投資の確定申告は必要?不要?20万円ルールと5つの節税方法を解説 

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株式投資やFXなどで利益を得た場合、確定申告が必要になるケースがあります。給与所得者なら20万円、専業主婦(夫)なら48万円という基準があり、利用している口座の種類によっても申告の要否が変わります。 

しかし、確定申告は単なる義務ではありません。損益通算や繰越控除、配当控除などの制度を活用することで、年間数万円から数十万円の節税効果を得ることも可能です。特に投資で損失が出た年でも、適切に申告することで将来3年間の税負担を軽減できます。 

本記事では、投資の確定申告が必要な条件から、具体的な節税テクニック、必要書類の準備方法まで、投資家が知っておくべき確定申告の全てを詳しく解説します。正しい知識を身につけて、賢く節税しながら投資収益を最大化しましょう。 

投資の確定申告が必要な人と不要な人の違いとは

投資による利益が発生した場合の確定申告の必要性は、あなたの職業や所得状況、利用している口座の種類によって大きく異なります。適切な判断をするためには、まず自分がどのカテゴリーに該当するかを正確に把握することが重要です。 

給与所得者は投資利益20万円超で申告が必要 

会社員やパート・アルバイトなどの給与所得者の場合、投資による利益が年間20万円を超えると確定申告が必要になります。この「20万円ルール」は、給与所得以外の所得に適用される重要な基準です。 具体的には、年間の給与収入が2,000万円以下で、かつ投資などの副業による所得が20万円以下の場合に限り、確定申告は不要となります。

ただし、この基準は所得税の確定申告が不要になるというだけで、原則として住民税の申告は別途必要になります。所得税の確定申告を行えばその情報が市区町村に連携されるため住民税の申告も兼ねることができますが、確定申告をしない場合は、お住まいの市区町村へ住民税の申告をしなければなりません。 

注意すべき点として、複数の投資で利益を得ている場合は、すべての投資利益を合算して20万円を超えるかどうかで判断します。株式投資で15万円、FXで8万円の利益があれば、合計23万円となり確定申告の対象になります。 

また、給与所得が2,000万円を超える高所得者の場合は、投資利益の金額にかかわらず確定申告が必要です。 

※参照:国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」 

個人事業主と会社経営者の申告基準 

 個人事業主や会社経営者などの事業所得者は、給与所得者とは異なる基準が適用されます。事業を営んでいる方は、投資利益の金額にかかわらず、すべての所得を確定申告で申告する必要があります。 

個人事業主の場合、事業所得と投資による所得を合算して、基礎控除額の48万円を差し引いた金額がプラスになれば確定申告が必要です。つまり、事業所得がゼロの場合でも、投資利益が48万円を超えれば申告義務が発生します。 

会社経営者についても同様で、役員報酬以外の投資所得はすべて申告対象となります。特に中小企業のM&Aを検討している経営者の場合、株式売却による譲渡所得は大きな金額になることが多いため、税理士と相談しながら適切な申告を行うことが重要です。 

専業主婦(夫)など他に所得がない方の場合は、投資利益が基礎控除額以下であれば確定申告は不要です。現行制度では48万円ですが、令和7年(2025年)分以降の所得税の申告では、基礎控除額が引き上げられます。 

※参照:令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について

特定口座(源泉徴収あり)を選べば申告不要 

投資口座の種類によっても、確定申告の必要性は大きく変わります。特に「特定口座(源泉徴収あり)」を利用している場合は、投資利益の金額にかかわらず確定申告が不要になります。 

特定口座(源泉徴収あり)では、証券会社が投資家に代わって税金を源泉徴収し、税務署に納付してくれます。そのため、投資家は確定申告をする必要がありません。ただし、複数の口座で損益通算をしたい場合や、配当控除を受けたい場合は、任意で確定申告を行うことができます。 

一方、特定口座(源泉徴収なし)や一般口座を利用している場合は、利益が発生すれば確定申告が必要です。特定口座(源泉徴収なし)では年間取引報告書が作成されるため申告書作成は比較的簡単ですが、一般口座では自分で取引記録を整理して損益を計算する必要があります。 

NISA口座やつみたてNISA口座で運用している投資については、利益が非課税となるため確定申告は不要です。ただし、NISA口座内で損失が発生した場合、他の口座の利益との損益通算はできない点に注意が必要です。 

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    投資の確定申告で対象となる所得の種類と税率

    投資による利益は、所得税法上において種類によって異なる税率が適用されます。投資家として適切な税務処理を行うためには、どのような所得がどの税率で課税されるかを正確に理解することが重要です。 

    株式の譲渡益は分離課税で20.315% 

    株式を売却して得た利益は「譲渡所得」として、他の所得とは分離して課税される「申告分離課税」の対象となります。現行の税率は一律20.315%で、内訳は所得税15.315%(復興特別所得税0.315%を含む)と住民税5%です。 

    上場株式等と一般株式等(非上場株式等)は別々に計算され、それぞれの間での損益通算はできません。つまり、上場株式で損失が出ても、一般株式の利益から差し引くことはできないということです。 

    譲渡所得の計算式は「譲渡価格-(取得費+委託手数料等の必要経費)=譲渡所得」となります。取得費には株式購入時の代金や手数料などが含まれます。譲渡費用として認められるのは、売却時の手数料など、売却に直接要した費用に限定され、確定申告を依頼した税理士費用などは含まれません。 

    注意すべき点として、2025年分の所得から年間合計所得金額が30億円を超えるような超富裕層を対象に「ミニマムタックス」が導入されます。これにより、対象者の金融所得に対する実質的な税率が最大で22.5%になる可能性があります。 

    ※参照:国税庁「No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」 

    配当金の3つの課税方式を使い分ける 

    株式の配当金については、納税者が3つの課税方式から選択できます。それぞれ税率や手続きが異なるため、所得状況に応じて最も有利な方式を選択することが重要です。 

    配当金の課税方式は以下の3つから選択可能です。 

    • 申告不要制度:20.315%で源泉徴収済み、手続き最も簡単
    • 申告分離課税:20.315%、譲渡損失との損益通算が可能
    • 総合課税:累進課税、配当控除適用で課税所得695万円以下なら有利 

    申告不要制度は、配当金の支払時に20.315%の税率で源泉徴収され、確定申告をせずに納税が完了する方式です。手続きが最も簡単で、多くの投資家が利用しています。 

    申告分離課税は、配当所得を他の所得と分離して税額を計算する方式で、税率は申告不要制度と同じ20.315%です。ただし、株式の売却損失がある場合は損益通算が可能で、源泉徴収された税金の還付を受けることができます。 

    総合課税は、配当所得を給与所得などと合算して累進課税で計算する方式です。配当控除の適用により、課税所得が695万円以下の場合は他の方式よりも税負担が軽くなる可能性があります。

    ■課税所得1,000万円以下

    • 所得税控除率:配当所得×10%
    • 住民税控除率:配当所得×2.8%

    ■課税所得1,000万円超え

    • 所得税控除率:配当所得のうち1,000万円を超えた部分×0.5%+それ以外の部分×10%
    • 住民税控除率:配当所得のうち1,000万円を超えた部分×1.4%+それ以外の部分×2.8%

    配当控除率は課税所得1,000万円以下で10%(所得税)、1,000万円超で5%となっています。 

    注意点として、2023年(令和5年)分の確定申告から、所得税と住民税で異なる課税方式を選ぶことはできなくなりました。以前は可能だった「所得税は総合課税、住民税は申告不要」という選択ができなくなったため、総合課税を選ぶと、その所得は住民税や国民健康保険料の算定基礎にも自動的に含まれます。したがって、配当控除による減税額と、社会保険料などの負担増を総合的に比較して判断することがより重要になっています。 

    ※参照:国税庁「No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得)」 

    M&A後の株式売却益も譲渡所得として申告 

    中小企業のM&Aにおいて、個人株主が株式を売却した場合の利益も譲渡所得として申告分離課税の対象となります。M&Aでは売却金額が高額になることが多く、税務処理には特に注意が必要です。 

    個人がM&Aで株式を売却した場合、譲渡所得に対して20.315%の税率が適用されます。例えば、譲渡価格1億1,000万円、取得費等1,000万円の場合、譲渡所得1億円に対して約2,031万円の税金が発生します。 

    一方、法人がM&Aで株式を売却した場合は、譲渡益を他の事業利益と合算して法人税等が課されます。法人税の実効税率は企業規模により異なりますが、おおむね30%程度となっており、個人よりも高い税率が適用されます。 

    M&Aにおける株式譲渡では、売却と同時に役員退職金を支給することで、全体の税負担を軽減できる場合があります。退職所得は分離課税で勤続年数に応じた退職所得控除が適用されるため、譲渡所得よりも税率が低くなるケースが多いです。このような節税手法については、M&A専門のアドバイザーや税理士に相談することをお勧めします。 

    投資で損失が出ても確定申告すべき3つのケース

    投資で損失が発生した場合、原則として確定申告の義務はありません。しかし、確定申告を行うことで税金を節約できるケースが3つあります。これらの制度を活用することで、損失を将来の節税に活かすことができます。 

    複数口座間で損益を相殺したいケース 

    複数の証券会社で取引を行っている場合、口座間での損益通算により税負担を軽減することができます。損益通算とは、上場株式等の譲渡損失をその年の利子・配当所得と相殺する制度です。 

    例えば、A証券会社で60万円の配当所得があり、B証券会社で20万円の譲渡損失が出た場合を考えてみましょう。通常であれば、A証券会社の配当所得60万円に対して約12万2千円(60万円×20.315%)の税金が源泉徴収されます。 

    しかし、確定申告で損益通算を行うことで、配当所得60万円から譲渡損失20万円を差し引いた40万円が課税対象となります。この結果、源泉徴収された税金のうち約4万1千円(20万円×20.315%)が還付されることになります。 

    損益通算を行うためには、配当所得について申告分離課税を選択して確定申告を行う必要があります。特定口座(源泉徴収あり)を利用していても、あえて確定申告することでこのメリットを受けることができます。 

    ※参照:国税庁「No.2250 損益通算」 

    翌年以降の節税に備えて繰り越すケース 

    譲渡損失が大きく、その年の利子・配当所得だけでは損益通算しきれない場合、繰越控除制度を活用することで翌年以降3年間にわたって損失を繰り越すことができます。 

    具体的な例で説明すると、2024年に200万円の譲渡損失と10万円の配当所得があった場合、損益通算後も190万円の損失が残ります。この190万円は翌年以降3年間にわたり、上場株式等の譲渡益や配当所得から控除することができます。 

    2025年に100万円の利益が出た場合、前年から繰り越した損失190万円のうち100万円を相殺し、課税対象利益は0円となります。残りの損失90万円は2026年まで繰り越され、その年の利益と相殺できます。 

    ただし、繰越控除の適用を受けるためには、損失が発生した年から繰越期間中まで毎年連続して確定申告を行う必要があります。株式取引を行わなかった年でも申告が必要な点にご注意ください。 

    ※参照:国税庁「No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」 

    配当金の源泉徴収税を取り戻したいケース 

    配当金を受け取る際に源泉徴収された税金を還付したい場合も、確定申告を行うメリットがあります。特に譲渡損失がある年は、申告分離課税を選択することで配当金の源泉徴収税の一部または全部が還付される可能性があります。 

    例えば、年間の配当所得が20万円あり、譲渡損失が30万円出た場合、配当金から源泉徴収された約4万1千円(20万円×20.315%)は全額還付されます。さらに、残った譲渡損失10万円は翌年以降に繰り越すことも可能です。 

    特定口座(源泉徴収あり)で配当金の受取方法を「株式数比例配分方式」に設定している場合、同一口座内で自動的に損益通算が行われ、年内最終営業日の翌日に還付金が証券口座に入金されます。ただし、複数口座間での損益通算を希望する場合は、確定申告が必要です。 

    なお、NISA口座やつみたてNISA口座で発生した損失は、これらの制度の対象外となるため、他の口座の利益や配当所得との損益通算はできません。 

    投資の確定申告で活用すべき5つの節税テクニック

    投資による税負担を適法に軽減するためには、確定申告を活用した戦略的なアプローチが必要です。ここでは、個人投資家が実際に活用できる5つの節税テクニックを、具体的な数値例とともに詳しく解説します。 

    損益通算で複数口座の損益を相殺する 

    複数の証券会社で取引を行っている場合、確定申告により口座間で損益通算を行うことで大幅な節税が可能です。損益通算とは、上場株式等の譲渡損失をその年の配当所得・利子所得と相殺する制度です。 

    損益通算の主なメリットは以下の通りです。 

    • 複数口座間での損失と利益の相殺が可能
    • 源泉徴収済みの税金の還付を受けられる
    • 同じ「上場株式等」のグループ内であれば異なる投資商品間でも損益通算が適用される 

    具体例で説明すると、A証券で年間100万円の利益、B証券で80万円の損失が出た場合を考えてみましょう。特定口座(源泉徴収あり)では、A証券の利益100万円に対して約20万3千円(100万円×20.315%)の税金が源泉徴収されます。 

    しかし、確定申告で損益通算を行うことで、実質的な利益は20万円(100万円-80万円)となり、納税額は約4万1千円(20万円×20.315%)に減額されます。この結果、約16万2千円の税金還付を受けることができます。 

    損益通算は、上場株式や株式投資信託、公社債など、同じ「上場株式等」のグループ内で行うことができます。例えば、株式の譲渡損失と投資信託の利益を相殺することは可能です。しかし、所得の区分が異なる金融商品間では損益通算はできません。例えば、株式の利益(譲渡所得)とFXの損失(雑所得)を相殺することはできないため注意が必要です。 

    繰越控除で最大3年間損失を繰り越す 

    投資で大きな損失が発生した年は、繰越控除制度を活用することで翌年以降3年間にわたって節税効果を得ることができます。この制度により、損失が発生した年だけでなく、将来の投資収益に対する税負担も軽減できます。 

    例えば、2024年に300万円の譲渡損失が発生し、配当所得が20万円あった場合、損益通算後も280万円の損失が残ります。この280万円は2025年から2027年まで繰り越すことができます。 

    2025年に150万円、2026年に100万円、2027年に50万円の利益が出た場合の節税効果を計算してみましょう。2025年は繰越損失280万円のうち150万円を相殺して課税所得0円、2026年は残り130万円のうち100万円を相殺して課税所得0円、2027年は残り30万円を50万円から相殺して課税所得20万円となります。 

    通常であれば300万円の利益に対して約61万円の税金がかかるところ、繰越控除により20万円の利益に対する約4万1千円の税金のみで済み、約57万円の節税効果を得られます。 

    配当控除を受けるための総合課税の選択 

    配当所得について総合課税を選択することで、配当控除の適用を受けて税負担を軽減できる場合があります。この方法は特に中低所得者にとって大きなメリットがあります。 

    配当控除は、課税所得金額に応じて適用率が変わります。課税所得1,000万円以下の場合、所得税で配当所得の10%、住民税で2.8%の控除が受けられます。これにより、実質的な税率を大幅に引き下げることが可能です。 

    課税所得が500万円で年間配当所得が50万円ある場合を例に計算してみましょう。申告不要制度では50万円×20.315%=約10万2千円の税負担となります。一方、総合課税を選択した場合、所得税率20%から配当控除10%を差し引いた10%、住民税率10%から配当控除2.8%を差し引いた7.2%の合計17.2%が実質税率となります。 

    総合課税での税負担は50万円×17.2%=約8万6千円となり、約1万6千円の節税効果を得られます。ただし、課税所得が695万円を超える場合は申告不要制度の方が有利になるため、事前の試算が重要です。 

    源泉徴収済みの税金を取り戻す方法 

    配当金や利子から源泉徴収された税金は、申告分離課税を選択することで還付を受けられる場合があります。特に譲渡損失がある年は、この制度を積極的に活用すべきです。 

    年間の配当所得が30万円あり、株式投資で50万円の譲渡損失が出た場合を例に説明します。配当金からは約6万1千円(30万円×20.315%)が源泉徴収されていますが、申告分離課税を選択して損益通算を行うことで、この税金を全額還付することができます。 

    さらに、損益通算後も20万円の損失が残るため、この金額は翌年以降に繰り越すことも可能です。つまり、一度の確定申告で現在の還付と将来の節税の両方を実現できるのです。 

    特定口座(源泉徴収あり)で配当金の受取方法を「株式数比例配分方式」に設定している場合、同一口座内で自動的に損益通算が行われるため、確定申告をしなくても還付を受けることができます。ただし、異なる証券会社間での損益通算を希望する場合は、確定申告が必要となります。 

    投資関連の必要経費を漏れなく計上する 

    投資の利益にかかる税金を計算する際、必要経費を差し引くことができますが、経費として認められる範囲は所得の種類によって全く異なります。 

    【株式投資(譲渡所得)の場合】 

    株式の売買による利益は「譲渡所得」に分類され、経費として認められるのは、その株式の「取得費(購入代金や手数料)」と、売却時にかかった「譲渡費用(証券会社の手数料など)」に厳密に限定されます。投資情報の購読料、セミナー参加費、パソコン代、通信費などは、株式の譲渡所得の計算上、必要経費として認められません。 

    【FXや暗号資産取引(雑所得)の場合】 

    FXや暗号資産取引による利益は、多くの場合「雑所得」に分類されます。この場合、利益を得るために直接必要だった費用は経費として計上できます。例えば、取引手数料のほか、FX取引のために使用したパソコンの購入費用(使用割合に応じて按分)、セミナー参加費、関連書籍代、インターネット通信費(使用割合に応じて按分)などが該当する可能性があります。 

    このように、経費の範囲は投資対象によって大きく異なるため、ご自身の取引がどの所得に該当するのかを正しく理解することが極めて重要です。 

    投資の確定申告に必要な書類と事前準備

    投資の確定申告をスムーズに進めるためには、事前の書類準備と整理が欠かせません。必要な書類を漏れなく準備し、効率的に整理することで、申告期間中の混乱を避け、正確な申告書を作成することができます。 

    投資の確定申告で必要となる5つの書類 

    投資の確定申告では、基本的な申告書類と投資関連の専用書類が必要になります。必要書類は以下の5つです。 

    • 確定申告書第一表・第二表:全ての申告者に必要な基本書類
    • 確定申告書第三表(分離課税用):投資利益がある場合に必要
    • 株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書:損益計算用の専用書類
    • 特定口座年間取引報告書:証券会社から1月末までに交付
    • 本人確認書類:マイナンバーカードまたは通知カード+身分証明書 

    まず基本書類として、確定申告書第一表・第二表が全ての申告者に必要です。投資利益がある場合は、申告分離課税用の第三表も作成する必要があります。 

    投資特有の書類として最も重要なのが「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」です。この書類では、年間の売買取引をまとめて損益を計算し、申告書への転記データを作成します。複数の証券会社で取引している場合は、すべての口座の取引を合算して記載します。 

    特定口座を利用している場合、証券会社から交付される「特定口座年間取引報告書」が申告書作成に必要です。ただし、税制改正により2019年4月1日以降に提出する確定申告書については、この報告書の添付は不要になりました。申告書を作成する際に手元で確認するための書類となります。 

    本人確認書類として、マイナンバーカードまたは通知カード+身分証明書の提示が必要です。電子申告(e-Tax)を利用する場合は、マイナンバーカードを推奨します。給与所得者の場合は、勤務先から交付される源泉徴収票も必要となります。 

    損失の繰越控除を行う場合は「所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除用)」の作成・提出が必要です。この付表は繰越期間中、毎年継続して提出する必要があります。 

    投資の確定申告の事前準備3ステップ 

    効率的な確定申告を行うために、準備を3つのステップに分けて進めることをお勧めします。計画的に進めることで、申告期間中の混乱を避けることができます。 

    事前準備の3ステップは以下の通りです。 

    • ステップ1:口座種別と取引実績の把握
    • ステップ2:必要書類の収集と整理
    • ステップ3:申告方式の決定と税額試算 

    第一ステップとして、自分が利用している投資口座の種類と年間取引実績を正確に把握しましょう。 

    特定口座(源泉徴収あり・なし)、一般口座、NISA口座それぞれで確定申告の要否や必要書類が異なります。証券会社から送付される年間取引報告書や残高報告書を確認し、各口座での損益状況を整理します。複数の証券会社で取引している場合は、すべての口座情報をリストアップしておきましょう。 

    第二ステップでは、確定申告に必要な書類を漏れなく収集します。各証券会社から送付される特定口座年間取引報告書は、通常1月中旬から下旬にかけて届きます。一般口座の場合は、自分で取引記録をまとめて損益計算を行う必要があります。 

    給与所得者は勤務先からの源泉徴収票、個人事業主は青色申告決算書や白色申告の収支内訳書など、投資以外の所得に関する書類も同時に準備します。マイナンバーカードや本人確認書類も事前に用意し、有効期限などに問題がないか確認しておきましょう。 

    第三ステップとして、どの申告方式を選択するかを決定し、概算の税額を試算します。配当所得については申告不要・申告分離課税・総合課税の3つから選択でき、所得水準によって有利な方式が異なります。損益通算や繰越控除の適用可能性も含めて、最も節税効果の高い申告方法を検討しましょう。 

    投資の確定申告で書類を効率的に整理する方法 

    投資関連書類の整理では、証券会社別・商品別・時系列での分類が効果的です。まず、証券会社ごとに書類をファイリングし、各社の年間取引報告書、月次残高報告書、取引報告書を一箇所にまとめます。複数社で取引している場合は、会社名を明記したクリアファイルやフォルダを用意しましょう。 

    次に、株式・投資信託・債券・FXなど商品種別での整理を行います。税法上の取り扱いが異なる商品は、申告時に別々に計算する必要があるため、事前の分類が重要です。上場株式等と一般株式等、国内商品と海外商品の区別も明確にしておきます。 

    デジタル化も効率化には欠かせません。各証券会社のオンラインサービスから電子交付される書類は、PDFファイルとして保存し、フォルダ名に会社名と年度を付けて管理します。「○○証券_2024年度」のような命名規則を統一することで、後から探しやすくなります。 

    取引頻度が多い投資家は、月次または四半期ごとの中間整理を行うことをお勧めします。年末にまとめて整理しようとすると、大量の書類に圧倒されて漏れやミスが生じやすくなります。定期的な整理により、確定申告時期の負担を大幅に軽減できるでしょう。 

    書類の保管期間についても留意が必要です。確定申告書類は法定保存期間として5年間(青色申告の場合は7年間)の保管義務があります。投資関連書類についても同様の期間保管し、税務調査などに備えることが重要です。 

    投資の確定申告を効率的に行う3つの方法

    投資の確定申告は複雑な計算が伴うため、適切なツールを使用することで作業効率と正確性を大幅に向上させることができます。自分の投資規模や取引頻度、ITスキルに応じて最適な方法を選択することが重要です。 

    国税庁の確定申告書等作成コーナーを活用する 

    国税庁が提供する「確定申告書等作成コーナー」は、無料で利用できるWebベースの申告書作成システムです。投資初心者から中級者まで幅広く対応でき、画面の指示に従って入力するだけで正確な申告書を作成できます。 

    確定申告書等作成コーナーの主な特徴は以下の通りです。 

    • 完全無料で利用可能
    • 投資計算の自動処理機能
    • 初心者にも分かりやすいガイド機能
    • 印刷・郵送とe-Tax両方に対応 

    このシステムの最大の利点は、投資に関する複雑な計算を自動で行ってくれることです。特定口座年間取引報告書の数値を入力するだけで、譲渡所得の計算や税額計算が自動的に実行されます。損益通算や繰越控除の計算も、必要事項を入力すれば自動で処理されるため、計算ミスのリスクを大幅に軽減できます。 

    作成した申告書は、印刷して税務署に郵送するか、e-Taxを通じて電子申告することができます。初回利用時は操作に慣れるまで時間がかかる場合がありますが、投資取引が比較的シンプルで、年に一度の申告であれば十分に対応可能です。 

    ただし、極めて複雑な投資取引や、大量のデータ入力が必要な場合は作業効率が劣る場合があります。また、過去のデータを保存・活用する機能は限定的なため、毎年一から入力し直す必要があります。 

    e-Taxで自宅から電子申告する手順 

    e-Tax(国税電子申告・納税システム)は、インターネットを通じて確定申告から納税まで電子的に完結できるシステムです。24時間いつでも申告でき、税務署に出向く必要がないため、忙しい投資家にとって非常に便利な方法です。 

    e-Taxの主なメリットは以下の通りです。

    • 24時間365日いつでも申告可能
    • 還付金の受取が2~3週間早い
    • 添付書類の省略が可能
    • 青色申告特別控除65万円の適用要件 

    e-Taxを利用する最大のメリットは申告手続きの迅速性です。還付申告の場合、通常の郵送申告より2~3週間早く還付金を受け取ることができます。投資で損益通算による還付を受ける場合、この時間短縮は大きなメリットとなります。 

    e-Taxの利用には、マイナンバーカードとICカードリーダー、またはマイナンバーカード読み取り対応のスマートフォンが必要です。事前にe-Tax利用開始届出書の提出と利用者識別番号の取得が必要ですが、一度設定すれば翌年以降は簡単にアクセスできます。 

    申告書の作成は前述の確定申告書等作成コーナーを使用し、完成した申告書をe-Tax経由で送信します。電子申告により、添付書類の省略や、申告書の控えが電子データで保管される利便性も享受できます。 

    個人事業主として青色申告を行っている投資家の場合、e-Taxを利用することで青色申告特別控除が65万円に増額されるため、大きな節税メリットを得ることができます。 

    会計ソフトで自動計算して申告する 

    投資規模が大きく、複数の証券会社で頻繁に取引を行っている場合は、市販の会計ソフトの活用が効果的です。会計ソフトは初期費用がかかりますが、高度な自動化機能により大幅な時間短縮と正確性向上を実現できます。 

    会計ソフトの主な特徴は以下の通りです。 

    • 銀行・証券口座との自動連携機能
    • 複雑な投資計算の自動処理
    • 過去データの保存・活用が可能
    • 税制改正への自動対応 

    最新の会計ソフトには、銀行口座や証券口座との自動連携機能が搭載されており、取引データを自動取得して仕訳を生成します。これにより、手動でのデータ入力作業を大幅に削減でき、入力ミスのリスクも最小限に抑えることができます。 

    特に投資に特化した機能として、複雑な投資商品の損益計算、配当・分配金の処理、外貨建て資産の換算計算などを自動で行います。クラウド型の会計ソフトであれば、スマートフォンアプリからも取引データを確認・修正でき、リアルタイムで損益状況を把握することが可能です。 

    多くの会計ソフトでは、過去の申告データを保存・活用できるため、繰越控除の管理や前年同期比較なども簡単に行えます。また、税制改正への対応も自動で行われるため、常に最新の税法に基づいた正確な計算を行うことができます。 

    費用対効果を考慮すると、年間の投資取引が数百件を超える場合や、複数の投資商品を組み合わせて運用している場合は、会計ソフトの導入を強く推奨します。初期の設定や操作方法の習得には時間がかかりますが、長期的には大きな時間節約と申告精度の向上を実現できるでしょう。 

    投資の確定申告でよくある質問

    投資の確定申告を検討する際に、多くの方が抱く疑問や不安があります。ここでは、実際によく寄せられる3つの質問について、具体例を交えながら分かりやすく解説します。 

    投資の確定申告をすると配偶者控除から外れますか? 

    投資の確定申告を行うかどうかによって、配偶者控除の適用可否が変わる場合があります。特定口座(源泉徴収あり)で申告不要制度を選択している場合は、合計所得金額に含まれないため配偶者控除に影響しません。 

    しかし、確定申告を行うと投資所得が合計所得金額に加算されます。配偶者の合計所得金額が48万円(令和7年分以降は58万円)を超えると配偶者控除の対象から外れ、133万円を超えると配偶者特別控除も受けられなくなります。 

    例えば、専業主婦の方が年間の投資利益50万円について確定申告を行った場合、合計所得金額が48万円を超えるため、配偶者は配偶者控除(最大38万円)を受けられなくなります。ただし、配偶者特別控除により段階的な控除を受けることは可能です。 

    投資による節税効果と配偶者控除の減少を総合的に判断し、家族全体での税負担を考慮して申告するかどうかを決定することをお勧めします。特に損益通算による還付金額が少ない場合は、申告しない方が有利な場合もあります。 

    ※参照:国税庁「No.1191 配偶者控除」 

    投資の確定申告は住民税や国民健康保険料に影響しますか? 

    投資の確定申告は住民税や国民健康保険料にも影響を与える可能性があります。確定申告により所得が増加すると、これらの制度における所得判定にも影響するためです。 

    住民税については、投資所得の申告により課税所得金額が増加し、住民税額も増える可能性があります。また、ふるさと納税の上限額計算にも影響するため、寄付可能額が変わる場合があります。 

    国民健康保険料については、多くの自治体で前年の所得に基づいて保険料を算定するため、投資所得の申告により保険料が増加する可能性があります。所得の増加により、医療費の窓口負担割合が変わることもあります。 

    ただし、健康保険組合や共済組合に加入している給与所得者の場合、配偶者の投資所得は保険料算定に影響しません。これらの制度では、主たる被保険者の給与を基準に保険料が計算されるためです。確定申告前に加入している保険制度を確認し、影響を試算することが重要です。 

    投資の確定申告の期限を過ぎたらどうなりますか? 

    投資の確定申告期限(3月15日)を過ぎても申告は可能ですが、ペナルティが発生します。期限後申告となった場合、無申告加算税と延滞税が課される可能性があります。 

    無申告加算税は、本来納めるべき税額に対し、原則として15%(50万円超の部分は20%)が課されます。ただし、税務調査の通知前に自主的に申告した場合は5%に軽減されます 。 

    ただし、期限から1か月以内の自主申告で一定の条件を満たす場合は、無申告加算税が免除されることもあります。 

    延滞税は、法定納期限の翌日から納付日まで日割りで計算され、最高年率14.6%が適用されます。青色申告者の場合は、青色申告特別控除が65万円から10万円に減額されるため、税負担が大幅に増加する可能性があります。 

    還付申告の場合は、期限を過ぎてもペナルティはありません。申告可能期間が5年間あるため、期限後でも安心して申告できます。ただし、還付金の受取が遅れるだけでなく、繰越控除の開始年が遅れることで将来の節税機会を逃す可能性もあるため、できるだけ早期の申告を心がけましょう。 

    ※参照 
    国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」 
    国税庁「No.9205 延滞税について」 

    まとめ|投資の確定申告を正しく理解して賢く節税しよう

    投資の確定申告は、単なる税務手続きではなく、効果的な節税戦略の重要な要素です。20万円ルールや特定口座の仕組みを正しく理解し、損益通算や繰越控除などの節税テクニックを適切に活用することで、年間数十万円の税負担軽減も可能になります。 

    特に損失が発生した年でも、確定申告により将来3年間の節税効果を得られる繰越控除制度は見逃せません。また、配当所得の課税方式選択や複数口座間での損益通算など、戦略的なアプローチにより投資収益を最大化できます。 

    投資規模や取引状況に応じて最適な申告方法を選択し、必要な書類を事前に準備することで、スムーズな確定申告が実現できるでしょう。不明な点がある場合は、税理士などの専門家に相談することをお勧めします。 

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