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事業譲渡は、企業の一部門やサービス、店舗などの事業単位で資産・契約・顧客基盤などを譲渡するM&A手法の一つです。 株式譲渡や合併とは異なり、「法人格」自体は変わらない一方で、契約や雇用関係といった“人と人のつながり”を個別に移転させるという特徴を持ちます。
このため、譲渡対象となる「人材」、すなわち従業員の取り扱いこそが、事業譲渡の成否を大きく左右する要素といっても過言ではありません。
特に中小企業においては、創業期から勤めている社員や、属人的なスキルに依存しているケースも多く、「誰が残って、誰が移るのか」「条件は引き継がれるのか」「本人の同意は必要か」など、 法的にも感情的にも繊細なマネジメントが求められます。
しかし、現実には以下のようなトラブルが頻発しています。
本記事では、事業譲渡における従業員対応の全体像と実務上の注意点を、 労働法・労務マネジメント・M&A契約実務の観点からわかりやすく解説します。
目次
M&Aと一口にいっても、その手法には多様な形があります。なかでも「事業譲渡」は、企業の特定部門やサービス単位で資産・契約・人材を譲渡する柔軟な方法として、中堅・中小企業を中心に近年活用が進んでいます。
ただし、この「事業譲渡」というスキームには、他のM&A手法と異なる複雑な特徴があり、とくに従業員の取扱いにおいては、実務上極めて重要な配慮が求められます。
本章では、事業譲渡の基本概念と、よく比較される株式譲渡・会社分割などとの違い、そして実際のM&Aにおける使い分けについて詳しく解説していきます。
事業譲渡とは、企業が営む事業の全部または一部を、契約によって他者に譲渡することです。
ここで言う「事業」とは、単なる資産の集まりではなく、一定の経済的目的を持って継続的に営まれている組織的活動のまとまりを指します。
すなわち、単に「在庫を売る」「設備を売る」という単発の資産譲渡とは異なり、その事業に関わる資産・契約・従業員・ノウハウ・ブランド・顧客基盤などを包括的に譲渡対象とします。
▶ 参考:会社法上の規定
日本の会社法第467条では、「事業の全部または重要な一部の譲渡」は、株主総会の特別決議を要する行為とされています。 このことからも、事業譲渡は経営の根幹をなす取引であることがわかります。
▷ 株式譲渡:法人のオーナーシップだけが変わる
株式譲渡は、企業の「所有者」である株主が、その保有する株式を第三者に売却する行為です。
この場合、会社自体の法人格は一切変わらず、契約関係・従業員・許認可・債権債務もそのまま継続されます。
つまり、中身(経営内容や従業員など)はそのまま、“所有者(株主)”だけが変わるというのが株式譲渡の特徴です。
▷ 会社分割:組織単位で移転する再編スキーム
一方、会社分割(特に吸収分割・新設分割)は、会社分割とは、法人の一部あるいはすべての事業部門や特定の資産・負債を切り離し、別の会社に承継させる法的手続きです。
こちらは法的承継効が認められるため、契約や労働契約も包括的に引き継がれます。
ただし手続きが煩雑で、裁判所や登記・公告なども関与するため、スピード感に欠けるケースがあります。
事業譲渡が選ばれる主な理由は、以下のとおりです。
特に中小企業やスタートアップにおいては、特定の技術やサービスのみを譲渡し、会社本体は維持することで、経営の柔軟性を確保するという活用が多く見られます。
ここが最大の論点です。
事業譲渡では、従業員の雇用契約は自動的に譲渡先へは移りません。
これは「労働契約の当事者は労働者個人であり、企業間の契約では移せない」という原則によるもので、 譲渡元企業と譲受企業でどれだけ話がまとまっていても、従業員本人の“同意”がなければ転籍できないのです。
▷ 実務上の流れ
この過程において、従業員側が「条件が悪くなる」「勤務地が変わる」「譲渡に納得できない」などと感じれば、 退職してしまうケースもあり、事業継続性に大きなリスクが生じます。
このように、人の問題は「見えにくく、かつ最もダメージが大きい」のが事業譲渡の特徴です。
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事業譲渡では、設備やノウハウだけでなく“人材”の引き継ぎが極めて重要です。特に従業員がスムーズに新しい環境へ移行できるかどうかは、譲渡後の事業安定に直結します。本章では、「転籍」「出向」「新規雇用」という3つの移籍パターンを軸に、法的要件・実務対応・注意点を具体的に解説します。
転籍とは、従業員が元の会社との雇用契約を終了させ、新たに譲渡先の会社と雇用契約を結ぶことを意味します。つまり、法律的には“完全に別の雇用”が成立するということです。
転籍には必ず、本人の書面による明確な同意が必要です。これは労働契約法第6条で、労働契約の一方的な譲渡が禁止されているためで、本人の意思を無視した転籍は無効となります。
実務上の流れは以下の通りです。
従業員にとっては、転籍により職場環境や文化が大きく変わる可能性があるため、不安の声も多く聞かれます。そのため、転籍交渉においては、給与・福利厚生の維持や、キャリア支援などの補償的施策を丁寧に提示することが不可欠です。
出向とは、従業員が元の企業に在籍したまま他の企業で働く形態で、法的には「在籍出向」と「転籍出向」の2種類がありますが、事業譲渡の場面では在籍出向が一般的です。
出向では、雇用契約の主体は元の企業に残り、給与の支払いや社会保険なども出向元が対応する場合が多いです。従業員としては元の会社との関係が継続するため、心理的な負担が小さく、受け入れやすい形式です。
出向のメリットと注意点:
また、指揮命令権の所在や評価制度の違いなどがトラブルを招く原因となるため、事前に明確なルール設計が求められます。
事業譲渡に際して、あえて転籍や出向ではなく、譲渡先企業が新たに従業員を採用する形式を取るケースもあります。これは形式上、「従業員が元の会社を自己都合で退職し、新会社へ転職する」という構図になります。
この場合でも、譲渡の背景事情や経緯を踏まえた配慮ある採用対応が求められます。たとえば、
「新規雇用」だからといって自由な扱いをしてよいわけではなく、労務管理上は極めてセンシティブな領域であると理解する必要があります。
事業譲渡に伴う従業員の移籍方法には、「転籍」「出向」「新規雇用」の3つが主に選択肢となります。それぞれに法的な性質や従業員への影響、そして企業の狙いが異なります。ここでは、各手法を文章で比較しながら、どのような場面でどの選択肢が適しているかを実務的な観点で解説します。
まず、「転籍」は、譲渡元企業との雇用契約を終了させ、譲渡先企業と新たに雇用契約を結ぶ方法です。法律的には全く別の契約となるため、従業員の同意が必須であり、移籍にともなう雇用条件の提示や労働契約の整合性が極めて重要です。
転籍は、企業として人的リソースを正式に譲渡・統合したい場合に最も適しており、事業再編を明確に進めたいときに有効な手段です。ただし、従業員にとっては雇用先が完全に変わることになるため、待遇悪化や文化の違いによる離職リスクが伴う点に配慮が必要です。
一方、「出向」は、従業員が元の企業に籍を残したまま、譲渡先企業で勤務する形態です。法律上、労働契約の主体はあくまで出向元企業であるため、雇用継続性が維持され、心理的な不安が軽減されやすいとされています。
出向は、人的資源の一時的な移行や、将来的な転籍を見据えた試用期間として機能することが多く、従業員と企業双方にとって柔軟な選択肢となります。ただし、指揮命令系統や評価制度の混在に注意が必要であり、契約書の整備や責任分担の明確化が求められます。
さらに、「新規雇用」は、従業員が一度退職し、譲渡先企業に新たに入社する方式です。この形式は、譲渡先企業が人材を選別して採用したいときや、既存の制度・待遇体系に合わせて統一したい場合に用いられます。
ただし、従業員からすれば「自己都合退職」という扱いになるため、雇用保険や退職金の面で損をするリスクがあり、企業としてはその点のケアが求められます。また、新たな職場環境に馴染めるかどうかという適応課題もあるため、制度設計だけでなく受け入れ側の文化的配慮やフォローアップ体制も重要です。
実務的には、これらの手法を単独で使用するのではなく、状況に応じて併用することで、より円滑な人材移行が可能になります。たとえば、まずは出向という比較的ハードルの低い方法で従業員を受け入れ、その後に本人の希望や業務適応状況を見て、転籍へと切り替える「段階的移行モデル」は、多くの成功事例で採用されています。
このように、事業譲渡における従業員の移籍は、法的・心理的・実務的観点をバランスよく踏まえたうえでの戦略的判断が不可欠です。従業員の納得と安心を得ながら、事業の一貫性を保つためには、画一的な対応ではなく、個別事情に応じた柔軟かつ計画的な移行プロセスの構築が求められます。
事業譲渡に伴って従業員が譲渡先企業へ転籍または新規雇用される場合、労働条件に一定の変更が発生することは避けられません。たとえば、以下のような項目が対象になります。
従業員の立場から見れば、これらは生活に直結する重要な要素であり、変更によって不利益が生じると感じた場合、転籍に同意しない選択もあり得ます。したがって、企業側は安易な一方的変更を避け、慎重に条件調整と説明を行う必要があります。
労働契約法では、使用者が労働条件を変更する際、「合理的な理由」がなければ不利益変更は認められないとされています。 つまり、企業が一方的に給与を減額したり、勤務時間を延ばしたりといった措置を取る場合、労働者の個別同意または就業規則の変更手続きが必要となります。
労働条件の変更を伴う移籍を実現するためには、以下のようなステップで個別同意を取得するプロセスが必要です。
とくに注意すべきは「説明不足による不信感」です。従業員にとって不利益に映る変更がある場合は、代替措置(例:一時的な加算手当、試用期間の短縮、業績連動型賞与の導入など)を提示し、理解を得る工夫が重要です。
すべての従業員が必ずしも同意するとは限りません。とくに、待遇が低下する・勤務地が遠方になる・企業風土が合わないと感じる場合などは、本人の判断で転籍を拒否することもあります。
このような場合の企業側の対応としては
などが考えられます。
ただし、いずれの対応も「強制はNG」です。法的なトラブルや労使紛争を避けるためにも、あくまで当事者間の協議と合意形成をベースに進めるべきです。
事業譲渡における従業員の移籍は、単なる人の移動ではなく、「契約関係の再構築」とも言えます。この再構築が適切に行われていない場合、以下のような法的リスクが発生する可能性があります。
こうしたリスクを最小限に抑えるためには、書類の正確性・網羅性・法的整合性が極めて重要です。特に転籍や新規雇用といったケースでは、全ての手続きを“証拠が残る形で”行うことが求められます。
転籍の場合、労働契約を新たに結び直す必要があるため、以下の3点セットの書類整備が必須です。
① 転籍同意書
従業員が自発的に転籍することに同意した旨を記録した書面。以下を明記します。
② 新雇用契約書(または労働条件通知書)
譲渡先企業との間で結ばれる正式な雇用契約。以下の基本条件を記載します。
③ 秘密保持・競業避止に関する誓約書(必要に応じて)
譲渡元・先の事業領域が競合している場合、情報漏洩リスクに備えてあらかじめ取り交わしておくことが望ましい書類です。
出向の場合は、基本的に雇用契約は出向元に残るため、以下の書類が中心となります。
① 出向契約書(企業間契約)
出向元と出向先の間で締結する法人間契約です。主に以下を記載。
② 出向通知書・同意書(従業員向け)
従業員に対して出向の開始と条件を通知し、同意を得る書類です。特に出向期間や勤務地、処遇変更の有無などが明示されている必要があります。
従業員を新規雇用として受け入れる場合でも、通常の採用とは異なる配慮が必要です。以下の書類整備が基本となります。
特に、従業員が「元いた会社の一部が新会社に移る」という感覚を持っている場合には、「新会社との契約は新たに発生すること」を明確に伝える必要があります。
これらの書類作成・回収・保管をスムーズに行うには、次のような社内体制の構築が重要です。
ある製造業のM&Aでは、国内の部品メーカーA社が欧州大手B社に事業譲渡を行いました。譲渡対象には製造ラインとともに約80名の従業員が含まれており、転籍を伴うスキームが課題となっていました。
背景と課題
譲渡先のB社はグローバル企業であり、社内言語や管理体制が大きく異なっていたことから、従業員の多くが「本当にやっていけるのか」「英語での報告体制についていけるのか」といった強い不安を抱いていました。加えて、地方都市にあるA社工場と、B社の管理部門が東京にあるという物理的距離も心理的ハードルを高める要因でした。
対応策
A社とB社は以下のような三段階移行ステップを設定しました。
成果と教訓
結果として、80名中72名が転籍に同意。退職者6名のうち3名は定年退職が近かったため、実質的な転籍拒否はわずか3名。出向中に従業員が自ら新たな職場環境を体験し、納得した上で意思決定できたことが、円滑な人材移行につながりました。
あるIT企業C社は、大手システム開発企業D社へ開発部門を譲渡する形で事業再編を行いました。譲渡対象となったのは40代以上の中堅エンジニアが多い開発部門で、全体で45名。情報感度が高く、自分のキャリアへの影響を特に気にする層でした。
課題
対応策
成果
反面教師となる事例として、ある物流業E社が行った事業譲渡では、従業員対応を軽視したため、大きな混乱を招きました。
問題の構造
結果
G社では、事業譲渡後に労働条件の食い違いが表面化し、トラブルが発生しました。
実際の不備
教訓
これらの事例から導かれる教訓は、実務担当者・経営陣にとって極めて重要です。
◎ 1. 説明責任と透明性が最も重要
情報がないと、人は最悪のケースを想定します。だからこそ、丁寧な説明、情報開示、Q&Aの場が不可欠です。
◎ 2. 「段階的移行」が従業員の不安を和らげる
出向→転籍、面談→同意といったステップを設けることで、心理的ハードルを下げることができます。
◎ 3. 書類は“合意の証拠”として機能させる
単なる形式で終わらせず、整合性・説明記録・第三者レビューの3点を徹底すること。
◎ 4. 感情への配慮こそ最大のリテンション策
制度や金額よりも、「大事にされている」と感じられる対応こそが信頼と定着を生みます。
事業譲渡において従業員を引き継ぐ際、「労働条件が変更されるかどうか」は最もセンシティブなテーマの一つです。企業側としては、譲渡前と同水準の条件を維持したい一方、譲渡先企業の制度と完全に一致するとは限らないため、調整が必要となります。
労働条件変更の基本原則:
たとえば、勤務時間のシフト、評価制度の違い、残業代の支払基準などは、譲渡元と譲渡先で制度設計が異なることが多く、その差異をどう埋めるかが実務上の論点となります。
注意点:
事業譲渡における文書整備は、企業の信頼性とコンプライアンスを支える“法的防波堤”です。特に下記3つの文書は、セットで準備する必要があります。
雇用契約書
譲渡先企業と新たに結ぶ正式な契約書であり、就業条件、給与体系、勤務地、職務内容などを明記。
転籍同意書
譲渡元企業と従業員の間で交わす書面。転籍の意思を明示し、労働契約終了と再雇用への同意を示す。
雇用条件通知書
新たな雇用契約に関する詳細情報を、労働者に対して書面で通知するもの。
ケース①:試用期間中の給与トラブル
→ 条件通知書に「試用期間中は別給与体系」と明記していなかったため、不利益変更とみなされ訴訟に発展。
◎ 対策: 試用期間の有無と条件差を明記する。なければ「試用期間なし」と書く。
ケース②:勤務地変更の記載漏れ
→ 転籍後に勤務地が変更となり、「合意していない」と主張され労基署から是正勧告を受けた。
◎ 対策: 「将来的に勤務地変更の可能性あり」と明記。または初期配属先を明示。
ケース③:口頭での説明と書面内容の相違
→ 面談では「年収据え置き」と説明したが、実際には賞与制度が変更され年収減に。
◎ 対策: 面談時の説明内容と書面の整合性を必ずチェック。録音や議事録を残す。
事業譲渡における従業員対応は、単なる法的手続きにとどまらず、「企業としての姿勢」として従業員に伝わる重要な局面です。だからこそ、法務・人事・現場部門が連携し、三位一体で進める体制構築が不可欠です。以下、それぞれの部門の役割と連携のポイントを、実務的な観点から解説します。
法務部門の役割:合法性とリスク回避の担保
まず法務部門は、事業譲渡に伴う文書の整備や、同意取得プロセスの合法性を担保する役割を担います。労働契約法や民法、またM&Aに付随する各種契約(譲渡契約、秘密保持契約、出向契約など)との整合性を確保し、書類の不備が後々のトラブルにつながらないようにするのが主な任務です。
とくに「転籍同意書」や「新雇用契約書」においては、文言一つの解釈次第で労使紛争につながることもあるため、曖昧さを排除し、明確で誤解のない表現に仕上げることが重要です。
また、労働条件の変更に関する説明責任を果たすための記録化(面談記録、議事録、説明スライドの保存など)も、法的リスク管理の一環として法務が主導すべき項目です。
人事部門の役割:感情面と制度面の橋渡し
一方、人事部門の役割は、書面上の手続きだけでなく、従業員の感情への配慮と、制度変更の橋渡しにあります。 人事部門が行う個別面談、説明会の設計、FAQの整備などは、従業員の安心感を醸成するうえで極めて重要です。特に転籍や勤務条件の変更が発生する場合には、「大切に扱われているかどうか」が従業員の転籍意思決定に直結します。
また、譲渡先企業との間で評価制度や福利厚生制度にギャップがある場合には、調整や補填措置の検討、納得性のある説明資料の作成を人事がリードしなければなりません。
従業員一人ひとりの人生に関わる変化であることを意識し、説明の一貫性と納得度を意識した対応が求められます。
現場部門の役割:実務の現実とギャップの可視化
そして、最も見落とされがちだが重要なのが、現場部門の関与です。現場のマネージャーやチームリーダーは、日々従業員と接しており、制度の変化が実際の業務にどう影響するか、現場感覚で理解している存在です。
たとえば「勤務地が変更になる」と書面に書かれていても、現場での対応体制が整っていなければ実際には混乱が生じます。また、異なる業務フローや文化を持つ譲渡先企業に溶け込むためには、引き継ぎ業務の精度やチーム間の橋渡しが極めて重要となります。
現場の声を無視して書類だけ整備しても、制度と運用の間にギャップが生まれ、最終的に従業員からの不信を招きかねません。だからこそ、現場部門を早期から巻き込み、「誰が何をどう引き継ぐのか」「どうすれば業務が止まらないか」を実務視点で洗い出す必要があるのです。
このように、法務がルールを整備し、人事が人に寄り添い、現場が業務を支えるという三位一体の体制を築くことが、従業員の信頼を得て事業譲渡を円滑に進める上で不可欠です。
単なる契約行為ではなく、人の感情と業務のリアルに寄り添った「実行支援型M&A」を実現するために、この連携は外せない視点だと言えるでしょう。
本記事では、「事業譲渡 従業員」というテーマを軸に、従業員の移籍方法(転籍・出向・新規雇用)から、法務・人事・現場の連携、そして実務対応まで網羅的に解説してきました。
ここで改めて強調したいのは、事業譲渡は単なる経営判断ではなく、“人の信頼”をいかに守るかという経営姿勢が問われる局面だということです。
企業にとっての成長戦略であるM&Aも、それを支えるのは人の納得感と信頼関係です。法務・人事・現場が一体となり、制度と感情の両面を整備することこそが、真の成功の鍵となります。
企業同士の資本移動や戦略連携は、紙の上では合理的でも、そこに「働く人の気持ち」が乗らなければ実現しません。事業譲渡とは、会社の未来をつくる選択であり、その未来を背負うのは“移籍する従業員一人ひとり”です。
「この会社に移って良かった」と思えるような移籍体験をつくること。それこそが、持続可能なM&Aの真髄であり、貴社のブランド価値を守る行為でもあります。
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