業務委託契約書とは?印紙の有無や書き方の注意点をわかりやすく解説

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業務委託契約書とは、個人事業主やフリーランスまたは外部の企業の業務を委託する際に締結する契約書を指します。業務委託契約書は雇用契約書や請負契約書とは異なる役割を持つため、それぞれの違いの理解も大切です。

本記事では、業務委託契約書とは何か、その意味や法的効力、他の契約との違いを基礎から解説します。また、業務委託契約の種類やそれぞれの特徴、印紙の有無についても整理します。契約書に記載すべき重要事項と作成時の注意点を押さえ、安心して業務委託契約を結ぶためのポイントを身につけましょう。

業務委託契約書とは

業務委託契約書とは、業務委託締結時に発注者と受託者で交わす契約書です。契約後のトラブルを回避するためにも、業務委託契約を締結する際には契約書の作成が欠かせません。ここでは、業務委託契約書に関する基本的な知識についてわかりやすく紹介します。 

業務委託契約書の意味と役割

業務委託契約書とは、企業や個人が特定の業務を外部に依頼する際に締結する契約内容を明確に定めた文書です。契約書には、委託する業務の範囲や成果物、報酬、契約期間などを具体的に示し、当事者間の認識のずれを防ぐ役割を果たします。 

業務委託契約は雇用契約とは異なり、指揮命令関係が生じない点が特徴です。受託者は独立した立場で業務を遂行し、その結果に対して報酬が支払われます。そのため、契約書には業務内容や責任範囲を明確に記載することが重要です。 

さらに、秘密情報の取り扱い、知的財産権の帰属、契約解除の条件なども契約書に記載すべき重要な項目です。これらを事前に取り決めておくことで、将来的なトラブルを未然に防ぐことができるため、業務委託契約書は円滑な取引関係を築くための基盤と言えます。

業務委託契約書の法的効力 

業務委託契約書は、取引の基本ルールを明文化し、当事者双方の権利義務を明確にする重要な文書です。口頭合意のみでは「言った」「言わない」の争いになりやすく、紛争の原因となります。 

業務委託契約書は、契約内容を明文化するため、将来のトラブルを予防できます。また、知的財産権や対価請求権など自社の権利を明確にし、法的に保護する効果もあります。さらに、契約違反があった場合には、契約書を根拠として損害賠償請求などが可能です。

業務委託契約書を整備することは、万が一のリスクを最小限に抑えるだけでなく、取引先との信頼関係の構築にもつながります。

業務委託契約書と雇用契約書の違い 

雇用契約書とは、企業と労働者で締結する労働条件を定めた契約書です。雇用契約とは、労働者が労働に従事し、使用者がその対価として報酬を支払うことを約束する契約です。労働者に該当する場合は、労働基準法や労働契約法などの法令により、賃金や労働時間などについて保護を受けることになります。 

これに対し業務委託契約は、一定の仕事の遂行や成果に対して報酬を支払う契約と捉えられます。請負や委任、準委任などを含む幅広い概念であり、内容に応じて法的性質が異なります。 

重要な違いは、業務委託契約では使用者と労働者のような主従関係がなく、当事者が独立した立場にある点です。そのため、業務委託契約の場合は労働者に該当せず、労働関係法令上の保護は原則として及びません。

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    業務委託契約の種類

    業務委託契約には次の3つの種類があります。

    • 請負契約 
    • 委任契約 
    • 準委任契約 

    それぞれについて詳細に説明します。 

    請負契約 

    業務委託契約の一つが請負契約です。請負契約とは、仕事の完成や成果物の納品を請負人が約束し、発注者がその結果に対して報酬を支払う契約です。民法第632条に基づき、建設工事やソフトウエア開発、ウェブ制作、コンテンツ制作などで用いられます。 

    請負契約は成果物の完成が目的です。また、派遣契約は労働時間に対して報酬が発生し派遣先に指揮命令権がありますが、請負では発注者は直接指揮できません。 

    契約を円滑に進めるため、業務内容と成果物、報酬と支払方法、納期、検収基準、契約不適合責任、権利帰属、解除条件などを契約書に明確化します。依頼から見積、発注、着手、納品、検収、支払いまでの手順を確認し、認識ずれを防ぎます。 

    委任契約 

    委任契約も業務委託契約の一形態です。委任契約とは、当事者の一方が法律行為を相手方に委託し、相手方がこれを承諾することで成立する契約です。民法第643条に規定されており、不動産購入の代理手続きのように、法律行為そのものを行う業務が対象です。 

    原則として委任は無償とされますが、報酬を支払う特約を設けることも可能です。その場合は履行後に報酬を支払うことになるため、金銭トラブルを防ぐためにも契約内容を明確に定めることが重要です。 

    委任契約には、税理士への税務代理や弁護士への訴訟代理が挙げられます。いずれも法律行為に関与する業務であり、成果物の完成を目的とする請負契約とは区別されます。 

    準委任契約 

    準委任契約とは、法律行為以外の業務の遂行を外部に委託する契約で、民法第656条に基づきます。受任者は成果を保証する義務は負いませんが、民法第644条の善管注意義務により、適切な注意をもって業務を行う責任があります。 

    契約形態には、進捗(しんちょく)や工数に応じて報酬を支払う履行割合型と、成果物の納品時に報酬が発生する成果完成型があります。IT運用保守は前者、調査報告書の作成などは後者が適しています。 

    業務委託契約書に収入印紙は必要か

    業務委託契約書に収入印紙が必要かどうかは、その契約書が印紙税法の「課税文書」に当たるかどうかで異なります。通常、委託・準委託契約であれば印紙は原則不要とされています。ただし、請負契約は第2号文書に該当し、印紙が必要となります。

    また、契約期間が3か月以上であり、その後も更新される可能性のある契約の場合は第7号文書として印紙が必要となる場合があります。印紙税の金額は、契約金額によって異なるため、印紙の有無を含めて確認が必要です。

    業務委託契約書の書き方|記載事項と記載事例

    業務委託契約書を作成する際の書き方についても紹介します。業務委託契約書には次の記載事項があります。 

    • 当事者の表示 
    • 受託する業務内容 
    • 契約期間・更新条件 
    • 報酬額・支払条件 
    • 支払いのタイミングと方法 
    • 業務に関わる経費について 
    • 損害賠償 
    • 知的財産権 
    • 秘密保持条項 
    • 納品の期限や検収期間・条件 
    • 契約不適合責任の期間 
    • 有効期限と中途解約 
    • 再委託の可否 
    • 反社会的勢力の排除 
    • 所轄裁判所 

    それぞれについて、記載事例とともにご紹介します。 

    当事者の表示 

    業務委託契約書では、まず契約の当事者を正確に特定することが重要です。委託者と受託者の正式名称、所在地、代表者名などを明記し、誰と誰の間で契約が成立するのかを明確にします。 

    法人の場合は商号や本店所在地、代表者の肩書と氏名を記載し、個人事業主の場合は氏名や住所を記載します。登記情報や身分情報と一致させることで、契約の有効性や執行可能性を確保できます。 

    当事者の特定が不十分であると、責任の所在が曖昧になり、紛争時に契約の効力が争われる恐れがあります。そのため、表記の誤りや略称の使用を避け、正式情報に基づいて正確に記載することが大切です。 

    受託する業務内容 

    次に、業務委託契約書では、契約の目的を明記します。例えば「甲は乙に対し以下の業務を委託し、乙はこれを受託する」と定め、契約の基本方針を示します。契約目的は機密情報の利用範囲などにも影響するため、明確に定義することが重要です。 

    次に、受託する業務内容を具体的に定めます。例として「別紙仕様書に定める○○システム開発業務」と記載し、範囲や内容、請負の場合は成果物まで特定します。 

    業務内容が曖昧であると解釈の違いから紛争が生じやすいです。特にフリーランスへ委託する場合は、範囲を不明確にすると法的問題となる可能性があるため、関連業務や付随業務の記載にも慎重さが求められます。 

    契約期間・更新条件 

    業務委託契約書では、契約期間と更新条件を明確に定めることが重要です。例えば「本契約は締結日から1年間効力を有する」と記載し、契約の開始日と終了日を具体的に示します。 

    継続的な取引を想定する場合には、自動更新の有無を定めます。例として「期間満了の1カ月前までに更新拒絶の意思表示がない場合は同一条件で更新する」と規定し、更新の仕組みを明確にします。 

    併せて、更新を希望しない場合の通知期限も明示します。通知期限を定めておくことで、契約終了に関する認識のずれを防ぎ、円滑な契約管理につなげられます。 

    報酬額・支払条件 

    業務委託契約書では、報酬の金額および支払条件を明確に定めます。例えば「委託料は金〇〇円(税抜)」と記載し、税込表示の有無も含めて具体的に示します。算定基準や追加費用の有無も明確にしておくことが重要です。 

    また、一括払いか分割払いか、固定報酬か時間単価制かなど、報酬体系の内容を整理します。業務内容や契約形態に応じて、適切な算定方法を定めることがトラブル防止につながります。 

    なお、支払いの具体的なタイミングや方法については別途条項で定めることを前提とし、報酬条項では金額と算定根拠を中心に規定する構成とすると、契約内容が整理され分かりやすくなります。 

    支払いのタイミングと方法 

    業務委託契約書では、支払いのタイミングを明確に定めることが重要です。業務完了時、検収完了後、または毎月の締日基準など、いつ支払義務が発生するのかを具体的に記載します。 

    併せて、支払い方法も明示します。銀行振込とするのか、支払期日や振込先口座、振込手数料の負担者を定めることで、実務上の混乱を防げます。 

    支払期日が曖昧であると、資金計画や債権管理に支障が生じる恐れがあります。法令上の支払期限規制にも留意し、双方が理解しやすい形で条項を整備することが大切です。 

    業務に関わる経費について 

    業務委託契約書では、業務遂行に伴って発生する経費の負担者を明確に定めます。交通費や宿泊費、通信費、資料購入費など、どの範囲の費用を含むのかを具体的に整理することが重要です。 

    経費を報酬に含めるのか、実費精算とするのかも明示します。実費精算とする場合は、事前承認の要否や領収書の提出方法、精算期限などを定めることで運用が円滑になります。 

    経費負担の取り決めが曖昧であると、想定外の請求や支払拒否が生じる恐れがあります。業務内容に応じて合理的な基準を設け、双方の認識を一致させることが大切です。 

    損害賠償 

    業務委託契約書では、契約違反があった場合の損害賠償について定めます。例えば「本契約に違反し相手方に損害を与えた場合、直接かつ現実に生じた損害を賠償する」と規定し、責任の原則を明確にします。 

    併せて、賠償の範囲を限定することもあります。逸失利益や間接損害を除外するかどうかを定めることで、予期せぬ負担の拡大を防げます。 

    さらに、賠償額の上限を契約金額相当額などに制限する条項を設ける場合もあります。特に受託者にとっては、責任範囲を合理的に限定する規定が重要です。 

    知的財産権 

    業務委託契約書では、成果物に関する知的財産権の帰属を明確に定めます。例えば「成果物の著作権は納品完了と同時に甲に帰属する」と規定し、著作権法第27条および第28条の権利を含めて明示します。 

    併せて、受託者が著作者人格権を行使しない旨を定めることもあります。これにより、発注者が成果物を自由に利用、改変できるようにします。 

    請負契約など成果物の納入を伴う契約では、著作権や特許権などの帰属を明確にしなければ、後の利用範囲を巡る紛争が生じる恐れがあるため、慎重な規定が必要です。 

    秘密保持条項 

    業務委託契約書では、業務遂行上知り得た相手方の営業上、技術上その他の情報を秘密として保持する旨を定めます。例えば、「書面による事前承諾なく第三者へ開示や漏えいをしてはならない」と規定します。 

    秘密情報の範囲や除外事由、利用目的の限定、契約終了後の存続期間などを具体的に定めることで、情報管理の基準を明確にします。違反時の対応も併せて整理します。 

    契約内容や取引の性質によっては簡易な条項で足りる場合もありますが、機密性の高い業務では詳細な規定を設け、情報漏洩リスクを適切に管理することが重要です。 

    納品の期限や検収期間・条件 

    業務委託契約書では、成果物の納品期限を明確に定めます。具体的な年月日を記載し、遅延が見込まれる場合の報告義務や協議方法も併せて規定することで、進行管理を円滑にします。 

    併せて、納品後の検収期間と検収条件を定めます。例えば、「納品後〇日以内に検収を行い、契約内容に適合しているかを確認する」と規定します。不合格の場合の修正対応も明示します。 

    納期や検収基準が曖昧であると、報酬支払時期や責任範囲を巡る紛争が生じやすくなるため注意が必要です。 

    契約不適合責任の期間 

    請負契約では、納品された成果物が契約内容に適合しない場合の責任を定めます。例えば、品違いや品質不良があった際の修補や代替物の引渡し、代金減額、損害賠償、契約解除などの対応を規定します。 

    契約不適合責任の内容や範囲、請求可能な期間を明確にすることで、紛争の予防につながります。保証期間や通知期限を具体的に定めることも重要です。 

    責任の設定は成果物の性質や取引実態に応じて検討する必要があります。リスク配分に直結する重要条項であるため、専門家に相談しながら慎重に定めることが望まれます。 

    有効期限と中途解約 

    業務委託契約書では、有効期限を定め、契約がいつからいつまで効力を有するのかを明確にします。開始日と終了日を具体的に記載し、期間満了による終了か自動更新かも整理します。 

    併せて、中途解約の条件を規定します。一定期間前の書面通知により解約できるとする条項や、やむを得ない事由がある場合の即時解除などを定めます。 

    中途解約時の精算方法や損害賠償の有無も明確にしておくことが重要です。事前に条件を定めることで、契約終了時の紛争や不利益を防止できます。 

    再委託の可否 

    業務委託契約書では、再委託の可否を明確にしておくことが重要です。再委託とは、委託先が受託した業務の全部または一部を、さらに第三者へ任せることを指します。 

    再委託が認められるかどうかは、契約が請負契約か委任契約かによって原則が異なります。請負契約では成果物の完成が目的となるため、原則として再委託は可能とされています。 

    一方、委任契約は委託先の専門性や信頼関係を前提とするため、再委託は原則認められません。ただし、発注者の事前承諾がある場合ややむを得ない事情がある場合は例外的に可能です。 

    いずれの場合も、再委託を認めるか否か、条件や責任の所在、情報管理のルールを契約書に明記することで、品質低下やトラブルの防止につながります。 

    反社会的勢力の排除 

    業務委託契約書では、委託者および受託者が反社会的勢力と一切関係を有しないことを相互に表明し、保証する条項を設けます。いわゆる暴排条項として、契約の前提条件を明確にします。 

    併せて、表明内容に違反した場合には、相手方が催告を要せず直ちに契約を解除できる旨を定めます。これにより、関係遮断を迅速に行える仕組みを整えます。 

    反社会的勢力の排除は企業の社会的責任や信用維持に直結します。近年ではコンプライアンスの観点からも必須の条項とされ、ほぼ全ての取引契約で規定される重要事項となっています。

    所轄裁判所 

    業務委託契約書では、紛争が生じた場合の所轄裁判所をあらかじめ定めます。例えば「本契約に関連する紛争は、甲の本店所在地を管轄する地方裁判所を専属的合意管轄裁判所とする」と規定します。 

    専属的合意管轄とすることで、当事者間で管轄を一本化し、どの裁判所で争うのかを明確にできます。これにより、手続きの混乱や余分な争いを防ぐ効果があります。 

    管轄裁判所を定めていない場合、民事訴訟法の一般原則に従って決まりますが、当事者の所在地によっては不便が生じることがあります。そのため、契約締結時に合意しておくことが重要です。 

    業務委託契約書を作成時の注意点

    業務委託契約書を作成する際には次の注意点があります。 

    • 内容を具体化し書面に残す 
    • 成果物の品質基準と検収ルールを明確にする 
    • 偽装請負と判断されないかチェックする 
    • 法的リスクを確認する 
    • 収入印紙の有無の確認をする 
    • トラブル発生時を想定した対応体制を整える 

    それぞれについて詳細に説明します。 

    内容を具体化し書面に残す 

    業務委託契約書を作成する際は、契約内容をできる限り具体化し、書面に残すことが重要です。口頭の合意や曖昧な表現に頼ると、後に解釈の違いが生じやすいです。 

    業務範囲、成果物の内容、報酬額、支払条件、責任範囲などを具体的に記載することで、当事者間の認識を一致させられます。別紙仕様書や覚書を活用する方法も有効です。 

    契約内容を書面化しておくことは、紛争発生時の重要な証拠となります。トラブルを未然に防ぐためにも、合意事項は必ず明文化し、双方で確認する姿勢が求められます。 

    成果物の品質基準と検収ルールを明確にする 

    業務委託契約書では、成果物の品質基準を具体的に定めることが重要です。仕様書や要件定義書を基に、満たすべき性能や機能、完成状態を明確にし、抽象的な表現を避けます。 

    併せて、検収の方法や期間、判定基準を定めます。納品後において、基準を満たさない場合の修正手続きや再検収の流れを規定します。 

    品質基準や検収ルールが不明確であると、合否判断や報酬支払時期を巡る紛争が生じやすいです。客観的な基準を設け、双方で合意しておくことが大切です。 

    偽装請負と判断されないかチェックする 

    業務委託契約書を作成する際は、実態が偽装請負と判断されないかを確認することが重要です。形式上は請負や準委任であっても、実質的に指揮命令関係があれば問題となります。 

    発注者が受託者の従業員に対して直接業務指示や勤怠管理を行うと、労働者派遣とみなされる恐れがあります。業務の進め方や管理方法を契約内容と整合させる必要があります。 

    契約条項だけでなく、日常の運用実態も含めて適法性を確認することが大切です。法令違反とならないよう、必要に応じて専門家の助言を得ながら慎重に検討します。 

    法的リスクを確認する 

    業務委託契約書を作成する際は、契約内容に潜む法的リスクを事前に確認することが重要です。関連法令に違反する条項がないか、当事者の権利義務のバランスが適切かを検討します。 

    特に、下請法や労働関係法令、知的財産法など、業務内容に応じた法規制を踏まえる必要があります。支払期限や責任制限条項が法令に適合しているかも確認します。 

    リスクの見落としは、損害賠償や行政指導など重大な不利益につながります。契約締結前に十分なリーガルチェックを行い、必要に応じて専門家へ相談することが大切です。 

    収入印紙の有無の確認をする 

    業務委託契約書を作成する際は、収入印紙の要否を確認することが重要です。契約内容によっては印紙税法上の課税文書に該当し、所定額の収入印紙を貼付しなければなりません。 

    特に請負契約は課税対象となる場合が多く、契約金額に応じて印紙税額が定められています。一方、準委任契約などは内容により非課税となることもあります。 

    印紙の貼付漏れがあると、過怠税が課される可能性があります。契約類型や金額を確認し、必要に応じて税務上の取り扱いを事前に調べておくことが大切です。 

    トラブル発生時を想定した対応体制を整える 

    業務委託契約書を作成する際は、トラブル発生時の対応体制をあらかじめ整えておくことが重要です。トラブルが生じた場合の連絡窓口や協議方法を定め、迅速に対応できる仕組みを構築します。 

    併せて、是正措置の手順や期限、損害拡大を防ぐための対応方針を契約上明確にしておきます。段階的な協議や調停、仲裁の活用を定める方法もあります。 

    事前に対応フローを共有しておくことで、感情的な対立を避け、冷静な解決を図れます。契約段階からリスク管理の視点を持つことが大切です。 

    【職業別】業務委託契約書の記載事項

    職業別の業務委託契約書の記載事項を紹介します。 

    エンジニア 

    エンジニアの業務委託契約書では、使用する言語やフレームワーク、インフラ環境、成果物の範囲を明記し、仕様変更時の対応方法や追加報酬、納期変更の手続きも規定します。 

    次に、著作権の帰属や既存ライブラリの利用条件を明確にします。発注者へ権利を帰属させるのか利用許諾とするのかを定め、第三者権利の侵害がないことも確認します。 

    さらに、保守運用の範囲、契約不適合責任、セキュリティ対策、コード品質やドキュメント整備の基準を定めます。責任範囲と品質確保の体制を明確にすることが重要です。 

    ウェブライター 

    ウェブライターの業務委託契約書では、記事テーマや本数、納期、取材や画像作成の有無まで明確にし、検収基準や修正対応の範囲も規定します。報酬額や支払方法、振込手数料の負担も明示します。 

    併せて、報告義務や秘密保持、有効期間、解除条件、損害賠償の範囲を定めます。特に中途解除や賠償額の上限は、実務上のリスク管理に直結する重要な条項です。 

    さらに、著作権の帰属や利用許諾、不可抗力免責、再委託の可否も整理します。納品後の権利関係や第三者への再委託制限を明確にすることで、想定外のトラブルを防止できます。 

    ウェブデザイナー 

    フリーランスウェブデザイナーの業務委託契約書では、対象ページ数やデザイン範囲、コーディングの有無、修正回数まで明記します。報酬額や支払条件、振込手数料の負担も整理します。 

    併せて、雇用契約と異なる点を明確にし、指揮命令を行わない旨を規定します。著作権の帰属や著作者人格権の不行使、秘密保持、再委託の可否も重要な条項です。 

    さらに、契約期間や解除条件、損害賠償や免責の範囲、準拠法や管轄裁判所を定めます。責任範囲と紛争解決方法を明確にしておくことで、実務上のリスクを抑えられます。 

    ウェブディレクター 

    ウェブディレクターの業務委託契約書では、契約形態を明確にし、準委任契約を前提とする場合は業務遂行義務であることを規定します。業務範囲は、要件定義、進行管理、品質管理、関係者調整などを具体的に列挙します。 

    併せて、報告義務の内容や頻度、会議体の運営方法、委任される権限の範囲を明記します。指揮命令関係が生じないよう、業務の遂行方法は受託者の裁量に委ねる旨も整理します。 

    さらに、企画書や要件定義書、議事録など作成物がある場合は成果物として定義し、提出期限や検収方法を定めます。責任範囲や損害賠償、秘密保持条項も含めて体系的に整備することが重要です。 

    業務委託契約書がない場合に起こりやすいトラブル

    業務委託契約書がない場合に起こりやすいトラブルとして次のものが挙げられます。 

    • 契約内容を巡るトラブルが起きやすい 
    • 下請法違反のリスクが生じる 
    • フリーランス保護法に抵触する恐れがある 
    • 雇用契約と判断される可能性がある 
    • 偽装請負とみなされる恐れがある 
    • 建設業法違反につながる場合がある 
    • 著作権を巡るトラブルが生じる 
    • 資金決済法違反を指摘される可能性がある 
    • 税務対応が困難になる 

    それぞれについて詳細に説明します。 

    契約内容を巡るトラブルが起きやすい 

    業務委託契約書がない場合、契約内容を証明する客観的な証拠が乏しくなります。契約書は契約の存在や内容を示す重要な物証ですが、作成していなければ当事者間で認識が食い違い、見解が対立しやすいです。 

    トラブル発生後に契約内容を確定しようとしても、既に利害が対立しているため合意は困難です。互いに都合の良い解釈を主張し、水掛け論となる恐れがあります。 

    メールやチャットの記録があっても、権利義務を詳細に定めたものではない場合が多く、内容が曖昧になりがちです。明確な契約書を作成しておくことが紛争予防につながります。 

    下請法違反のリスクが生じる 

    業務委託契約書を作成せずに取引を行うと、下請法違反となるリスクがあります。下請法は、仕事を発注する側(委託者)に一定の義務を課し、受託者を保護するための法律です。 

    下請法が適用される取引では、委託者は契約内容や報酬、支払期日などを記載した書面を受託者に交付する義務があります。これが「三条書面」です。さらに、取引内容や支払状況を記録した書類を社内で保存する義務もあり、これを「五条書類」といいます。 

    これらを作成・保存しない場合、50万円以下の罰金が科される可能性があり、違反の対象は会社ではなく、代表者や担当者個人となる点に注意が必要です。 

    そのため実務では、三条書面と五条書類の内容を満たした業務委託契約書を作成し、双方で取り交わして保存することが重要といえます。 

    フリーランス保護法に抵触する恐れがある 

    業務委託契約書を作成しない場合、フリーランス保護法に抵触する恐れがあります。同法は正式には特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律といい、フリーランスへ業務委託を行う発注事業者を規制する法律です。 

    適用対象となる取引では、発注事業者は第3条に基づき取引条件を明示する三条通知を行う義務があります。通知を怠ると勧告の対象となり、是正しなければ命令や公表に至る可能性があります。 

    命令に違反した場合は、法人だけでなく担当者個人にも最大50万円の罰金が科されます。契約書を整備し、必要事項を明示しておくことが法令順守の観点から重要です。 

    雇用契約と判断される可能性がある 

    業務委託契約書がない、または実態に合わない場合、取引が雇用契約と判断される恐れがあります。特に常駐型の準委任では、指揮命令や時間拘束が強いと労働契約とみなされやすく、形式より実態が重視されます。 

    雇用と判断されると、労働基準法違反として未払い残業代の支払義務が生じる可能性があります。さらに、給与所得としての源泉徴収や追徴課税、延滞税が発生するリスクもあります。 

    加えて、社会保険料の遡及(そきゅう)負担や最低賃金との差額支払いも問題となります。偽装請負を避けるため、契約内容と運用実態の双方を適法に整備することが重要です。

    偽装請負とみなされる恐れがある 

    業務委託契約書を作成しない場合、取引実態によっては偽装請負とみなされる恐れがあります。特に常駐型の準委任やSES契約では、労務提供の形態が労働者派遣と区別しにくく、37号告示の基準に沿った整理が必要です。 

    偽装請負と判断されると、受託者は無許可で労働者派遣事業を行ったとして労働者派遣法違反となります。形式だけでなく、実態としても指揮命令関係がないことが重要です。 

    また、違反は受託者だけでなく委託者にも及びます。派遣先としての義務を果たしていないと評価されるため、双方が法的責任を負う可能性があり、慎重な契約整備が求められます。 

    建設業法違反につながる場合がある 

    建設工事を内容とする請負契約では、建設業法第19条により契約書の作成が義務付けられています。契約締結時に必要事項を書面に記載し、署名または記名押印の上、相互に交付しなければなりません。 

    この義務は、注文者と請負人の双方に課されています。契約書を作成しない場合、当事者双方が建設業法違反となる可能性があります。 

    なお、施工金額が500万円未満であっても契約書作成義務は免除されません。金額の多寡にかかわらず、建設工事請負契約書を整備することが必要です。 

    著作権を巡るトラブルが生じる 

    業務委託で成果物が生じる場合、著作権が発生します。契約書で処理を定めないと、原則として著作権は創作した受託者に帰属します。口頭合意も可能ですが、証拠がなければ「譲渡の有無」を巡り紛争になりやすいです。 

    「報酬を払ったから委託者のもの」とは限りません。受託者は利用許諾にすぎないと主張でき、収益配分や利用範囲で対立が生じます。著作権法は著作者を強く保護するため、特約が重要です。 

    さらに著作者人格権は譲渡できません。公表権や同一性保持権を行使されるリスクがあるため、不行使特約を明記する必要があります。契約書の整備が紛争予防に不可欠です。 

    資金決済法違反を指摘される可能性がある 

    業務委託契約に決済代行業務が含まれる場合、資金決済法違反となる恐れがあります。為替取引を業として行う場合は資金移動業に該当し、登録が必要です。無登録営業は重い罰則の対象です。 

    為替取引は、隔地者間で現金を直接輸送せずに資金を移動する仕組みを指し、個人間送金サービスなども含まれます。一般消費者から依頼を受けて送金を行う形態は特に注意が必要です。 

    代金引換や単純な収納代行、エスクローは規制対象外とされますが、実態判断が重要です。契約書で金銭の流れや業務内容を明確にし、法令に抵触しない設計とすることが不可欠です。 

    税務対応が困難になる 

    業務委託契約書がないと、税務調査で取引実態の説明が難しいです。税務署は資金の流れを詳細に確認し、裏付資料の提示を求めます。契約書は重要な証憑(しょうひょう)となり、口頭合意だけでは十分に説明できない場合があります。 

    もっとも、実態に合わないひな形契約書は逆効果です。契約内容と実際の取引が食い違うと、不自然な点として疑念を招きます。実態を反映した内容で整備することが重要です。 

    さらに、契約が雇用と判断されると報酬が給与とみなされ、源泉徴収や追徴課税が生じる可能性があります。税務リスクを避けるためにも、適切な契約書の作成が必要です。 

    業務委託契約を締結する流れ

    業務委託契約を締結する流れは次のとおりです。 

    1. 初期準備 
    1. 委託先の選定 
    1. 契約条件の交渉 
    1. 契約内容の確認と修正 
    1. 契約の締結 
    1. 契約後の管理 

    それぞれについて詳細に説明します。 

    初期準備 

    業務委託契約を締結する前の初期準備では、まず委託する業務内容を整理します。目的や成果物、期間、必要なスキルを明確にし、自社で対応すべき範囲との切り分けを行います。 

    次に、候補となる受託者の選定と条件のすり合わせを行います。報酬水準や納期、業務体制、守秘義務の有無などを事前に確認し、双方の認識を共有します。 

    さらに、適用法令やリスクの確認も重要です。下請法やフリーランス保護法の適用可能性を検討し、契約形態を整理した上で、契約書作成の準備に進みます。 

    委託先の選定 

    業務委託契約における委託先の選定では、まず業務内容に適した専門性や実績を確認します。過去の成果物や取引実績、対応可能な範囲を把握し、自社の目的に合致しているかを検討します。 

    次に、費用水準や納期対応力、コミュニケーション体制を確認します。単に価格だけで判断せず、継続的な協力関係を築けるかどうかも重要な判断基準です。 

    さらに、法令順守や情報管理体制も確認します。秘密情報の取り扱いやセキュリティ対策、反社会的勢力との関係の有無などを確認し、信頼性を総合的に評価することが大切です。 

    契約条件の交渉 

    契約条件の交渉では、まず業務内容や成果物の範囲を具体的にすり合わせます。役割分担や納期、修正対応の回数などを明確にし、認識のずれが生じないよう整理します。 

    次に、報酬額や支払時期、経費負担、責任範囲について協議します。損害賠償の上限や契約不適合責任の期間など、リスク配分に関わる事項も重要な交渉ポイントです。 

    さらに、知的財産権や秘密保持、再委託の可否などの条項を確認します。双方が納得できる条件を整えた上で、書面化に進むことが円滑な契約締結につながります。 

    契約内容の確認と修正 

    契約内容の確認と修正では、作成された契約書案を当事者双方で精査します。業務内容や報酬、納期、責任範囲などが合意内容と一致しているかを丁寧に確認します。 

    条文の表現が曖昧でないか、解釈の余地が残っていないかも重要な確認ポイントです。法令に適合しているか、下請法やフリーランス保護法の観点も踏まえて検討します。 

    不明点や懸念があれば修正案を提示し、再度協議を行います。最終的に双方が内容に納得した上で確定させることが、後のトラブル防止につながります。 

    契約の締結 

    契約の締結段階では、最終確認を終えた契約書に当事者双方が署名または記名押印を行います。契約日を明記し、必要に応じて製本や割印を施し、内容の確定を明確にします。 

    書面契約の場合は、同一内容の契約書を複数部作成し、各当事者が一部ずつ保管します。電子契約を利用する場合も、適切な方法で締結記録を保存します。 

    締結後は、契約内容に基づき業務を開始します。契約書は重要な証拠となるため、紛失や改ざんを防ぐ管理体制を整えることが大切です。 

    契約後の管理 

    契約締結後は、契約内容に基づく業務の進行管理が重要です。納期や成果物の提出状況、報酬の支払期日などを確認し、契約条項どおりに履行されているかを継続的に把握します。 

    併せて、変更や追加業務が発生した場合は、口頭で済ませず書面や合意書で整理します。契約内容を修正する際は、双方の合意を明確に残すことが必要です。 

    さらに、契約期間の満了日や更新期限も管理します。自動更新の有無や解約通知期限を把握し、将来の紛争を防ぐために適切な契約管理体制を整えることが大切です。 

    業務委託契約書に関するQ&A

    最後に、業務委託契約書に関するよくある質問とその回答を紹介します。 

    テンプレートの業務委託契約書をそのまま使っても問題ないか 

    テンプレートの業務委託契約書をそのまま使用することは、原則として推奨されません。ひな形は一般的な内容にとどまるため、実際の業務内容や取引実態と合致しない恐れがあります。 

    特に、報酬体系や責任範囲、知的財産権の帰属などは案件ごとに異なります。実態に合わない条項を用いると、かえって紛争や法令違反のリスクが高まります。 

    なお、厚生労働省のホームページにも参考例が掲載されていますが、あくまで参考資料です。自社の業務内容に応じて修正し、必要に応じて専門家の確認を受けることが重要です。 

    個人(フリーランス)との業務委託で注意すべきことはあるか 

    個人やフリーランスとの業務委託では、まず契約形態が雇用とみなされないよう注意が必要です。指揮命令や勤務時間の拘束が強い場合、労働契約と判断される可能性があります。実態と契約内容を一致させることが重要です。 

    次に、報酬や支払期日、業務範囲を明確に定めます。下請法やフリーランス保護法の適用有無も確認し、必要な取引条件の明示や書面交付を行います。 

    さらに、著作権の帰属や秘密保持、再委託の可否も整理します。個人との契約は紛争が生じやすいため、具体的かつ明確な契約書を整備することが大切です。 

    業務委託契約で行ってはいけない行為とは何か 

    業務委託契約で行ってはいけない行為の一つは、受託者に対する過度な指揮命令です。勤務時間や業務手順を細かく管理すると、雇用契約や偽装請負とみなされる恐れがあります。 

    また、契約内容にない業務を一方的に追加したり、合意なく報酬を減額したりする行為も問題です。下請法やフリーランス保護法に違反する可能性があります。 

    さらに、成果物の無断利用や支払遅延も避けるべき行為です。契約条項と関連法令を順守し、公正な取引関係を維持することが重要です。 

    まとめ

    業務委託契約書は業務内容や報酬、契約期間などの基本的な情報を詳細に記載することが求められます。これにより、双方が同じ理解を持ち、後々のトラブルを未然に防ぐことが可能になります。

    加えて、職業別に異なる契約の特性を理解し、それに応じた記載事項を考慮することで、より適切な契約書が作成できます。契約書がない場合には、業務範囲の曖昧さや報酬支払いの不透明さからトラブルが発生しやすいため、必ず書面での契約を締結することが重要です。

    実際の締結の流れや、よくある疑問点に対する理解を深めることも、契約のスムーズな運用に繋がります。これらの知識を活用し、業務委託契約書を適切に作成・運用することで、双方にとって有益なビジネス関係を築くことができるでしょう。業務委託契約書の役割をしっかりと理解し、必要な情報を網羅することで、信頼性の高い契約を実現することが可能です。

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