これに対し、共同経営は「経営そのものを共同で担う」という深い関与を伴う点で、より密接で長期的な関係を築く必要があります。契約書・定款・株主間契約など、明確な法的枠組みのもとで進める必要があり、実質的には“共同でひとつの会社を経営する”感覚が求められます。
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共同経営と一口に言っても、その形はさまざまです。企業同士がどのように協力し、経営を分担するかによって、契約形態、意思決定権、リスク分担の仕組みが大きく異なります。ここでは、実務でよく見られる主要な共同経営のモデルを紹介し、それぞれの特徴と適用シーンを解説します。
最も典型的な共同経営形態が、合弁会社(Joint Venture, JV)の設立です。これは、複数の企業が出資しあい、新たな法人を設立して共同で運営・管理するモデルです。
たとえばA社とB社が50:50で出資し、新たにC社を設立するという形態がこれにあたります。出資比率に応じて株式を保有し、議決権や役員の派遣、利益配分も取り決めに基づいて行われます。
特徴:
活用例:
次に挙げられるのは、資本提携や業務提携を伴う共同経営です。こちらは、合弁会社のように新法人を立ち上げるのではなく、既存の法人同士が出資や業務連携によって経営的な関与を持ち合う形式です。
たとえば、A社がB社に10%出資し、B社の経営に一定程度関与する一方で、両社が共同開発や営業を推進する、といったモデルがこれに該当します。
特徴:
活用例:
もう一つの重要な形態は、既存の法人を共同で所有・運営する「経営分担型」共同経営です。これは、複数の出資者が既存企業の株式を所有し、株主間契約に基づいて経営の権限と責任を共有するスタイルです。
特に、中小企業の事業承継や投資ファンドの活用時に使われることが多く、「前経営者+新経営パートナー」が協調して経営にあたるモデルが典型です。
特徴:
活用例:
共同経営の形は、業種や企業規模によっても最適解が異なります。
また、企業のステージ(創業/拡大/事業承継/再生)によっても、どのモデルが適しているかは変わります。正解は一つではなく、自社の目的とリスク許容度に応じた形態選択が求められるのです。
共同経営の成功を左右する最大の分岐点、それは「誰と組むか」に尽きます。経営資源の補完関係があっても、価値観や将来ビジョンが噛み合わなければ、いずれ摩擦が表面化し、取り返しのつかない関係悪化につながることもあります。ここでは、実務上の探し方・選定基準・信頼構築ステップ・M&Aとの違いまで、丁寧に見ていきましょう。
共同経営の相手探しは、決して偶然の出会いに任せるべきではありません。特に重要なのは、自社がなぜ共同経営をしたいのかという目的を明確にし、その達成に最適なタイプの企業像を描くことです。
たとえば、「販路拡大」が目的であれば、既存顧客層の異なる企業、「技術補完」が目的なら異なる強みを持つ開発企業など、目的逆算型で相手を選定します。
実務的な探し方の選択肢
中でも、M&A仲介・FA(フィナンシャルアドバイザー)など専門家の支援を得ることで、表面化しない潜在ニーズを持つ企業とつながれることもあります。特に事業承継ニーズを抱えた中小企業は、表には出てこない優良候補であるケースが多いため、こうしたネットワークの活用は非常に有効です。
パートナーの選定では、「話してみて感じが良かった」といった感覚的な評価に終始しないことが重要です。共同経営は信頼と成果の両立が求められる関係です。以下の4つの軸を中心に、候補企業の真価を見極めていきましょう。
① 経営ビジョン・価値観の一致
経営者としての将来像、事業の目的、社員や顧客に対する考え方など、見えにくい「内面」を共有できるかどうかは、長期関係における分岐点です。とくにトラブル時に「利害より理念」で物事を判断できるかは、共同経営の継続性を左右します。
② 経営資源の補完性
「自社にないもの」を補えるかどうかが共同経営の意義です。たとえば、自社が製造に強く、相手が販売に強い、あるいは自社がベテラン揃い、相手が若手中心など、相互補完の構図が描ける相手は理想的です。
③ 財務体質と継続力
相手企業のPL・BS・CFを見ることで、資金面の持続性やキャッシュフローに無理がないかを確認します。過剰な借入や売上依存度の偏りがある場合、将来的にリスク要因となる可能性もあります。
④ コミュニケーションと柔軟性
共同経営は想定外の連続です。対話のスタンス、報連相のスタイル、レスポンスの速さなど、日常業務レベルの相性も重要な判断要素です。
信頼関係は1回の面談で生まれるものではありません。共同経営では、契約締結前の段階的な関係構築プロセスが極めて重要です。
ステップ① 業務提携や共同プロジェクトから始める
まずは資本を入れず、実務上の協業から始めることで、実際に「組んでみた相性」が見えてきます。共同で新商品を開発する、営業連携をするなど、小規模な業務連携からのスタートがおすすめです。
ステップ② 経営者面談だけでなく、現場同士の対話を重視
実際のオペレーションにおいて重要なのは現場です。経理、営業、生産などの部門担当者同士での対話機会を設け、現場感のすり合わせができるかを確認します。
ステップ③ 定期レビューと課題抽出
協業開始後は、定例会議やKPIのレビューを通じて、「言いにくいことも言える関係」を築くことが求められます。意見のぶつかり合いを通じて、信頼がより強固になるのです。
M&Aと共同経営は、同じ「他社と組む」手法でも、根本的に異なる関係性を持っています。
M&Aは一方が株式または事業を取得し、経営支配権を得る行為であり、「経営主導権の譲渡」が基本です。譲る側と買う側の明確な上下関係が生まれます。
一方、共同経営では、出資比率や役員構成にかかわらず、両者が“並走”する感覚が重視されます。契約書上は平等でも、心理的に一方が「支配している」と感じれば、協業関係は徐々に機能しなくなります。
そのため、共同経営を選ぶ際は、金額の大小以上に、「相手を経営の対等なパートナーと見られるか」が問われるのです。
共同経営の関係がいかに強固に見えても、経営環境の変化や人間関係のもつれ、ビジョンの相違が後に深刻な亀裂を生むことは少なくありません。こうした事態に備えるためには、最初の段階で「契約」という明文化された枠組みを通じて、双方の役割・責任・利益・退出条件などを明確に定めておくことが極めて重要です。
この章では、共同経営契約を設計する際に必要な基本項目から、契約形態ごとの違い、トラブルを未然に防ぐための条項設計、契約書作成の実務注意点まで、実践的な視点で解説します。
まず、共同経営契約において最低限盛り込むべき要素は以下の通りです。
1)出資比率と資本構成
出資比率は、双方の資金的コミットメントを示すとともに、後述する意思決定や利益配分にも直結する要素です。たとえば50:50の対等な出資とするのか、一方を主要株主とするのかによって、会社の運営体制そのものが大きく変わります。加えて、将来的な増資時のルールや、出資の見直し手続きについても明文化しておくと、後のトラブルを防ぐことができます。
2)役員構成・人事のルール
代表取締役や取締役の選任方法を明確に定めておくことは、経営権のバランス維持に欠かせません。特に共同代表制を採る場合、それぞれの権限範囲や決裁フローを事前にすり合わせておく必要があります。また、任期や交代ルール、役員報酬の決定方法なども取り決めておくことが望ましいです。
3)意思決定プロセス
どの事項をどちらの裁量で決めるのか。全会一致が必要な重要事項(設備投資、新規事業、資本政策など)を定義し、その他はどの程度の出資比率で議決できるかを明文化します。加えて、定例会議の開催頻度や議事録の取り扱いについてもルール化しておくと実務がスムーズになります。
4)利益分配と損失負担
出資比率に応じて配当を分けるのか、それとも業務貢献度など他の要素も加味するのか。赤字が出た場合の補填方法、資金繰りが悪化したときの追加入金義務の有無なども明確に定めます。また、利益剰余金の再投資ルールや、内部留保の方針についても触れておくと将来的な資金戦略に役立ちます。
5)契約期間と見直しタイミング
共同経営は常に「続く」とは限らない関係です。あらかじめ契約期間を定め、定期的な見直しのタイミング(1年ごと、3年ごとなど)を契約書に組み込むことで、柔軟な関係再構築が可能になります。契約更新の意思表示や、契約終了後の清算ルールなども重要な検討ポイントです。
共同経営の枠組みは1つではありません。法的な形態によって契約の書き方や内容も変わってきます。以下に代表的な3つの形態とその違いを整理します。
合弁契約(JV契約)
新たに法人を設立し、双方が出資して運営するモデルです。会社法上の法人格を持つため、契約関係も強く、出資・責任・経営が明確に整理されます。企業同士の対等な関係性を保ちやすく、対外的な信頼も得やすい形式です。共同名義による取引が可能となるため、ブランド価値の構築や顧客への訴求にも有利です。
株主間契約
既存法人の株式を双方が保有し、経営権・議決権の行使ルールを定める形です。柔軟性がある一方で、ガバナンス設計に工夫が必要であり、取締役の選任ルールやキャッシュアウトの際の条件も明確にする必要があります。特に出資比率が過半数未満の場合には、経営参加の程度を契約で強化する工夫が必要です。
業務提携契約
出資を伴わず、業務的な役割分担や協業のルールを文書化したものです。契約自由の原則に基づいて設計されるため柔軟ですが、経営責任が曖昧になりやすく、信頼関係が前提となります。短期的なプロジェクトや、段階的な関係構築の初期段階として適しています。
共同経営が長期化する中で最も懸念されるのが、経営方針の対立や信頼関係の破綻です。それを未然に防ぐためには、契約書内に以下のような条項を盛り込むことが推奨されます。
一定期間、株式を第三者に売却・譲渡できないようにする制限条項です。共同経営の安定性を守り、不測の支配権移動を防ぎます。期間や適用条件、例外事項も明記しておく必要があります。
一方が経営撤退を望む場合や、合意解消を希望する場合に備え、あらかじめ定められた条件で株式を買い戻す(または買い取らせる)権利を設定します。市場価値に基づく評価方法や、行使可能な期間などの条件設計も重要です。
特定の意思決定に対して、一方の単独判断ではなく、双方の合意を必要とする条項です。資本増資、大型借入、役員解任などに適用されるケースが多いです。対象事項の範囲や合意の方式(書面、メール等)を細かく定義することが望まれます。
共同経営中および解消後において、機密情報やノウハウが第三者に流出しないようにするための条項です。また、一定期間は競業行為を制限することも可能です。違反時の損害賠償責任や、罰則規定も盛り込むと抑止力が高まります。
契約は「読み合せてこそ契約」と言われるほど、実務現場とのすり合わせが重要です。以下の視点で契約作成を進めることが望まれます。
① 両社の実務担当者と経営層の共同レビュー
現場レベルでの実態に即しているか、机上の空論ではないかを確認。運用可能性が高い内容であることが前提です。ドラフト段階でのすり合わせを複数回行うことで、リスク認識のズレを減らすことができます。
② 専門家によるリーガルチェック
弁護士による条項整備、税理士・会計士による出資スキームの検証、FAによる交渉支援など、多角的なレビュー体制を敷くことが推奨されます。業界に明るい専門家を選定することも、契約の実効性を高めるカギとなります。
③ 意見対立を恐れない協議の場
契約書は単なる文書ではなく、信頼を築くプロセスでもあります。本音の議論を重ねることで、見えなかった価値観や優先事項が浮かび上がり、結果的に強固な経営体制へとつながります。妥協点を見つける場として、弁護士やFAがファシリテーターを担うことも有効です。
共同経営契約が締結され、法的な枠組みが整った後に待っているのは、「実際に事業をどう立ち上げ、どのように運営していくか」という現場のフェーズです。この段階で適切な準備や体制整備がなされていなければ、いくら契約が堅牢であっても、実務はうまく機能しません。本章では、共同経営スタート時に求められる準備事項、運営体制の設計、PDCAの回し方など、実務のポイントを具体的に解説します。
契約締結後、最初に行うべきは「初期事業計画」の作成です。これは、出資比率や業務分担に基づいて、どのような目標をいつまでに達成するのかを明文化し、関係者間で認識を統一するための重要な工程です。
共同経営を始める目的や動機を再確認し、「この経営体を通じて何を成し遂げたいか」を明文化することが出発点です。売上・利益目標、シェア獲得、ブランド構築、地域進出など具体的なゴールをKPIに落とし込みます。
両社のどの部門・人材がどのように関わるのかを整理し、責任の所在を明確にします。特に、出向者や兼任者が関与する場合は、指揮命令系統や評価制度の二重構造を防ぐための配慮が必要です。
スタートアップに必要な初期投資額、資金調達の方法、資金管理方法などを事前に合意し、現金・人材・設備の手配スケジュールを設定します。人材採用においては、採用基準や報酬水準も統一しておくことが望ましいです。
事業運営が始まると、日常的に発生する判断や調整の積み重ねが成果に直結します。そこで、あらかじめ意思決定や報告のルールを明確にし、現場の混乱を防ぐ体制を整える必要があります。
契約で定めた合議制(全会一致、特別決議)や、一定金額以下の決裁は一方に委任するなどの運用を始めます。月次経営会議や定例ミーティングのスケジュール、議事録管理もルーチン化しておきます。
業績報告・進捗管理のフォーマットを統一し、社内外に対する情報の透明性を確保します。週報・月報・KPIダッシュボードの活用、ERPシステム導入などにより、リアルタイムに状況を把握できる体制を構築します。
経営の健全性を担保するため、内部監査の役割を明確化し、四半期ごとの経営評価を実施します。加えて、第三者機関による外部監査や定期的なガバナンスレビューを取り入れることで、透明性と信頼性を高めることが可能です。
共同経営の初期段階では、期待と現実のギャップから多くの摩擦が生じやすい時期でもあります。ここでは代表的な課題とその対処法を整理します。
親会社間の企業文化や業務フローの違いは、現場での摩擦や非効率を生みやすくなります。これに対処するには、合宿や定例会での価値観共有セッションを設け、「異なる前提」を相互理解することが重要です。
目標が達成できない場合、責任の所在が不明確だと対立の原因になります。KPIと成果を個人単位ではなくチーム・組織単位で評価し、透明性のあるマネジメントを心がけましょう。
営業と開発、出向者と現地社員など、部門間の情報共有が不十分だと実務が停滞します。これを防ぐためには、チャットツール、CRM、グループウェアを活用し、情報の見える化を進める必要があります。
共同経営が軌道に乗ると、事業拡大や人員増加などに伴い、組織の再設計や新たなルール整備が求められます。以下は、継続的成長を実現するための具体策です。
短期の成功にとどまらず、3〜5年スパンでの成長戦略(新市場展開、商品開発、提携拡大など)を明文化します。利益だけでなく、顧客数・ブランド認知・技術力といった無形資産の成長指標も含めて設計します。
共同経営を担う次世代リーダーの育成や、両社の強みを活かした人材交流を促進することで、将来の幹部候補を育てます。また、成長段階に応じて子会社化や社内カンパニー化など、組織再編の選択肢も検討すべきです。
将来的にIPOやM&Aを見据えたシナリオを複数用意し、タイミングや条件、両社の合意プロセスをあらかじめ合意形成しておくと、柔軟かつ冷静な意思決定が可能となります。
共同経営は、始まりがあれば終わりもあります。どんなに綿密に設計された体制でも、経営環境の変化や戦略の見直しにより、関係性の再検討が必要となるケースは少なくありません。本章では、共同経営を見直すべきタイミング、契約の修正や終了に向けた手続き、トラブルを避けるための実務的な進め方を詳しく解説します。
共同経営を再検討する要因には、以下のような内的・外的要素があります。
事業環境の変化
業績の不振・KPI未達
経営方針や価値観の乖離
共同経営の見直しや終了は、慎重かつ段階的に進める必要があります。特に契約終了は、事業・雇用・資産に多大な影響を及ぼすため、プロセスの明確化が必須です。
ステップ1:現状分析と意向確認
ステップ2:契約条項の確認と見直し案の作成
ステップ3:交渉と合意形成
ステップ4:終了後の実務対応
終了プロセスが感情的な対立に発展することは避けるべきです。以下の点に注意を払い、円滑な手続きを心がけましょう。
突然の通知は避ける
秘密保持義務の確認
社内外への情報統制
将来的な再提携の可能性を残す
共同経営は、単なる業務提携とは異なり、パートナーシップの本質を問われる経営形態です。その成功には、綿密な準備・透明な契約・柔軟な運営・定期的な見直しという4つの柱が不可欠です。本章では、本記事の要点をまとめるとともに、成功のために実務者が押さえておくべきチェックポイントを提示します。
以下は、共同経営を企画・推進する際に、必ず確認すべき事項を整理したチェックリストです。
□ 経営目的と成果目標が明文化されているか?
□ 双方の役割と責任が明確に記載されているか?
□ 出資比率・経営権・報酬制度が合意されているか?
□ 意思決定ルールと議決プロセスが実行可能か?
□ リスク時の退出条項や株式の扱いが設計されているか?
□ 初期人材・資金・設備の準備が整っているか?
□ 運営体制と報告体制に実効性があるか?
□ 文化的な違いを超える工夫があるか?
□ 契約終了時の手続きが明確化されているか?
このチェックリストは、契約書レビューだけでなく、運営段階でのリスク検知や社内説明資料としても活用できます。
共同経営は専門的な知識と実務経験を要する分野です。法務・財務・人事・M&Aにまたがる判断が必要な場面では、専門家のアドバイスが極めて有効です。
共同経営はリスクもありますが、正しく準備し適切に運営すれば、大きな成長と信頼をもたらす経営手法です。本記事が、みなさまの共同経営成功の一助となれば幸いです。M&Aや経営課題のお悩みはM&Aロイヤルアドバイザリーへご相談ください。
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