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近年、中小企業や個人事業主の間で「スモールM&A」という言葉が注目を集めています。経営者の高齢化や後継者不足が深刻化する中、事業の存続と発展を実現する手段として、小規模な企業買収や事業承継が活発化しています。
本記事では、スモールM&Aの基本から実践的な進め方、親族間での株式譲渡における注意点までを解説します。
目次
スモールM&Aは、売買金額が1億円以下、対象企業の年商が数千万円から5億円程度の小規模な企業買収や事業承継を指します。従業員数でいえば、数名から30名程度の企業が該当することが多いです。
たとえば、個人経営の飲食店や美容室、製造業の町工場、ECサイトなど、幅広い業種で実施されています。通常のM&Aと比べて取引規模は小さいものの、地域経済を支える重要な事業承継手法として認識されています。
スモールM&Aと中小企業M&Aの違いは、取引規模と対象企業の規模にあります。中小企業M&Aが売買金額数億円から数十億円規模を扱うのに対し、スモールM&Aは1億円以下、中には1,000万円以下の案件も含まれます。
買い手側の属性も異なります。中小企業M&Aでは主に法人が買い手となりますが、スモールM&Aでは個人投資家やサラリーマン、起業を志す若者なども参入可能です。手続きの面でも、スモールM&Aはプロセスが簡略化される傾向があります。成約までの期間も3か月から6か月程度と比較的短期間で完了することが特徴です。
さらに、仲介手数料の体系も異なります。中小企業M&Aでは最低報酬が数百万円から数千万円に設定されることが多いです。スモールM&Aに特化したサービスでは、より低額な手数料体系を採用している場合があります。
スモールM&Aが注目される理由は、深刻化する後継者不足問題です。中小企業庁の調査によると、60代経営者の約4割、70代経営者の約3割が後継者不在という状況に直面しています。黒字経営でありながら廃業を選択する企業も多く、地域経済への影響が懸念されています。
事業の多角化ニーズも背景にあります。既存事業の成長が鈍化する中、新規事業への参入を検討する企業が増加しています。ゼロから事業を立ち上げるよりも、すでに顧客基盤や設備を持つ小規模事業を買収することで、リスクを抑えながら事業拡大を図れる点がメリットです。
さらに、働き方の多様化も影響しています。副業・兼業が一般化し、サラリーマンや個人投資家が小規模事業のオーナーになるケースが増えています。マッチングサイトの普及により、個人でも手軽にM&A案件を探せるようになったことも、市場活性化の要因となっています。
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スモールM&Aを実行する際には、取引の目的や対象事業の特性に応じて手法を選択することが重要です。
実務で頻繁に用いられる3つの主要な手法について、それぞれの特徴と適用場面を解説します。各手法には固有のメリット・デメリットがあるため、プロのアドバイスを受けながら適した方法を選ぶことが重要です。
株式譲渡は、スモールM&Aで採用される基本的な手法です。売り手企業の株主が保有する株式を買い手に譲渡することで、会社の経営権を移転させます。手続きがシンプルで、株主総会の特別決議や債権者保護手続きが不要な点がメリットです。
親族間での事業承継においても、株式譲渡はよく用いられます。親から子への株式譲渡では、相続時精算課税制度や事業承継税制を活用することで、税負担を軽減できる場合があります。ただし、適正な株価での取引を行わないと、贈与税が課される可能性があるため注意が必要です。
一方で、株式譲渡では会社の資産・負債をすべて引き継ぐことになります。簿外債務や偶発債務のリスクもあるため、買い手側は入念なデューデリジェンスを実施する必要があります。また、株式の譲渡制限がある場合は、取締役会や株主総会での承認手続きが必要となることも覚えておきましょう。
事業譲渡は、会社の特定の事業部門や資産を選択的に譲渡する手法です。買い手は必要な事業や資産だけを取得でき、不要な負債や問題のある契約関係を引き継がずに済むメリットがあります。売り手にとっても、収益性の低い事業を切り離し、本業に経営資源を集中できる点もメリットです。
実務では、飲食店の店舗単位での譲渡や、ECサイトなどのウェブ事業の譲渡でよく用いられます。譲渡対象となる資産は、無形資産も含まれます。たとえば、顧客リストやノウハウ、ブランドなどです。価格設定では、これらの資産価値に加えて、将来の収益力を反映した営業権(のれん)も考慮されます。
ただし、事業譲渡には手続き上の煩雑さがあります。従業員の雇用契約や取引先との契約を個別に引き継ぐ必要があり、それぞれから同意を得なければなりません。また、売り手には競業避止義務が課され、同一地域で20年間同じ事業を行えなくなる制約もあります。これらの点を理解した上で、選択しましょう。
合弁・アライアンス型は、完全な買収ではなく、部分的な資本参加や業務提携を通じて協力関係を構築する手法です。スモールM&Aにおいては、いきなり100%の株式を取得するのではなく、まず少数株式を取得して様子を見るケースや、共同で新会社を設立するケースなどがあります。
この手法のメリットは、リスクを抑えながら段階的に関係を深められることです。たとえば、最初は20~30%の株式取得から始め、事業の相性や経営方針の一致を確認した後、追加取得を検討するといった柔軟な対応が可能です。売り手にとっても、経営の自主性を保ちながら、買い手の経営資源を活用できるメリットがあります。
実際の活用例として、製造業での技術提携を伴う資本参加や、飲食業でのフランチャイズ展開に向けた共同事業などがあります。ただし、意思決定の複雑化や利害対立のリスクもあるため、事前に役割分担や意思決定ルールを明確にしておくことが重要です。
契約書では、将来の追加取得オプションや撤退条件なども詳細に定めておくべきでしょう。
スモールM&Aを検討する際は、特有のメリットとデメリットを理解しておくことが重要です。基本的なM&Aとは異なる特徴があり、それらを踏まえた上で実行の可否を判断する必要があります。
ここでは、買い手・売り手双方の視点から、スモールM&Aの長所と短所を解説します。
スモールM&Aのメリットは、事業承継問題の解決です。後継者不在に悩む経営者にとって、第三者への事業譲渡は会社の存続と従業員の雇用を守る手段となります。黒字経営でありながら後継者がいない企業では、廃業による社会的損失を防げます。
また、個人保証や担保からの解放も重要なメリットです。多くの中小企業経営者は、金融機関からの借入に際して個人保証を提供しています。M&Aによって、これらの保証を買い手に引き継いでもらうことで、経営者は精神的・経済的な重荷から解放されます。
買い手側のメリットは、比較的少額の投資で事業基盤を獲得できる点です。新たに事業を立ち上げる場合と比べ、既存の顧客基盤、取引先関係、従業員、設備などを一括で取得できます。そのため、事業立ち上げのリスクと時間を大幅に削減可能です。
さらに、売り手が培ってきたノウハウや地域での信頼関係も引き継げるため、より良い事業運営が期待できます。
一方で、スモールM&Aには特有のデメリットも存在します。まず、希望条件に完全に合致する案件を見つけることが難しい点です。小規模企業は財務情報の整備が不十分な場合が多く、正確な企業評価が困難になることがあります。また、地域や業種によっては案件数自体が限られており、選択肢が少ないという現実もあります。
売り手にとっては、経営権の制限がデメリットです。株式の過半数を譲渡した場合、これまでのような独断での意思決定ができなくなります。創業者にとっては、自分が築き上げた会社の経営方針が変更される可能性があり、精神的な負担となることがあります。
情報の非対称性も重要な課題です。小規模企業では、大企業のような詳細な財務諸表や事業計画書が整備されていないケースが多く、買い手は限られた情報で判断を迫られます。結果として、買収後に想定外の問題が発覚するリスクが高くなります。
また、仲介手数料の相対的な負担も大きく、取引金額が小さいほど手数料率が高くなる傾向があります。そのため、費用対効果の慎重な検討が必要です。
スモールM&Aを成功させるためには、体系的なプロセスに沿って進めることが必要です。規模は小さくても、必要な手続きや確認事項は通常のM&Aと大きく変わりません。
ここでは、検討段階から成約後の統合まで、実践的な5つのステップに分けて、各段階での重要ポイントと注意事項を解説します。
スモールM&Aの第一歩は、目的の明確化と入念な準備です。売り手は売却する理由や希望条件を整理し、買い手は買収する理由や求めている事業を明確にする必要があります。
売り手側の準備として重要なのは、「磨き上げ」です。企業価値を高めるための取り組みで、財務状況の改善、業務プロセスの効率化、顧客基盤の強化などが含まれます。具体的には、不採算部門の整理、在庫の適正化、売掛金の回収強化などを行います。
また、過去3年分の決算書、試算表、顧客リスト、従業員名簿などの基本資料を整備しておくことも重要です。
買い手側は、自社の経営戦略において買収がどのような位置づけになるのかを明確にします。既存事業とのシナジー効果、必要な投資額、期待されるリターンなどを具体的に検討します。また、買収後の経営体制や統合計画についても、この段階である程度のイメージを持っておくことが望ましいでしょう。
最適な相手を見つけることは、スモールM&Aの成功につながります。マッチングの方法は、以下の3つに分類されます。
まず、M&A仲介会社の活用です。専門家が間に入ることで、最適な相手の紹介から交渉のサポートまでの支援を受けられます。スモールM&Aに特化した仲介会社では、小規模案件でも丁寧な対応が期待できます。
次に、FA(フィナンシャル・アドバイザー)の起用です。FAは買い手または売り手の一方の立場に立って助言をおこなうため、より戦略的なアプローチが可能です。ただし、小規模案件では費用対効果の観点から慎重な検討が必要になります。
第三の選択肢として、オンラインマッチングサイトの活用です。近年急速に普及しており、手軽に多くの案件情報にアクセスできます。初期費用が安く、自分のペースで相手を探せる反面、交渉や手続きは基本的に当事者間でおこなう必要があるため、一定の知識と経験が求められます。
それぞれの方法の特徴を理解し、自社の状況に合った方法を選択することが重要です。
交渉相手が決まり、基本的な条件について合意に達したらデューデリジェンスをおこないます。
デューデリジェンスは、買い手が売り手企業の実態を詳細に調査するプロセスです。財務、法務、事業、税務など多角的な観点から検証をおこないます。スモールM&Aでは費用の制約から簡易的な調査になりがちですが、財務諸表の精査、重要契約の確認、労務関係のチェックは必須です。
注意すべきは簿外債務の存在です。未払残業代、リース債務、保証債務などが後から発覚するケースは少なくありません。また、取引先との契約にチェンジオブコントロール条項(経営権の変更により契約が解除される条項)が含まれていないかの確認も重要です。
デューデリジェンスの結果によっては、価格や条件の再交渉が必要になることもあるため、柔軟な対応が求められます。
デューデリジェンスの結果を踏まえ、最終的な条件を確定させて契約を締結します。最終契約書には、譲渡価格、支払方法、クロージング条件、表明保証、補償条項などが詳細に記載されます。重要なのは表明保証条項で、売り手が開示した情報の真実性と正確性を保証する内容となります。
表明保証条項の例文としては、「売主は、本契約締結日および譲渡実行日において、以下の事項が真実かつ正確であることを表明し、保証する。(1)提供した財務諸表は、会社の財政状態を適正に表示している。(2)重要な簿外債務は存在しない。(3)重要な訴訟・紛争は存在しない。」といった内容が含まれます。
また、価格調整条項も重要です。クロージング日の運転資本や純資産額に応じて最終的な譲渡価格を調整する仕組みで、基準日からクロージングまでの期間における価値の変動を反映させます。さらに、キーマンとなる従業員の残留条件、競業避止義務の範囲と期間、秘密保持義務なども明確に定めておく必要があります。
これらの条項は将来のトラブルを防ぐ重要な役割を果たすため、プロのアドバイスを受けながら慎重に作成することが推奨されます。
最終契約締結後、実際に株式や事業の引き渡しをおこなうクロージングを迎えます。クロージングでは、株券の引き渡し(株券発行会社の場合)や株主名簿の書き換え、役員変更登記などの手続きをおこないます。事前に必要書類のチェックリストを作成し、漏れのない準備を心掛けることが重要です。
クロージング後に始まるPMI(Post Merger Integration)は、M&Aの成否を左右する重要なプロセスです。PMIでは、経営統合、業務プロセスの統一、企業文化の融合などを計画的に進めていきます。スモールM&Aでは、売り手企業の従業員数が少ないため、一人ひとりへの配慮が欠かせません。
成功のポイントは、急激な変化を避け、段階的に統合を進めることです。まず最初の100日間で、従業員との面談、取引先へのあいさつ、業務フローの把握などをおこないます。その後、両社の良い部分を活かしながら、新たな経営体制を構築していきます。定期的なモニタリングを通じて進捗を確認し、必要に応じて軌道修正をおこなうことで、シナジー効果の最大化を図りましょう。
スモールM&Aを実行する際には、買収価格以外にもさまざまなコストが発生します。これらの費用を事前に把握し、総合的な投資額を見積もることが必要です。
ここでは、主要な費用項目について、具体的な金額感を交えながら解説します。取引規模が小さいスモールM&Aでは、これらのコストが相対的に負担となることもあるため、慎重な検討が重要です。
M&A仲介会社への手数料は、売り手・買い手双方にとって費用項目の一つです。標準的な仲介会社の手数料相場は、売却価格の5%~10%程度となっています。レーマン方式と呼ばれる料率体系を採用している会社では、取引金額が小さいほど料率が高くなる仕組みです。たとえば、1億円の案件では500万円~1,000万円の手数料が発生する可能性があります。
多くの仲介会社では最低手数料を設定しており、基本的に大手では500万円から2,000万円程度です。これに対して、スモールM&Aに特化した仲介会社では、最低手数料を100万円から300万円程度に抑えている場合もあります。近年では、着手金・中間金・月額報酬を無料とし、成約時のみ報酬を受け取る「完全成功報酬制」を採用する会社も増えています。
FAを起用する場合は、仲介会社よりも高額な報酬体系となることが多いです。より専門的なアドバイスを受けられる反面、費用負担は大きくなります。スモールM&Aでは、取引規模に見合った支援形態を選択することが重要です。
デューデリジェンスは買い手側の重要な費用項目で、調査の範囲によって数十万円から数百万円の費用が発生します。財務デューデリジェンスを公認会計士に依頼する場合、簡易的な調査でも50万円から100万円程度、詳細な調査では200万円以上かかることもあります。法務デューデリジェンスも同様の費用感です。
契約書関連では、売買契約書の作成・確認のために弁護士に依頼する場合、30万円から50万円が相場です。売り手側では、税務対策のために税理士に相談する場合、10万円から30万円程度の費用が発生します。これらの費用は、リスク回避のための必要投資と考えるべきでしょう。
そのほかの実務コストとして、商業登記や所有権移転登記などの登記費用、株券発行会社の場合は株券発行費、融資を受ける場合は融資手数料(融資額の1%~2%程度)と利息などがあります。これらの費用は案件の内容によって大きく変動するため、事前の見積もりが重要です。
税金の取り扱いは、M&Aの手法によって異なります。株式譲渡の場合、売り手が個人であれば、譲渡益に対して20.315%(所得税15.315%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)の税率で課税されます。たとえば、1,000万円で取得した株式を5,000万円で譲渡した場合、譲渡益4,000万円に対して、税金は約813万円です。
売り手が法人の場合は、譲渡益に対して法人税、住民税、事業税が課税されます。中小企業の場合は超過累進課税のため、所得によって税率が異なりますが、実効税率はおおむね25%~35%程度です。買い手側では、株式の売買は非課税のため消費税はかかりませんが、印紙税などの諸費用は発生します。
事業譲渡の場合は、資産の譲渡として扱われるため、買い手側に消費税の負担が発生します。売り手は買い手から消費税を預かり、納付が必要です。また、不動産が含まれる場合は、不動産取得税や登録免許税といった不動産関連の税金も考慮する必要があります。営業権(のれん)部分については、税務上5年間で償却でき、買い手にとっては節税効果が期待できます。
親族間での株式譲渡は、第三者間取引とは異なる特有の注意点があります。重要なのは、適正な価格での取引をおこなうことです。税務当局は、親族間取引については厳しく確認する傾向があります。時価よりも著しく低い価格で譲渡した場合、差額部分が贈与とみなされ、贈与税が課される可能性があります。
適正価格の算定には、類似業種比準方式、純資産価額方式などの評価方法があり、会社の規模や株主構成によって適用される方法が異なります。事業承継税制を活用する場合は、一定の要件を満たすことで、贈与税・相続税の納税猶予や免除を受けることができますが、事前の計画的な準備が必要です。また、ほかの相続人との関係にも配慮が必要です。将来の相続時にトラブルとならないよう、遺留分なども考慮した設計が求められます。
スモールM&Aを成功させるためには、専門家選びが重要です。M&A仲介会社、弁護士などさまざまな選択肢がありますが、最初の相談先としては、M&Aアドバイザーや仲介会社が推奨されます。なぜなら、M&Aの全体像を把握し、必要に応じて各分野のプロをコーディネートできる立場にあるからです。
選定のポイントとして、まずスモールM&Aの実績を確認することが重要です。大型案件中心の会社では、小規模案件に対してリソースを割いてもらえない可能性があります。また、料金体系の透明性も重要で、最低手数料や月額費用などを事前に明確にしている会社を選ぶべきです。
スモールM&Aは、後継者不足に悩む中小企業経営者と、事業拡大を目指す企業や個人をつなぐ重要な架け橋となっています。従来は廃業しか選択肢がなかった小規模事業者にとって、M&Aという新たな出口戦略が現実的な選択肢となったことは、日本経済にとっても意味を持ちます。
成功のポイントは、事前準備とプロの活用、そして相手企業への配慮にあります。
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