M&A件数の推移を統計データから分析!増加背景を徹底解説

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M&A件数は年々増加しており、企業の成長戦略や存続維持の手段としてM&Aが国内や海外で注目を集めていることがわかります。後継者の有無に限らず、中小企業の経営者にとってM&A件数の推移やその背景と市場動向を知ることは、企業の未来の選択肢を増やすことにつながります。

本記事では、最新のM&A件数の推移や市場、日本と海外の取引や歴史的背景を今後の見通しも含めて詳しく解説していきます。

日本および世界のM&A件数の現状と動向

国内のM&A件数はここ数十年で着実に増加しています。中小企業庁の「事業承継・M&Aに関する現状分析と今後の取組の方向性について」によると、過去10年で子会社や関連会社を増やした中小企業は右肩上がりで増加しています。一方で、大企業は2018年以降やや減少傾向にあります。

件数で見ると、2014年度の事業承継・引継ぎ支援センターによるM&A実施件数は102件、民間M&A支援機関によるM&A実施件数は260件でした。2022年度は事業承継・引継ぎ支援センターによる実施件数は1681件、民間M&A支援会社による実施件数は4036件と大きく伸びていることが分かります。

また、事業承継の方法別に見ると、以前は中小企業の後継者というと、経営者の子どもや親族が一般的でしたが、親族内承継は2017年の41.6%から2023年の33.1%へと減少し、社内の役員や従業員、第三者への承継が増加しています。

統計データから見る国内企業の事業承継

事業承継は、国内の企業の将来を左右する重要な課題となっています。中小企業庁のデータによると、日本では毎年多くの企業が後継者不足に直面しており、事業承継が円滑に行われない場合、その企業の存続が危ぶまれることがあります。特に中小企業においては、経営者の高齢化が進む中で、後継者が不在など事業承継の問題を抱える企業の割合は年々増加しており、第三者へ事業を承継するM&Aが選択肢として期待されています。

後継者不足による黒字経営企業の廃業問題は国内の経済にも影響を与えます。そのため、経済産業省の「第三者承継支援総合パッケージ」では、70歳以上の経営者で後継者が未定の中小企業のうち、黒字廃業の可能性がある約60万社に対して第三者承継を促すことを発表し、政府や自治体による中小企業の事業承継を支援するための制度や助成金の提供、事業承継計画を支援するための専門家ネットワークの構築が進められています。

M&Aを活用することで、企業は後継者問題の解消だけでなく、新たな資金調達や事業拡大を図ることができます。こうしたメリットから、M&Aは近年活発に行われるようになり、M&A支援事業者も2018年は1176事業者だったのに対し、2023年には3057事業者と約2.6倍に増えています。

取引金額と件数の推移

大和総研「日本企業によるM&A動向」を見ると、2006年から2010年にかけてM&Aの取引件数は減少していますが、その後2023年まで右肩上がりで増加。2023年と2010年の取引金額および件数を比較すると約3倍となっています。

ただし、2004年は1件あたり57.1億円であるのに対し、2013年以降は20億円前後となっています。この要因としては、2000年代は金融機関の合併・統合などの大型案件が続いたのに対し、2010年代・2020年代は中小企業の取引が増えたことが挙げられます。

業種別の比較

2023年のM&A取引が多い業種を件数ベースで見ると、上位5位は以下の通りです。

1位 サービス業
2位 その他金融業
3位 情報・通信業
4位 卸売業
5位 小売業

また、取引金額での上位5位の業種は以下の通りです。

1位 その他金融業
2位 医薬品
3位 卸売業
4位 証券業
5位 サービス業

M&A件数および取引金額は直近20年間の合計値も同じ業種でした。

海外企業とのM&A件数と取引金額の推移

日本の企業と海外の企業の取引をクロスボーダーM&Aといいます。世界のM&A件数は、近年のグローバル経済の変動や市場の成熟度に伴い、変動を見せています。

特にアメリカやヨーロッパの先進国では、経済の安定性と企業規模の拡大を背景に、M&A活動が活発化しています。一方で、アジア諸国では急速な経済成長と共に、国内市場の競争力を高める目的でM&Aが進行中です。これに対し、日本をはじめとする国内市場は、少子高齢化や市場の成熟化が進む中で、異なる動きが見られます。具体的には、後継者問題の解決や新しい技術の獲得を目的としたM&Aが増加傾向にあります。

大和総研の同資料からは、直近20年間のクロスボーダーM&Aの推移は海外の企業が日本企業を買収している件数および金額は右肩上がりで増加していますが、日本企業が海外企業を買収する件数はゆるやかに上昇傾向にあります。

国別でみると、In-Out(国内企業による海外企業の買収)では、アメリカの企業及び、ASEANの企業とのM&Aは拡大傾向にある一方で、欧州や中国とのM&Aは横ばいか縮小傾向にあり、Out-In(海外企業による国内企業の買収)では、中国による国内企業の買収が大きく伸びています。

M&A件数増加の背景と要因

M&A件数の増加背景には、複数の要因が絡み合っています。まず、日本経済の成熟化に伴い、企業は新たな成長機会を求めてM&Aを戦略的選択肢として積極的に利用するようになりました。特に、少子高齢化による労働力不足や地方企業の後継者問題が深刻化している中、企業の存続や成長を目的にM&Aが利用されるケースが増えています。

リーマンショックによる影響

リーマンショックは、2008年に世界的な金融危機を引き起こし、企業の財政状態に大きな打撃を与えました。この影響により、M&A市場も大きな変化を余儀なくされました。資金調達の困難さから企業の買収意欲が低下し、M&A件数は一時的に減少しました。特に中小企業は資金力の弱さから、買収を受ける側としての立場を余儀なくされるケースが増加しました。

一方で、リーマンショックは企業の再編成を促進する契機ともなりました。景気後退による収益悪化を背景に、非効率な事業の売却やコスト削減を目的とした組織再編が進められました。こうした動きは、企業が生き残りをかけた戦略的なM&Aを促進し、特定の業界ではM&A活動が活発化するという現象も見られました。

さらに、市場の不安定さにより企業価値が下落したため、買収を検討する企業にとっては魅力的な買い時ともなりました。国内の企業同士の売買だけでなく、日本の企業と海外の企業のM&Aも積極的に行われるようになりました。こうしたグローバル化により、M&Aの国際化が進行し、日本の市場の活性化を促す一因となりました。

総じて、リーマンショックはM&A市場に短期的な抑制をもたらすと同時に、長期的には市場の再編成を促す転機となりました。企業が新たな成長機会を模索する中で、M&Aは戦略的な選択肢としての重要性を増したのです。

経済のグローバル化

経済のグローバル化は、国境を越えた市場統合を促進し、企業活動をより広範囲にわたって活性化させています。通信技術の進化と貿易障壁の低下がその進展を後押しし、企業はかつてないほど多様な市場にアクセスしやすくなりました。この環境下で、M&Aの件数は世界的に増加傾向にあります。

新市場に迅速に参入し、技術や資源を獲得する手段として、M&Aを積極的に活用する企業も増えています。特に、グローバル化が進む中で、新興市場への進出はますます重要となり、多国籍企業はアジアやアフリカといった新興国を重要な投資先と見なしています。

しかし、M&Aには異なる文化や規制の中で統合を進めるという課題も伴います。成功するためには、企業文化の融合や経営資源の効率的な再配置が必要です。これらの課題を克服し、持続可能なビジネスモデルを構築することで、企業は地域社会への貢献を強化し、経済に大きな恩恵をもたらすことができます。

コロナ禍の影響

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、世界経済に多大な影響を及ぼし、M&A市場もその例外ではありません。パンデミックの初期段階では、多くの企業が不確実性の高まりや市場の不安定さのためにM&A活動を一時的に停止しました。この影響は特に2020年の第一四半期に顕著で、取引件数は急激に減少しました。しかしながら、パンデミックが進行するにつれて、経済の回復を目指す中でM&Aは再び注目を集め始めました。

コロナ禍がもたらした最大の変化の一つは、デジタル分野における取引の増加です。リモートワークの普及やオンラインサービスの需要拡大に伴い、テクノロジー関連企業のM&Aが活発になりました。また、ヘルスケア業界でも同様に取引が増加し、特に医療技術やバイオテクノロジー分野でのM&Aが加速しました。

さらに、コロナ禍により企業は財務体質の強化や事業ポートフォリオの再構築を目的として、資産の売却や不採算事業の切り離しを進める傾向が見られました。これにより、特に中小企業においては買収の好機が生まれ、新たな成長戦略を模索する動きが加速しました。また、低金利政策や政府の経済支援策もM&A活動を後押しする要因となりました。

経営者の高齢化と少子化

日本の経済環境において、経営者の高齢化と少子化は大きな課題となっています。経営者の平均年齢が上昇する中、後継者不足が深刻化し、特に中小企業においては事業承継の問題が顕在化しています。日本の経営者の約60%以上が60歳以上であり、多くが引退を考える年齢に達していますが、若い世代の経営者候補が少なく、事業を引き継ぐことが難しい状況にあります。

また、少子化による労働人口の減少は、企業の持続的成長を阻む要因となっており、国内市場の縮小と相まって、企業は新たな成長戦略を模索する必要に迫られています。このような背景から、M&Aは事業承継の有効な手段として注目されています。経営者が自らの引退を見据え、会社を売却することで、事業の存続と従業員の雇用を確保を守ることができます。

また、少子化は新しいビジネスチャンスの創出を促す一方で、労働力不足が生産性の向上を求める圧力として作用しています。M&Aは資源の最適化や技術革新の促進に寄与し、企業が競争力を維持するための手段として位置づけられています。したがって、経営者の高齢化と少子化が進む中で、M&Aは企業の生き残りと成長のための重要な戦略となりつつあります。このような動向は、今後さらに加速することが予想され、政策面での支援も一層求められています。

デジタル化の進展

デジタル化の進展は、現代のビジネス環境において重要なテーマとなっており、M&Aの分野においてもその影響は顕著です。企業がデジタル技術を活用することで、効率的な業務運営や市場での競争力向上が可能となり、M&A戦略の一環としてデジタル技術を積極的に取り入れるケースが増えています。特に、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進により、新たなビジネスモデルの創出や、既存のビジネスプロセスの革新が進められています。

デジタル化はまた、M&Aのプロセス自体にも変革をもたらしています。例えば、人工知能(AI)やビッグデータ解析の活用により、企業価値の評価やリスク分析がより迅速かつ正確に行えるようになりました。これにより、買収の意思決定がスピーディーかつ効果的に行えるようになり、競争が激化する市場での優位性が高まっています。

さらに、デジタル化は企業間のシナジーを生む可能性も高めています。デジタル技術を共有することで、新たな価値の創出やコスト削減が実現されることが期待されています。これにより、企業は従来の事業領域を超えた成長機会を追求し、グローバル市場での地位を強化することが可能となります。

最後に、デジタル化は企業の透明性を高め、ガバナンスの強化にも寄与しています。デジタルプラットフォームを通じた情報の一元管理により、企業はコンプライアンスの強化やリスクマネジメントの向上を図ることができ、企業価値の向上と投資家やステークホルダーに対する信頼性を高めることができます。

中小企業のM&A事例

中小企業のM&Aは、近年特に注目を集めています。中小企業がM&Aを選択する主な理由として、後継者問題の解決、事業の最適化、そして新市場への進出が挙げられます。例えば、ある製造業の中小企業では、経営者が高齢化し、後継者が不在のため、企業の存続を考慮して同業他社への売却を決断しました。これにより、企業は新たな経営陣のもとでの成長が期待され、従業員の雇用も安定しました。

また、別のIT関連企業では、自社の技術を強化するために、特定の技術を持つスタートアップ企業を買収しました。これにより、短期間で技術力を向上させ、新たな顧客層を獲得することに成功しました。さらに、地域の中小企業が統合することで、規模の経済を実現し、競争力の向上を図った事例も見られます。これにより、資源の効率的な利用とコスト削減が可能となり、地域経済にも貢献しています。

中小企業におけるM&Aは、単なる企業の売買に留まらず、経営課題の解決や新たな成長の機会を提供する重要な手段として位置付けられています。特に小規模な企業においては、資金力や知名度の限界を超えるための戦略的な手段となり得ます。

M&A件数増加と法改正

日本におけるM&Aの件数が増加した背景には、法改正も大きな役割を果たしています。特に、近年の法制度の見直しが、企業間の取引を促進する一因となっています。例えば、2017年に施行された「事業承継税制の特例措置」は、中小企業の後継者不足問題に対応するために導入され、これにより事業承継時の税負担が軽減されました。これが中小企業のM&Aを一層活性化させる原動力となっています。

さらに、2019年には会社法が改正され、株主総会の手続きの簡素化や、少数株主の権利が強化されました。これにより、M&Aのプロセスが効率化され、取引の透明性が向上しています。また、近年のコーポレートガバナンス・コードの改訂により、企業に対して透明性と説明責任を求める動きが強まっており、これもM&Aの信頼性を高める要因となっています。

これらの法改正は、企業がM&Aを通じて成長戦略を描く際に、これまで以上に柔軟な選択肢を提供しています。特に、海外企業とのM&Aにおいては、法的なハードルが低くなり、より活発な取引が期待されています。今後も法制度の整備が進むことで、M&A市場はさらに活発化することが予想されます。

税制措置や最新の事業承継制度

政府はM&Aを促進するために、税制面での優遇措置や関連制度を整備しています。これにより、企業が合併や買収を行う際の資金負担を軽減し、より円滑な取引の実現をサポートしています。具体的には、企業が持つ株式の譲渡や資産の売却に対して、一定の条件を満たすことで税負担を軽減する特例措置が設けられています。例えば、事業承継税制の特例があり、これにより中小企業の後継者が事業を引き継ぐ際の相続税や贈与税の負担を大幅に減らすことが可能です。

さらに、政府は中小企業のM&Aを支援するための相談窓口や、情報提供を行うプラットフォームを設置しています。企業は専門的な知識を持つアドバイザーのサポートを受けながら、適切な判断を下すことができようになります。これらの制度は、第三者への事業承継を難しく考えている中小企業の経営者にとってM&Aの難易度を下げることに貢献しています。

コーポレートガバナンスの重要性

コーポレートガバナンスは、企業が持続可能な成長を遂げるための重要な枠組みとして、特にM&Aが活発化する現代においてその役割が再評価されています。M&Aの増加に伴い、企業の統合後における経営の透明性や効率性を確保する必要性が高まり、適切なガバナンス体制の構築が求められています。コーポレートガバナンスは、取締役会の機能強化や内部統制システムの整備、情報開示の透明性を高めることで、株主や関係者の信頼を得ることを目的としています。

また、近年の法的整備により、企業はより高いガバナンス基準を遵守することが求められています。これには、独立した外部取締役の導入や、監査委員会の機能強化といった具体的な施策が含まれます。特にM&A後の企業統合においては、異なる文化や業務プロセスの調和を図ることが大切です。ガバナンスの強化を行うことにより、企業は統合効果を最大化し、持続可能な成長を実現することが可能となります。

企業は短期的な利益追求にとどまらず、長期的な視点での経営を意識することが求められます。ガバナンスの強化は、単なる法令遵守に留まらず、企業価値の向上と社会的信頼の獲得に寄与する重要な要素となっています。M&Aにおける成功を左右する要因として、コーポレートガバナンスは今後ますます注目されることでしょう。

今後のM&A件数の推移予測

今後の国内M&A市場は、いくつかの要因によりさらなる成長が期待されています。まず、経済のデジタル化が進む中で、テクノロジー企業を中心としたM&Aが増加する見通しです。特にAIやIoT分野における技術革新が、中小企業の競争力を高める手段として注目されるでしょう。また、少子高齢化と人口減少が続く日本では、後継者問題が引き続き企業譲渡の動機となり、これがM&A市場の活性化につながると予測されています。

さらに、グローバル化の進展に伴い、国内企業が海外市場への進出を強化する動きが見られます。これにより、国際的なM&Aが増加し、国内外の企業間での連携や技術交換が促進されることも期待できます。一方で、地政学的リスクや規制の変動がM&A戦略に影響を与える可能性があるため、企業はリスク管理を強化し、柔軟な対応が求められます。

総じて、M&Aは今後も企業の成長戦略の柱として位置付けられ、業界全体におけるイノベーションの推進力となるでしょう。企業は、早期に市場動向を把握し、適切なパートナーシップを築くことが重要です。最後に、M&Aに関するよくある質問としては、取引の成功要因や失敗リスク、法的手続きの詳細などがあります。これらの知識を深めることで、より効果的なM&A戦略を立案し、実行することが可能となります。

これらの要素を踏まえ、M&A市場は今後も成長を続けると考えられますが、企業は単なる成長戦略としてではなく、持続可能な成長を実現するための重要な手段としてM&Aを位置付ける必要があります。したがって、適切な戦略と計画のもとでの実行が求められます。

まとめ

M&A件数の増加は、企業の成長戦略としてますます鍵を握る要素です。この記事では国内外のM&A件数の動向とその背景、そして成功事例を解説しました。M&Aは単なる取引にとどまらず、企業の未来を形作る重要な手段であり、M&A件数が増加するのはそれだけ経営者不足や事業存続の期待がされているためです。

M&Aは実際に進める場合、複雑な専門知識も必要となります。M&Aや経営課題に関するお悩みはぜひM&Aロイヤルアドバイザリーにご相談ください。

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