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産業廃棄物処理の業界でもM&Aが行われています。
環境産業の一部である産業廃棄物に関連する企業の市場規模は高まる一方で様々な課題があります。
本記事では、産業廃棄物業界のM&Aの動向やメリット、成功させるポイントについて事例紹介ととも解説します。
ニューホライズンキャピタル(NHC、東京)が統括するニューホライズン3号投資事業有限責任組合(NH-3)は10月4日、建築関連廃棄物の再資源化を行う黒姫(青梅市)の親会社である青梅に投資し株式を取得しました。黒姫グループは、1973年に設立され、産業廃棄物から出るコンクリート屑の集積・移設・中間処理を専門に行う会社です。NHCでは、黒姫グループ全体の輸送力を強化するため、トラックオペレーターの増員などを計画しています。
富士興産は、2010年10月3日付で、産業廃棄物の収集・運搬・処理を行う環境開発工業株式会社(北海道北広島市)を譲り受け、金庫を除く全株式を長谷川徹会長から自己株式を除く全株式を取得しました。富士興産は、今回の統合で他組織とのシナジーを発揮し、エネルギー企業としての新たな価値の創造や、資源の活用・再利用など、新たな活動の確立を目指します。
リファインバースグループは、2014年に設立され、東京都内に廃棄物処理施設を持つ売上高9億円の廃棄物処理会社です。コネクション(東京)の全資産を7月に山本修平代表取締役から全株式を取得しました。リファインバースグループは、廃棄物処理能力の拡大、独自のオペレーションシステムの活用による収益性の向上、廃棄物をケミカルリサイクル品に再利用するための再構築策を検討しています。なお、買収の効力発生日は2022年7月1日、買収金額は558百万円となっています。
TOKAIホールディングスは、グループ会社のTOKAI(静岡市)を通じて、産業廃棄物処理、木材チップ 製造のウッドリサイクル(岐阜県下呂市)を買収、株式を取得しました。木造建築物の解体時や道路の維持作業を行う際に発生する枝葉や小径木などの産業廃棄物や一般廃棄物の受入・中間処理を行うとともに、受け入れた廃材等を処理・粉砕し木材チップの製造を行っています。TOKAIHDは、「カーボン・ニュートラル・ビジョン」の実現に向け、さらなる努力を重ねています。
北日本紡績は11月4日、プラスチックの製造・販売および産業廃棄物の組立・収集・運搬・加工を行う金井産業(山口県周南市)の全持分を、金井常務ら5人から1億2500万円で取得しました。同社は、日本各地から相当量の廃プラスチックを調達し、次のステージでは中国をはじめとするアジア諸国へのプラスチックペレット輸出を目指す予定です。同法人は、事業内で産業廃棄物の収集運搬許可や中間処理施設などを確保します。
エコロジーソリューションを提供するナガイホールディングス(名古屋市)は、産業廃棄物収集運搬・処分業のコスモス・エコ研究所を買収、株式を取得しました。ナガイHDは、ごみ処理事業において、効率化と顧客サービスの向上を目指しています。
ミダックホールディングスは、1982年に創業した産業廃棄物処理・収集業者である柳産業(静岡県浜松市)を、2021年10月21日に柳正俊代表取締役から全株式を取得しました。柳産業は、建設系廃棄物を取り扱っており、ミダックHDは、中長期的に廃棄物処理を現在の施設から柳産業の中間処理施設に移行することで、将来的なコスト削減を見込んでいる。また、今回の買収により、ミダックグループの企業基盤が強化されることが期待されます。
エア・ウォーターは8月30日、100%子会社のエア・ウォーター物流(札幌市)、エア・ウォーター北海道(北海道)を通じて、産業廃棄物の運搬・処理事業を行うリプロワークホールディングス(北海道石狩市)を買収しました。同事業の売上高は約18億円、従業員数は87人。産業廃棄物の中間処理施設を石狩と根室の2カ所に保有し、北海道の薬用廃棄物の約4分の1のシェアを占めています。エア・ウォーターは、廃棄物の適正処理と資源の再利用に必要な事業体制を構築し、資源循環型社会の実現に向けた取り組みを強化していきます。
7月7日、リサイクルアウトレットの鈴木商会(札幌市)が、建造物の解体や産業廃棄物の処理などを手掛ける木村建設(北海道釧路市)の経営権を譲り受けました。木村の前社長である木村英明氏が取締役に就任し、鈴木商会の代表取締役である駒谷亮氏が同社の社長に就任しました。買収が完了したことで、鈴木商会は道東において、建物の解体から産業廃棄物の処理まで一貫したサービスを提供できるようになります。これにより、お客様の利便性を高めるとともに、鈴木商会が目指す「地域社会への貢献」と「優れた資源保全システム」の実現を目指します。
一般廃棄物・産業廃棄物処理業の上越マテリアル(新潟県上越市)は4月16日、上越ハイキー(新潟県上越市)を買収、全株式を取得しました。社長に上越マテリアル出身の野木裕之氏が就任しました。1956年に設立された同社は、現在114名の従業員を抱えます。上越ハイキー(新潟県上越市)は、1956年に設立され、従業員数は114名、専門知識を共有し、協力し合うことで、ITSユーザーのニーズに迅速かつ的確に対応し、トランス効果を発揮することを目指しています。
大栄環境ホールディングス(本社・神戸市)の子会社で一般・産業廃棄物収集運搬業の大栄環境(本社・大阪府和泉市)は4月1日、同業のリブロック(本社・北海道安平町)を買収、全株式を取得しました。安平町で管理型最終処分場の施設設置許可を取得しています。これにより、大栄環境グループは近畿・東海地区を中心に、関東・東北・北海道で31の再資源化等施設を展開し、事業エリア拡大を図ります。
廃棄物は一般廃棄物と産業廃棄物に分かれます。
一般廃棄物は産業廃棄物以外の廃棄物のことであり、家庭から出される生ごみや粗大ごみなど、市町村が収集するものです。
対して、産業廃棄物は以下2つの条件を満たすものです。
法律で明記されている産業廃棄物の種類は20種類です。
あらゆる事業活動に伴うもの(12種類) | 燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類、ゴムくず、金属くず、ガラスくず・コンクリートくず、鉱さい、がれき類、ダスト類 |
特定の事業活動に伴うもの(8種類) | 紙くず、木くず、繊維くず、動植物性残さ、動物系固形不要物、家畜ふん尿、家畜の死体、13号廃棄物 |
産業廃棄物には、一般的な産業廃棄物と特別管理廃棄物があり、 特別管理廃棄物は扱いに危険が生じるため運搬や管理基準が通常のものより厳しくなっています。
産業廃棄物処理の業務内容は大きく3つに区分されます。
処理までのおおまかな流れとしては、産業廃棄物が排出されると、まず中間処理場へ運ばれます。中間処理場で適切な処理をされた後に最終処分が行われます。
それぞれの業種で事業を行うためには許認可が必要です。
産業廃棄物の収集運搬する事業を行うための許可であり、都道府県から取得します。
ごみ収集車を使った作業などが該当し、排出先から産業廃棄物を中間処理場へ運んだり、中間処理場から最終処分場へ運んだりします。
運ばれてきた産業廃棄物の再生利用ができるかを判断して、リサイクルできるものはリサイクルを行います。
中間処理を行っても再利用不可な物については最終処分場へと移動させます。
中間処理業を行うためには、中間処理施設の設置許可と中間処理業の2つの許認可取得が必要です。
最終処分業者はその名の通り産業廃棄物の最終処分を行う事業です。
適切に処理したうえで地中に埋めたり、海へ投棄したりします。
周りの環境へ影響を及ぼさないために、産業廃棄物の種類によって最終処分の方法や場所は異なり、「安定型」「遮断型」「管理型」の3つがあります。
環境省の「環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告書」によると、環境産業の2022年の市場規模は118.8兆円であり、2000年と比較すると約1.9倍になっています。これは全産業の10.7%にあたります。
環境産業の動向をみると、2000年から2003年の市場規模は約60兆円で、2008年には96兆円に達し、2013年には100兆円を超えました。景気の影響により変動はあるものの年々増加していることがわかります。
環境産業は「環境汚染防止」「地球温暖化対策」「産業物処理・資源有効利用」「自然環境保全」の4つの分野に大別されます。
産業処理・資源有効利用分野の市場規模は4つの分野の中で最も大きく、2000年は43兆5354億円と全体の69%を占めていました。2022年には59兆7706億円となり、環境産業全体の50%以上を占めています。
産業処理・資源有効利用分野をさらに分類すると「廃棄物処理・リサイクル」「資源・機器の有効利用」「長寿命化」の3つに分けられ、うち「廃棄物処理・リサイクル」は5兆2158億円、うち「産業廃棄物処理」は2兆9696億円です。
業界の現在の特徴や今後の見通しについて、以下の4つの点を解説します。
環境省の「産業廃棄物の排出及び処理状況等(令和3年度実績)」によると、全国の産業廃棄物の総排出量のは3億7592万トンであり、前年と比較して約200トン増加していますが推移をみると3億7000万~3億9000万前後と横ばいです。
業種別では、1位が電気・ガス・熱供給・水道業が9948万トン、2位が農業・林業が8169万トン、3位が建設業で8094万トンとなっています。種類別では、汚泥が1億5982万トン(全体の42.5%)、次いで動物のふん尿が8127万トン(21.6%)でした。
産業廃棄物処理業を行うには許認可を取得する必要があり、新規参入による多数のライバル会社が現れるリスクも低いです。
また、排出量は大きく変化しないため、新しく処理場が増えていくことも難しいと想定されます。
すでに参入できている企業にとっては需給量がマッチしているため、非常にいいビジネスともいえるでしょう。
M&Aの観点からは、買い手側は新規で難しい許認可や処分場を確保できる点が非常に魅力であり、売り手側にとってもアピールしやすくなります。
中間処理業は産業廃棄物処理が環境へ及ぼす影響を最低限にとどめるために特に重要なポジションです。
廃棄物の質量や容積、体積を小さくして細分化することで、分解されるまでの時間を短縮したり、使える資源を再利用できるようにリサイクルに回したりするのも中間処理業者が行っているのです。
中間処理業が行う環境への配慮が非常に価値のあるものだといえます。
産業廃棄物業を営むためには、それぞれ都道府県知事の許可が必要です。
この許認可取得は非常に厳しいといわれているため、新規ビジネス参入は難しいでしょう。
法律の適用により制限されることも多く、あわせて周辺環境や住民への配慮も必要となります。
産業廃棄物処理業者が不足している自治体の場所は、可能性は0ではありませんが参入には準備や計画を徹底する必要があります。
新規参入が難しい分、M&Aのメリットは大きいのが特徴です。
業界には主に5つの課題があります。
それぞれについて解説していきますが、解決方法の1つとしてM&Aが選択されるケースも少なくありません。
産業廃棄物の運搬は収集車で行うことがほとんどのため、処理場から車で運べる範囲でのビジネスになります。
範囲の狭いローカルで展開されるビジネスのため、地域にどのような企業(事業)があるかによって業績は左右されます。
ローカルビジネスであるからこそ、小規模事業者も多数存在します。
小規模事業者の場合はとくに人材確保の問題や実現できる事業の限界があるため、規模の拡大は難しくなります。
一方で、地域が限定されるビジネスだからこそМ&Aのニーズが高まることも少なくありません。
廃棄物の収集車や処分場などの設備を維持するためには多額の費用がかかります。
通常の収集車と異なり、飛散防止かつ悪臭の発生を抑える装置が必要です。
保管場や処理施設といった設備を整え続けるためにも継続的な設備投資が必要となるため、会社側の負担も大きくなります。
実際に環境省の「産業廃棄物処理業の振興方策に関する提言(概要)」によると、産業廃棄物処理業を生業(売上高の割合が50%以上)とする事業者は全体の1割程度だといわれています。
産業廃棄物処理業界に限らない話ですが、日本の労働人口は減少傾向が続いています。
どの業界でも人材不足といわれる中、深夜や早朝の労働が強いられることもあり、労働条件が比較的厳しい産業廃棄物処理業界はとくに深刻な状況です。
М&Aによって人材不足の状況から脱却を図るケースも珍しくありません。
人材を採用するとしても社内で育成を図るにしても、金銭的も時間的にもコストがかかってしまいます。
М&Aであれば、こういったコストを抑えつつ人材を確保していくことができます。
産業廃棄物処理業者はサービスの差別化が難しい業種です。
提供している仕事内容に大差がつきにくいため、顧客獲得のために価格面での競争が起こりやすくなります。
新規の顧客を得るためにも想定より価格を下げていく必要があり、価格競争が激化すると会社としての利益も下がってしまいます。
これまでも廃棄物処理法はたびたび法改正されてきました。
産業廃棄物処理業者は改正に合わせて順応していく必要があります。
たとえば、2020年には業者によってきちんと処理されたか確認するために、電子マニフェストの使用が義務付けられました。
環境に対する意識はこれからも社会全体で向上していくため、法律による規制も強まる可能性があります。
産業廃棄物処理の業界では主に以下のような理由からM&Aが行われるケースが多いです。
それぞれ解説します。
業種間のM&Aが行われる理由は主に2つあります。
1つ目は、隣接する「収集運搬業」「中間処理業」「最終処分業」が統合することで、産業廃棄物処理のフロー全体を網羅しようとするためです。
2つ目は、リサイクル業と「中間処理業」などの異業種とM&Aすることでシナジー効果をねらうためです。
シナジー効果とは「相乗効果」のことであり、ビジネスを多角的に展開ができることで想定以上の利益をあげられるようになることを指します。
M&Aにより異業種間がつながることで、シナジー効果を生み出すことができます。
M&Aでは最先端の処理技術や希少性の高い技術をもった会社を買収することで、その技術を自社に取り入れられます。
同じ1つの技術に頼ってばかりの企業はどの業界でも淘汰されてしまうこともあり、新しい技術や開発を追求していくことは産業廃棄物処理業界でも必要です。
たとえば、中間処理業ではリサイクルのための技術の有無が業績に与える影響が大きく、最先端のリサイクル技術やプラスチックを土として再生させるような特殊技術の獲得をねらってM&Aされることもあります。
そのため、近年では環境関連業界とのM&Aが増えています。
産業廃棄物処理業界のM&Aでは「事業エリアの拡大」をねらったものも非常に多いです。
上述したように、産業廃棄物処理業界はローカルビジネスで、排出量も変化が少ないために必要な業者数はほぼ決まってしまっています。
そのため、業者が乱立しないように事業を行うための認可を得ることも簡単ではありません。
すでに許可を取得していて地域に根付いている会社を買収できれば、事業の広域化や規模拡大につながります。
産業廃棄物業界でM&Aを行ううえで、売り手側と買い手側それぞれが得られるメリットと注意点を解説します。
業界の課題において、固定費の負担について触れました。
営業していくためには、継続的な設備投資が必要となります。
例えば、収集車は使用していくと劣化していきます。そのため、初期コストだけではなく、定期的なメンテナンス費用等を支払い続ける必要があるため、事業主側の負担も大きくなります。
しかし、M&Aで売却すると譲受企業の資本力が加わるため費用問題をクリアできる利点があります。
また、譲受側は融資の肩代わりや、現在の保証をそのまま引き受ける形が取れるため、個人保証を解除できるのです。
廃業を選択した場合、現在雇用している従業員は解雇の流れとなります。
会社を売却または譲渡の際に従業員を引き渡せれば、ほとんどの場合従業員の雇用が継続されるでしょう。
とくに中小企業における後継者問題は深刻化しています。
事業を存続させたいと願っても、後継者がいなければ継続は困難になります。
M&Aを行うことで、親族や社内に後継者がいない場合でも第三者に事業を引き継ぎ、事業の存続が可能となります。
産業廃棄物処理業は地域に根ざしたビジネスです。
経営を続けるためには、とくに地域住民の理解が必要となるため、環境と住民に配慮した経営者を選びましょう。
また、後継者問題でお悩みの場合は、余裕をもって動けるうちにしっかりと準備をしておくことが得策です。
産業廃棄物処理業での経験豊富な人材を新たに雇用しようと考えても、難しいのが現状です。
M&Aを行うと、すでに働いている専門的知識やスキルのある人材をそのまま雇用できるため、即戦力となります。
譲受企業にとっても貴重な財産となるでしょう。
産業廃棄物処理業への新規参入は非常に難しいと先述しました。
これから新しく同様のビジネスを立ち上げようと考えても、狭き門であるため実現は難しいです。
そのため、買い手側にとって、新規参入の難しい会社を買収するメリットは非常に大きくなります。
現在経営しているからこそ、顧客や運営に必要な設備はある程度揃っていることがほとんどです。
新規開拓ではなく、既存の取引先や設備を活かして事業拡大を行うことができます。
どの業種にもいえますが、あらかじめ買収企業の業務状況をしっかりと調べておきましょう。
従業員の雇用状況や年代など、業務状況や背景など知っておくべき項目は多くあります。また、耐久年数等を確認するためにも実際に施設を見学に行き、収集車等設備の把握も必要です。
企業の買収や売却をする場合は双方が慎重に行わなければなりません。そのため、自社ですべてを完結させるのは非常に難しく、リスクもあります。
M&Aでの事業承継を検討している経営者は実績があり信頼できるM&A仲介会社に相談されることをお勧めします。
M&Aロイヤルアドバイザリーでは、M&Aや事業承継の初期的な関心でもご相談いただけます。事業承継には時間がかかるものなので、早い段階で情報収集を行い、M&Aを含めた最適な解決策を検討することが重要です。
今後のプランを考えるためにも、ぜひM&Aロイヤルアドバイザリーにご相談ください。
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