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離職率とは、期間内に従業員が退職した割合を指し、会社売却を検討する際に買い手企業が注目する指標のひとつです。離職率が高い企業は人材の流出リスクが大きく、事業の継続性や成長性に懸念が生じやすいため、売却時の評価額に影響を与える傾向があります。
本記事では、離職率の定義や計算方法、日本企業の平均、改善策を体系的に解説します。離職率を適切に管理し、企業価値を高めることで、会社売却を有利に進めるための知識としてお役立てください。
目次
離職率を正しく理解することは、自社の人材管理状況を客観的に評価するための第一歩です。離職率は企業の健全性を測る重要な指標として、M&Aにおけるデューデリジェンスでも確認される項目のひとつです。まずは離職率の基本的な定義と、混同されやすい定着率や退職率との違いを解説します。これらの違いを理解することで、自社の状況をより正確に分析できるようになります。
厚生労働省では、離職率を「常用労働者数に対する離職者数の割合」と定義しています。具体的には、1月1日時点の常用労働者数を分母とし、1年間の離職者数を分子として算出します。この定義は雇用動向調査で使用されており、日本全体の労働市場動向を把握するための基準となっています。
常用労働者とは、期間を定めずに雇用されている労働者を指します。ただし、事業主や社長、理事・取締役などの役員、家族従業員は原則として除外される点に注意が必要です。自社の離職率を計算する際には、どの範囲の従業員を対象とするかを明確にしておくことが重要です。
厚生労働省方式は公的な統計として広く認知されているため、業界平均との比較や社外への報告に適しています。一方で、自社独自の基準で計算することも認められており、目的に応じて使い分けることができます。
離職率と同様に、人材の状況を把握するための指標として「定着率」があります。定着率とは「一定期間内に継続して働き続けている従業員の割合」を示す指標であり、離職率とは正反対の視点で人材の状況を捉えます。一般的には「100%から離職率を差し引いた値」として算出されることが多く、例えば離職率が15%であれば定着率は85%となります。
離職率が「去った人」に焦点を当てるのに対し、定着率は「残った人」に焦点を当てています。採用活動においては定着率を前面に出すことで、自社の働きやすさをアピールする企業も増えています。ただし、定着率には法的な定義がないため、計算方法や期間設定が企業によって異なる場合があることに留意しましょう。
退職率と離職率は、実務上ほぼ同義として使用されることが多い用語です。どちらも従業員が会社を辞めた割合を示す指標であり、両者の厳密な使い分けのルールは存在しません。企業によっては退職率という表現を使用するケースもありますが、厚生労働省の公式統計では「離職率」が用いられています。
ただし、文脈によって意味合いが異なる場合があるため注意が必要です。例えば、定年退職や契約満了による退職と、自己都合退職を区別して集計する企業もあります。このような場合、「退職率」を全体の離職割合、「離職率」を自己都合退職に限定した割合として使い分けるケースが見られます。
M&Aの場面では、定義の曖昧さがトラブルの原因となることもあります。買い手企業に対して離職率を説明する際には、どのような定義と期間で算出したかを明確に伝えることが信頼構築につながります。
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離職率を計算する際には、分母や分子の設定、期間の取り方によって数値が変動する点に注意が必要です。自社の状況を正確に把握し、業界平均と適切に比較するために、計算方法を正しく理解しておきましょう。ここでは基本の計算式から、実務で活用できる算出方法を解説します。自社での現状把握にお役立てください。
離職率の基本の計算式は「離職者数÷起算日時点の在籍者数×100」で表されます。厚生労働省では1月1日を起算日とした1年間の退職者数から離職率を算出しています。ただし、起算日は企業で自由に設定できるため、必ずしもこの計算式で算出しているとは限りません。以下に目的別の計算式を整理します。
| 算出目的 | 計算式 | 使用場面 |
|---|---|---|
| 厚生労働省基準 | 離職者数÷1月1日時点の常用労働者数×100 | 公的統計との比較 |
| 年間離職率(期中) | 期末までの離職者数÷期初の社員総数×100 | 社内報告や経年比較 |
| 新卒3年以内離職率 | 新卒入社3年以内の離職者数÷入社時の新卒社員数×100 | 採用力の評価 |
計算式自体はシンプルですが、同じ期間のデータを使用しても分母の設定次第で結果が異なります。例えば、期中に入社した従業員を分母に含めるかどうかで数値は変動するため、継続的に同じ基準で測定することが重要です。
離職率の計算において重要なのは、分母と分子の対象範囲を明確にすることです。分母には「起算日時点の在籍者数」を設定し、分子には「一定期間内に離職した人数」を設定します。この対象範囲の決め方によって、離職率の数値は大きく変わります。
分母の設定方法としては、主に以下の3つのパターンがあります。
分子についても、全離職者を対象とするか、自己都合退職のみを対象とするかで考え方が異なります。定年退職や会社都合退職を除外して計算することで、従業員の満足度をより正確に反映した数値を得ることができます。中小企業では従業員数が少ないため、数名の退職でも離職率が大きく変動する点に注意が必要です。
離職率を算出する期間は、1年間を基本としますが、目的に応じて月次や四半期、3年間など柔軟に設定できます。重要なのは、比較対象と同じ期間設定を使用することと、継続的に同じ基準で測定し続けることです。
新卒採用の企業評価では「入社3年以内離職率」が指標として一般的です。これは、七五三現象(中卒7割・高卒5割・大卒3割が3年以内に離職する傾向)や厚生労働省公表の離職状況の統計と比較しやすく、自社の採用力や育成力を客観的に評価できるためです。なお、期中に大幅な増員がある成長企業の場合、分母を「期首人数」ではなく「(期首人数+期末人数)÷2」の平均人数で算出することで、より実態に近い数値を算出できます。
会社売却を見据える場合は、直近3年から5年程度の離職率推移を把握しておくことをお勧めします。単年の数値だけでなく推移を示すことで、改善傾向にあることをアピールでき、買い手企業からの評価向上につながります。
離職率は業界により大きく異なるため、自社の数値を評価する際は業界平均との比較が重要です。厚生労働省の「令和6年雇用動向調査」によると、業界間で離職率に大きな差が生じる傾向があります。ここでは業界別の離職率水準や、企業規模による違いを解説します。自社のベンチマークとしてお役立てください。
離職率が高い業界には共通した特徴があります。厚生労働省の令和6年雇用動向調査によると、離職率が特に高いのは以下の業界です。
これらの業界に共通するのは、労働時間が不規則であること、土日祝日の勤務があること、そして賃金水準が相対的に低い傾向にあることです。また、対人サービスが中心であるため精神的負担が大きく、バーンアウトにつながりやすいという側面もあります。
これらの業界に属する企業がM&Aを検討する際には、業界平均と比較して自社の離職率がどの程度の位置にあるかを明確にすることが重要です。業界平均を下回っていれば、それ自体が大きなアピールポイントとなります。
離職率が低い業界は、安定した雇用環境と充実した福利厚生を備えている傾向があります。厚生労働省の令和6年雇用動向調査によると、離職率が低い業界は、複合サービス事業(7.8%)、金融業・保険業(8.0%)電気・ガス・熱供給・水道業(8.8%)などです。
これらの業界は、勤務時間が比較的規則的であることや賃金水準の高さなどが特徴です。また、研修制度やキャリアパスが整備されている企業が多く、定着率向上に寄与していると考えられます。
離職率は企業規模によっても異なり、一般的に中小企業は大企業よりも離職率が高い傾向にあります。厚生労働省の令和6年雇用動向調査によると、従業員1,000人以上の企業と比較して30人未満の企業では、離職率が2.8ポイント高くなっています。
中小企業で離職率が高くなりやすい要因としては、賃金や福利厚生の面で大企業との差があること、キャリアパスが見えにくいこと、そして経営状況の変化が従業員に直接影響しやすいことなどが挙げられます。また、少人数の組織では人間関係の問題が離職につながりやすいという側面もあります。
しかし、中小企業だからといって必ずしも離職率が高いわけではありません。経営者の人柄や企業文化、働きやすい環境づくりへの取り組みによって、大企業を上回る定着率を実現している中小企業も数多く存在します。会社売却に際しては、こうした取り組みを具体的にアピールすることが効果的です。
離職率を改善するためには、従業員が退職に至る要因を正確に把握することが重要です。厚生労働省の調査では、労働条件、人間関係、仕事内容、キャリアに関する理由などが挙げられています。主な原因を分析することで、効果的な改善策の立案が可能になります。以下で、離職率が高くなる主な4つの要因を解説します。
労働条件への不満はよくあげられる離職理由のひとつです。具体的には、休日・休暇の少なさ、長時間労働、給与水準への不満が主な要因となっています。特に中小企業では、大企業と比較して有給休暇の取得率が低い傾向にあり、ワークライフバランスを重視する若年層の離職につながりやすい状況です。
給与に関しては、絶対的な金額だけでなく、業務内容や責任に対する報酬の妥当性が問題となります。同業他社と比較して賃金水準が低い場合や、残業代が適切に支払われていない場合は、従業員の不満が蓄積しやすくなります。
労働条件の改善は短期間では難しい面もありますが、現状を正確に把握し、段階的に改善していく姿勢を示すことが重要です。会社売却を検討している場合は、改善計画を策定し、実行に移していることを示すことで買い手企業からの評価向上が期待できます。
評価制度に対する不公平感は、従業員のモチベーション低下と離職に直結します。成果を上げても正当に評価されない、評価基準が不明確である、上司による評価にばらつきがあるといった問題は、多くの企業で見られる課題です。
中小企業では、評価制度が整備されておらず、経営者の主観的な判断で昇給や昇進が決まるケースも少なくありません。このような状況では、優秀な従業員ほど自分の市場価値を正当に評価してくれる企業への転職を検討しやすくなります。
評価制度の整備は、離職率の改善だけでなく、会社売却時の企業価値向上にも寄与します。明確な評価基準と公正な運用が行われていることは、組織の成熟度を示す重要な指標として買い手企業からも注目されるポイントです。
職場の人間関係も、離職の大きな要因となっています。上司との関係、同僚とのコミュニケーション、ハラスメントの問題など、人間関係に起因する離職は様々な形で発生します。特に中小企業では組織が小さいため、一度人間関係が悪化すると修復が困難になりやすい場合があります。また、特定の上司や同僚との相性が合わない場合に、部署異動などの選択肢が限られることも問題を複雑にしています。
パワーハラスメントやセクシャルハラスメントの問題は、離職だけでなく訴訟リスクにもつながるため、予防と早期対応の体制構築が不可欠です。相談窓口の設置や定期的な研修の実施は、健全な職場環境を維持するための基本的な取り組みとして重要視されています。
キャリアに対する不安や成長機会の不足は、特に若年層の離職要因として無視できない問題です。仕事内容が入社前のイメージと異なる、スキルアップの機会がない、将来のキャリアパスが見えないといった不満が挙げられます。
中小企業では、ポジションの数が限られているため、昇進の機会が少ないことがキャリア不安につながりやすい傾向があります。また、研修制度や自己啓発支援が整備されていない場合、成長意欲の高い従業員が外部に成長機会を求めて転職するケースも見られます。
キャリア面での改善は、必ずしも大きな投資を必要としません。定期的なキャリア面談の実施、社内での職務ローテーション、外部研修への参加支援など、比較的低コストで実施できる施策も効果的です。従業員の成長を支援する姿勢を明確に示すことが、定着率向上につながります。
離職率の改善には時間を要しますが、適切な施策の継続により着実な変化が期待できます。ここでは、多くの企業で導入されている改善策を紹介します。会社売却を検討する際も、離職率の低減は企業価値の向上にもつながる重要な要素です。人材の定着は事業の継続性を示すため、取り組みの実績を提示することで、より良い条件での交渉が可能になります。
離職率改善の第一歩は、採用段階でのミスマッチを防ぐことです。入社前の期待と入社後の現実にギャップがあると、早期離職につながりやすくなります。採用時には業務内容や職場環境を正確に伝え、応募者が自社に合っているかを慎重に見極めることが重要です。
オンボーディングとは、新入社員が組織に馴染み、戦力化するまでのプロセスを支援する取り組みを指します。効果的なオンボーディング施策としては以下のようなものがあります。
採用基準の最適化と導入研修の充実により、早期離職率を低減させた事例もあります。これらの施策は、比較的早い段階で成果を実感しやすい傾向にあります。
公正で透明性のある評価制度は、従業員の納得感を高め、離職率低下に大きく貢献します。評価基準を明確化し、全従業員に周知することで、何をすれば評価されるかが明らかになり、モチベーション向上につながります。
評価制度を見直す際のポイントとしては、業績評価だけでなく行動評価やプロセス評価も取り入れること、評価者研修を実施して評価のばらつきを減らすこと、そして評価結果のフィードバックを丁寧に行うことが挙げられます。
また、評価と報酬の連動性を高めることも重要です。高い評価を得た従業員が適切に報われる仕組みがなければ、評価制度は形骸化してしまいます。昇給、賞与、昇進などの処遇と評価結果を連動させ、努力が報われることを実感できる環境を整備することが求められます。
多様な働き方の推進は、離職率改善に有効なアプローチです。テレワークやフレックスタイム制、時短勤務など、個々の事情に合わせた選択肢を設けることで、従業員の満足度が高まる傾向にあります。
柔軟な働き方の導入により、離職率を大幅に改善した企業も増えています。ライフステージの変化(育児・介護など)に合わせた支援は、長期的な定着を促す要因となります。大規模な制度化が難しい場合でも、個別の事情に応じた配慮や、休暇を取得しやすい雰囲気づくりなど、可能な範囲から取り組むことが従業員との信頼関係を深める一歩となります。
退職面談は、離職原因を直接把握できる機会です。退職する従業員に対して、退職理由、職場環境への評価、改善してほしい点などを丁寧にヒアリングすることで、離職率改善のための具体的な示唆を得ることができます。
退職面談を効果的に行うためには、従業員が本音を話しやすい環境づくりが重要です。そのためには、面談者の選定が大きなポイントとなります。直属の上司のほか、人事担当者や経営者が面談を行うことで、より率直な意見を引き出せる可能性があります。また、面談結果を単なる個別対応で終わらせず、組織的な課題として整理し、経営層で共有・活用することも必要です。
また近年は離職者への面談だけでなく、在職中の社員に対して「なぜ働き続けているか」を問うことで離職の兆候を掴むステイ・インタビューも注目されています。退職者から「去る理由」を聞くだけでなく、現役社員から「働き続ける理由」をヒアリングすることで、自社の強みを再認識し、離職を未然に防ぐポジティブな施策へと繋げられます。
在職中の従業員に対する定期的なアンケート調査も有効な手段です。職場満足度調査やエンゲージメント調査を実施することで、離職リスクの高い従業員を早期に発見し、予防的な対策を講じることができます。会社売却を検討している場合は、こうした調査結果と改善施策を示すことで、人材管理への真剣な姿勢をアピールできます。
離職率とは、組織の健全性を示す重要な指標であり、会社売却時の企業価値評価にも影響を与えます。本記事では、離職率の定義や計算方法、業界平均、改善策を解説しました。離職率を正確に把握するには、公的な基準を参考にしつつ、自社の目的に適した計算方法を選ぶ必要があります。業界平均と比較することで、自社の状況を客観的に評価できるでしょう。
改善のためには、採用の見直し、評価制度の整備、柔軟な働き方の導入、退職調査の活用などが効果的です。これらを継続することで、人材の定着を促し、企業価値を高めることが期待できます。会社売却を有利に進めるためにも、早期の現状把握と対策をお勧めします。
離職率は単なる人事データではなく、企業の将来性と収益性を映し出す鏡です。低水準の離職率を維持している企業は、組織としての安定性が高いと判断され、買い手企業にとっても魅力的な投資対象となります。
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