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賃金台帳とは、従業員への賃金の支払状況や計算の詳細を記録した帳簿のことです。企業活動において、労務関連書類の適切な管理は見落としがちな重要ポイントです。特に賃金台帳は、労働基準法で作成と保存が義務付けられており、デューデリジェンスの際に必ず確認される書類の一つです。記載項目も法律で義務付けられており、書き方や保管期間には注意が必要です。保存期間の違反や記載項目の不備があれば、30万円以下の罰金リスクだけでなく、買収価格の低下や取引の遅延を招く可能性があります。
本記事では、賃金台帳の定義から保存期間、記載項目と正しい書き方、無料で入手できるフォーマットの紹介、給与明細との違いまでを網羅的に解説します。帳簿に関する不安を解消し、日々の業務をスムーズに進行するためにも、賃金台帳の作成方法と記載項目、書き方をマスターしましょう。
目次
賃金台帳は、従業員に支払った賃金の計算根拠や支払い内容を記録する帳簿です。労働基準法第108条により、すべての事業主に作成が義務付けられています。記載内容としては、以下で示す必須項目があり、原則5年間の保存が必要です。
この帳簿は単なる社内管理資料ではなく、法定帳簿として位置づけられています。労働者名簿や出勤簿とともに「法定三帳簿」と呼ばれ、労働基準監督署の調査対象となる重要書類です。
賃金台帳の作成義務は、労働者の賃金が正しく計算され、適正に支払われていることを証明するために設けられています。この記録がなければ、残業代の未払いや最低賃金違反などの労務トラブルが発生した際に、企業側が適正な支払いを行っていたことを証明できません。
賃金台帳は会社売却の場面でもデューデリジェンスにおける重要な確認資料となります。買い手企業は、過去の賃金支払いが法令に沿って行われていたかを精査します。賃金台帳に不備があれば、潜在的な労務リスクとして評価され、買収価格の減額交渉につながる可能性があります。
さらに、労働基準監督署の調査が入った際には、賃金台帳の提示を求められます。作成義務違反や記載内容の不備が発覚すると、労働基準法第120条に基づき30万円以下の罰金が科される恐れがあります。会社売却前にこうした違反が判明すれば、取引全体に悪影響を及ぼしかねません。
賃金台帳は、雇用形態を問わず賃金を支払うすべての労働者について作成する必要があります。正社員だけでなく、パートタイマー、アルバイト、契約社員、嘱託社員など、賃金の支払いが発生する従業員はすべて対象となります。
日雇い労働者についても、賃金台帳の作成対象に含まれます。ただし、日雇い労働者については記載事項の一部が簡略化される規定があり、賃金計算期間の記載は不要とされています。一方で、派遣社員については派遣元企業が賃金台帳を作成する義務を負うため、派遣先企業には作成義務がありません。
役員については、労働者性の有無によって判断が分かれます。代表取締役など、労働者としての実態がない役員は基本的に対象外ですが、使用人兼務役員など労働者としての性質を持つ場合は賃金台帳の作成対象となります。また、役員報酬が支払われている場合には社会保険料や所得税の控除が発生するため、実務上は賃金台帳またはそれに準ずる記録の作成が推奨されています。会社売却時には、役員報酬と従業員給与の区分が適切かどうかも確認されるため、判断に迷う場合は専門家に相談することをお勧めします。
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賃金台帳は、賃金の支払いのたびに遅滞なく記入する必要があります。月給制の従業員であれば毎月の給与支払い後、日払いの従業員であれば支払いの都度記入することが求められます。
賃金台帳の記入のタイミングは「遅滞なく」と規定されており、具体的な期限は定められていませんが、支払い日から著しく遅れることは認められません。実務上は、給与計算と同時に賃金台帳への記入を行うことが一般的です。給与計算ソフトを使用している場合は、給与明細の作成と連動して自動的に賃金台帳が生成される仕組みを活用すると効率的です。
賞与を支給した場合も、その都度賃金台帳に記入する必要があります。賞与は毎月の給与とは別の計算期間となるため、記載漏れが発生しやすい項目です。会社売却前のデューデリジェンスでは、賞与分の記載漏れがないかも確認されるため、支払いのたびに確実に記録する体制を整えておきましょう。
賃金台帳に記載すべき項目は、労働基準法施行規則第54条で具体的に定められています。必須項目を漏れなく記入することが、法令遵守の基本となります。
以下では、それぞれの記載項目について具体的な書き方を解説します。フォーマットやテンプレートを無料で入手できる場合もあります。無料テンプレートや様式を使用する際は、必要な項目が網羅されているか、エクセルの計算式に不備がないかも確認してください。
賃金台帳の冒頭には、対象となる従業員の氏名と性別を記載します。氏名は戸籍上の正式な名称を使用し、通称やニックネームは避けてください。
性別の記載は、男女間の賃金格差を把握し、同一労働同一賃金の原則が守られているかを確認するために必要とされています。近年は性別記載の在り方について議論もありますが、現行法では記載が義務付けられているため、省略することはできません。
従業員番号や所属部署は法定の記載事項ではありませんが、管理の便宜上記載しておくと、複数の従業員の台帳を整理する際に役立ちます。会社売却時のデューデリジェンスでは、労働者名簿との照合も行われるため、両帳簿の記載内容が一致していることを確認しておきましょう。
賃金の計算期間とは、当該賃金の算定対象となる期間を指します。月給制の場合は「令和6年4月1日から令和6年4月30日まで」のように、具体的な期間を明記します。
締め日と支払日が異なる場合でも、記載するのは計算の対象期間です。例えば、20日締め当月25日払いの会社であれば、「3月21日から4月20日」が4月25日支払い分の計算期間となります。
日雇い労働者については、賃金計算期間の記載は省略できるとされています。ただし、月給制や週給制の従業員については必ず記載が必要です。計算期間の記載漏れは、労基署の調査で指摘されやすい項目の一つです。
当該計算期間中に実際に労働した日数と、総労働時間数を記載します。労働日数は出勤日だけでなく、有給休暇取得日などを含めて記入します。
勤務時間数については、所定労働時間と実労働時間を区別して把握することが重要です。賃金台帳に記載するのは実労働時間数であり、休憩時間は含みません。1分単位での記録が原則となりますが、端数処理については就業規則や賃金規程で定めた方法に従います。
労働時間の記録は、未払い残業代請求などの労務トラブルにおいて最も重要な証拠となります。出勤簿やタイムカードとの整合性を保ち、正確な記録を残すことが企業防衛の観点からも不可欠です。
法定労働時間を超えて労働した時間数を記載します。法定労働時間は原則として1日8時間、1週40時間と定められており、これを超えた部分が時間外労働となります。
所定労働時間と法定労働時間が異なる場合は注意が必要です。例えば、所定労働時間が7時間の会社で8時間働いた場合、1時間は所定外労働ですが法定内労働となります。賃金台帳に記載する時間外労働時間数は、法定労働時間を超えた部分を指します。
時間外労働時間数の記載は、割増賃金が正しく計算されているかを確認するための重要な情報です。会社売却時のデューデリジェンスでは、時間外労働時間数と支払われた割増賃金の整合性が精査されます。不整合があれば、未払い残業代の潜在リスクとして買収価格に影響する可能性があります。
深夜勤務時間数とは、午後10時から午前5時までの間に労働した時間数を指します。休日勤務時間数は、法定休日に労働した時間数を記載します。
深夜労働と時間外労働が重複する場合は、それぞれ別個に記録します。例えば、午後10時から午前0時まで残業した場合、2時間は時間外労働時間数にも深夜労働時間数にも計上されます。これは割増賃金の計算において、時間外割増と深夜割増が重複して適用されるためです。
休日労働についても、法定休日と所定休日を区別する必要があります。法定休日は週1日の休日を指し、この日に労働した場合は35%以上の割増賃金が発生します。所定休日の労働は、週の法定労働時間を超えない限り、時間外労働の割増対象にはなりません。賃金台帳には法定休日の労働時間数を正確に記載することが求められます。
賃金の内訳を種類ごとに分けて記載します。基本給、各種手当、賞与など、支給される賃金の項目とそれぞれの金額を明記します。
手当については、通勤手当、住宅手当、家族手当、役職手当、資格手当など、支給しているすべての手当を個別に記載します。手当の名称は、就業規則や賃金規程で定めた名称と一致させてください。
賃金の種類ごとの記載は、割増賃金の算定基礎に含まれる賃金を明確にするために重要です。割増賃金の計算から除外できる手当には法律上の要件があり、その要件を満たしていない手当を除外していた場合は、未払い残業代が発生している可能性があります。デューデリジェンスではこの点も確認対象となります。
賃金から控除した項目とその金額を記載します。法定控除として、所得税、住民税、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、介護保険料などがあります。
控除項目の記載は、手取り額の計算根拠を明確にするとともに、法令で認められた控除以外の不当な天引きが行われていないことを証明する役割も果たします。また、労使協定に基づく控除がある場合は、その根拠となる協定書も保管しておく必要があります。
源泉徴収簿と賃金台帳を兼用する場合は、税法上の保存期間である7年間の保存が必要となります。会社売却を見据えて長期の書類保存体制を整えている企業では、源泉徴収簿との兼用形式を採用することで、書類管理の効率化と保存期間の統一を図ることができます。
次項では、無料で入手できる賃金台帳のフォーマットを紹介します。
賃金台帳の作成には、労働基準法で定められた必須項目が網羅されたテンプレートを利用すると便利です。エクセル形式のテンプレートや、無料で使用できる専用ソフトやサービスもありますので、自社で使いやすいフォーマットを選ぶとよいでしょう。
厚生労働省や各労働局のウェブサイトからは、賃金台帳のフォーマットを無料でダウンロードできます。
[厚生労働省 :労働基準法関係主要様式のダウンロードコーナー(無料)]
無料フォーマットを利用する際は、最新法令に対応した厚生労働省提供の様式や信頼できるテンプレートを使いましょう。労働基準法の必須項目が網羅されているか確認します。特に時間外・深夜・休日労働時間が細かく分かれているかが重要です。計算ミスを防ぐには、Excel(エクセル)などの自動計算機能を事前にテストすることも大切です。さらに、手書き書類は鍵付きロッカーに保管し、電子データはパスワードやアクセス制限でセキュリティを確保しましょう。
賃金台帳と給与明細は、いずれも賃金に関する情報を記録した書類ですが、その目的や法的な位置づけは異なります。両者の違いを正しく理解することで、適切な書類管理が可能になります。
賃金台帳と給与明細の主な違いを、以下に整理します。
賃金台帳は企業が保管する帳簿であり、従業員ごとの賃金支払い履歴を継続的に記録します。一方、給与明細は従業員に交付する書類であり、各支払い時点での賃金の内訳を示すものです。
賃金台帳は企業の賃金支払い実績を証明する公的な記録として機能し、給与明細は従業員への情報開示という私的な役割を担います。賃金台帳には過去の記録が蓄積されるのに対し、給与明細は単月の情報に限定されます。
賃金台帳は法定の記載項目が定められており、これらを漏れなく記載することが義務付けられています。給与明細の情報だけでは賃金台帳の要件を満たせない場合があるため、両者を混同しないよう注意が必要です。
賃金台帳は労働基準法に基づく法定帳簿であり、作成義務違反には罰則が設けられています。労働基準監督署の調査では、賃金台帳の提示を求められ、不備があれば是正勧告や罰金の対象となります。
給与明細の交付義務は所得税法に基づくものであり、労働基準法上の義務ではありません。源泉徴収票の交付と同様に、税務上の義務として位置づけられています。給与明細を交付しなかった場合の罰則は、労働基準法違反ほど重くありません。
会社売却時のデューデリジェンスでは、賃金台帳の有無と記載内容の正確性が重点的に確認されます。給与明細の控えを保管していても、賃金台帳が作成されていなければ法令違反となります。両者の法的な位置づけの違いを理解し、それぞれ適切に作成・保管することが重要です。
実務においては、給与計算ソフトを活用して賃金台帳と給与明細を同時に作成する方法が効率的です。多くの給与計算ソフトでは、入力したデータをもとに両方の書類を自動生成する機能が備わっています。紙媒体で管理している場合でも、給与明細の控えだけを保管して賃金台帳の代用とすることは認められていません。
賃金台帳が法定の要件を満たしているか点検することは、会社売却に向けた準備としてもお勧めします。給与明細そのものは従業員に交付後の保管義務はありませんが、賃金台帳は保存期間中は必ず保管しておかなければなりません。退職者の分も含めて、漏れなく保管されているか確認しましょう。
賃金台帳の適切な保存は、法令遵守の基本であるとともに、会社売却時のデューデリジェンスを円滑に進めるための重要な要素です。保存期間や保管方法について正しく理解しておきましょう。
また、労働基準監督署の調査や従業員からの開示請求に備えた体制整備も必要です。これらの対応が適切に行われていることは、企業のコンプライアンス体制を示す重要な指標となります。
賃金台帳の保存期間は、労働基準法第109条により原則として5年間と定められています。ただし、経過措置として当分の間は3年間の保存で足りるとされています。
保存期間の起算日は、賃金台帳に最後の記入をした日と最後の賃金の支払い日を比較して遅い方になります。
源泉徴収簿と賃金台帳を兼用している場合は、所得税法の規定により7年間の保存が必要となります。会社売却を検討している場合は、より長い保存期間を確保しておくことで、デューデリジェンスへの対応がスムーズになります。退職者の賃金台帳も保存期間中は廃棄せず、適切に保管してください。
賃金台帳は紙媒体での保管のほか、電子データでの保存も認められています。電子保存を行う場合は、労働基準法施行規則で定められた要件を満たす必要があります。
電子保存の要件として、記録の真正性を確保するための措置が求められます。具体的には、記録が改ざんされていないことを証明できる仕組みや、必要に応じて速やかに出力できる環境が必要です。クラウド型の給与計算システムを利用している場合は、サービス提供事業者がこれらの要件を満たしているか確認しておきましょう。
紙媒体と電子データのいずれで保管する場合も、労働基準監督署の調査時に速やかに提示できる状態を維持することが重要です。書類の紛失や破損、データの消失に備えて、バックアップ体制を整えておくことをお勧めします。会社売却時には、買い手企業からの資料請求に迅速に対応できる体制が求められます。
労働基準監督署の調査では、賃金台帳の提示を求められることが一般的です。調査は事前予告なしに行われる場合もあるため、日頃から提示可能な状態を維持しておく必要があります。
調査で確認される主なポイントは以下のとおりです。
調査で不備が発覚した場合、是正勧告が出されるとともに、重大な違反があれば30万円以下の罰金が科される可能性があります。会社売却を控えている場合、こうした行政処分の履歴は買い手企業に開示する必要があり、企業価値の評価に影響を与えます。調査への準備として、賃金台帳と出勤簿、労働者名簿の三帳簿を整備し、いつでも提示できる状態にしておくことが基本です。また、就業規則や賃金規程、36協定などの関連書類も合わせて準備しておくと、調査対応がスムーズに進みます。
開示請求への対応では、当該従業員本人の情報のみを開示し、他の従業員の情報が含まれないよう注意が必要です。賃金台帳を従業員別に作成・管理している場合は対応が容易ですが、複数の従業員の情報が一覧形式で記録されている場合は、該当部分のみを抽出して開示する必要があります。
退職した従業員からの開示請求にも、保存期間中は対応しなければなりません。退職者からの請求は、未払い残業代の請求や労働審判の証拠収集を目的としている場合があります。請求があった際は、開示内容に問題がないか社会保険労務士や弁護士に確認することをお勧めします。
会社売却の過程では、従業員への情報開示の方針についても買い手企業と協議することがあります。賃金台帳の管理体制が適切に整備されていることは、円滑な事業承継を進めるうえで重要な要素となります。
賃金台帳は、労働基準法に基づき作成と保存が義務付けられた法定帳簿です。従業員の氏名、性別、賃金計算期間、労働時間数、賃金の種類と金額、控除項目など、法定の記載項目を漏れなく記入する必要があります。
賃金台帳の保存期間は原則5年間ですが、経過措置により当面は3年間とされています。源泉徴収簿と兼用する場合は7年間の保存が必要です。起算日は最後の記入日であり、退職者の分も保存期間中は適切に保管してください。
賃金台帳作成の際は、様式にあったフォーマットや専用ソフトを使用すると便利です。無料のテンプレートなどを有効に使い、自社にあった効率よい運用と管理を目指します。
会社売却を検討している中小企業のオーナー様は、デューデリジェンスで賃金台帳が確認されることを念頭に、今一度書類の整備状況を点検されることをお勧めします。保存義務違反や記載不備は、30万円以下の罰金リスクだけでなく、買収価格の低下や取引遅延につながる可能性があります。賃金台帳の作成方法や記載項目を正しく管理し、企業価値を最大化した状態で会社売却に臨みましょう。
会社売却を検討している中小企業のオーナー様は、デューデリジェンスで賃金台帳が確認されることを念頭に、今一度書類の整備状況を点検されることをお勧めします。保存義務違反や記載不備は、30万円以下の罰金リスクだけでなく、買収価格の低下や取引遅延につながる可能性があります。賃金台帳を正しく管理し、企業価値を最大化した状態で会社売却に臨みましょう。
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