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嘱託社員とは、契約社員や派遣社員、パート・アルバイトと同じく雇用形態の一つです。会社売却や事業承継を検討する中小企業オーナーにとって、人材の活用方法は重要な課題の一つですが、特に嘱託社員は、経験豊富な人材を柔軟に活用できる制度として注目されています。
嘱託社員とは、企業が特定の業務や期間を限定して雇用する専門性の高い人材のことで、定年後の再雇用や技術継承の場面でよく活用されます。会社売却後にオーナーや幹部社員が一定期間関与し続けるための選択肢としても有効です。本記事では、嘱託社員の定義や正社員・契約社員との違い、企業が活用するメリット・デメリット、労働条件や契約上の注意点まで詳しく解説します。
目次
嘱託社員とは、企業が特定の目的や期間を限定して雇用する人材を指します。定年退職後の職員を再雇用する場合や専門性の高い人材を雇用する場合に嘱託社員として契約を締結することが一般的です。嘱託社員は法律上の明確な定義はありませんが、実務上は有期雇用契約を結び、経験やスキルを活かして企業に貢献する働き方として位置づけられています。
「嘱託(しょくたく)」という言葉は、もともと「頼みを託す」という意味で使われており、特定の業務や責任を委ねるという概念から生まれています。嘱託社員は企業が専門的な知識や経験を持つ人材に対し、限定的な契約のもとで業務を委ねる雇用形態です。法的には「有期労働契約」に分類されることが多く、労働基準法や労働契約法の適用を受けます。
一般的に嘱託社員は、正社員と比較して契約期間が定められており、特定のプロジェクトや業務に特化して働くケースが多くなっています。企業側にとっては、必要な期間だけ専門性の高い人材を確保できるメリットがあり、働く側にとっては自身の経験やスキルを活かしながら柔軟な働き方を実現できる雇用体系といえます。
嘱託社員として採用するケースには、大きく分けて3つのタイプが存在します。
最も一般的なのは定年退職後の再雇用型で、これまで培った経験や技術を活かして継続的に企業に貢献するパターンです。
定年後再雇用型は、定年退職した社員を嘱託社員として再雇用し、若手社員への技術指導や取引先との関係維持を担ってもらう活用方法です。製造業では熟練工の技術継承、営業部門では顧客との長期的な信頼関係の維持といった場面で重宝されています。
2つ目は専門職招聘型で、特定の専門知識や資格を持つ外部人材を期間限定で雇用するケースです。IT分野でのシステム開発、経理・財務分野での税務対応、人事労務分野での制度改革など、社内にない専門性を補完する目的で活用されます。
3つ目はプロジェクト型で、新規事業の立ち上げや工場の新設、海外展開といった期間限定のプロジェクトに必要な人材を確保する際に使われます。プロジェクトの完了とともに契約も終了するため、企業としては人件費をコントロールしやすいメリットがあります。
嘱託社員は勤務形態によって常勤嘱託と非常勤嘱託に分けられ、それぞれ労働時間や処遇が異なります。常勤嘱託は正社員と同様にフルタイムで勤務しますが、正社員と比べると責任の範囲が限定されることが一般的です。
常勤嘱託の場合、労働時間は週40時間程度で、社会保険や雇用保険の適用対象となる場合があります。給与水準は正社員よりも低く設定されることが一般的ですが、専門性や経験に応じて正社員と同等またはそれ以上の待遇を受けるケースもあります。
非常勤嘱託は週2〜3日程度の勤務や短時間勤務が基本で、特定の業務やプロジェクトに限定して関わることが多い働き方です。労働時間が短いため社会保険の適用対象外となることもあり、給与は時給制や日給制で支払われるケースが見られます。
嘱託社員には、その専門性や経験を活かした高度な業務が期待されます。特に技術継承の分野では、長年の経験で培った技術やノウハウを次世代に伝える重要な役割を担います。
例えば製造業においては、熟練工が持つ微細な調整技術や品質管理のポイントを若手社員に指導することで、企業の技術力維持に貢献します。営業分野では、長期的な顧客関係の維持や新規開拓のノウハウ共有により、売上の安定化に寄与することが期待されています。
嘱託社員に求められる重要なスキルとして、自身の知識や経験を他者に伝える指導力と、限られた期間で成果を出す効率性があります。。単に業務をこなすだけでなく、後継者の育成や組織の発展に寄与することが重要な評価ポイントとなります。
また、変化への適応力も重要で、特に会社売却後の新体制下では、これまでのやり方にとらわれず、新しい経営方針に合わせて柔軟に対応する姿勢が求められます。
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嘱託社員の雇用条件は、正社員や契約社員と比較して独特の特徴があります。契約期間、給与体系、福利厚生の適用範囲など、様々な面で違いがあるため、制度を導入する際は詳細な検討が必要です。
嘱託社員と正社員の最も大きな違いは雇用の安定性です。正社員は原則として定年まで雇用が保障される無期雇用契約ですが、嘱託社員は契約期間が定められた有期雇用契約となります。
給与面では、嘱託社員は基本給が正社員よりも低く設定されることが多く、賞与や昇給制度についても制限があります。正社員が年功序列的な昇給システムの恩恵を受けるのに対し、嘱託社員は契約で定められた範囲内での処遇となるため、長期的な収入増加は期待しにくい傾向があります。
福利厚生についても違いが見られ、正社員が住宅手当や家族手当、退職金制度の適用を受けるのに対し、嘱託社員はこれらの制度から除外されるケースが多くあります。ただし、社会保険や雇用保険については、勤務時間や勤務日数が一定の条件を満たせば適用対象となります。
責任範囲については、正社員が幅広い業務と管理職としての責任を負うことが多いのに対し、嘱託社員は契約で定められた特定の業務に専念することが一般的です。これにより、嘱託社員は専門性を活かしながら、過度な責任を負わずに働けるメリットがあります。
嘱託社員と契約社員の区別は曖昧な部分もありますが、一般的に嘱託社員の方がより高い専門性や経験を求められる傾向があります。契約社員は定型的な業務を担当することが多いのに対し、嘱託社員は専門知識を活かした判断業務や指導業務を期待されます。
契約期間についても、契約社員は1年契約が一般的ですが、嘱託社員は業務の性質に応じて柔軟に設定されることが多くなっています。更新の判断基準も、契約社員は業務の継続性が重視されるのに対し、嘱託社員は成果や貢献度がより重要視される傾向があります。
中小企業においては、両者の区別を明確にしないまま運用されているケースも多く、労働条件通知書や契約書において、職務内容や期待される役割を具体的に明記することが重要です。
嘱託社員とパート・アルバイトの大きな違いの一つが、求められる専門性のレベルです。パート・アルバイトは主に労働力の提供が目的であるのに対し、嘱託社員は専門知識や経験に基づく判断力が重視されます。
勤務時間についても、パート・アルバイトは短時間勤務が基本ですが、嘱託社員は常勤・非常勤を問わず、業務の性質に応じて柔軟に設定されます。給与体系も、パート・アルバイトは時給制が一般的ですが、嘱託社員は月給制や年俸制など、多様な方法で支払われることが多くなっています。
パート・アルバイトが比較的容易に代替可能な業務を担当するのに対し、嘱託社員は正社員時代の経験を活かし、代替が難しい専門業務や重要な判断業務を任される傾向があることも特徴です。
企業が嘱託社員制度を活用する理由は多岐にわたりますが、最も大きなメリットは即戦力の確保です。新卒や中途採用と異なり、既に必要なスキルや経験を持つ人材をすぐに活用できるため、教育コストや時間を大幅に削減できます。
人件費の観点でも、正社員と比較して総人件費を抑制できるメリットがあります。賞与や退職金、各種手当の支給がないか制限されるため、同じレベルの業務を正社員に任せるより安いコストで運営可能です。
| 項目 | 嘱託社員のメリット | 嘱託社員のデメリット |
|---|---|---|
| 人件費 | 正社員より総人件費を抑制可能 | 高い専門性に見合う報酬設定が必要 |
| 即戦力性 | 教育コストがほとんど不要 | 適任者が見つからない可能性 |
| 契約の柔軟性 | 期間や条件を柔軟に設定可能 | 契約更新時のトラブルリスク |
| 技術継承 | ベテランの知識・技術を活用可能 | 依存度が高くなるリスク |
| モチベーション | 専門性を活かせる環境を提供 | 処遇格差による不満の可能性 |
一方でデメリットとしては、正社員との処遇格差によるモチベーション低下や、重要な業務を特定の嘱託社員に依存しすぎることで生じる組織リスクがあげられます。契約期間が限定されているため、長期的な戦力として計画しにくい点も課題となります。
また、同一労働同一賃金の観点から、正社員と同様の業務を行う嘱託社員に対しては、合理的な理由なく待遇格差をつけることができなくなっており、制度設計時には十分な検討が必要です。
嘱託社員の労働条件は、労働基準法や労働契約法が適用されるため、適切な契約書の作成と運用が必要です。特に契約期間、賃金、社会保険の適用について正しく理解し、トラブルを未然に防ぐ体制を整えることが重要になります。
嘱託社員の契約期間は労働基準法により最長3年間(高度専門職と満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約は最長5年間)と定められており、この範囲内で企業と労働者が合意した期間を設定します。契約期間の設定は業務の性質や目的に応じて決められ、1年契約が一般的です。
契約更新については、更新する可能性がある場合は契約書にその旨を明記し、更新の判断基準も具体的に示しておくことが求められています。更新の基準として、業務遂行能力、勤務態度、会社の業績、当該業務の継続性などを明確に定めることが重要です。
契約を更新しない場合は、一般的に期間満了の30日前までに労働者に通知する必要があります。また、契約の更新を繰り返し、実質的に無期契約と同様の状況になっている場合は、雇止めが制限される場合があるため注意が必要です。
無期転換ルールにより、同一の使用者との間で有期労働契約が5年を超えて更新された場合、労働者の申込みによって無期労働契約に転換されます。これを避けたい場合は、契約期間や更新回数を適切に管理する必要があります。
嘱託社員の給与形態は多様ですが、常勤嘱託の場合は月給制や年俸制が一般的です。賃金水準は正社員よりも低く設定されることが多いものの、専門性や経験に応じて正社員と同等以上の待遇とする企業も存在します。
賞与については、支給する場合には契約書に明記する必要があります。多くの企業では嘱託社員に対する賞与支給を行わないか、正社員より低い水準に設定しています。ただし、同一労働同一賃金の観点から、正社員と同様の業務を行う場合は合理的な説明が求められます。
昇給制度については、有期契約の性質上、年功序列的な昇給は適用されないことが一般的ですが、契約更新時に実績や貢献度に応じて条件を見直すことは可能です。昇給の可能性がある場合は、その基準を契約書に明記しなければなりません。
中小企業においては、会社売却後の経営陣の処遇として嘱託社員制度を活用する場合、これまでの役員報酬から大幅に減額される可能性があるため、事前に条件をよく検討することが必要です。
嘱託社員の社会保険適用は、勤務時間と勤務日数によって決まります。様々な除外規定がありますが、以下の条件を満たす場合は厚生年金保険と健康保険の加入対象となります。
雇用保険については、一般的に週の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用が見込まれる場合に適用されます。この基準は正社員と同様であり、嘱託社員だからといって除外されることはありません。
労災保険については、雇用形態に関係なく全ての労働者が対象となるため、嘱託社員も当然に適用されます。業務上の事故や通勤途中の事故については、正社員と同様の補償を受けることができます。
社会保険の適用により、企業側は社会保険料の半額を負担する必要があるため、人件費計算時にはこの点も考慮する必要があります。一方、適用対象外となる短時間勤務の嘱託社員の場合、社会保険料負担はありませんが、労働者にとっては保障面で不利となる可能性があります。
嘱託社員の有給休暇は、労働基準法に基づいて付与されます。雇入れから6ヶ月経過し、全労働日の8割以上出勤した場合に年次有給休暇が発生し、勤務日数に応じた日数が付与されます。
フルタイム勤務の嘱託社員の場合、正社員と同様に年10日から最大20日の有給休暇が付与されます。パートタイム勤務の場合は、週の所定労働日数に応じて比例付与されることになります。
労働時間については、労働基準法により上限規制が設けられており、原則として1日8時間、週40時間を超えて労働させることはできません。これを超えて時間外労働や休日労働を行わせる場合には36協定(時間外・休日労働に関する協定)を締結し、法定の割増賃金を支払う必要があります。これらの規制は嘱託社員にも適用されます。
深夜労働や休日労働についても正社員と同様の扱いとなり、法定の割増率(深夜25%以上、休日35%以上)での賃金支払いが義務付けられています。
2020年に施行された同一労働同一賃金制度により、正社員と非正規雇用労働者との間で、業務内容や責任の程度が同じ場合は、待遇格差に合理的な理由が必要となりました。これは嘱託社員にも適用されます。
同一労働同一賃金の対象となる待遇は、基本給、賞与、各種手当、福利厚生、教育訓練など多岐にわたります。正社員と嘱託社員で業務内容が同じ場合、待遇格差については職務内容の違い、責任の程度の違い、配置転換の範囲の違いなどを根拠として説明する必要があります。
待遇格差を設ける場合は、その理由を明確にして労働者に説明できる体制を整えることが重要で、単に雇用形態が違うという理由だけでは不十分とされています。職務記述書の作成や責任範囲の明確化など、客観的な根拠を用意することが求められます。
中小企業においては、限られたリソースの中で制度整備を行う必要があるため、外部の専門家と相談しながら適切な制度設計を行うことが推奨されます。
嘱託社員の契約時には、労働条件通知書または雇用契約書において必要事項を漏れなく記載することが法的に義務付けられています。特に有期雇用契約の場合は、契約期間や更新の可能性について明確に示す必要があります。
必須記載事項として、契約期間、就業場所、従事する業務内容、始業・終業時刻、休憩時間、休日、賃金の決定・計算・支払い方法、昇給の有無などがあります。これらの項目について曖昧な記載は後のトラブルの原因となるため、具体的で明確な記載が重要です。
特に中小企業の経営者が会社売却後に嘱託社員として残る場合は、業務範囲や権限、守秘義務、競業禁止条項などについて買い手企業と詳細に協議し、明文化しておくことが重要です。曖昧な契約は双方にとってリスクとなるため、専門家のアドバイスを受けながら適切な契約書を作成することが推奨されます。
嘱託社員は、企業が専門性の高い人材を柔軟に活用できる重要な雇用形態です。定年後再雇用や技術継承の場面で特に有効で、会社売却後の経営陣の処遇としても活用されることがあります。正社員や契約社員との違いを正しく理解し、適切な労働条件を設定することで、企業と働く側双方にメリットをもたらす制度となります。
制度導入時は、同一労働同一賃金への対応や契約書の適切な作成など、法的要件を満たすことが不可欠です。特に中小企業においては、限られたリソースの中で効果的な人材活用を図るため、嘱託社員制度の特性を活かした戦略的な運用が求められます。会社売却や事業承継を検討する経営者にとって、嘱託社員制度は人材と技術の継承を実現する有効な選択肢の一つといえるでしょう。
会社売却における人材戦略や嘱託社員制度の活用についてご相談をお考えの経営者の方は、専門家による個別のアドバイスを受けることをお勧めします。
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