法定福利費とは何パーセント?計算方法や内訳、福利厚生費との違い

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会社売却や事業承継を検討している経営者にとって、従業員の人件費構造を正確に把握することは重要な要素です。特に法定福利費は、給与以外にも企業が負担しなければならない社会保険料の総称であり、買い手企業にとっても重要な判断材料となります。法定福利費を適切に理解し管理することで、事業価値の評価や引継ぎ時の条件設定において有利な交渉を進めることができます。本記事では、法定福利費の基本的な概念から計算方法、会計処理まで、中小企業経営者が知っておくべきポイントを詳しく解説します。

法定福利費とは会社が負担する社会保険料の合計のこと

法定福利費とは、労働基準法や社会保険関連の法律によって事業主に負担が義務づけられている社会保険料や労働保険料の総称です。これらは従業員を雇用する企業が必ず支払わなければならない費用であり、給与とは別に発生する人件費として位置づけられています。

具体的には、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、労災保険料、介護保険料、児童手当拠出金などが含まれます。これらの費用は従業員の給与額に応じて自動的に発生するため、人件費を計算する際には必ず考慮しなければならない要素となります。

福利厚生費との違い

法定福利費と福利厚生費の最大の違いは、法的な義務の有無です。法定福利費は法律によって支払いが義務づけられているのに対し、福利厚生費は法定福利費以外に、企業が任意で従業員に提供する費用(法定外福利費)も含みます。

福利厚生費には、健康診断費用、慶弔見舞金、社員食堂の運営費、レクリエーション費用、住宅手当、通勤手当などが含まれます。これらは企業が従業員の働きやすさや満足度向上のために自主的に支出する費用であり、法定福利費とは性質が大きく異なります。

会社売却時には、法定福利費は継続して発生する固定的な人件費として扱われる一方、福利厚生費は買い手企業の方針によって変更される可能性があります。そのため、両者を明確に区別して管理することが重要です。

法的根拠と事業主の義務

法定福利費の支払い義務は、複数の法律によって定められています。健康保険法、厚生年金保険法、雇用保険法、労働者災害補償保険法、介護保険法などがその根拠となる法律です。

事業主には、従業員を雇用した時点でこれらの社会保険に加入させる義務が発生します。正社員だけでなく、一定の条件を満たすパートタイム労働者や契約社員も対象となるため、雇用形態に関わらず適切な対応が必要です。

法定福利費の支払いを怠った場合、延滞金や罰則が科せられる可能性があるため、企業経営において必須の管理項目となります。特に会社売却を検討している場合、未払いの法定福利費があると買い手企業からの評価に大きく影響するため、定期的な確認と適正な納付が欠かせません。

従業員負担と事業主負担の内訳

法定福利費の特徴として、従業員と事業主が保険料を分担する労使折半の仕組みがあります。ただし、すべての保険料が折半されるわけではなく、保険の種類によって負担割合が異なります。

健康保険料と厚生年金保険料は原則として労使折半となり、従業員の給与から半額が控除され、残りの半額を事業主が負担します。一方、雇用保険料は従業員と事業主の負担率が異なり、労災保険料と児童手当拠出金は事業主が全額負担する仕組みとなっています。

この負担構造を理解することで、実際の人件費の総額を正確に把握できるようになります。特に事業承継や会社売却の場面では、買い手企業に対して人件費の内訳を明確に説明できることが重要な要素となります。

適用対象となる給与の範囲

法定福利費の計算基礎となる給与の範囲は、基本給だけでなく各種手当も含まれます。具体的には、基本給、職務手当、家族手当、住宅手当、通勤手当、残業手当、賞与なども対象となります。

ただし、一時的な見舞金や慶弔金、現物給与の一部など、社会保険料の算定対象外となる給与もあるため、適正な判断が必要です。また、役員報酬についても社会保険の対象となるため、経営者や役員の報酬設定時には法定福利費も含めた総コストを考慮することが重要です。

給与の範囲を正確に把握することで、法定福利費の計算精度が向上し、人件費予算の策定や会社売却時の財務資料作成において信頼性の高い数値を提供できるようになります。

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    法定福利費に含まれる費用と計算方法

    法定福利費を構成する各種保険料には、それぞれ異なる計算方法と料率が設定されています。正確な法定福利費を算出するためには、各保険料の仕組みと計算方法を理解することが不可欠です。

    以下の表は、主要な法定福利費の種類と負担割合、計算基準をまとめたものです。

    保険の種類負担率計算基準
    健康保険料9.91%(東京都)
    事業主負担 4.955%
    従業員負担 4.955%
    標準報酬月額
    厚生年金保険料18.30%
    事業主負担 9.15%
    従業員負担 9.15%
    標準報酬月額
    雇用保険料1.45%
    事業主負担 0.90%
    従業員負担 0.55%
    総支給額
    労災保険料業種により異なる(事業主負担)総支給額
    介護保険料1.59%
    事業主負担 0.795%
    従業員負担 0.795%
    標準報酬月額
    自動手当拠出金0.36%(事業主負担)標準報酬月額

    ※年度によって異なる場合は令和7年度の保険料率を記載。

    健康保険料の計算方法とポイント

    健康保険料は、従業員の標準報酬月額に保険料率を乗じて計算します。標準報酬月額とは、従業員の基本給や諸手当を合計した額を、健康保険法で定められた等級表に当てはめて決定される金額です。

    健康保険料率は都道府県ごとに異なるため、事業所の所在地によって負担額が変わることに注意が必要です。一般的に料率は年1回見直されるため、最新の料率を確認して計算することが重要です。

    計算例として、標準報酬月額が30万円、健康保険料率が10.0%の場合、月額保険料は30,000円となり、従業員と事業主がそれぞれ15,000円ずつ負担することになります。賞与については標準賞与額に料率を乗じた計算方法が適用されます。

    厚生年金保険料の計算方法とポイント

    厚生年金保険料も健康保険料と同様に、標準報酬月額を基準として計算します。現在の保険料率は18.3%で、従業員と事業主が半分ずつ負担するため、それぞれ9.15%の負担率となります。

    厚生年金保険には標準報酬月額の上限と下限が設定されており、現在の上限は65万円、下限は8万8000円となっています。高額所得者の場合は上限額で計算され、低所得者の場合は下限額が適用されることがあります。(ただし2027年9月から上限75万円まで段階的に引き上げが決定)

    厚生年金保険料は将来の年金給付に直結するため、従業員にとって重要な保障制度の一部です。会社売却時には、買い手企業に対して適正な保険料納付が行われていることを証明できるよう、記録の整備が重要です。

    雇用保険料の計算方法とポイント

    雇用保険料は他の社会保険料とは異なり、標準報酬月額ではなく実際の給与総額を基準として計算します。従業員負担率は0.55%、事業主負担率は0.90%となっており、労使の負担割合が異なる点が特徴です。

    雇用保険料の計算には、基本給だけでなく残業手当や諸手当も含めた総支給額を使用するため、毎月の給与変動が保険料に直接反映されます。この点で他の社会保険料との計算方法が異なるため、注意深く計算する必要があります。

    建設業など一部の業種では事業主負担率が異なる場合があるため、自社の業種に応じた正しい料率を確認することが重要です。

    介護保険料の計算方法とポイント

    介護保険料は、40歳以上65歳未満の従業員が対象となる保険料です。健康保険料と同様に標準報酬月額を基準として計算し、令和7年度の保険料率は1.59%で労使折半となっています。

    介護保険料の特徴は、年齢による適用の開始と終了があることです。企業は従業員が40歳になった月から保険料の徴収が始まり、65歳の誕生日の前日の月で終了します。そのため、従業員の年齢構成によって会社全体の介護保険料負担が変動します。

    会社売却を検討している企業では、従業員の年齢構成が将来の法定福利費負担に与える影響を分析し、買い手企業に対して適切な情報提供を行うことが重要です。

    労災保険料の計算方法とポイント

    労災保険料は事業主が全額負担する保険料で、従業員からの控除はありません。保険料率は業種によって大きく異なり、危険度の高い建設業や製造業では高い料率が設定されています。

    計算基準は雇用保険料と同様に給与総額を使用し、年度末に確定精算を行う仕組みとなっています。まず前年度の実績に基づいて概算した保険料を納付し、確定した給与総額で過不足を調整します。

    労災保険料率は3年ごとに見直されるため、業界の災害状況によって料率が変動する可能性があります。自社の業種に適用される最新の料率を定期的に確認し、適正な保険料計算を行うことが重要です。

    児童手当拠出金など地域特有の負担の扱い

    児童手当拠出金は事業主が全額負担する費用で、現在の拠出率は0.36%となっています。標準報酬月額を基準として計算し、健康保険料や厚生年金保険料と合わせて徴収されます。

    地域によっては、これ以外にも特別な拠出金や負担金が課せられる場合があります。例えば、一部の自治体では地域の雇用促進や産業振興のための特別な負担を求められることがあります。

    これらの地域特有の負担についても、法定福利費の一部として適切に管理し、会社売却時には買い手企業に対して明確に説明できるよう準備しておくことが重要です。

    保険料率の確認先と改定の反映方法

    各種社会保険の料率は定期的に改定されるため、最新の情報を常に把握しておく必要があります。健康保険料率は全国健康保険協会や各健康保険組合、厚生年金保険料率は日本年金機構、雇用保険料率は厚生労働省のホームページで確認できます。

    料率改定の情報は通常、実施日の数か月前に公表されるため、給与計算システムの更新や従業員への周知を適切なタイミングで行うことが重要です。特に4月は多くの料率改定が行われる時期であるため、注意深く対応する必要があります。

    会社売却を検討している企業では、料率改定による法定福利費の変動が事業価値評価に与える影響を考慮し、最新の料率に基づいた正確な人件費計算を行うことが不可欠です

    法定福利費を見積書と会計で扱う方法と注意点

    法定福利費の適切な管理は、見積書作成から会計処理まで一貫した仕組みが必要です。特に建設業界では公共工事の積算基準として法定福利費の明示が義務化されており、民間工事でもその傾向が広がっています。

    会社売却を検討している企業にとって、法定福利費の透明性と適正な会計処理は買い手企業からの信頼を獲得するための重要な要素となります。以下では、実務での取り扱い方法と注意点を詳しく解説します。

    見積書で法定福利費を明示する理由

    見積書に法定福利費を明示する主な目的は、人件費の透明性確保と適正な価格設定の実現です。従来は人件費に法定福利費が含まれた形で見積もりが作成されることが多く、実際の負担額が不明確という問題がありました。

    法定福利費を明示することで、発注者と受注者の間で人件費構造の共通理解が生まれ、適正な対価での契約締結が可能になります。また、下請け企業においても法定福利費相当分の確保が容易になり、従業員の雇用環境改善につながります。

    建設業界では国土交通省の指導により法定福利費の明示が推進されており、公共工事では標準的な運用となっています。他の業界でも同様の動きが広がりつつあるため、早期の対応が競争優位性確保につながります。

    見積書の作成手順と表示の具体例

    法定福利費を含む見積書の作成では、まず直接工事費、共通仮設費、現場管理費、一般管理費等の従来項目を積算し、その後で法定福利費を別途計算して明示します。

    具体的な表示方法としては、以下のような形式が一般的です。工事費、材料費、労務費の項目ごとに内訳を記載し、労務費については基本労務費と法定福利費を分けて表示します。法定福利費率については、健康保険、厚生年金、雇用保険等の合計で労務費の約15~20%程度となることが多いです。法定福利費率の算定では、以下の要素を考慮します。

    • 直接労務費に対する法定福利費率の適用
    • 職種別の標準料率の使用
    • 地域別料率の考慮
    • 季節変動要因の調整

    会計処理の仕訳と勘定科目の扱い

    法定福利費の会計処理では、支払時期と計上時期の関係を正しく理解することが重要です。社会保険料は翌月末払いが一般的であるため、当月分の給与に対する法定福利費は翌月に現金支出されます。

    基本的な仕訳は、給与計算時に「法定福利費」勘定で費用計上し、「未払金」勘定で負債計上します。実際の支払時には「未払金」勘定を取り崩して現金支払いの処理を行います。この処理により、発生主義会計の原則に従った適正な期間損益計算が可能になります。

    月次決算の精度向上のためには、法定福利費の見積計上を行い、確定値との差異を翌月で調整する方法が有効です。特に賞与支給月は法定福利費の金額が大きくなるため、事前の見積計上が重要になります。

    税務上の取り扱いと損金算入のポイント

    法定福利費は法人税法上、全額損金算入が認められる費用です。そのため、会計上は費用として計上しますが、税務上は損金として扱います。国税および地方税の滞納による延滞金や加算金は損金不算入ですが、保険料の延滞金は損金算入が認められています。また、役員に対する社会保険料についても損金算入が可能です。

    税務調査において法定福利費の適正性が問われることがあるため、計算根拠資料や支払証明書類の整備保管が重要です。特に会社売却時のデューデリジェンスでは、これらの資料が詳細に確認されることが予想されます。

    元請けと下請けそれぞれの注意点

    元請け企業では、下請け企業との契約において法定福利費に相当する金額が適正に含まれているかを確認する必要があります。下請け企業の法定福利費の負担能力を超えた価格での発注は、結果的に下請け企業の経営悪化や品質低下につながる可能性があります。

    下請け企業においては、受注価格に法定福利費相当分が適切に反映されているかを慎重に検討し、必要に応じて元請け企業との価格交渉を行うことが重要です。法定福利費を考慮しない低価格での受注は、従業員の雇用維持や企業の持続可能性に悪影響を与えます。

    建設業界では、適正な法定福利費の確保が働き方改革や人材確保につながるため、業界全体での取り組みが重要視されています

    よくある間違いと現場での対策

    法定福利費の計算や処理において最も多い間違いは、料率の適用誤りと計算基準の取り違えです。健康保険料と厚生年金保険料は標準報酬月額ベース、雇用保険料と労災保険料は総支給額ベースという違いを正確に理解することが重要です。

    また、従業員の入退社時期による保険料の日割り計算や、賞与支給時の特別な計算方法についても注意が必要です。これらの処理を誤ると、過不足支払いが発生し、後日の調整作業が複雑になります。

    現場での対策として、以下の点が効果的です。

    • 給与計算システムの料率自動更新機能の活用
    • 月次チェックリストによる計算確認
    • 社会保険事務所との定期的な照合
    • 専門家による年次レビューの実施

    助成金や軽減制度で負担を抑える方法

    中小企業では、法定福利費の負担軽減を図るための各種制度を活用することができます。例えば、キャリアアップ助成金や人材確保等支援助成金などは、正社員化や処遇改善に伴う費用を一部補助する制度です。これらの制度の活用により企業の経済負担を抑えることが可能です。

    会社売却を検討している企業では、これらの制度活用実績が人事労務管理の優秀性を示すポイントとなり、買い手企業からの評価向上につながる可能性があります。制度の詳細については、社会保険労務士等の専門家に相談することをお勧めします。

    まとめ

    法定福利費は企業が従業員を雇用する上で避けて通れない重要なコストであり、給与の約15~20%に相当する大きな負担となります。健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、労災保険料、介護保険料、児童手当拠出金など、それぞれ異なる計算方法と負担割合を持つため、正確な理解と適切な管理が不可欠です。

    見積書への明示や会計処理においても、透明性と正確性が求められており、特に建設業界では法定福利費の別途計上が標準的な運用となっています。料率の定期的な確認と更新、計算基準の正しい適用、助成金制度の活用などにより、適正な法定福利費管理を実現できます。

    会社売却や事業承継を検討している経営者にとって、法定福利費の適正な管理と透明性確保は、買い手企業からの信頼獲得と適正な企業価値評価につながる重要な要素となります。法定福利費を含む人件費構造の整備は、M&Aプロセスにおける競争優位性確保のためにも欠かせない準備項目の一つです。

    M&Aロイヤルアドバイザリーでは、M&Aや事業承継に関するご相談を承っております。会社売却をご検討の際にはぜひお気軽にお問合せください。

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