エグゼキューションとは?M&Aにおける意味・手続き・交渉との違いを専門家が解説

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エグゼキューションとは M&Aにおける意味

「エグゼキューション(execution)」という言葉がM&Aの現場では頻繁に使われます。直訳すれば「実行」「遂行」という意味ですが、実際の業務においては契約締結やクロージングに向けた一連のプロセスを指します。

オリジネーションを経て見つけた交渉相手と、計画に基づいて契約・資本移動・体制変更に落とし込んでいく工程こそがエグゼキューションです。

M&Aを成功させるうえで、このエグゼキューションをどれだけ正確かつスピーディに進められるかが重要な鍵になります。この記事では、エグゼキューションの意味や位置づけ、具体的な実務内容、成功せるためのポイントをM&A専門家の視点から解説します。

エグゼキューションとは?

「エグゼキューション(execution)」は、もともと英語で「実行」「遂行」「履行」などを意味する言葉で、ビジネスや金融業界では、戦略や計画を実際の行動に移すプロセス全般を指して使われることが一般的です。

ビジネス用語としての「execution」の意味

  • 計画や戦略を実行に移す段階
  • 契約や取引を現実の業務として履行する工程
  • 指示や命令に基づいて成果を出す動作そのもの

このように、「エグゼキューション」は単なる理論や交渉ではなく、手を動かして結果を出す段階というニュアンスがあります。

M&Aにおける「エグゼキューション」の定義 

M&Aの分野では、M&Aスキームの選定からクロージング(譲渡完了)までの中盤~最終の実行フェーズを「エグゼキューション」と呼ぶことが多いですが、アドバイザリーによっては最終フェーズのみを指す場合もあります。

【エグゼキューションの流れ】

  • M&Aスキームの検討
  • バリュエーションの実施
  • 交渉
  • 基本合意書の締結
  • デューデリジェンスの実施
  • 最終交渉
  • 最終契約書の締結
  • クロージングの実行

簡単に言えば、「M&Aを実現するための実行段階」がエグゼキューションです。

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エグゼキューションとオリジネーションとの違い

「オリジネーション」がM&Aの初期フェーズであるのに対し、「エグゼキューション」は合意内容を履行するフェーズです。

項目オリジネーションエグゼキューション
意味案件発掘・マッチング合意内容の実行と完了
タイミング交渉前交渉段階
主な関与者経営者・アドバイザー実務担当者・専門家チーム

実務においては、交渉力だけでなく「実行する力(execution力)」がM&A成功の要因の一つとなります。

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    M&Aプロセスにおけるエグゼキューションの位置づけ 

    M&Aは複数のステップで構成されるプロジェクト型の取り組みであり、その中で「エグゼキューション」は後半にあたる“実行フェーズ”を指します。 このフェーズは、単なる作業工程ではなく、交渉で合意した条件を“現実のものにする”戦略的なプロセスです。 

    M&Aの全体フローとエグゼキューションの関係

    M&Aの一般的なフローにおける「エグゼキューション」の位置づけは、以下のようになります。

    【M&A全体プロセス】

    1. M&A戦略策定
    2. 相手先選定
    3. アプローチ・意向表明
    4. M&Aスキームの検討
    5. バリュエーションの実施
    6. 交渉
    7. 基本合意書の締結
    8. デューデリジェンスの実施
    9. 最終交渉・契約締結
    10. クロージング手続き(株式移転、資金決済等)
    11. PMI(統合プロセス)

    M&A全体の流れのうち、4~10がエグゼキューションとなります。しかし、場合によっては7~10をエグゼキューションと表現する会社もあり、必ずしもこの範囲を指しているとは限りません。

    エグゼキューションの段階では、戦略・財務・法務のすべてが連動する必要があり、ミスや遅延が致命的になる局面でもあります。

    基本合意からクロージングまでの流れ

    基本合意書(MOU)の締結後、買い手と売り手は最終契約に向けて詳細な調整を進めます。この期間中に行われる主な流れは以下の通りです。

    • 最終契約(SPA:株式譲渡契約書など)の作成・交渉
    • クロージングに向けた条件の履行(株主総会承認、許認可取得など)
    • 対象企業の財務・法務状態の再チェック(必要に応じてDD 追加)
    • クロージング日を調整し、資金決済・株式譲渡等を実行

    合意から実行までの間には複数のマイルストーンがあり、それぞれがミスの許されない詰めの工程です。マイルストーンとは、プロジェクトにおける主要なポイントを指します。

    エグゼキューションフェーズで必要な体制

    このフェーズでは、経営者だけでなく、社内外の専門家が一丸となって動ける体制が不可欠です。

    • 経営陣:意思決定・重要事項の承認
    • 管理部門(経理・人事・法務):実行手続きと内部調整
    • 外部専門家(FA、弁護士、公認会計士、税理士):契約・法務・財務の実行支援

    実行力が問われるこの段階では、「走りながら整える」柔軟性とスピード感、そして進行管理能力が企業経営において大切です。

    エグゼキューションで行われる主な業務

    エグゼキューションは、M&Aの実働ステージとも言える段階です。合意した内容を契約という形で明文化し、各種条件をクリアしながら、最終的な譲渡(クロージング)を実現させるために、多数のタスクが同時並行で進行します。

    ここでは、代表的な実務を4 つに分けて紹介します。

    最終交渉・契約書の締結

    M&Aにおける「最終契約書(事業譲渡契約書または株式譲渡契約書)は、取引内容を法的に確定させる最重要文書です。この段階では、以下のような詳細条件が詰められます。

    • 買収価格と支払い条件
    • 表明保証(Reps & Warranties)
    • クロージング条件(前提条件)
    • 売主の誓約事項や競業避止条項
    • 損害賠償や解除条項の取り決め

    交渉内容と齟齬がないよう、弁護士やFAと連携しながら法的精度を担保することが重要です。

    法務・財務・税務の最終確認(クロージングDD)

    通常のデューデリジェンス(DD)は最終契約書の締結前に行われますが、最終チェックとしてのクロージングDDが実施される場合もあります。

    • 新たに発見されたリスクがないかの確認
    • 契約対象の整合性(取引先・資産・従業員など)
    • 財務数値・資産・負債の再検証

    この工程での見落としが、M&A後の想定外トラブルに直結するため、再確認は必須です。

    株式譲渡・事業譲渡の実行手続き

    最終契約書の締結後、スキームに応じて、具体的な実行作業が発生します。

    • 株式譲渡:株式譲渡契約の履行、株主名簿の書換、対価の受渡し
    • 事業譲渡:対象資産の移転手続き、契約・従業員の承継、許認可の移管

    一見形式的な手続きも多いですが、法的・会計的ミスが許されない決定的なフェーズ です。

    ステークホルダー対応(金融機関・取引先・従業員)

    M&A実行にあたっては、第三者との関係性にも配慮が必要です。

    • 金融機関との融資契約変更や再交渉
    • 重要取引先への報告・同意取得
    • 従業員説明会の開催・雇用契約の再締結(事業譲渡の場合)

    スムーズなクロージングを実現するには、社内外への丁寧な対応と信頼関係の構築が不可欠です。

    エグゼキューションの成功に必要なポイント

    M&Aの成否を分けるのは、交渉フェーズだけではありません。「実行フェーズ=エグゼキューション」もM&A取引において欠かせないプロセスです。エグゼキューションの段階での判断ミスや対応の遅れは、クロージングの失敗やその後の統合不調につながるリスクがあります。

    ここでは、エグゼキューションを成功に導くために欠かせない4つのポイントを解説します。

    リスク管理と契約条件の最終詰め

    エグゼキューションでは、リスクが 契約という形で現実に固定されます。そのため、契約条件を詰め切らずに進めると、後になって大きな損害や責任を被る可能性があります。

    • 想定外リスクに備える表明保証の設計
    • 瑕疵担保責任・解除条項の明記
    • 買収後の運営方針に関する取り決め

    「抜け漏れがないか」「万が一の備えがあるか」という視点で契約条件を見直すことが重要です。

    タイトなスケジュールの進行管理

    エグゼキューションは多数の手続きを進める必要があるため、進行管理の精度がそのまま成否に直結します。

    • クロージング日までのスケジュール作成とマイルストーン管理
    • 並行タスクの優先順位付けとリードタイムの確保
    • トラブル時の代替案の準備

    FAやプロジェクトマネージャー的な存在が進行をリードすることで、複数の関係者が同じゴールに向けて動く体制を構築できます。

    コミュニケーション・巻き込み力

    実行フェーズでは、社内外のステークホルダーとの連携が不可欠です。とくに経理・人事・営業など、現場の協力がなければ契約の履行は困難です。

    • 社内関係者への目的共有・役割明確化
    • 取引先・金融機関など外部関係者へのタイムリーな情報提供
    • 売主・買主それぞれの 熱量 の維持

    エグゼキューションは法務や財務だけでなく、ステークホルダーとの協力や理解も必要となるため、日頃から良好な関係性を築くことも大切です。

    外部専門家(FA・弁護士・会計士)との連携

    M&Aの中は専門的な知識が必要となる場面が多くありますが、中でもエグゼキューションのフェーズでは特に法務・税務・財務の各分野で高度な判断が求められるため、専門家の関与はM&Aの成功率向上につながります。

    • 弁護士:契約書の精査・交渉戦略の構築
    • 会計士・税理士:スキームの税務設計・資金計画支援
    • M&Aアドバイザリー:全体進行・交渉支援・PMI までの伴走

    専門家が一体となって支援する体制があれば、エグゼキューションを円滑に進めることが可能となります。

    実務上の注意点とトラブル事例

    エグゼキューションフェーズは、M&Aを実行に移す重要な段階である一方、トラブルが発生する可能性に留意する必要があります。「契約書は交わしたが、実行がうまくいかない」「条件を満たせずクロージングが延期された」などのケースは珍しくありません。

    ここでは、よくある実務上の注意点と、現場で起きがちなトラブル事例を紹介します。

    契約書の認識齟齬による解釈トラブル

    • 買主と売主で「クロージング条件」の理解に食い違いがあった
    • 「表明保証」の適用範囲や期間について合意内容と異なる運用がされた
    • 一部条項が曖昧で、解釈をめぐって紛争に発展した

    ▶解決策:契約内容を一つひとつ文章化・再確認し、口頭合意に頼らない。社内外でダブルチェック体制を構築する。

    クロージング条件の未達・延期

    • 許認可の取得が間に合わず、予定日に実行できなかった
    • 役員会・株主総会での承認が想定より遅れた
    • 条件付き融資の実行に時間がかかった

    ▶解決策:重要な条件は早期に着手し、想定スケジュールを前倒しで管理する。また、「延期リスクあり」の項目はあらかじめ洗い出しておく。

    M&A後の統合(PMI)に向けた準備不足

    • 業務フローや人事制度の統合方針が決まっていなかった
    • 従業員への説明不足により、モチベーション低下や退職が発生
    • ブランドや顧客対応に関して、買収側と売却側で対応方針がバラバラ

    ▶解決策:クロージング後の「統合の設計図」をエグゼキューション中に作成しておく。

    PMIの設計は、「取引が終わってから考える」のではなく、「実行しながら準備しておく」ことが重要です。エグゼキューションにおけるトラブルは、「ちょっとした連絡ミス」や「曖昧な条件」から起こるケースがほとんどです。

    M&Aは丁寧な進行管理と実務に強い専門家の支援がリスク回避と成功のカギを握ります。

    エグゼキューションは 交渉 から 実行力 への転換点

    M&Aの前半フェーズである「オリジネーション」では、M&A戦略の策定・取引相手の選定・マッチングが中心となります。エグゼキューションは、マッチング後に戦略を実行に移せるかどうかの真価を問われるフェーズです。

    ここでは、オリジネーションとの違いを再確認しつつ、なぜエグゼキューションが M&Aにおいて大切なのかを整理します。

    オリジネーションとの違いを再確認

    項目オリジネーションエグゼキューション
    主な内容戦略策定・選定・マッチング交渉・合意・契約・実行
    誰が動くのか経営層・FA中心実務担当・専門家チーム

    M&Aは「話がまとまって終わり」ではなく、 その通りに動かせるか が問われる実務の勝負です。

    経営判断と実行のエグゼキューションの重要性

    いくら条件交渉がうまくいっても、クロージングまでに手続きが不備だったり、関係者の納得が得られなかったりすれば、M&Aは成立せずに終わる可能性もあります。

    • 契約内容の落とし込みが甘い
    • 実務フローが整っていない
    • 社内の巻きこみが不十分

    こうしたトラブルを避けるためにも、エグゼキューションでは「一貫した視点」と「冷静な遂行力」が求められるのです。M&A において、準備・実行・統合の各フェーズが重要なポイントになります。成功するM&A には、戦略と交渉力だけでなく、現場での推進力=エグゼキューション力が不可欠なのです。

    M&Aのエグゼキューションを制する者が成功を制す

    エグゼキューションとは、M&Aにおける「実行フェーズ」のこと。合意した条件を現実の契約・手続きとして完遂する、実行力が問われる局面です。

    M&A を成功に導くためには、交渉力だけでなく、このエグゼキューションのフェーズを確実に押さえる必要があります。

    まとめると、

    • エグゼキューションとは:基本合意後、契約・手続・クロージングまでの「実行フェーズ」
    • 主な業務内容:最終契約の締結、リスク管理、条件の履行、株式・事業の移転など
    • 成功のポイント:契約精度、スケジュール管理、関係者巻き込み、専門家連携
    • 注意すべきリスク:契約の解釈違い、条件未達、PMI 不備など
    • 交渉との違い:話し合いから 現場で動かす 力への転換がカギ

    M&Aを完了で終わらせず成果に導く。そのカギを握るのが、エグゼキューションなのです。

    M&Aロイヤルアドバイザリーでは、戦略設計からエグゼキューションまで一気通貫で支援しています。「条件はまとまりそうだが、実行面が不安 」「手続きが煩雑で進め方がわからない」 そんな方はぜひ一度ご相談ください。

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