精算と清算の違いとは?意味とビジネスでの使い方、清算の方法も解説

着手金・中間金無料 完全成功報酬型

精算と清算は似た言葉ですが、意味も使われる場面も異なります。精算は経費や金額の計算・確定を指し、日常的な会計処理や経費精算で用いられます。一方、清算は会社の整理を意味し、債権者への対応や残余財産の分配など、会社の存続を終わらせる手続きとして用いられます。精算書と清算書もこの違いを反映しています。

本記事では、精算と清算の意味の違いから、会社清算の流れ、メリットや注意点までを詳しく解説します。精算と清算をそれぞれ理解し、ビジネスでお役立てください。 

精算と清算の違い 意味を理解しよう

まず、精算と清算の違いについて解説します。

精算とは

精算とは、支払いや受け取りの金額を最終的に調整する行為を指します。主にビジネスや日常生活において、費用の過不足を計算して正しく処理する意味で使われます。 

具体的には、出張旅費や立替経費などで発生した支出を、領収書に基づき会社へ請求し、差額を受け取るといった場面で用いられます。会計処理上も欠かせない重要な手続きです。 

また、公共料金や交通費の「過不足を精算する」といった形でも使われ、日常的に耳にする表現です。つまり精算は、金銭に関する計算と調整のプロセスを意味します。

清算とは

清算とは、主に取引や契約、法人などの関係を最終的に整理し、完全に決着をつけることを意味します。単なる金銭のやり取りにとどまらず、法律的・制度的な手続きが含まれる点が特徴です。

具体例として、会社の解散に伴う財産や債務の処理、あるいは債権債務関係の整理などがあります。清算を経て、法人や契約は法律的に消滅し、関係が完全に終了します。

また、比喩的に「過去の関係を清算する」といった使い方もされます。この場合は、物事の区切りをつけ、関係を断ち切るという意味で用いられます。

    必須
    必須
    必須
    必須

    個人情報につきましては、当社の個人情報保護方針に基づき適切に管理いたします。詳しくは「個人情報の保護について」をご確認ください。

    img

    THANK YOU

    お問い合わせが
    完了しました

    ご記入いただきました情報は
    送信されました。
    担当者よりご返信いたしますので、
    お待ちください。

    ※お問い合わせ後、
    2営業日以内に返信がない場合は
    恐れ入りますが
    再度お問い合わせいただきますよう、
    よろしくお願い致します。

    お急ぎの場合は
    代表電話までご連絡ください。

    phone
    03-6269-3040
    受付:平日 9:00~18:00
    img
    img

    精算書と清算書の違い

    次に、精算書と清算書の違いについて解説します。

    精算書とは

    精算書とは、一定期間や特定の取引における収入と支出を整理し、その差額を明確に示すための書類です。企業活動や日常業務での費用処理において、欠かせない役割を果たします。

    例えば、出張や会食で発生した交通費・宿泊費・接待費などを領収書とともにまとめ、会社に提出する形が一般的です。これにより、支出内容の透明性と正確性が担保されます。

    また、精算書は会計処理や内部監査においても重要で、適切な管理が企業の信頼性を支えます。整理された精算書は、経営判断や経費削減の基礎資料にもなります。

    清算書とは

    清算書とは、会社や組織の解散や事業終了の際に作成する最終的な財務報告書です。資産や負債を整理し、残余財産をどのように処分するかを示す正式な文書です。

    具体的には、債権回収や債務弁済の結果をまとめ、株主や債権者に対して最終的な会計状況を明らかにします。会社法上も清算手続きの重要なステップとして規定されています。

    この清算書を通じて、法人は法的に消滅し、利害関係者との関係も完全に終了します。単なる金銭精算ではなく、組織の最終処理を記録する点に大きな特徴があります。

    精算の使い方

    精算は、次のような場面で使われます。

    • 経費の立て替え・払い戻し
    • 金額の計算・確定
    • レジ締め(精算処理)

    それぞれを解説します。

    経費の立て替え・払い戻し

    経費を一時的に社員が立て替えた場合、その支出内容を領収書とともに会社へ提出し、最終的に差額を調整する手続きを「精算」と呼びます。

    例えば、出張での交通費や宿泊費を社員が支払った際、帰社後に精算書を作成し、承認を受けることで払い戻しが行われます。

    この精算により、社員の負担が解消されると同時に、会社の会計帳簿にも正確な費用計上が反映されます。適切な精算は内部統制の基盤となります。

    会計などの支払い金額の計算・確定

    精算は、支払いに伴う金額を正しく計算し、最終的に確定させる場面でも使われます。過不足をなくすことが目的であり、日常的に幅広く用いられる表現です。

    例えば、飲み会で幹事が代表して支払った後、参加人数で割り、一人当たりの金額を計算して集める行為を「割り勘の精算」といいます。

    また、イベント費用や共同購入の際にも、各人の負担額を調整して確定する過程を精算と呼びます。公平性と透明性を保つために不可欠な手続きです。

    レジ締め(精算処理)

    レジ締めにおける精算とは、一日の営業終了後に売上金とレシートや伝票を照合し、金額を正しく計算・確定する作業を指します。日常業務で欠かせない精算の一例です。

    具体的には、レジ内の現金やクレジット決済額を集計し、帳簿やシステム上の売り上げ記録と突き合わせます。差異があれば原因を確認し、修正することが求められます。

    この精算処理により、売り上げの透明性が保たれ、経理や会計処理に正確に反映されます。日々の信頼性ある店舗運営を支える重要な仕組みです。

    清算の種類

    清算は、法的清算と任意清算の二種類に分けられ、法的清算はそこから通常清算と特別清算に分けられます。

    通常清算

    法的清算における通常清算とは、会社が解散後に行う清算手続きの一種です。通常清算は、資産で債務を全額返済できる場合に適用される手続きですが、債務超過がある場合には特別清算や破産手続きが適用されることが一般的です。

    清算人が選任され、資産を換価し、債権者への弁済を行った後、残余財産を株主に分配します。この過程では、清算人が会社の財務状況を適切に処理し、必要に応じて株主や債権者に報告を行うことが求められます。ただし、通常清算は必ずしも裁判所の監督下で行われるわけではありません。

    通常清算は、債務整理を目的とする特別清算に比べ、形式的で手続き的な性格が強い点が特徴です。この手続きにより、法的に会社関係を終了させる方法の一つとなります。

    特別清算

    特別清算とは、会社が解散した際、債務超過や利害関係者との対立があり、通常清算では円滑に処理できない場合に用いられる法的清算手続きです。

    裁判所の監督下で進められ、清算人が債権者集会を開き、債務の減額や弁済方法について合意を得ることが特徴です。債権者の多数決により柔軟な調整が可能です。

    破産手続きに比べて簡易で迅速に進められる一方、裁判所の関与により公正さが担保されます。会社の整理と債務処理を同時に実現する制度です。

    任意清算

    任意清算とは、会社の解散に際し、裁判所の関与を受けずに自主的に行う清算手続きです。株主総会の決議で解散と清算人の選任を行い、清算が始まります。

    清算人は会社の資産を売却し、債務を返済した上で残余財産を株主に分配します。手続きは会社法に基づきますが、基本的には内部で完結します。

    裁判所の監督が不要で柔軟かつ迅速に進められる点が特徴です。ただし、債務超過や紛争が生じた場合には特別清算や破産へ移行することもあります。

    清算と似た言葉との違い

    「清算」と似た言葉として次のものが挙げられます。

    • 破産
    • 倒産
    • 廃業
    • 解散
    • 民事再生

    それぞれを詳しく解説します。

    破産

    破産とは、債務者が支払不能となった場合に裁判所の決定により開始される法的手続きです。清算と同じく資産を処分しますが、目的や性格が大きく異なります。

    清算が会社の自主的な解散・整理を前提とするのに対し、破産は債権者の利益を公平に守ることを主眼とし、破産管財人が選任されて資産の配分を行います。

    その結果、会社は強制的に消滅し、経営者や債権者に大きな影響を与えます。計画的に終了を目指す清算と比べ、破産は緊急かつ消極的な処理方法といえます。

    倒産

    倒産とは、会社が資金繰りに行き詰まり、返済不能となった状態や、これに伴い行われる整理手続きを広く指す言葉です。日常的には「経営破綻」とも呼ばれます。

    法的手続きとしては破産、民事再生、会社更生などがあり、私的整理としては金融機関との協議による返済条件の変更や、私的整理に伴う債務の減免などが含まれます。状況に応じて適切な手段が選ばれます。

    一方、清算は会社が自主的に解散し、資産や負債の整理を進める制度です。倒産は突発的な資金ショートを端緒とし、清算よりも緊急性が高く、通常は外部からの圧力や影響を受けて行われる処理といえます。

    廃業

    廃業とは、個人事業主や会社が事業活動をやめることを指す一般的な言葉です。特に個人事業主には会社法上の清算や解散制度がないため、廃業という表現が用いられます。

    個人事業主が廃業する場合は、税務署に廃業届出書を提出し、最終の所得税や消費税の確定申告を行う必要があります。また、社会保険や雇用保険の手続きも行う必要があります。

    一方、会社の清算は、法的な解散決議や登記を経て進められる制度です。廃業は日常的な表現であり、清算ほど厳格な手続きを伴わない点が大きな違いと言えます。ただし、廃業においても税務上の手続きやその他の法的義務があるため、注意が必要です。

    解散

    解散とは、会社が事業を終了することを決議し、法人格を存続させたまま清算段階に移行することを指します。会社法第471条に解散事由が定められています。

    具体的には、株主総会の特別決議や定款に定めた期間満了、合併、破産手続き開始決定などが挙げられます。解散を契機に清算人が選任されます。

    清算が資産の処分や債務弁済といった実務を指すのに対し、解散はその入口となる法的状態です。両者は混同されやすいですが、段階が異なります。

    民事再生

    民事再生とは、債務超過や資金繰りの悪化で経営が困難になった会社が、裁判所の関与のもとで再建を目指す法的手続きです。破産や清算と異なり、会社は存続します。

    再生計画を立てて債権者の同意を得ながら債務を減免し、事業を継続する仕組みです。経営陣が退陣せずに再生を進められる点も会社更生手続きとの大きな違いです。

    清算が会社を消滅させるのに対し、民事再生は事業を立て直す前向きな制度です。企業価値や雇用を守るために活用される再建型の手段といえます。

    会社清算の手続き

    会社清算の手続きでは、次の手順を踏みます。

    • 株主総会で解散を決議し、清算人を選任する
    • 解散と清算人の登記を行う
    • 税務署や労基署へ解散を届け出る
    • 清算人が財産目録と貸借対照表を作成する
    • 債権者へ公告・通知を行う
    • 解散時の確定申告を提出する
    • 残余財産を確定し株主に分配する
    • 清算時の確定申告を提出する
    • 清算人が決算報告を作成し、株主総会で承認を得る
    • 清算結了登記を行う
    • 関係官庁へ清算終了を届け出る
    • 会社が法的に消滅する

    それぞれを分かりやすく解説します。

    株主総会で解散を決議し、清算人を選任する

    会社を清算する第一歩は、株主総会において解散の特別決議を行うことです。これにより会社は存続しつつも、営業活動を終了し清算段階へ移行します。

    同時に、会社の資産処分や債務返済を担う「清算人」を選任します。清算人は取締役が兼任する場合が多いですが、株主総会で別途選任することも可能です。

    この決議と選任を経て、解散登記を法務局に行うことで、会社清算の手続きが正式に始動します。法的に重要な出発点となる手続きです。

    解散と清算人の登記を行う

    株主総会で解散と清算人の選任が決議された後、法務局に対して「解散登記」と「清算人選任登記」を申請する必要があります。これは法律上義務づけられています。

    登記には、株主総会議事録や清算人の就任承諾書などの書類が必要です。これにより会社は営業活動を停止し、清算手続きに移行したことが公式に記録されます。

    登記が完了すると、清算人は法的な権限を持ち、資産の処分や債務の弁済などを進められます。清算の実務がここから本格的に始まります。

    税務署や労基署へ解散を届け出る

    会社が解散した場合、登記だけでなく所轄の税務署や労働基準監督署など関係官庁へ解散届を提出する必要があります。これにより行政手続きが正式に始まります。

    税務署には「解散届出書」の他、清算人の就任届や残余財産に関する書類などを提出します。労基署には労働保険関係の清算に関する書類が必要です。

    これらの届出を適切に行うことで、税務処理や労務処理が法的に整備され、清算人は安心して資産処分や債務弁済を進められます。

    清算人が財産目録と貸借対照表を作成する

    清算人は就任後、会社の資産・負債を正確に把握するために、財産目録と貸借対照表を作成します。これは清算業務の基礎となる重要な作業です。

    財産目録では現金や債権、固定資産などを一覧化し、貸借対照表では資産と負債を整理して会社の財務状況を明確にします。

    これらの書類は株主総会で報告され、承認を受けることで清算人は債務弁済や残余財産分配に向けた具体的な手続きを進められます。

    債権者へ公告・通知を行う

    清算人は、会社解散後に債権者へ公告・通知を行い、一定期間内に債権を申し出るよう促す義務があります。これにより、負債整理を公正に進められます。

    公告は官報に掲載することが一般的で、合わせて既知の債権者には個別に通知します。これにより、全ての債権者に請求の機会を保障します。

    この手続きにより、会社は未払債務を漏れなく把握でき、清算人は適正に弁済を進められます。公告期間を経て、残余財産の分配準備に入ります。

    解散時の確定申告を提出する

    会社が解散すると、通常の事業年度に関わらず、その時点までの所得を計算し、解散日の翌日から2カ月以内に確定申告を行う義務があります。

    清算人が代表して法人税や消費税の申告を行い、必要に応じて納税も同時に済ませます。これにより、解散までの税務処理が区切られます。

    解散時の確定申告を適切に提出することで、以降は清算中の法人として扱われ、残余財産の処理や清算結了までの税務手続きへ進められます。

    残余財産を確定し株主に分配する

    清算人は債務の弁済や債権回収を終えた後、最終的に会社に残った資産を「残余財産」として確定します。ここで初めて株主への分配が可能です。

    残余財産は出資割合に応じて株主へ分配されます。現金だけでなく、不動産や有価証券などが含まれる場合もあり、適切な評価と処理が求められます。

    この分配によって株主は出資の最終的な回収を得られ、会社の財産関係は完全に清算されます。法人格消滅へ向けた重要な最終段階です。

    清算時の確定申告を提出する

    会社の清算が進み、残余財産の分配を終えると、法人格消滅前に「清算時の確定申告」を提出する必要があります。これは最後の税務手続きとなります。

    対象となる期間は、解散後から清算結了の日までで、その間に生じた所得や残余財産の処理を反映させ、法人税などを確定させます。この申告により、清算中に発生した収益や費用が適切に計上され、納税義務が果たされます。

    清算人が代表して申告・納税を行い、これを完了することで会社の税務関係は全て終了します。この手続きは、清算結了登記に進むための前提となる重要な手続きです。

    清算人が決算報告を作成し、株主総会で承認を得る

    清算人は債務弁済や残余財産の分配を終えた後、清算の経過と結果をまとめた決算報告書を作成します。これは清算業務の総括となる重要な書類です。

    この報告書には、資産処分の状況や債務の弁済内容、株主への分配結果などが記載され、会社清算の全体像が明確に示されます。

    清算人は株主総会を開き、この決算報告について承認を受けます。承認が得られることで清算手続きは最終段階に入り、結了登記へ進めます。

    清算結了登記を行う

    清算人が決算報告を作成し、株主総会で承認を得た後、最後に法務局で「清算結了登記」を行います。これにより、清算が法的に完了します。

    登記の際には、清算結了の事実を証明するために株主総会議事録や決算報告書を提出します。これらの書類が受理されると、会社は正式に法人格を失います。

    清算結了登記が完了することで、会社の全ての権利義務関係は消滅し、清算手続きは終了します。この手続きは、会社清算における最終ステップです。

    関係官庁へ清算終了を届け出る

    清算結了登記を終えた後、会社は関係官庁に対して清算終了の届出を行う必要があります。これにより、行政上の会社情報も整理されます。

    具体的には、税務署に清算結了届出書を提出し、併せて地方税関連の届出も行います。また、労基署や年金事務所へも必要に応じて届け出ます。

    これらの手続きを完了することで、税務や労務などの公的義務が全て終了し、会社は法的にも実務的にも完全に消滅します。

    会社が法的に消滅する

    会社清算の最終段階は、清算結了登記と関係官庁への届出を経て、会社が法的に消滅することです。これにより法人格が完全に失われます。

    法的消滅後は、会社名義での契約や取引は一切できなくなり、登記簿からも会社の記録が抹消されます。利害関係者との関係もここで終結します。

    この消滅により、会社の権利義務は全て消化され、株主や債権者も清算で確定した形で整理されます。清算手続きの到達点です。

    会社の解散の事由

    会社は清算する前に解散しなくてはいけません。このとき、会社の解散には次の事由があります。

    • 定款で定めた存続期間の満了
    • 定款で定めた解散の事由の発生
    • 株主総会の特別決議
    • 合併(消滅会社となる場合)
    • 破産手続開始の決定
    • 解散を命ずる裁判
    • 休眠会社のみなし解散

    それぞれを分かりやすく解説します。

    定款で定めた存続期間の満了

    会社法第471条は、会社の解散事由の一つとして「定款で定めた存続期間の満了」を規定しています。これは設立時に会社の寿命をあらかじめ決めておく制度です。

    例えば、設立から30年間と定めた場合、その期間が到来すると会社は当然に解散し、清算手続きへ移行します。特別の決議を要さず、自動的に効力を生じます。

    ただし、満了前に株主総会で定款を変更し、存続期間を延長すれば解散を回避できます。柔軟性を持たせつつ、事業の区切りを明確にする仕組みです。

    定款で定めた解散の事由の発生

    会社法第471条は、会社が解散する事由の一つとして「定款で定めた解散の事由の発生」を挙げています。これは会社設立時に独自の条件を組み込める仕組みです。

    例えば、特定のプロジェクト完了や一定の売り上げ達成、創業者の退任などを解散事由として定めることが可能です。その条件が生じると会社は当然に解散します。

    この制度により、会社は事業目的や経営方針に応じた柔軟な存続ルールを持てます。ただし、解散後は清算手続きへ進む点は他の事由と同様です。

    株主総会の特別決議

    会社法第471条は、会社の解散事由として「株主総会の特別決議」を規定しています。これは株主の意思によって自主的に解散を決める仕組みです。

    特別決議は、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要であり、通常の決議より厳格な要件が課されています。重要事項にふさわしい手続きです。

    この決議により解散が決まると、清算人を選任して清算手続きに移行します。株主の合意に基づく柔軟かつ基本的な解散方法です。

    合併(消滅会社となる場合)

    会社法第471条は、会社の解散事由の一つとして「合併」を定めています。これは会社が他の会社に吸収される、または複数が新会社を設立する場合に発生します。

    吸収合併では、消滅会社は解散し、存続会社に権利義務が全て承継されます。新設合併では、全ての会社が解散し、新たに設立された会社へ移行します。

    合併による解散は、単なる終了ではなく「承継」を伴う点が特徴です。清算を経ずに、事業や財産が新たな法人へ引き継がれる仕組みです。

    破産手続開始の決定

    会社法第471条は、裁判所が破産手続開始の決定を下した場合、会社は自動的に解散すると定めています。これは債務超過で事業継続が不可能となった場合に適用されます。

    解散後は清算ではなく、破産法に基づく破産手続きに移行します。破産管財人が選任され、債権者への弁済や資産処分を公平に進める点が特徴です。

    この仕組みにより、会社は法的に存続を断たれ、債権者保護を最優先とした手続きが行われます。破産手続開始の決定は強制的な解散事由となります。

    解散を命ずる裁判

    会社法第471条は、裁判所が会社の解散を命じる場合を解散事由として規定しています。これは公益や秩序を守るための例外的な制度です。

    例えば、違法・不正な目的で運営されている会社や、公共の利益を著しく害する会社に対して、検察官が裁判所に請求することにより、裁判所が解散を命じることがあります。

    この裁判により、会社は強制的に解散し、その後は清算手続きに入ります。株主や経営陣の意思によらず、司法判断によって会社の存続が断たれる点が特徴です。

    休眠会社のみなし解散

    会社法第472条は、長期間登記の変更を行わない会社に対して、法務局が職権で解散したものとみなす制度である休眠会社のみなし解散を規定しています。

    具体的には、12年以上登記の変更がない株式会社に対し、公告と通知が行われ、一定期間内に届出がなければ自動的に解散したと扱われます。

    この制度により、実態のない会社が登記簿上に残ることを防ぎ、法人情報の適正な管理が保たれます。再開には「みなし解散取消し登記」が必要です。

    会社を清算するメリット

    会社を清算するメリットとしては、次の点があります。

    ● 納税や決算報告の義務から解放される

    ● 破産手続きよりも計画的であり、社会的なイメージが良い

    ● 残余財産を株主に分配できる

    それぞれについて解説します。

    納税や決算報告の義務から解放される

    会社を清算して法人格を消滅させると、税務署への法人税申告や決算書の提出といった義務から完全に解放されます。毎年の煩雑な税務処理や会計手続きが不要になる点は大きな利点です。

    一方、休眠会社として登記を残す方法では、実際に事業活動をしていなくても原則として決算報告や法人税の申告が求められ、維持コストが発生します。

    そのため、事業を再開する予定がなければ、休眠会社としての維持よりも清算を選ぶ方が合理的です。税務や会計の負担を終わらせ、経営者は管理義務から完全に解放されます。

    破産より計画的で社会的イメージが良い

    会社清算は、債務を整理し資産を処分して法人を消滅させる計画的な手続きです。破産のように資金行き詰まりによる強制ではなく、自主的に進められる点が特徴です。

    清算では債権者に適切に弁済し、残余財産を株主に分配することで関係者に誠実な対応が可能です。この姿勢が社会的な信頼につながります。

    そのため、破産と比べると「経営に区切りをつけた整理」として前向きに受け止められ、取引先や金融機関からの評価も比較的良好であることが多いです。

    残余財産は株主に分配できる

    会社清算では、債務の弁済や資産の処分を終えた後に残った財産を「残余財産」として確定します。これが株主に帰属することが大きな特徴です。

    残余財産は出資比率に応じて分配され、現金だけでなく不動産や有価証券が含まれる場合もあります。株主にとっては出資回収の機会となります。

    この仕組みにより、株主は会社消滅の際にも一定の利益を受け取れる可能性があり、清算は単なる負担軽減だけでなく、資産還元のメリットもあります。

    清算後に発生し得るリスク

    清算後に発生し得るリスクは次のとおりです。

    • 隠れ債務
    • 訴訟
    • 追徴課税

    それぞれを分かりやすく解説します。

    隠れ債務

    清算後に問題となることがあるのは、手続き中に把握できなかった未払金や保証債務といった「隠れ債務」です。清算結了後に発覚するケースも珍しくありません。

    この場合、既に会社は消滅していますが、清算人や株主が弁済責任を問われる可能性があります。特に、債権者に不利益を与えたと判断されると、法的責任は重くなることがあります。

    したがって、清算時には債権者への公告や通知を徹底し、資産・負債を正確に調査することが不可欠です。隠れ債務の防止が、清算を安全に終えるための鍵となります。

    訴訟

    会社清算後でも、取引先から契約不履行や損害賠償を求める訴訟が提起される場合があります。清算中に処理しきれなかった取引関係が原因です。

    また従業員から、未払い残業代や退職金の不足に関する訴訟が起こることもあります。労働債権は優先されるため、未処理は重大なリスクとなります。

    さらに株主間では、残余財産の分配をめぐり「配分が不公平だ」と争いが生じる可能性があります。清算人は手続きの透明性を確保し、隠れ訴訟を防ぐことが求められます。

    追徴課税

    会社清算が終わった後でも、税務調査によって過去の申告誤りや脱漏が発覚すれば追徴課税を受ける可能性があります。清算結了で法人格が消えても完全に免責されません。

    特に資産売却益や残余財産の分配に関する処理に誤りがあると、法人税や源泉所得税の追加納付が求められることがあります。過少申告加算税や延滞税が課される場合もあります。

    こうしたリスクを避けるには、清算中に税理士など専門家の助言を得て正確な申告を行うことが重要です。適切な対応が、清算後の追徴課税防止につながります。

    会社清算より会社売却がおすすめな理由

    会社清算より会社売却がおすすめな理由として、次の点があります。

    ● 売却益を確保できる

    ● 個人保証から解放される可能性がある

    ● 従業員の雇用を守ることができる

    ● 事業を買い手の元で成長させることができる

    ● 経営者のステータスを維持できる

    それぞれを解説します。

    売却益を確保できる

    会社売却では、株主が事業や資産の対価として売却益を得られる点が大きな魅力です。清算は債務を返済した後に残余財産がなければ何も残らず、出資を回収できない場合も少なくありません。

    一方で売却なら、不動産や設備だけでなく、取引先との信用関係やブランド力、従業員が培ったノウハウといった無形資産も価格に反映されます。これにより会社の持つ潜在的価値が生かされます。

    その結果、株主は清算では得られない利益を確保できる可能性が高まり、資産整理にとどまらず経済的リターンを実現できます。売却は清算よりも優れた出口戦略となり得ます。

    個人保証から解放される

    中小企業の経営者は融資を受ける際に個人保証を求められることが多く、会社を清算した場合でも債務が残れば保証人として返済義務を負い続けるリスクがあります。

    一方で会社売却では、買い手との交渉によって債務や保証の引継ぎ条件を調整できる場合があり、合意が成立すれば経営者は個人保証から解放される可能性があります。

    その結果、経営者は清算よりも精神的・経済的な安心を得やすく、生活基盤を守りながら次の挑戦へと進めます。売却は事業承継と同時にリスク軽減を実現する手段となります。

    従業員の雇用を守れる

    会社を清算すると法人が消滅するため、従業員は一斉に退職となり、雇用が途絶えてしまいます。退職金や未払い賃金は支払われますが、雇用継続は望めません。

    一方で会社売却では、事業や組織が新しい経営主体に引き継がれるため、従業員の雇用契約も維持されやすく、職場環境や生活基盤を守れる可能性が高まります。

    経営者にとっても従業員やその家族の生活を守り、取引先への責任も果たせます。清算よりも売却を選ぶ方が社会的信用を保てる大きな利点となります。

    事業を買い手の元で成長させられる

    会社清算を選ぶと、事業は終了し、築いてきたブランドやノウハウは消滅します。従業員の経験も引き継がれず、市場での可能性が失われてしまいます。

    一方、会社売却では、買い手の資金力や販売網、経営資源を活用することで、事業は新しい環境の下で成長のチャンスを得られます。買い手の強みが事業発展を後押しします。

    創業者の思いや従業員の努力を無駄にせず活かせる点で、売却は清算より優れた選択肢です。単なる終結ではなく、次のステージへの発展を実現できる方法といえます。

    経営者のステータスになる

    会社清算は法人格を消滅させ、事業に区切りをつけるための方法ですが、社会的評価にはつながりにくく、経営者の実績としては限定的にしか扱われません。

    一方で、会社売却は、事業を築き上げて第三者に承継させた成果として評価されるため、成功した経営判断や出口戦略としてポジティブに受け止められることが多いです。

    その結果、経営者は「事業を成長させて引き継いだ人物」として認識され、信用や人脈の拡大につながります。清算よりも高いステータスを得やすい点が魅力です。

    清算に関するQ&A

    最後に、清算に関するよくある質問とその回答を紹介します。

    清算にはどのくらいの期間がかかるか

    会社清算に要する期間は、会社の規模や債務・資産の構成によって大きく異なりますが、一般には半年から一年程度が目安です。スムーズな案件でも、準備と手続きに一定の時間を要し、個別事情で前後します。

    解散登記の後、官報公告で債権者に申出期間(最低二カ月)を設け、並行して資産の換価や債務の弁済、契約の整理を進めます。ここが所要期間の中核です。

    不動産売却や紛争対応、税務調整が重なると長期化します。一方で債務が少なく資産整理が簡易なら、必要書類を整えつつ数カ月で結了まで到達することもあります。

    清算にはどのくらい費用がかかるか

    会社清算に必要な費用は、主に登録免許税、官報公告費用、専門家に依頼する場合の報酬などから構成されます。最低限でも数万円は必要です。

    具体的には、解散登記と清算結了登記で合わせて約4万円程度、公告費用が約3〜4万円ほどかかります。司法書士に依頼する場合は、さらに数万円が加わります。

    債務や資産が多く、弁護士や税理士を伴う複雑な案件では、数十万円以上になる場合もあります。会社の規模や状況に応じて費用は大きく変動します。

    清算人は誰が務めるか

    清算人は会社解散後の資産処分や債務弁済を担う責任者で、選任にはいくつかの方法があります。定款で定められる場合もありますが、実際に利用されることはほとんどありません。

    最も一般的なのは株主総会での普通決議による選任で、解散の特別決議と同時に行われることが通例です。定款規定がなく株主総会でも決められなければ、取締役が法定清算人となります。

    また、取締役が死亡などで不在の場合には裁判所が清算人を選任します。ただし法人や成年被後見人、一定の刑罰を受けた者などは清算人になれないと法律で定められています。

    清算中に従業員はどうなるか

    会社が清算に入ると、事業は停止し、雇用契約も原則として終了します。解散決議後は就業整理の計画を立て、順次退職手続きを進める必要があります。また、必要な説明を行います。清算実務に必要な人材は、期間限定で残る場合があります。

    この間の賃金や未払い手当は優先的に支払われます。社会保険や雇用保険の資格喪失や離職票の発行、再就職支援など、清算人は法令に基づいて労務対応を実行します。

    退職金は就業規則や退職金規程に基づき算定し、資産換価の中から優先的に弁済されます。資金が不足する場合は、合意による調整や制度上の立替救済の活用を検討します。

    清算に税金はかかるか

    会社の清算では事業が止まっても税金は発生します。法人税などを納めるため、解散から清算結了までの間に確定申告を行うことが義務づけられています。

    まず解散時点までの所得を区切って申告し、その後は清算中に1年を超えれば決算を締めて申告します。最後に残余財産を確定させ、清算結了時に最終申告を行います。

    さらに、資産を売却した場合には売却益に法人税がかかることがあり、株主が残余財産を受け取るときには配当と同様に課税される仕組みが適用されます。

    清算結了での決算報告書はどう書くか

    清算結了の決算報告書は、残余財産が確定した段階で株主総会に報告し、承認を受けるための書類です。会社法施行規則第150条により、収入額や費用額、残余財産、1株当たりの分配額、分配日を記載する必要があります。

    貸借対照表や損益計算書は法務局への提出は不要で、債権放棄を受けた場合も書面添付は求められません。また、収入と支出がマイナスでも、債務が残っていなければ残余財産を0円として処理することが可能です。

    承認を得た株主総会議事録を添えて法務局で清算結了登記を行えば、登記簿は閉鎖され、会社は消滅します。ただし、債権者保護手続きの証明は不要とされています。

    個人事業主にも清算・解散はあるのか

    会社の場合は、解散決議を経て清算手続きを行いますが、個人事業主には会社法上の「解散」や「清算」という制度はありません。 

    事業をやめる際には、税務署に開業届出書を提出したのと同じように「廃業届」を提出し、所得税や消費税の確定申告を行って事業を区切ります。 

    未払債務や在庫資産があれば、処理を済ませてから廃業手続きを進める必要があります。つまり個人事業主における清算とは、廃業に伴う税務・会計処理を指すものです。

    まとめ

    「精算」と「清算」は、似た言葉ながらも、その意味と使われるシチュエーションにおいて大きく異なります。経費の精算は、日常の会計処理や経費管理において頻繁に行われ、金額を正確に計算して確定する作業です。一方、清算は企業の終わりを告げる重要なプロセスであり、債権者への対応や残余財産の分配といった手続きが含まれます。

    これらの違いを理解することで、ビジネスシーンでの混乱を避け、円滑な業務運営が可能となります。特に会社の清算を考える経営者にとっては、清算の正しい手続きとそのメリット・デメリットを把握しておくことが重要です。今後、具体的な精算や清算の手続きを進める場合には、専門家のアドバイスを求めることをお勧めします。

    次のステップとして、必要に応じて専門家に相談し、具体的な手続きや計画を立てていきましょう。これにより、無駄を省き、より効果的に業務を進めることができます。

    CONTACT

    お問い合わせ

    Feel free to contact us.

    当社は完全成功報酬ですので、
    ご相談は無料です。
    M&Aが最善の選択である場合のみ
    ご提案させていただきますので、
    お気軽にご連絡ください。

    無料
    お気軽にご相談ください
    phone
    03-6269-3040
    受付:平日 9:00~18:00
    icon 無料相談フォーム
    icon
    トップへ戻る

    M&Aロイヤルアドバイザリーは、
    一般社団法人 M&A支援機関協会の正会員です。