カーブアウトとは?M&Aにおける意味やスピンオフとの違いを解説

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カーブアウトとは、企業が特定の事業部門を分離し、新たな成長機会を模索する一方、経営資源をコア事業に集中させるための有効な手段です。しかし、スピンオフやスピンアウトとの違いを理解しないと、最適な選択ができず、経営判断に迷うこともあるでしょう。

本記事では、カーブアウトがM&Aにおいてどのような役割を果たし、企業にどのようなメリット・デメリットがあるのか、手法や手順、注意点についてもわかりやすく解説します。

カーブアウトとは|基本的な意味をわかりやすく解説

カーブアウトとは、特定の事業部門を分離して法人化する手法を指します。不採算部門の切り出しによる選択と集中の他、将来的な成長が見込まれる部門をベンチャー企業やスタートアップ企業として独立させる方法としても活用されています。

カーブアウトの目的と特徴

カーブアウトの目的は、経営資源の効率化にあります。カーブアウトによって切り出した部門を法人として再編成することにより、対象事業の価値を最大化するとともに、既存の経営資源を効率的に活用することができます。

カーブアウトの主な特徴は、分離される事業が独立した法人格を持つことにあります。これにより、新会社は独自の経営判断が可能となり、市場の変化により迅速かつ柔軟に対応できるようになります。このため、カーブアウトは企業の成長戦略や市場における競争力の強化を実現するための有効な手段として、多くの企業で採用されています。

カーブアウトのM&Aにおける役割

カーブアウトは、M&Aの場面でもしばしば活用されます。カーブアウトにより第三者に売却する方法をカーブアウト型M&Aと呼びます。カーブアウト型M&Aは事業のみに限らず、子会社を切り出して売却する場合も該当します。

売り手は自社の部門や子会社を独立させて売却することで売却益を受け取ることができます。また、買い手はカーブアウトした事業や子会社を買収することで、他社の技術や資源を活用し、新規事業への参入や既存事業の競争力を強化することができます。

このように、カーブアウトはM&Aを実行する上でも有効な手段となっています。

カーブアウトとスピンオフ・スピンアウトとの違い

カーブアウトと似た意味を持つ言葉に「スピンオフ」「スピンアウト」があります。これらはカーブアウトの一種として考えられており、両者の違いは元会社との資本関係の有無にあります。

スピンオフ

スピンオフは、新設した会社の株式を元会社の株主に交付する方法です。このため、元会社と新会社は親会社と子会社の関係になります。スピンオフによりカーブアウトした新会社は親会社の経営資源やブランド力を活用することができます。スピンオフでは、新会社の支配権は親会社となるため、完全な独立経営はできず、親会社の影響を受けることになります。

スピンアウト

一方、スピンアウトの場合、新設された会社は元の会社から独立し、資本関係は維持されません。そのため、元の会社からの出資を受けることができず、外部からの資金調達が必要となります。また、資金だけでなく、経営資源や認知度を活用することもできません。しかし、元の会社からの干渉を受けないため、スピンオフに比べて自由な経営が可能になります。スピンアウトは、第三者への事業売却の手段として利用されることが多いです。

項目スピンオフスピンアウト
特徴元会社と新会社の資本関係は維持される元会社と新会社の資本関係は解消される
目的コア事業の強化や新たな成長機会の創出第三者への事業売却など新たな資金を調達
メリット親会社の経営資源やブランド力を活用できる元会社から干渉を受けず、自由な経営が可能

スピンオフとスピンアウトのどちらを選択するかは、カーブアウト後の戦略によって異なるため、慎重に検討する必要があります。

カーブアウトが注目される理由

カーブアウトが注目される理由は、現代のビジネス環境において企業がより柔軟で効率的な組織運営を求めていることにあります。特に、複数の事業を抱える企業にとって、コア事業とノンコア事業の見直しは企業の持続的成長を維持する上で欠かせません。

カーブアウトにより、ノンコア事業を独立させることで、企業はコア事業に資源を集中させることができます。また、複数の事業を単独の企業が管理している場合、意思決定に時間がかかることもありますが、独立することで意思決定のスピードが上がり、市場の変化に対応しやすくなります。

さらに、カーブアウトは投資家にとっても魅力的です。事業を独立させることにより、その企業の財務状況や経営状況の透明性が高まります。複数の事業を抱えている場合、事業別の経営判断が難しくなります。カーブアウトによって、切り出した事業の財務や経営状況が明確になり、投資家はより企業への投資判断が行いやすくなります。

このように、カーブアウトは企業にとって戦略的な選択肢であり、効率的なリソース配分や成長機会の拡大を実現するための有効な手段として注目されています。加えて、グローバル市場における競争激化やデジタル化の進展に伴い、企業はより迅速かつ柔軟性のある組織構造を求める傾向が強まっており、カーブアウトがそのニーズに応える手段としても注目されています。

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    カーブアウトの手法

    カーブアウトの手法には主に「会社分割」と「事業譲渡」があります。それぞれの手法について解説します。

    会社分割

    会社分割によるカーブアウトは、企業が事業ポートフォリオを再編し、コア事業への集中や資本効率の向上を目指す際に採用されることが多いです。会社分割には、「吸収分割」と「新設分割」の2つの形式があります。

    吸収分割では、分離した事業を既存の別会社に移管し、その会社に引き継がせます。一方、新設分割では、分割された事業を元に新しい法人を設立し、その事業を独立させます。会社分割により、親会社は特定の事業の経営リスクを分散しつつ、事業の独立性を高めることが可能になります。さらに、会社分割は包括承継であり、権利や義務をまとめて引き継げる点もメリットです。そのため、従業員や取引先との関係も維持しやすく、プロセスも事業譲渡と比べると容易です。ただし、契約によっては個別での引き継ぎが必要な場合もあるため確認が大切です。

    事業譲渡

    事業譲渡によるカーブアウトは、企業が非中核事業を切り離し、他社の資源や知見を活用しながら事業の成長を目指す場合に適した手法です。事業譲渡は、譲渡対象となる事業の資産や負債、従業員、契約などを個別に選定し、売却先に移管する点が特徴です。この手法は、譲渡対象を柔軟に設定できるため、親会社が事業ポートフォリオを整理しやすい利点があります。

    また、事業譲渡によって直接的に資金を調達できるため、財務改善や他の事業への投資に活用できるメリットがあります。一方で、事業譲渡は契約や許認可の再取得が必要になる場合があり、手続きが煩雑になることもあります。そのため、譲渡先との交渉や移管プロセスを慎重に進める必要があります。

    その他の手法

    経済産業省の「事業再編ガイドライン」では、カーブアウト(事業の切り出し)手法として、会社分割と事業譲渡の他に以下の方法が挙げられています。

    • 子会社株式譲渡
    • スピンオフ(現物配当)
    • エクイティ・カーブアウト

    それぞれについて簡単に説明します。

    子会社株式譲渡

    子会社株式譲渡とは、親会社が保有する子会社の株式を第三者に譲渡する手法です。この方法では、事業を完全に切り離し、独立した企業として他社に売却することで資金を調達します。子会社株式譲渡は、非中核事業を整理し、親会社がコア事業に集中する目的で利用されることが多く、譲渡された事業は新たな所有者のもとで成長機会を得ることが可能になります。

    スピンオフ(現物配当)

    スピンオフとは、親会社が特定事業を分社化し、その新会社の株式を親会社の株主に現物配当として提供する手法です。スピンオフでは、親会社は分社化した事業に対する所有権を放棄するため、対象事業は独立した企業として活動します。この手法は、親会社の株主に直接的な利益を提供しつつ、対象事業が独立した経営を進められる点が特徴です。

    エクイティ・カーブアウト

    エクイティ・カーブアウトとは、子会社を上場させ、株式を市場で売却することで独立させる方法です。親会社は新会社の株式を保有し続けながら、外部投資家から資金を得て事業成長を促進します。エクイティ・カーブアウトは、完全な事業売却を伴わず、親会社にとっても収益の一部を確保しつつ、分社化された事業の独立性と成長力を高める手段として利用されます。

    これらの手法は、企業が事業ポートフォリオを柔軟に再編し、新たな成長機会を創出するために活用される重要な選択肢となっています。

    カーブアウトのメリット

    カーブアウトにより、企業が特定の事業部門を切り離すことで、さまざまなメリットを得ることができます。カーブアウトのメリットとして主に以下が挙げられます。

    • 迅速な意思決定の向上
    • 親会社の経営資源の活用
    • 外部からの資金調達が可能
    • コア事業への集中と企業価値の向上
    • 他社の技術や知見の活用

    それぞれについて解説します。

    迅速な意思決定の向上

    カーブアウトのメリットの一つが、迅速な意思決定の向上です。企業が特定の事業部門を独立させることにより、意思決定プロセスが簡素化され、迅速な経営判断が可能となります。

    特に大企業では、複数の事業を抱えているため、意思決定が複雑化しがちです。これは各事業部門との調整が必要となるためです。また、部門間のコミュニケーションが煩雑になり、情報の共有が滞ることもスピードを妨げる要因です。このような状況では、市場の変化に迅速に対応することが難しくなります。

    カーブアウトを実施することで、独立した新会社は独自の経営判断を行うことができ、意思決定が迅速化します。特に、外部環境の変化に対して柔軟に対応できることは、競争力の維持において重要です。また、カーブアウトによって新会社が特定の市場や顧客に特化することで、戦略的な目標が明確になり、効率的なリソース配分が可能になります。これにより、企業全体のパフォーマンス向上も期待できます。

    親会社の経営資源の活用

    親会社の経営資源を活用できる点もカーブアウトのメリットです。カーブアウトにより独立した事業部門や子会社は、親会社の持つリソースやネットワークを活用することができます。特に、スピンオフによるカーブアウトでは、親会社のブランド力や顧客基盤を利用することができます。

    親会社の信頼性や認知度によっては、子会社は市場での認知を迅速に得やすくなり、ビジネスの新規立ち上げや新たなネットワークの構築をスムーズに行うことが可能です。さらに、親会社が持つ技術やノウハウも大きな資源です。カーブアウトされた子会社は、親会社の研究開発部門からの技術支援や、業界知識を活用することで、製品やサービスの開発を加速させることができます。このような資源の共有は、新会社が市場で競争力を持つ上で非常に重要な要素です。

    また、親会社の経営資源には、人的資源も含まれます。専門知識を持ったスタッフや経験豊富な人材をそのまま雇用することで、子会社は外部の人材を雇用することなく、迅速に経営体制を整えることができます。さらに、親会社の資金力も子会社の成長をサポートします。カーブアウト後も親会社からの資金調達が可能であれば、成長に必要な資金を確保することができ、資金面でのリスクを軽減しながら、事業展開を進めることができます。

    外部からの資金調達が可能

    カーブアウトのメリットとして、外部からの資金調達が可能となる点も挙げられます。カーブアウトにより、独立した法人格を持たせることで、新会社は外部から直接的に資金を調達できるようになります。

    例えば、新会社が新規上場(IPO)する場合、投資家からの資金を獲得し、成長のための資金を確保することが可能です。また、株式公開以外にも、ベンチャーキャピタルやプライベートエクイティファンドなどからの資金調達や、戦略的な企業提携による資本注入が期待できます。このように独立した事業体として活動することで、親会社に依存せず、柔軟な成長戦略を追求できる点が大きなメリットです。

    一方で、親会社にとってもカーブアウトは資金調達手段となりえます。ノンコア事業を切り出して売却することにより、売却資金を獲得できます。この資金を活用することで、親会社は他の中核事業へ投資を集中させたり、債務を削減したりすることが可能です。また、カーブアウト対象となった事業が独立し、新しい資金調達手段を得ることで、親会社全体の財務負担を軽減させる効果もあります。

    コア事業への集中と企業価値の向上

    カーブアウトにより、不採算事業を切り出すことで、親会社はコア事業に集中できるようになります。企業は限られた資源を効率的に配分する必要があり、非中核事業や収益性の低い部門が存在すると、資金や人材が分散し、成長の阻害要因となる可能性があります。カーブアウトを通じて、親会社が事業ポートフォリオを整理し、コア事業に集中することで、競争力の強化や収益性の向上が期待されます。

    さらに、分社化によって切り離された事業は、独立した経営体制を持つことで、柔軟な戦略を展開できるようになります。これにより、分社化対象の事業自身も成長しやすくなり、外部からの投資や資金調達が進む可能性が高まります。その結果、カーブアウト後の事業価値が向上するだけでなく、親会社の企業価値にも良い影響を及ぼします。例えば、カーブアウトによって非中核事業が適切に評価されることで、親会社の財務体質が改善され、株主価値が向上するケースもあります。

    また、カーブアウトを実施することで、親会社は経営の透明性を高めることができる点も利点です。分社化された事業が独立することで、各事業の収益構造や成長性が明確になり、投資家や株主に対して企業価値を正確に示すことが可能となります。結果として、企業全体の評価が向上し、株価上昇や資金調達の効率化につながる場合があります。このように、カーブアウトはコア事業への集中を実現しつつ、企業価値を高める戦略的な手段として、非常に効果的な選択肢と言えるでしょう。

    他社の技術や知見の活用

    カーブアウトした事業を他社に売却することで、新会社は買い手の技術や知見を効果的に活用し、事業の拡大を図ることができます。これにより、シナジー効果が生まれ、競争優位性が向上します。例えば、買い手が持つ先進的な技術やノウハウを取り入れることで、新会社は市場環境に迅速に適応し、製品やサービスの質を向上させることが可能です。

    さらに、買い手の顧客基盤や流通チャネルを活用することで、販売機会を増やし、集客力を高めることができます。このアプローチにより、元の企業では期待した成果が達成できなかった場合でも、カーブアウトによって新たな機会を得ることができ、事業を成長拡大させることができるのです。

    カーブアウトのデメリット

    カーブアウトにはメリットがある一方でデメリットも存在します。カーブアウトのデメリットとして以下が挙げられます。

    • 外部からの干渉の可能性
    • 管理部門・人材不足のリスク
    • 従業員のモチベーションの低下・離職リスク
    • 許認可・契約の引き継ぎ問題

    それぞれについて解説します。

    外部からの干渉の可能性

    カーブアウトによって事業を分社化し、独立性を高める一方で、外部投資家や市場の影響を受けやすくなるというデメリットもあります。カーブアウトのデメリットとして以下が考えられます。

    • 管理部門・人材不足のリスク
    • 従業員のモチベーション低下・離職リスク
    • 許認可・契約の引き継ぎ問題

    それぞれについて解説します。

    管理部門・人材不足のリスク

    カーブアウトされた事業は、独立した経営を行うために、管理部門や専門人材を新たに確保する必要があります。しかし、親会社からの人材が不足している場合、財務管理や人事、法務といったバックオフィス業務のノウハウやリソースが不足し、効率的な経営が難しくなるリスクがあります。

    また、親会社から優秀な人材を十分に引き継げない場合、経営基盤が脆弱化し、競争力の低下につながる可能性があります。これらの問題を解決するためには、早期の体制整備が必要です。

    従業員のモチベーション低下・離職リスク

    カーブアウトによって新会社に移籍することになる場合、従業員に不安が生じ、モチベーションが低下するリスクがあります。特に、親会社から切り離されることで雇用やキャリアの不透明感が増し、従業員が新しい環境への適応に苦労する場合があります。

    また、企業文化や福利厚生の変更が従業員にとって負担となり、結果的に離職率が上昇する可能性もあります。カーブアウト後の事業を成功させるためには、従業員との十分なコミュニケーションが大切です。

    許認可・契約の引き継ぎ問題

    カーブアウトでは、法律や契約上の手続きが複雑になる場合があります。特に、分社化された事業が特定の許認可を取得している場合、その許認可を新会社に承継するための手続きが必要となります。

    また、既存の顧客や取引先との契約を改めて締結する必要があるケースもあり、これらのプロセスがスムーズに進まない場合、事業運営が停滞するリスクがあります。許認可や契約の承継問題を円滑に進めるためには、事前の詳細な計画と法的専門知識が欠かせません。

    カーブアウトの実施手順

    カーブアウトの実施にあたっては、企業が明確な基本方針を策定し、譲渡対象となる事業範囲を適切に検討することが不可欠です。さらに、会計管理情報の整理やカーブアウトに伴う財務諸表の作成、そして適時開示の検討まで、体系的かつ計画的に進める必要があります。ここでは、カーブアウトの実施手順について解説します。

    基本方針の策定

    カーブアウトを実施するにあたり、まず最初に行うのが基本方針の策定です。カーブアウトの目的や狙いを明確にし、どの手法でカーブアウトを実行するかを決定します。基本方針が明確であれば、カーブアウトの実施に関わる社内外の関係者が共通の認識を持ち、円滑な意思決定や協力体制の構築が可能になります。一方で、基本方針が曖昧な場合、プロジェクトの方向性が定まらず、手続きや交渉の混乱を招くリスクが高まります。

    基本方針策定の際に押さえるべき主なポイントは以下の通りです。

    • カーブアウトの目的の整理: なぜカーブアウトを行うのか、事業の選択と集中を狙うのか、新規事業の育成か、資金調達かなど、目的を具体的に明示します。
    • 期待される効果の明確化: 事業価値の最大化や経営効率の向上、企業価値の向上など、達成したい効果を具体的に示します。
    • 社内外の関係者との共有: 経営陣、事業部門、従業員、株主、取引先など、関係者に基本方針を周知し、理解と協力を得ることが重要です。
    • 具体的かつ実現可能な目標設定: 方針に基づき、達成すべき具体的な目標やスケジュールを設定し、実施手順の基盤とします。

    これらのポイントを踏まえ、基本方針を策定することで、カーブアウトの実施を成功に導くための確固たる土台を築くことができます。企業がカーブアウトを通じて目指す方向性を明確にし、全関係者が同じ目標に向かって進むことが、スムーズな実施と高い成果を実現する鍵となります。

    譲渡対象範囲の検討

    カーブアウトにより新会社に承継する譲渡対象範囲を検討します。明確な譲渡対象範囲を設定することで、カーブアウト後の運営や経営におけるトラブルを未然に防ぎ、スムーズな事業移行を実現できます。

    譲渡対象範囲の検討では、以下のポイントに注目して詳細に整理することが求められます。

    • 譲渡対象となる事業の範囲の明確化:どの事業部門や製品・サービスがカーブアウトの対象となるかを明確にします。売上高や利益構造、事業の成長性なども踏まえ、戦略的に選定することが重要です。
    • 譲渡対象資産・負債の特定:事業に関連する資産(設備、知的財産、在庫など)や負債(借入金、債務など)を詳細に洗い出し、譲渡範囲に含める資産負債を確定します。
    • 従業員の範囲決定:譲渡対象事業に従事する従業員の範囲を明確にし、労務管理や人事制度の引き継ぎについても検討します。従業員のモチベーション維持や離職リスクの軽減に配慮が必要です。
    • 契約関係の整理:取引先との契約や許認可、ライセンス契約などの状況を把握し、譲渡に伴う契約の引き継ぎや再締結の必要性を確認します。
    • 譲渡後の事業運営を見据えた検討:譲渡後に生じうる問題やリスクを事前に洗い出し、譲渡範囲の調整や対策を講じます。これにより、トラブルを未然に防止することが可能です。

    譲渡対象範囲を明確にすることは、カーブアウトの成功に直結する重要な要素です。曖昧な範囲設定は、後の契約トラブルや許認可問題、従業員の混乱を招きやすく、企業の信頼性にも影響を及ぼします。

    したがって、事業・資産・人・契約の各要素を詳細に検討し、法務・人事・経営企画などの関連部門と連携して慎重に進めることが求められます。この段階での十分な準備と整理が、カーブアウト全体の円滑な実施と企業価値の最大化に寄与します。

    会計管理情報の整理・カーブアウト財務諸表の作成

    カーブアウトを実施する際には、対象事業の財務状況を正確に把握し、適切に管理するために会計管理情報の整理も欠かせません。特に、事業の収益や費用、資産・負債を明確に分離し、カーブアウト財務諸表を作成することが重要となります。

    まず、対象事業に帰属する資産と負債を正確に特定し、その配分を明確にすることが求められます。これには固定資産や流動資産、負債の種類ごとに細かく区分し、事業に直接関連するものと間接的に関連するものを区別する作業が含まれます。また、共有資産や共通費用の配分方法についても慎重な検討が必要です。

    次に、収益と費用の配分に関しては、カーブアウト対象事業が実際に生み出した売上高や費用を正確に計上することが求められます。特に、親会社全体の経費がどのように事業に割り当てられているかを明確にし、適正な配賦基準を設定することが重要です。これにより、カーブアウト後の事業の実態を正確に反映した財務状況を示すことが可能となります。

    これらの情報を基に、カーブアウト財務諸表を作成します。財務諸表は、対象事業の経営状況や財務健全性を示す重要な資料であり、M&Aや資金調達、事業評価の際に活用されます。正確で透明性の高い財務諸表を整備することは、投資家や関係者の信頼獲得に直結します。

    具体的な会計管理情報の整理とカーブアウト財務諸表作成のポイントは以下の通りです。

    • 資産・負債の明確な区分と配分
    • 収益・費用の正確な割当と配賦基準の設定
    • 共有資産および共通費用の合理的な配分方法の策定
    • 財務情報の透明性を確保し、外部関係者に説明可能な資料作成
    • M&Aや資金調達に対応した適切な財務報告の整備

    以上の手順を踏むことで、カーブアウト後の事業の財務状況を適正に示し、経営判断や外部との交渉を円滑に進めることが可能となります。財務管理の精度を高めることは、カーブアウトの成功に欠かせない重要な要素です。

    適時開示の検討

    カーブアウトを実施する企業、特に上場企業の場合は適時開示も検討しなければいけません。適時開示とは、企業が投資家や市場に対して、事業の重要な変更や財務状況の変化などを迅速かつ適切に公表する義務を指します。これにより、投資家は正確かつ公平な情報を基に投資判断を行うことが可能となります。

    カーブアウトに関連して適時開示が求められる主な情報には以下のようなものがあります。

    • 分社化や事業譲渡の概要と目的
    • 譲渡対象となる事業の内容や規模
    • 財務状況や収益への影響
    • 今後の経営方針や戦略の変更点
    • 投資家に影響を与える重要な契約や許認可の変更

    これらの情報は、投資家がカーブアウトによる企業価値への影響を適切に評価するために必要不可欠です。特に上場企業は、金融商品取引法や証券取引所の規則に基づき、これらの事項を適時に開示する義務があります。

    適時開示のタイミングにおいては、情報が市場に公平かつ迅速に伝わることが重要です。 適時開示を適切に行うことで、投資家の信頼を維持し、企業の透明性を高めることができます。逆に、情報開示に遅れや不備があると、株価の急落や信用失墜のリスクが高まるため、十分な注意が必要です。

    カーブアウト実施時の注意点

    カーブアウトを実施する際には、いくつかの注意点があります。特に、従業員対応や法的手続き、契約関係の整理などは、円滑な事業移行と新会社の安定的な運営に不可欠です。以下に主な注意点を挙げ、それぞれのポイントを解説します。

    従業員への説明と意思確認

    カーブアウトを実施する際、従業員への説明と意思確認は非常に重要なプロセスです。従業員は事業の切り出しに伴って自らの雇用環境や業務内容が変化するため、不安や混乱が生じやすく、これを放置するとモチベーションの低下や離職リスクの増加につながります。

    そのため、企業は早期かつ丁寧な説明を行い、従業員が変化を正しく理解し、納得できる環境を整えることがカーブアウト成功の鍵となります。従業員への説明で押さえるべきポイントは以下の通りです。

    • 目的と背景の明確化:なぜカーブアウトを行うのか、その目的や企業戦略上の位置づけをわかりやすく伝える。
    • 影響範囲の具体的説明:従業員の雇用条件や職務内容の変更点、異動の有無など、具体的な影響を詳細に説明する。
    • 今後の体制と支援策の紹介:新会社の体制や支援プログラム、キャリアパスの可能性について情報提供する。
    • 質疑応答の機会の確保:従業員が疑問や不安を解消できるよう、説明会や個別面談の場を設ける。

    また、従業員の意思確認は、単に説明を行うだけでなく、従業員一人ひとりが今後の選択肢を理解し、自らの意思を示せる機会を設けることが重要です。これにより、離職リスクを軽減し、安心感を持って新しい環境に適応してもらうことが可能となります。

    さらに、カーブアウトによる従業員のモチベーション低下を防ぐためには、コミュニケーションを密にし、透明性の高い情報共有を行うことが必要です。変化に対する不安を軽減し、企業としての一体感を保つために、経営陣からのメッセージ発信や、従業員同士の交流促進も効果的です。

    以上のように、従業員への説明と意思確認はカーブアウトの実施における重要な注意点の一つであり、企業が細心の注意を払って計画的に進めるべきプロセスです。これにより、従業員の理解と協力を得て、円滑な事業移行と新会社の安定的な運営を実現できます。

    知的財産権・許認可・契約の事前確認

    カーブアウトを行う際には、知的財産権、許認可、契約に関する事前確認が大切です。これらは事業の継続的な運営に直結するため、漏れや誤りがあると法的な問題や事業停止のリスクが高まります。以下に、カーブアウト時に特に注意すべきポイントを整理して解説します。

    • 知的財産権の確認と移転手続き: 事業に関連する特許権、商標権、著作権、技術ノウハウなどの知的財産権を正確に把握し、どの権利を新会社に移転するかを明確にします。権利関係が曖昧なままでは、将来的に権利侵害や訴訟リスクが発生する可能性があるため、権利の所在や使用許諾の範囲を詳細に確認する必要があります。
    • 許認可の種類と引き継ぎ:対象事業が必要とする営業許可や認可、登録などの種類を洗い出し、それぞれの許認可の名義変更や再申請の要否を把握します。許認可は事業の合法的な運営に不可欠なため、移転手続きが遅れると事業停止のリスクが生じます。
    • 契約の整理と引き継ぎ:取引先との契約、リース契約、業務委託契約など、対象事業に関わる契約を一覧化し、譲渡先に引き継ぐ契約の範囲と条件を明確にします。契約によっては譲渡に際して相手方の承諾が必要な場合もあるため、事前に確認し交渉を進めることが重要です。
    • 法的リスクの防止策:知的財産権や許認可、契約の不備により生じる法的リスクを未然に防ぐため、関係書類の精査や必要な手続きを早期に行うことが求められます。また、譲渡契約書に適切な保証条項や責任分担を盛り込むことも重要です。
    • 専門家の活用:複雑な法的手続きや権利関係の整理には、弁護士や知財専門家、公認会計士などの専門家の助言を得ることが不可欠です。専門家の支援により、リスクを最小限に抑え、円滑なカーブアウトを実現できます。

    これらの事前確認を徹底することで、カーブアウト後のトラブルを防ぎ、事業の安定的な継続を支えることが可能になります。慎重かつ計画的な対応が、カーブアウト成功の鍵となるでしょう。

    スタンドアローンイシューの対策

    カーブアウトにおけるスタンドアローンイシューとは、新たに分離した事業が独立した存在として機能する際に直面する課題を指します。これには、独立した会計システムの構築やITインフラの整備、独自の法的・契約上の義務の遂行などが含まれます。これらの課題を放置すると、新設会社が円滑に運営できず、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、スタンドアローンイシューを事前に特定し、適切な対策を講じることが重要です。

    まず、ITシステムに関しては、親会社からのシステム分離が必要です。これには、新たなITインフラの構築や、既存システムの移行計画の策定が含まれます。さらに、新会社の運営に必要なすべてのビジネスプロセスとシステムが独立して機能するためのテストを実施し、問題を早期に発見・修正することが求められます。

    また、スタンドアローンとしての財務管理も重要です。独立した財務報告体制を整備し、適切な管理指標を設定することで、経営状況を正確に把握する体制を築くことが求められます。これには、新たな会計システムの導入や財務諸表の独立性確保が含まれます。

    人材面でも、独自の組織文化の確立と人材育成が不可欠です。従業員が新しい環境に適応できるよう、適切なトレーニングプログラムを提供するとともに、モチベーションを維持するためのインセンティブ制度を考慮することが重要です。

    これらの対策を講じることで、新たに独立した事業が円滑にスタートを切り、持続可能な成長を目指すことが可能となります。スタンドアローンイシューを適切に管理することは、成功するカーブアウトの鍵となります。

    TSAの締結

    カーブアウトの実施において、TSA(トランジションサービスアグリーメント)の締結も大切です。TSAとは、親会社がカーブアウト後の新会社に対して一定期間、業務上必要なサービスや支援を提供する契約を指します。これにより、新会社は独立後もスムーズに事業運営を継続でき、移行期間中のリスクを軽減することが可能となります。

    TSAの締結が重要な理由は、カーブアウトによって親会社から切り離された新会社が、初期段階で十分な管理体制やシステムを整備できていない場合が多いためです。特に経営管理、ITシステム、人事・総務、経理業務などのバックオフィス業務は、親会社の支援なしでは円滑な運営が困難になるケースがあります。TSAにより、これらのサービスを一定期間確保し、新会社が独自の体制を整えるための猶予を得ることができます。

    TSAでカバーされるサービスの具体例には以下のようなものがあります。

    • ITインフラやシステムの利用・保守
    • 人事給与管理システムの提供
    • 経理・財務の報告支援
    • 法務・契約管理のサポート
    • 物流・購買業務の代行や支援
    • 顧客対応やカスタマーサービスの一部支援

    TSA締結時のポイントとしては、契約期間の設定、提供するサービスの範囲と水準の明確化、料金設定、サービス提供の責任範囲、契約終了時の移行計画の策定が挙げられます。これらを曖昧にすると、親会社と新会社の間でトラブルや業務停滞が発生する恐れがあるため、詳細かつ具体的な合意形成が不可欠です。

    また、TSAの終了後には新会社が自立して業務を遂行できるよう、移行計画に基づいた準備と実行が重要です。移行期間中に必要なノウハウの伝達やシステムの完全移管を確実に行い、親会社からの依存を段階的に減らすことが求められます。

    カーブアウトの事例

    カーブアウトは企業が特定の事業部門を切り出し、独立させることで経営資源の最適化や成長戦略を実現する手法です。ここでは、著名な企業によるカーブアウトの具体的な事例を紹介します。

    オリンパスの事例:映像事業カーブアウト

    オリンパス株式会社は映像事業を分社化し、日本産業パートナーズ株式会社(JIP)に譲渡する契約を締結しました。これにより、映像事業は新会社として独立し、オリンパスが培った技術やブランドを受け継ぎながら、新たな成長を目指すことになります。

    今回の分社化は、同事業の再構築を目的としており、JOM-DやPEN、ZUIKOといった世界的ブランドや光学技術、研究開発体制はそのまま引き継がれ、引き続き高品質な製品とサービスを提供する方針です。

    オリンパスとJIPは、事業移行を円滑に進めるとともに、新会社がグローバル市場で存在感を発揮できるよう支援していく計画です。今回の取り組みは、映像事業の新たな可能性を切り拓く大きな一歩として注目されています。

    参考:オリンパス映像事業譲渡に関するお知らせ

    ソニーの事例:PC事業のカーブアウト

    ソニー株式会社は、PC事業を切り離し、日本産業パートナーズ株式会社(JIP)に譲渡する方針を発表しました。この決定は、グローバルなPC市場の構造変化や事業ポートフォリオの見直しを背景に、モバイル事業への経営資源集中を図るための戦略的判断です。譲渡後、JIPが設立する新会社にPC事業や関連資産を承継し、VAIOブランドの継続と事業の独立運営を実現します。

    新会社は長野県安曇野市を拠点とし、ソニーのPC事業に従事していた社員250~300名で操業を開始します。初期段階では、日本市場を中心に商品構成を見直し、収益の安定化を目指します。JIPは、豊富な「戦略的カーブアウト」の実績を活かし、新会社が持つ技術やブランド力を最大限に活用しながら、成長と収益力の強化を支援していきます。

    また、ソニーは設立当初に5%を出資し、事業移行をサポートします。VAIOブランドを愛用する顧客への継続的なサポートを提供しつつ、新会社を通じてPC事業の新たな可能性を追求する姿勢を示しています。このカーブアウトは、独立事業体としての強みを活かし、VAIOブランドのさらなる発展を目指す重要な転機といえるでしょう。

    参考:PC事業の譲渡に関する意向確認書の締結について

    資生堂の事例:パーソナルケア事業のカーブアウト

    資生堂は、自社の事業ポートフォリオの再構築を進める中で、パーソナルケア事業を分社化し、グローバルな投資会社であるCVC Capital Partners(CVC)に譲渡する契約を締結しました。この決定は、資生堂がスキンビューティー領域を中核事業とし、2030年までに同分野で世界No.1を目指す戦略の一環です。譲渡後、資生堂は対象事業を運営する新会社の株主として参画し、CVCと共に事業の成長を支援します。

    譲渡されるパーソナルケア事業は、「TSUBAKI」や「SENKA」などのブランドを持ち、長年にわたり国内外で高い支持を受けてきました。資生堂は、同事業のさらなる成長には柔軟な経営体制や迅速な意思決定、そして積極的な成長投資が必要と判断し、CVCとのパートナーシップを選択しました。CVCは、世界23拠点を持つプライベートエクイティファンドであり、投資先企業の成長支援において豊富な実績があります。

    今回の分社化により、新会社はCVCの資金力と人的支援を受けながら、独立した経営体制のもとでさらなる発展を目指します。資生堂は株主として引き続き関与し、ブランド価値の向上と持続的な成長に貢献する計画です。

    参考:パーソナルケア事業譲渡に伴う会社分割(簡易吸収分割)等に関するお知らせ

    まとめ

    カーブアウトは、企業が特定の事業を分離し、効率的に経営資源を再配置するための重要な戦略です。この記事を通じて、カーブアウトの基本的な意味や目的、そしてスピンオフとの違いについて理解が深まったのではないでしょうか。特に、経営資源の集中や企業価値の向上を図りたいと考える企業にとって、カーブアウトは非常に有効な手段です。

    しかし、その実施にはさまざまな手順や注意点が伴います。もしあなたが企業の経営に携わっているなら、カーブアウトのメリットとデメリットをしっかりと理解し、最適な経営判断を行うことが重要です。具体的な事例を参考にしながら、実際のプロセスを検討してみてください。また、より詳しい情報や専門的なアドバイスが必要な場合は、専門家に相談することをおすすめします。これを機に、あなたの企業が新たな成長の道を見つけられることを期待しています。

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