育児休業とは?給付金の申請方法など企業が知るべき法制度と注意点

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育児休業制度は、育児・介護休業法に基づき、従業員が子育てと仕事を両立するために設けられた法的権利です。企業は原則として育児休業の申請を拒否できず、雇用保険からの給付金支給や社会保険料免除など、経済的支援も整備されています。2025年4月には柔軟な働き方の拡充やテレワーク推進など、重要な法改正が施行されました。本記事では、育児休業の基本的な仕組みから最新の法改正内容、給付金の計算方法、企業が押さえるべき運用ポイントまで、体系的に解説します。従業員の権利を守りながら円滑な事業運営を実現するために、正しい知識を身につけましょう。

育児休業制度の基本的な仕組み

育児休業制度は単なる企業の福利厚生ではなく、育児・介護休業法によって定められた法的権利です。従業員から申請があった場合、企業は原則として拒否できません。まずは制度の根幹となる法的な意義と目的を理解することが重要です。

育児休業制度の背景と目的

育児休業制度は、仕事と子育ての両立を支援し、少子化対策と人材確保の両面から社会全体の利益に寄与する制度として位置づけられています。育児・介護休業法は1991年に育児休業法として制定され、その後数回の改正を経て現在の形となりました。当初は女性の就業継続を主な目的としていましたが、現在では男女を問わず子育てに参画できる環境整備が重視されています。

少子高齢化が進む日本において、出産を機に離職する女性を減らし、男性の育児参画を促進することは、労働力人口の維持にもつながります。企業にとっても、優秀な人材の流出を防ぎ、従業員満足度を高めることで、長期的な競争力強化が期待できます。法改正が頻繁に行われるため、企業は常に最新情報をキャッチアップし、就業規則や運用体制を適切に見直す必要があります。

育児休業は事業主の義務と従業員の権利

育児休業は従業員の法的権利であり、企業は申請を受けた場合、原則として承認しなければなりません。労使協定で除外できる従業員は限定的であり、恣意的な拒否は法令違反となります。事業主には育児休業の取得を理由とした解雇や不利益な取扱いの禁止も義務付けられており、違反した場合は行政指導や企業名公表などの対象となる可能性があります。

また、育児休業制度は単に休業を認めるだけでなく、復職後の働きやすい環境整備も求められています。具体的には、短時間勤務制度の導入、残業免除、子の看護休暇制度などです。これらは法的義務として設けられており、企業規模にかかわらず対応が必要です。従業員にとっては安心して子育てできる基盤となり、企業にとっては人材定着率向上につながる重要な施策といえます。

育児休業と育児休暇の違い

育児休業と育児休暇は混同されやすい用語ですが、法的性質が全く異なります。正確な理解が適切な運用の第一歩です。次の表で両者の違いを整理します。

項目育児休業育児休暇
法的根拠育児・介護休業法による法定制度企業独自の任意制度
対象年齢原則1歳未満(最長2歳まで延長可)企業が独自に設定(例:未就学児まで)
給付金雇用保険から育児休業給付金が支給なし(企業が独自に有給とする場合を除く)
社会保険料従業員・事業主ともに免除免除なし
取得義務申請があれば原則承認必須就業規則に規定がなければ義務なし

育児休業は法律で保護された権利であり、雇用保険からの給付金や社会保険料免除などの経済的支援も充実しています。一方で、育児休暇は企業の自主的な取り組みであり、法的保護はありません。ただし、2022年の育児・介護休業法改正により、企業は3歳から小学校就学前の子を持つ従業員に対して、柔軟な働き方を実現するための措置を講じる努力義務が課されています。これにより、法定の育児休業期間を超えた子育て支援の拡充が期待されています。

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    法改正による育児休業の重要な変更点

    育児・介護休業法は社会情勢の変化に応じて定期的に改正されており、2025年4月にも重要な変更が施行されました。企業は改正内容を正確に把握し、就業規則の見直しや社内体制の整備を進める必要があります。

    柔軟な働き方を実現する制度拡充

    2025年4月の改正では、3歳から小学校就学前の子を持つ従業員に対する柔軟な働き方の選択肢が大幅に拡充されます。具体的には、短時間勤務制度の対象年齢引き上げ、残業免除措置の拡大、子の看護休暇の取得可能日数の増加などが含まれます。これまで3歳未満の子を持つ従業員に限定されていた短時間勤務制度が、小学校就学前まで対象となることで、保育園送迎や小学校入学前の準備期間にも対応しやすくなります。

    さらに注目すべきは、テレワークの活用が努力義務として明記された点です。企業は従業員の個別事情を聴取し、テレワークを含む柔軟な勤務形態を提供する努力が求められます。この個別意見聴取は単なる形式的なヒアリングではなく、従業員のニーズを真摯に受け止め、実現可能な範囲で対応する姿勢が重要です。意見聴取の記録を残し、なぜその選択肢を提供できるか、またはできないかの理由を明確にすることが、トラブル防止につながります。

    育児休業の取得状況の公表義務と数値目標の設定

    従業員数300人を超える企業には、育児休業の取得状況を公表する義務が課されます。これは男女別の取得率や取得期間の平均などを含み、企業のウェブサイトや求人情報などで公開することが求められます。公表内容は求職者や取引先からも注目されるため、単なる法令遵守にとどまらず、企業のブランディングや人材確保の観点からも重要です。

    また、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画においても、数値目標の設定が義務化されます。これまでは定性的な目標設定も認められていましたが、改正後は男性の育児休業取得率や平均取得日数など、具体的な数値を掲げることが必要です。目標達成に向けた施策の実施と進捗管理も求められるため、人事部門だけでなく経営層も含めた全社的な取り組みが不可欠となります。

    介護離職防止策の同時強化

    今回の法改正は育児支援だけでなく、介護離職防止策も強化されています。介護休業制度についても情報提供の義務化やテレワーク活用の推進が盛り込まれました。介護と育児を同時に担うダブルケア世代への配慮も重要性を増しており、企業は両立支援制度を総合的に整備する必要があります。

    介護は育児と異なり、突発的に発生し、期間も予測困難という特徴があります。そのため、従業員が介護に直面した際に速やかに相談できる窓口の設置や、介護休業・介護休暇制度の周知徹底が求められます。育児と介護の両立支援を一体的に推進することで、従業員のライフステージ全般を支える企業文化の醸成につながります。

    育児休業の対象者と取得可能な条件

    育児休業は正社員だけでなく、契約社員やパート、アルバイトなど幅広い雇用形態の従業員が対象となります。ただし、すべての従業員が無条件で取得できるわけではなく、一定の要件が定められています。

    雇用形態別の対象範囲と除外ケース

    育児休業は雇用形態にかかわらず、原則として全ての従業員に取得権利があります。正社員はもちろん、契約社員、派遣社員、パートタイム労働者、アルバイトも対象です。ただし、日雇い労働者は対象外となります。有期契約労働者については、子が1歳6か月に達する日までに雇用契約が終了することが明らかでない場合に取得可能です。

    労使協定を締結することで除外できる従業員は以下のとおりです。まず、雇用された期間が1年未満の従業員です。次に、申出の日から1年以内に雇用関係が終了することが明らかな従業員です。さらに、1週間の所定労働日数が2日以下の従業員も除外可能です。これらの除外規定は労使協定で定めた場合にのみ適用され、協定がなければすべての従業員が対象となります。

    対象となる子の範囲と特殊ケース

    育児休業の対象となる子は、実子だけでなく養子や特別養子縁組の監護期間中の子、養子縁組里親に委託されている子なども含まれます。法律婚の配偶者の子だけでなく、事実婚のパートナーの子についても対象となるケースがあります。ただし、具体的な要件は法律や企業の方針によって異なる場合があるため、確認が必要です。また、配偶者が専業主婦または専業主夫であっても、従業員本人が育児休業を取得する権利に影響はありません。

    特殊なケースとして、双子など多胎児の場合は、子ごとに別々に育児休業を取得することも可能です。また、養子縁組が成立する前の試験的養育期間中であっても、一定の要件を満たせば育児休業の対象となります。企業は様々な家族形態に対応できるよう、柔軟な運用体制を整えることが求められます。

    有期契約労働者の特例と判断基準

    有期契約労働者の育児休業取得については、特に慎重な判断が必要です。基本的には、子が1歳6か月に達する日までに雇用契約が終了することが明らかでない場合に取得できます。この「明らかでない」の判断は、契約更新の実績や更新の予定、業務の継続性などを総合的に考慮します。

    例えば、過去に複数回の契約更新実績があり、今後も業務継続が見込まれる場合は、形式的に契約期間が定められていても取得可能と判断されます。一方、プロジェクト単位の契約で明確に終了時期が決まっている場合などは除外される可能性があります。判断が難しいケースでは、都道府県労働局の雇用環境・均等部門に相談することをお勧めします。企業が恣意的に判断し、本来取得権利のある従業員を除外すると法令違反となりますので注意が必要です。

    育児休業の取得期間と延長制度の詳細

    育児休業の取得期間は原則として子が1歳に達するまでですが、様々な延長制度が設けられています。また、男性の育児参画を促進するための特別な制度も整備されています。

    基本的な取得期間と開始日の設定

    女性の育児休業は、産後休業期間の終了日の翌日、すなわち産後57日目から取得できます。男性は出産予定日または出生日から育児休業を取得可能です。休業期間は原則として子が1歳に達する日の前日までとなります。子が1歳に達する日とは、誕生日の前日を指すため、例えば4月1日生まれの子の場合、3月31日が1歳に達する日となり、その前日の3月30日まで育児休業を取得できます。

    育児休業の開始日は従業員が指定できますが、申出が遅れた場合、事業主は一定の範囲で開始日を繰り下げることができます。原則として休業開始予定日の1か月前までに申出がない場合、最大1か月間の繰り下げが可能です。ただし、産後パパ育休の場合は2週間前までの申出で、繰り下げ期間も最大2週間となります。

    パパ・ママ育休プラスによる期間延長

    パパ・ママ育休プラスは、両親がともに育児休業を取得する場合に、子が1歳2か月に達するまで休業期間を延長できる制度です。ただし、各人が取得できる休業期間の上限は1年間であることに変わりはありません。この制度の趣旨は、母親の職場復帰時期に合わせて父親が育児休業を取得するなど、柔軟な育児分担を可能にすることです。

    パパ・ママ育休プラスの要件は以下のとおりです。まず、配偶者が子が1歳に達するまでに育児休業を取得していることです。次に、本人の育児休業開始予定日が、子の1歳の誕生日以前であることです。さらに、本人の育児休業開始予定日が、配偶者の育児休業初日以降であることです。これらの要件を満たすことで、夫婦で協力しながら柔軟に育児期間を設定できます。

    保育所未入所等による延長措置

    子が1歳に達した後も保育所に入所できない場合や、配偶者の死亡・傷病・離婚などの特別な事情がある場合、1歳6か月まで、さらに2歳まで育児休業を延長できます。保育所未入所による延長は、市区町村に入所申込を行っているにもかかわらず入所できなかった場合に認められます。認可保育所だけでなく、認定こども園や小規模保育事業なども対象となります。

    延長申請の期限は、子が1歳に達する日または1歳6か月に達する日の2週間前までです。保育所入所不承諾通知書などの証明書類の提出が必要となります。企業は延長申請に対しても原則として承認する義務があり、正当な理由なく拒否することはできません。延長期間中も育児休業給付金の支給対象となるため、経済的支援を受けながら安心して子育てに専念できます。

    産後パパ育休の特例制度

    産後パパ育休は、2022年10月に創設された男性の育児休業取得を促進する制度です。正式には出生時育児休業と呼ばれ、子の出生後8週間以内に最大4週間取得できます。通常の育児休業とは別に取得でき、2回まで分割可能です。申請期限は原則として休業開始の2週間前までとなっており、通常の育児休業よりも短い期間で対応できるよう配慮されています。

    産後パパ育休の特徴は、労使協定を締結した場合に限り、休業中の就業が認められる点です。従業員が合意した範囲内で、一定時間までの就業が可能となります。この仕組みは、完全に休業することが難しい管理職や専門職の男性でも育児休業を取得しやすくするために設けられました。ただし、就業可能時間には上限があり、無制限に働けるわけではありません。産後パパ育休と通常の育児休業を組み合わせることで、柔軟な取得計画を立てられます。

    育児休業給付金の仕組み

    育児休業中の経済的支援として、雇用保険から育児休業給付金が支給されます。企業は給付金申請の手続きをサポートし、従業員が円滑に受給できるよう対応する必要があります。

    休業中の給与支給義務と実務上の取扱い

    育児休業期間中の給与支給について、法律上の義務はありません。ノーワーク・ノーペイの原則により、労務提供がない期間の賃金を支払う義務は発生しません。ただし、企業が任意で給与を支給することは可能であり、その場合は就業規則に明記する必要があります。給与を支給する場合でも、休業前賃金の8割以上を支給すると育児休業給付金が減額または不支給となるため、注意が必要です。

    実務上は、育児休業期間中は無給とし、従業員には育児休業給付金を受給してもらうケースが大半です。企業によっては、最初の数日間や特定期間について有給扱いとする制度を設けている場合もあります。給与の支給有無や条件については、就業規則で明確に定め、従業員に事前に周知することが重要です。給与支給の有無にかかわらず、社会保険料は免除されるため、企業・従業員双方の負担軽減につながります。

    育児休業給付金の支給要件と計算方法

    育児休業給付金の支給を受けるには、いくつかの要件を満たす必要があります。まず、雇用保険の被保険者であることです。次に、休業開始前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12か月以上あることです。さらに、休業期間中に事業主から賃金の8割以上が支払われていないことです。加えて、休業終了後に職場復帰する予定があることも要件となります。

    給付額の計算方法は以下のとおりです。まず、休業開始時賃金日額を算出します。これは休業開始前6か月間の賃金総額を180で割った額です。休業開始から180日目までは、賃金日額に支給日数を乗じた額の67パーセントが支給されます。181日目以降は50パーセントに減額されます。ただし、賃金日額には上限と下限が設定されており、毎年8月1日に改定されます。

    期間給付率計算式
    休業開始~180日目67%賃金日額×支給日数×0.67
    181日目以降50%賃金日額×支給日数×0.50

    給付金申請の手続きと提出書類

    育児休業給付金の申請は、原則として事業主がハローワークに対して行います。従業員本人が直接申請することも可能ですが、実務上は企業が代行するケースが多くなっています。申請に必要な書類は、雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書、育児休業給付受給資格確認票、育児休業給付金支給申請書などです。初回申請時には母子健康手帳など子の出生を証明する書類も必要となります。

    申請期限は、育児休業開始日から4か月を経過する日の属する月の末日までです。期限を過ぎると給付金を受給できなくなる可能性があるため、速やかな手続きが求められます。2回目以降の申請は、2か月ごとに行うのが一般的です。ハローワークから指定された支給申請日に、継続給付の申請書を提出します。企業の担当者は、申請漏れや書類不備がないよう十分注意し、従業員の不利益が生じないよう配慮する必要があります。

    社会保険料免除の手続きと注意点

    育児休業期間中は、健康保険料と厚生年金保険料が従業員・事業主ともに免除されます。免除を受けるには、日本年金機構に「育児休業等取得者申出書」を提出する必要があります。提出期限は育児休業終了後1か月以内ですが、休業開始時に速やかに提出することが推奨されます。免除期間中も被保険者資格は継続し、将来の年金額計算においても保険料を納付したものとして扱われます。

    注意点として、月末時点で育児休業を取得している場合、その月の保険料が免除される仕組みとなっています。例えば、月の途中で育児休業を開始または終了した場合、その月の保険料免除の可否は月末時点の状況で判断されます。また、賞与にかかる社会保険料についても、賞与支払月の末日を含む連続した1か月を超える育児休業を取得している場合に免除されます。企業の給与計算担当者は、これらの要件を正確に理解し、適切に処理する必要があります。

    企業が押さえるべき育児休業制度の運用

    育児休業制度を適切に運用するには、就業規則の整備、不利益取扱いの防止、ハラスメント対策など、多岐にわたる対応が必要です。法令遵守はもちろん、従業員が安心して制度を利用できる環境整備が求められます。

    就業規則への記載事項と規定例

    育児休業制度は就業規則の絶対的必要記載事項です。就業規則には、対象となる従業員の範囲、休業期間、申請手続き、休業中の賃金や社会保険の取扱いなどを明記しなければなりません。記載内容が法令の基準を下回る場合、その部分は無効となり、法令の基準が適用されます。逆に、法令を上回る内容を規定することは可能であり、企業独自の子育て支援制度として充実させることもできます。

    規定例としては、まず対象者の範囲を明確にします。正社員だけでなく、契約社員やパートタイム労働者も対象となる旨を記載します。次に休業期間について、法定の期間や延長要件を具体的に定めます。申請手続きでは、申出期限、提出書類、申請先などを明記します。休業中の処遇については、給与の有無、社会保険料免除、有給休暇の取扱い、復職後の配置などを規定します。就業規則は常に最新の法令に適合させる必要があり、法改正時には速やかに見直すことが重要です。

    有給休暇との関係と出勤率の計算

    育児休業期間は、年次有給休暇の出勤率計算において出勤したものとみなされます。労働基準法では、全労働日の8割以上出勤した場合に年次有給休暇が付与されますが、育児休業期間は出勤日に算入されます。一方で、育児休業期間中は実際に労働していないため、その期間は労働日数としてカウントされず、出勤率の低下を防ぐ効果があります。

    例えば、年間240日の労働日がある従業員が180日間育児休業を取得した場合を考えます。育児休業期間を除いた労働日は60日となり、このうち48日以上出勤すれば出勤率8割を満たします。育児休業を取得しなかった場合は240日中192日以上の出勤が必要ですが、育児休業を取得することで必要出勤日数が大幅に減少します。これにより、育児休業取得者が不利にならないよう配慮されています。

    不利益取扱いの禁止と具体的な違反例

    育児休業の申出や取得を理由とした解雇、降格、減給、不利益な配置転換、契約更新拒否などは法律で禁止されています。不利益取扱いに該当する行為は多岐にわたり、企業は十分注意が必要です。具体的な違反例としては、育児休業取得を理由に賞与を減額する、正社員から契約社員への雇用形態変更を強要する、復職後に閑職へ配置転換するなどが挙げられます。

    また、間接的な不利益取扱いも禁止されています。例えば、育児休業取得者の人事評価を一律に低くする、昇進・昇格の対象から除外する、不利な労働条件を提示して自主退職を促すなどの行為です。不利益取扱いが認められた場合、都道府県労働局による行政指導の対象となり、是正されない場合は企業名が公表される可能性もあります。企業は育児休業取得者に対して公平な処遇を保証し、キャリア継続を支援する姿勢が求められます。

    ハラスメント防止措置と相談体制の整備

    妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントの防止措置は、企業の法的義務です。マタニティハラスメントやパタニティハラスメントは、従業員の権利を侵害するだけでなく、企業の社会的信用を損なう重大な問題です。企業は、ハラスメント防止方針の明確化と周知、相談窓口の設置、ハラスメント発生時の迅速な対応、再発防止策の実施などを行う必要があります。

    具体的な防止措置としては、まず就業規則にハラスメント禁止を明記し、違反した場合の懲戒規定を設けます。次に、全従業員を対象とした研修を定期的に実施し、ハラスメントの定義や具体例、防止の重要性を周知します。相談窓口は、人事部門だけでなく外部機関の活用も検討し、相談しやすい環境を整えます。相談があった場合は、事実関係を迅速に調査し、適切な措置を講じます。相談者や行為者のプライバシーを保護し、相談したことを理由とした不利益取扱いを行わないことも重要です。

    企業の成長と従業員の働きやすい環境整備を両立させるためには、専門家のサポートが有効です。M&Aロイヤルアドバイザリーでは、企業の人事制度整備や組織再編に関するご相談も承っております。育児休業制度を含む労務管理体制の構築や、事業承継に伴う人材マネジメントの最適化など、幅広い視点からサポートいたします。

    まとめ

    育児休業制度は、従業員の権利を守りながら企業の持続的成長を支える重要な仕組みです。2025年4月の法改正では柔軟な働き方の拡充やテレワーク推進が盛り込まれ、企業にはより一層の対応が求められています。就業規則の整備、給付金申請のサポート、社会保険料免除手続きなど、適切な運用実務の理解が不可欠です。

    不利益取扱いの禁止やハラスメント防止措置は法的義務であり、違反は企業の信用を大きく損ないます。従業員が安心して育児休業を取得できる環境を整備することは、優秀な人材の確保と定着につながり、長期的な競争力強化をもたらします。最新の法令情報を常にアップデートし、全社的な取り組みとして推進していきましょう。

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