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「エグゼキューション(execution)」という言葉がM&Aの現場では頻繁に使われます。直訳すれば「実行」「遂行」という意味ですが、実際の業務においては契約締結やクロージングに向けた一連のプロセスを指します。
オリジネーションを経て見つけた交渉相手と、計画に基づいて契約・資本移動・体制変更に落とし込んでいく工程こそがエグゼキューションです。
M&Aを成功させるうえで、このエグゼキューションをどれだけ正確かつスピーディに進められるかが重要な鍵になります。この記事では、エグゼキューションの意味や位置づけ、具体的な実務内容、成功せるためのポイントをM&A専門家の視点から解説します。
「エグゼキューション(execution)」は、もともと英語で「実行」「遂行」「履行」などを意味する言葉で、ビジネスや金融業界では、戦略や計画を実際の行動に移すプロセス全般を指して使われることが一般的です。
このように、「エグゼキューション」は単なる理論や交渉ではなく、手を動かして結果を出す段階というニュアンスがあります。
M&Aの分野では、M&Aスキームの選定からクロージング(譲渡完了)までの中盤~最終の実行フェーズを「エグゼキューション」と呼ぶことが多いですが、アドバイザリーによっては最終フェーズのみを指す場合もあります。
【エグゼキューションの流れ】
簡単に言えば、「M&Aを実現するための実行段階」がエグゼキューションです。
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「オリジネーション」がM&Aの初期フェーズであるのに対し、「エグゼキューション」は合意内容を履行するフェーズです。
項目 | オリジネーション | エグゼキューション |
意味 | 案件発掘・マッチング | 合意内容の実行と完了 |
タイミング | 交渉前 | 交渉段階 |
主な関与者 | 経営者・アドバイザー | 実務担当者・専門家チーム |
実務においては、交渉力だけでなく「実行する力(execution力)」がM&A成功の要因の一つとなります。
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M&Aは複数のステップで構成されるプロジェクト型の取り組みであり、その中で「エグゼキューション」は後半にあたる“実行フェーズ”を指します。 このフェーズは、単なる作業工程ではなく、交渉で合意した条件を“現実のものにする”戦略的なプロセスです。
M&Aの一般的なフローにおける「エグゼキューション」の位置づけは、以下のようになります。
【M&A全体プロセス】
M&A全体の流れのうち、4~10がエグゼキューションとなります。しかし、場合によっては7~10をエグゼキューションと表現する会社もあり、必ずしもこの範囲を指しているとは限りません。
エグゼキューションの段階では、戦略・財務・法務のすべてが連動する必要があり、ミスや遅延が致命的になる局面でもあります。
基本合意書(MOU)の締結後、買い手と売り手は最終契約に向けて詳細な調整を進めます。この期間中に行われる主な流れは以下の通りです。
合意から実行までの間には複数のマイルストーンがあり、それぞれがミスの許されない詰めの工程です。マイルストーンとは、プロジェクトにおける主要なポイントを指します。
このフェーズでは、経営者だけでなく、社内外の専門家が一丸となって動ける体制が不可欠です。
実行力が問われるこの段階では、「走りながら整える」柔軟性とスピード感、そして進行管理能力が企業経営において大切です。
エグゼキューションは、M&Aの実働ステージとも言える段階です。合意した内容を契約という形で明文化し、各種条件をクリアしながら、最終的な譲渡(クロージング)を実現させるために、多数のタスクが同時並行で進行します。
ここでは、代表的な実務を4 つに分けて紹介します。
M&Aにおける「最終契約書(事業譲渡契約書または株式譲渡契約書)は、取引内容を法的に確定させる最重要文書です。この段階では、以下のような詳細条件が詰められます。
交渉内容と齟齬がないよう、弁護士やFAと連携しながら法的精度を担保することが重要です。
通常のデューデリジェンス(DD)は最終契約書の締結前に行われますが、最終チェックとしてのクロージングDDが実施される場合もあります。
この工程での見落としが、M&A後の想定外トラブルに直結するため、再確認は必須です。
最終契約書の締結後、スキームに応じて、具体的な実行作業が発生します。
一見形式的な手続きも多いですが、法的・会計的ミスが許されない決定的なフェーズ です。
M&A実行にあたっては、第三者との関係性にも配慮が必要です。
スムーズなクロージングを実現するには、社内外への丁寧な対応と信頼関係の構築が不可欠です。
M&Aの成否を分けるのは、交渉フェーズだけではありません。「実行フェーズ=エグゼキューション」もM&A取引において欠かせないプロセスです。エグゼキューションの段階での判断ミスや対応の遅れは、クロージングの失敗やその後の統合不調につながるリスクがあります。
ここでは、エグゼキューションを成功に導くために欠かせない4つのポイントを解説します。
エグゼキューションでは、リスクが 契約という形で現実に固定されます。そのため、契約条件を詰め切らずに進めると、後になって大きな損害や責任を被る可能性があります。
「抜け漏れがないか」「万が一の備えがあるか」という視点で契約条件を見直すことが重要です。
エグゼキューションは多数の手続きを進める必要があるため、進行管理の精度がそのまま成否に直結します。
FAやプロジェクトマネージャー的な存在が進行をリードすることで、複数の関係者が同じゴールに向けて動く体制を構築できます。
実行フェーズでは、社内外のステークホルダーとの連携が不可欠です。とくに経理・人事・営業など、現場の協力がなければ契約の履行は困難です。
エグゼキューションは法務や財務だけでなく、ステークホルダーとの協力や理解も必要となるため、日頃から良好な関係性を築くことも大切です。
M&Aの中は専門的な知識が必要となる場面が多くありますが、中でもエグゼキューションのフェーズでは特に法務・税務・財務の各分野で高度な判断が求められるため、専門家の関与はM&Aの成功率向上につながります。
専門家が一体となって支援する体制があれば、エグゼキューションを円滑に進めることが可能となります。
エグゼキューションフェーズは、M&Aを実行に移す重要な段階である一方、トラブルが発生する可能性に留意する必要があります。「契約書は交わしたが、実行がうまくいかない」「条件を満たせずクロージングが延期された」などのケースは珍しくありません。
ここでは、よくある実務上の注意点と、現場で起きがちなトラブル事例を紹介します。
▶解決策:契約内容を一つひとつ文章化・再確認し、口頭合意に頼らない。社内外でダブルチェック体制を構築する。
▶解決策:重要な条件は早期に着手し、想定スケジュールを前倒しで管理する。また、「延期リスクあり」の項目はあらかじめ洗い出しておく。
▶解決策:クロージング後の「統合の設計図」をエグゼキューション中に作成しておく。
PMIの設計は、「取引が終わってから考える」のではなく、「実行しながら準備しておく」ことが重要です。エグゼキューションにおけるトラブルは、「ちょっとした連絡ミス」や「曖昧な条件」から起こるケースがほとんどです。
M&Aは丁寧な進行管理と実務に強い専門家の支援がリスク回避と成功のカギを握ります。
M&Aの前半フェーズである「オリジネーション」では、M&A戦略の策定・取引相手の選定・マッチングが中心となります。エグゼキューションは、マッチング後に戦略を実行に移せるかどうかの真価を問われるフェーズです。
ここでは、オリジネーションとの違いを再確認しつつ、なぜエグゼキューションが M&Aにおいて大切なのかを整理します。
【オリジネーションとの違いを再確認】
項目 | オリジネーション | エグゼキューション |
主な内容 | 戦略策定・選定・マッチング | 交渉・合意・契約・実行 |
誰が動くのか | 経営層・FA中心 | 実務担当・専門家チーム |
M&Aは「話がまとまって終わり」ではなく、 その通りに動かせるか が問われる実務の勝負です。
いくら条件交渉がうまくいっても、クロージングまでに手続きが不備だったり、関係者の納得が得られなかったりすれば、M&Aは成立せずに終わる可能性もあります。
こうしたトラブルを避けるためにも、エグゼキューションでは「一貫した視点」と「冷静な遂行力」が求められるのです。M&A において、準備・実行・統合の各フェーズが重要なポイントになります。成功するM&A には、戦略と交渉力だけでなく、現場での推進力=エグゼキューション力が不可欠なのです。
エグゼキューションとは、M&Aにおける「実行フェーズ」のこと。合意した条件を現実の契約・手続きとして完遂する、実行力が問われる局面です。
M&A を成功に導くためには、交渉力だけでなく、このエグゼキューションのフェーズを確実に押さえる必要があります。
まとめると、
M&Aを完了で終わらせず成果に導く。そのカギを握るのが、エグゼキューションなのです。
M&Aロイヤルアドバイザリーでは、戦略設計からエグゼキューションまで一気通貫で支援しています。「条件はまとまりそうだが、実行面が不安 」「手続きが煩雑で進め方がわからない」 そんな方はぜひ一度ご相談ください。
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