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法人税は、法人の所得に対して課される国税であり、税法上は一つの税目に分類されています。ただし、法人が負担する税金には、法人税以外にも法人住民税や法人事業税、地方法人税など複数の種類があり、それぞれに異なる税率や納付時期が設定されています。企業経営者はこれらの種類の税金を適切に把握し、期限内に納付することが極めて重要です。 本記事では、法人税の種類から税率、納付時期まで分かりやすく解説します。
目次
法人にかかる税金は大きく国税と地方税に分類され、それぞれが異なる性格と役割を持っています。まずは、法人税の全体像を理解することから始めましょう。
法人にかかる税金は、国に納める国税と、地方自治体に納める地方税の2つに大別されます。 国税には法人税と地方法人税、特別法人事業税があり、地方税には法人住民税、法人事業税が含まれます。 これらの税金は独立した税制として運用され、それぞれ計算方法や納付先が異なります 。
各税金の役割を理解することで、企業の税務負担の全体像を把握することができ、効果的な税務戦略を立てることが可能になります。特に中小企業の場合、これらの税金の軽減措置を適切に活用することで、大幅な税負担軽減が期待できます。
法人税制では、企業の所得(課税所得)を基準として各種税金が計算されます。課税所得は、益金(税務上の収益)から損金(税務上の費用)を差し引いて算出され、この金額に対してそれぞれの税率を適用することで各税額が決定されます。
課税所得の計算は、会計上の利益をベースとしながらも、税法独特の調整項目があるため、会計上の利益と課税所得が一致しないケースが多く見られます。 例えば、役員報酬の損金不算入や交際費の限度額制限など、税務上の特別な取扱いが適用されるためです。
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国税として課される法人関連の税金には、法人税と 地方法人税があります 。これらの税金は国の財政を支える重要な税収源となっており、企業の規模や所得水準に応じて異なる税率が適用されます。
法人税は、法人の事業活動から生じた所得に対して課される国税の代表格です。 資本金の規模によって適用される税率が異なり、中小企業には軽減税率制度が設けられています。
資本金1億円以下の中小法人の場合、年間所得800万円以下の部分については「適用除外事業者」の場合は19%、それ以外の場合は15%の軽減税率(令和9年3月31日までの特例)が適用され、800万円を超える部分については23.2%の税率が適用されます。 一方、資本金1億円超の大法人については、所得金額に関係なく一律23.2%の税率が適用されます。
法人区分 | 所得金額 | 税率 |
---|---|---|
中小法人(資本金1億円以下) | 800万円以下 | 適用除外事業者:19% 上記以外の事業者:15% |
中小法人(資本金1億円以下) | 800万円超 | 23.2% |
大法人(資本金1億円超) | 全所得 | 23.2% |
地方法人税は、平成26年度税制改正により新設された比較的新しい税金です。 法人税額に対して一定の税率を乗じて計算され、国税として徴収された後、地方自治体に交付される仕組みとなっています。
地方法人税の税率は、算出された法人税額に対して10.3%です。この税金の導入により、地域間の税収格差の是正が図られており、地方自治体の財政安定化に寄与しています。
協同組合等や公益法人などの特定の法人については、通常の法人税率とは異なる特例税率が適用されます。例えば、協同組合等の場合、年間所得800万円以下の部分については15%、800万円超の部分については19%の税率が適用されます。この特例税率は、農業協同組合、信用協同組合、水産業協同組合、森林組合など、特定の協同組合を対象としています。
公益法人については、収益事業から生じた所得のみが課税対象となります。収益事業には中小法人と同様の税率(年間所得800万円以下15%、800万円超23.2%)が適用されます。この特例措置は、公益性の高い法人の活動を支援し、社会的な利益を促進するために設けられています。
地方税として課される法人関連の税金は、都道府県税と市町村税に分類され、それぞれ異なる課税方式と税率が採用されています。これらの税金は地方自治体の重要な財源となっており、地域の行政サービスを支える役割を果たしています。
法人住民税は、都道府県民税と市町村民税から構成される地方税です。それぞれに均等割と法人税割が設けられており、企業の規模と所得の両方に応じて税額が決定されます。
均等割は資本金等の金額と従業員数に基づいて算出される定額の税金で、たとえ赤字であっても納付する必要があります。法人税割は法人税額に一定の税率を乗じて計算され、法人税額がゼロの場合は課税されません。
区分 | 課税標準 | 標準税率 |
---|---|---|
都道府県民税(均等割) | 資本金等・従業員数 | 2万円~80万円 |
都道府県民税(法人税割) | 法人税額 | 1.0% |
市町村民税(均等割) | 資本金等・従業員数 | 5万円~300万円 |
市町村民税(法人税割) | 法人税額 | 6.0% |
法人事業税は都道府県に納める税金で、所得割を基本としながら、大法人については外形標準課税が適用されます。外形標準課税は、所得だけでなく付加価値額と資本金等の金額を課税標準とする制度です。
資本金1億円超の大法人には外形標準課税が適用され、所得割・付加価値割・資本割の3つの要素で税額が計算されます。この制度により、赤字企業であっても一定の税負担が生じることになり、税収の安定化が図られています。
特別法人事業税は、令和元年(2019年)10月に導入された新しい税制で、法人事業税の一部を国税として徴収し、地方自治体に交付する仕組みです。この制度により、地域間の税収格差の是正が図られています。
税率は法人事業税の所得割額に基づき、資本金1億円以下の普通法人では1.0%、資本金1億円超の普通法人では3.0%が適用されます。特別法人事業税は法人事業税と併せて申告・納付を行い、地方税制の公平性向上が期待されています。
法人にかかる各種税金の税率は、企業の規模や所得水準によって細かく区分されています。正確な税額計算を行うためには、これらの税率体系を正しく理解することが不可欠です。
法人税をはじめとする多くの税金では、資本金1億円を境界線として異なる税率が適用されます。この区分は、中小企業の成長を支援し、大企業との競争条件を調整する政策的な配慮に基づいています。
中小企業(資本金1億円以下)については、法人税の軽減税率適用により年間所得800万円以下の部分で15%の税率が適用され、大企業と比較して大幅な税負担軽減が図られています。この制度は中小企業の経営基盤強化と成長促進を目的としています。
法人税の計算では、所得金額に応じて異なる税率が適用される仕組みがあり、累進的な性質を持っています。中小法人の場合、年間所得800万円以下の部分には15%、800万円超の部分には23.2%の税率が適用されます。この仕組みにより、所得水準が高い法人ほど税負担が増加するよう設計されています。
例えば、年間所得1,000万円の中小法人の場合、法人税額は「800万円×15%+200万円×23.2%=166.4万円」となります。ただし、この税率は法人税のみを対象としており、地方法人税や法人住民税、法人事業税を含めた実効税率はさらに高くなる場合があります。
なお、中小法人とは、資本金が1億円以下の法人(一定の特例法人を除く)を指します。この累進課税構造により、中小企業の税負担が所得水準に応じて調整される仕組みが整えられています。
地方税については、地方自治体が独自に税率を設定できる仕組みとなっているため、同じ所得であっても所在地によって税負担が異なる場合があります。特に法人住民税の法人税割については、自治体間で税率に差が生じることがあります。
企業立地を検討する際には、各自治体の税率水準を比較検討することで、長期的な税負担を最適化できます。 ただし、税率だけでなく、立地環境や事業展開の利便性も総合的に考慮する必要があります 。
法人税等の申告・納付には厳格な期限が設けられており、これらを遵守することは企業経営において極めて重要です。期限を過ぎると延滞税や加算税が課される可能性があるため、事前に十分な準備が必要です 。
法人税等の申告期限は、事業年度終了日の翌日から2か月以内と定められています。例えば、3月決算の法人であれば5月31日が申告期限となり、この日までに税務署への申告書提出と税金の納付を完了させる必要があります。
申告期限の延長特例を適用している場合、申告期限は1か月延長されますが、納付期限は原則として延長されないため、期限内に税額を納付する必要があります。延長特例を適用する場合は、事前に税務署への届出が必要です。
前事業年度の法人税額が20万円を超える法人については、事業年度開始から6か月経過後2か月以内に中間申告を行う義務があります。中間納税額は、前年度法人税額の2分の1が基準となります 。
中間申告には予定申告と仮決算申告の2つの方法があり、企業の状況に応じて選択することができます。仮決算申告を選択した場合、6か月間の実績に基づいた正確な税額計算が可能になります。
現在では、e-Tax(国税電子申告・納税システム)を利用した電子申告が一般的となっており、メンテナンス時間を除き24時間いつでも申告書の提出が可能です。また、納付についてもダイレクト納付やインターネットバンキングを利用することで、効率的な手続きが実現できます。
電子申告を活用することで、申告書作成の効率化や提出漏れの防止、税理士との連携強化など、多くのメリットを享受することができます。特に複数の拠点を持つ企業においては、電子申告システムの活用により税務手続きの標準化と効率化が図れます。
法人税制には、中小企業の成長支援や特定の政策目的を達成するための各種軽減措置が設けられています。これらの制度を適切に活用することで、企業の税負担を大幅に軽減することが可能です。
中小企業(資本金1億円以下)に対する軽減税率制度は、最も基本的で効果の高い税負担軽減措置です。年間所得800万円以下の部分について15%の税率が適用されることで、標準税率23.2%と比較して8.2ポイントの軽減効果があります 。
この制度により、年間所得800万円の中小企業の場合、軽減税率適用前の税額185.6万円が120万円となり、65.6万円の税負担軽減効果が得られます。 この軽減額は企業の設備投資や人材育成の原資として活用することができます。
中小企業投資促進税制や 研究開発税制など、特定の投資や活動に対する特別償却や税額控除制度が用意されています。 これらの制度を活用することで、設備投資や研究開発投資を促進しながら税負担を軽減することができます。
例えば、中小企業が一定の設備投資を行った場合、取得価額の30%の特別償却または7%の税額控除を選択適用することができます。税額控除を選択した場合、法人税額から直接控除されるため、即効性の高い節税効果が期待できます。
企業が赤字決算となった場合、その欠損金は翌期以降10年間にわたって繰り越すことができ、将来の黒字と相殺することで税負担を軽減することが可能です。中小企業の場合、繰越欠損金(税務上の赤字である欠損金を、翌事業年度以降の黒字から控除できる制度)の控除限度額に制限がないため、全額を所得と相殺することができます。
創業期や事業転換期において一時的に赤字が発生した場合でも、繰越欠損金制度を活用することで将来の税負担を軽減し、事業の安定化を図ることができます。ただし、繰越期間には限度があるため、計画的な活用が重要です。
法人税等の申告・納付においては、制度の複雑さゆえに様々な注意点があります。これらのポイントを事前に把握し、適切な対策を講じることで、税務リスクを最小限に抑えることができます。
申告期限や納付期限を過ぎると、延滞税や各種加算税が課される可能性があります。延滞税は納付すべき税額に対して課され、期限後の日数に応じて計算されます。税率は以下のように段階的に設定されています。
無申告加算税は通常10%~25%ですが、自主的に申告を行った場合には10%に軽減されることがあります。一方、重加算税は40%と非常に高率であるため、期限内申告・納付の重要性は極めて高くなります。
これらの附帯税は損金算入できないため、企業の実質的な税負担が大幅に増加します。期限内に適切な申告と納付を行うことが、企業の財務管理において重要です。
税務調査は企業規模や業種に関係なく実施される可能性があり、日頃から適切な帳簿書類の整備と保存が重要です。調査時には、取引の実態を証明する資料の提示が求められるため、契約書や領収書等の証憑書類を体系的に管理する必要があります。
また、税務調査においては、税法の解釈や適用に関する専門的な議論が行われることが多いため、 税理士等の専門家のサポートを受けることが効果的です 。事前に税務顧問契約を締結しておくことで、調査対応を含む包括的な税務サポートを受けることができます 。
税制は毎年見直しが行われており、新しい制度の導入や既存制度の改正が実施されます。令和7年度税制改正においても、デジタル化促進や カーボンニュートラル推進に関連する税制措置の拡充が検討されています。
税制改正の動向を継続的にフォローし、自社の事業に有利な制度改正については積極的に活用を検討することで、競争優位性の確保と税負担の最適化を同時に実現することができます。専門家との定期的な情報共有により、最新の税制情報を効率的に収集することが重要です。
法人税には、国税である法人税・地方法人税と、地方税である法人住民税・法人事業税があり、それぞれ異なる税率と計算方法が適用されます。法人住民税は「法人税割」と「均等割」に分かれ、法人事業税は所得金額を基準に課税されます。
申告・納付期限は事業年度終了日から2か月以内となっており、期限を過ぎると延滞税や加算税が課されるため、計画的な税務手続きが不可欠です。また、各種軽減措置や特別償却制度を適切に活用することで、合法的な節税を実現しながら企業の成長投資を促進することができます。
M&Aを検討される際には、対象企業の税務状況の詳細な分析が重要な要素となります。適切な税務デューデリジェンスにより、将来的な税務リスクを事前に把握し、最適な取引条件を設定することが可能です。M&Aのご相談・お問い合わせはこちら
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