支払調書とは?提出義務・期限や記入方法、源泉徴収票との違いを解説

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支払調書は、一定の報酬や料金を支払った事実を税務署へ報告するための重要な法定調書です。事業を行っていると、弁護士や税理士への報酬、フリーランスへの業務委託費、原稿料や講演料など、さまざまな「報酬の支払い」が発生します。こうした支払いに伴い登場するものが「支払調書」です。しかし、源泉徴収票との違いなど対応に迷う方も少なくありません。 

正しく理解しておかないと、提出漏れや記載ミスにつながる恐れがあるため、本記事では支払調書の基本的な意味や役割をわかりやすく解説していきます。

支払調書とは|意味や法的義務をわかりやすく解説

まず、支払調書の概要を詳しく解説します。 

支払調書とは法定調書の一種

支払調書とは、特定の支払いを行った事業者が、その支払いの詳細(誰に、いつ、いくら支払ったか、源泉徴収はいくらしたか)を記載し、税務署に提出する「法定調書」の一種です。所得税法第225条に基づき、適正な課税を維持するために作成が義務付けられています。 

多くのフリーランスや個人事業主にとって、確定申告の時期に届く「1年間の報酬まとめ」としてなじみ深いものですが、本来の主目的は受取人への通知ではなく、「税務署への報告」にあります。 

支払調書の提出を求める目的 

税務署がこの書類を収集する最大の理由は、「お金の流れを完全に把握すること」です。例えば、あるライターが確定申告で「売り上げ200万円」と申告したとします。しかし、税務署に届いている複数の支払調書を合算すると「300万円」の支払いがあった場合、即座に100万円の申告漏れが発覚します。 

支払調書は、税務署にとっての「答え合わせのシート」といえるでしょう。 

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    支払調書と源泉徴収票との違い

    次に、支払調書と源泉徴収票の違いを解説します。 

    共通は税務署への提出書類

    支払調書と源泉徴収票はいずれも、支払者が「誰に・いくら支払ったのか」「どの程度の税額を源泉徴収したのか」を明らかにするための書類です。 

    税務署が所得状況を把握するための資料という点では共通しており、どちらも原則として税務署への提出が求められます。一方で、どのような支払いを対象としているかや、支払先への扱いには大きな違いがあります。 

    支払先への交付義務があるかどうかの違い 

    最もわかりやすい違いが、支払先への交付義務の有無です。源泉徴収票は、従業員など給与の受取人に対して、必ず交付しなければならない書類です。年末調整や確定申告に使用されるため、本人への交付が法律で義務付けられています。 

    一方、支払調書については、支払先への交付義務はありません。あくまで税務署に提出するための書類であり、支払先に渡さなくても法令上は問題ありません。ただし、実務上は確定申告の参考資料として交付を求められることもあり、その場合は任意で対応するケースが多く見られます。 

    対象となる支払い内容の違い 

    支払調書と源泉徴収所のもう一つの大きな違いは、対象となる支払いの種類です。支払調書は、給与以外の支払を対象とします。雇用関係ではなく、業務や成果に対して支払われる対価である点が特徴です。一方、源泉徴収票は、従業員に支払う給与や賞与などを対象とし、給与所得に関する情報をまとめた書類です。 

    記載される内容の違い

    記載項目にも、それぞれの役割の違いが表れています。 

    支払調書には、 

    • 支払った報酬や料金の金額 
    • その支払いが発生した理由や区分 
    • 源泉徴収した税額 

    などが記載されます。 

    一方、源泉徴収票には、 

    • 年間の給与・賞与の総額 
    • 実際に納付した所得税額 
    • 社会保険料などの控除額 

    といった、給与所得に特化した情報がまとめられています。 

    支払調書の種類

    支払調書の種類は、次のとおりです。 

    • 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書 
    • 不動産の使用料等の支払調書 
    • 不動産の譲受けの対価の支払調書 
    • 不動産等の売買又は貸し付けのあっせん手数料の支払調書 

    それぞれをわかりやすく解説します。 

    報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書 

    報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書は、業務委託や専門業務に対する対価を支払った場合に用いられます。例えば、弁護士や税理士などの士業への報酬、フリーランスへの原稿料や講演料などが該当します。これらの支払いでは、原則として所得税の源泉徴収が行われるため、1年間の支払総額と源泉徴収した税額をまとめて税務署へ報告します。 

    支払調書には、支払いの内容や金額、源泉徴収税額に加え、支払者・受取者双方の情報を記載します。ただし、一定額以下の少額な支払いについては、提出が不要となる場合もあり、全ての報酬が無条件に対象になるわけではありません。 

    不動産の使用料等の支払調書 

    不動産の使用料等の支払調書は、法人や不動産業を営む個人が不動産の使用に対して金銭を支払った場合に作成します。対象となるのは、事務所や店舗の賃料に限らず、更新料や権利金、礼金、一時的な地代など、不動産の使用に関連して支払われる金銭全般です。

    一方で、相手が法人であり、家賃のみを支払っている場合など内容によっては提出が不要となるケースもあります。また、敷金や保証金のように、将来返還される前提の金銭は原則として対象外ですが、返還されないことが確定した場合には支払調書の提出が必要です。 

    不動産の譲受けの対価の支払調書 

    土地や建物などの不動産を取得し、その対価を支払った場合には、不動産の譲受けの対価に関する支払調書を作成します。売買契約だけでなく、交換や競売、公売、現物出資などによる取得も含まれ、同一の相手に対する年間の支払額が一定額を超えると提出義務が生じます。 

    この支払調書には、取得した不動産の種類や所在地、取得時期、支払金額などを記載し、仲介者が関与している場合はその情報も記載します。補償金など、取得対価とは別の金銭を支払っている場合には、その内容を明確に区別して記載する必要があります。 

    不動産等の売買又は貸し付けのあっせん手数料の支払調書 

    不動産の売買や賃貸借に関して、仲介やあっせんを行った者に手数料を支払った場合には、あっせん手数料に関する支払調書を作成します。一定額を超える手数料を同一の相手に支払った場合に、税務署への提出が必要です。ただし、他の不動産関連の支払調書において、仲介者の情報や手数料の内容が適切に記載されている場合には、この支払調書の提出を省略できることもあります。 

    また、不動産業を営む個人で、主に賃貸借の代理や仲介を業としている場合には、提出義務が生じない点にも注意が必要です。 

    支払調書の提出義務の範囲

    前述のとおり、支払調書は、報酬や料金を支払った全てのケースで提出が必要になるわけではありません。特に実務で使用頻度の高い「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」については、区分ごとに判断基準が異なるため、わかりやすく解説します。 

    提出義務は「職種・報酬区分」ごとに異なる 

    支払調書の提出が必要かどうかは、単に支払額の大小だけで判断されるものではありません。重要な点は、誰に対して、どのような性質の報酬を支払ったのかです。 

    例えば、弁護士や税理士といった専門職への報酬と、営業活動に従事する人や接客業に関わる人への報酬とでは、提出義務が発生する金額の基準が異なります。これは、職種や報酬の内容によって税務上の扱いが分けられているためです。 

    そのため、支払調書の要否を判断する際には、金額を確認する前にまず支払いの内容がどの報酬区分に該当するのかを整理することが欠かせません。区分を誤ると、不要な書類を作成したり、逆に提出漏れが生じたりする恐れがあります。 

    年間50万円超が基準となる報酬の区分 

    一部の報酬については、比較的高い金額基準が設けられており、同一の相手に対する年間の支払総額が50万円を超えるかどうかが提出義務の判断ポイントです。 

    例えば、外交員や集金人、検針業務に従事する人、プロボクサーなどに支払う報酬がこれに該当します。また、社会保険診療報酬支払基金を通じて支払われる診療報酬についても、同様の基準で判断されます。 

    これらの区分では、年間の支払額が基準以下であれば支払調書は不要となるため、相手ごとに1年分の支払いを集計し、基準を超えているかの確認が重要です。 

    1回当たりの金額で判断される賞金の扱い 

    賞金に関する支払調書では、年間合計額ではなく1回ごとの支払金額を基準に提出義務が判断されることがあります。例えば、馬主に対して支払われる競馬の賞金では、1回の支払いが一定額(75万円)を超えた場合、その人に対してその年に支払われた全ての賞金が支払調書の対象です。

    例え支払いが単発であっても、金額が大きければ提出義務が生じる点が特徴です。そのため、賞金を支払う際には、回数だけでなく1回当たりの金額にも注意して管理する必要があります。 

    年間5万円超で対象となる一般的な報酬 

    企業が最も対応する機会が多い支払調書は、専門家や個人事業者に対する一般的な報酬です。 

    例えば、弁護士・税理士・司法書士といった士業への報酬や、フリーランスへの業務委託料、原稿料、講演料などがこれに該当します。これらの支払いについては、同一の相手に対して1年間に支払った金額の合計が5万円を超えるかどうかが提出義務の判断基準です。 ただし、前述したように年間50万円以上で提出が義務付けられているケースもあります。

    年間の支払額が基準以下であれば支払調書は不要ですが、判断はあくまで相手ごとに行うため、複数回に分けて支払っている場合でも、合算して確認することが重要です。 

    提出判断の前提となる「支払金額」の考え方 

    支払調書の提出が必要かどうかを判断する際は、帳簿上の計上額ではなく、実際に「支払いが確定している金額」を基準に考える必要があります。具体的には、1月から12月までの1年間に支払いが確定した報酬等の合計額が、その判断基準になります。なお、提出の際には未払い分も支払調書に記載することが求められています。そのため、年末に未払の報酬が残っている場合でも、将来の支払いを見据えて源泉徴収が必要となる税額を把握し、管理しておくことが大切です。 

    支払時期と提出判断を混同しないよう注意しましょう。 

    支払調書の記載項目

    支払調書を作成する際には、金額だけを記載すれば良いわけではありません。事業者が作成する頻度の高い「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」支払い調書を例に、主な記載事項について分かりやすく解説します。 

    • 支払いを受ける者の情報(氏名・住所・番号) 
    • 区分(報酬や料金の種類) 
    • 細目(具体的な内容の補足) 
    • 支払金額 
    • 源泉徴収税額 
    • 摘要 
    • 支払者の情報 

    支払いを受ける者の情報(氏名・住所・番号) 

    支払調書では、報酬の受取人を誤りなく識別できるよう、基本情報の正確な記載が求められます。個人であれば本名と居所、法人であれば正式な法人名と所在地を用い、屋号や通称のみで済ませることはできません。記載にあたっては、契約書や請求書などの一次資料を確認し、表記ゆれがないかのチェックが重要です。 

    また、個人番号や法人番号の記載は、提出先が官公庁である場合に限って認められています。受取人へ控えを交付する際には、個人番号を含めないなど、提出用と交付用で記載内容を明確に区別する必要があります。番号情報の取り扱いには、特に慎重な対応が求められます。 

    区分(報酬や料金の種類) 

    区分欄は、支払調書の中でも支払いの性質を判断するための重要な項目です。ここには、原稿料や翻訳料、印税など、支払った報酬や料金がどのような内容のものかを具体的に記載します。単に「報酬」とまとめてしまうのではなく、業務の実態が分かる名称を用いることが大切です。 

    また、印税については内容に応じた区別が求められます。例えば、書き下ろし作品に対する初版分の印税と、それ以外の印税では性質が異なるため、同じ印税であっても分けて記載します。区分を正確に記載しておくことで、税務署が支払い内容を把握しやすくなり、確認や問い合わせが生じるリスクを抑えられます。 

    細目(具体的な内容の補足) 

    細目欄は、区分だけでは把握しきれない支払いの具体的な中身を補足するための項目です。税務署が支払いの実態を正確に理解できるよう、報酬や料金の内容に応じて関連する情報を記載します。 

    例えば、印税であれば対象となる書籍名、原稿料やさし絵料であればその年に何回支払ったのか、出演料であれば出演した映画や演劇の作品名を記載します。弁護士などの専門家への報酬については、関与した事件名や業務内容を示し、広告宣伝を目的とした賞金の場合は賞金の名称を記載します。教授料や指導料については、講座名や指導内容が分かるように記載します。 

    このように細目欄を適切に記載することで、同じ区分の報酬であっても内容の違いが明確になり、後から確認が必要になった場合でも説明しやすくなります。 

    支払金額 

    支払金額の欄には、1月1日から12月31日までの1年間に支払いが確定した報酬や料金の合計額を記載します。 

    ここで注意したいのは、実際に振り込んだ金額だけを記入するわけではない点です。年内に金額が確定していれば、作成時点でまだ支払っていない未払分や、金額が少額で源泉徴収を行っていない報酬であっても、記載の対象です。記入漏れがあると、支払内容の把握にズレが生じるため注意が必要です。 

    未払の報酬がある場合は、支払金額の欄を上下二段に分けて記載します。上段には未払額を、下段にはその年に支払いが確定した金額の合計を記入し、支払状況が分かるように整理します。 

    なお、金額は原則として消費税等を含めて判断しますが、消費税が明確に区分されている場合には、消費税相当額を除いて計算しても差し支えありません。また、源泉徴収の対象外となる報酬であっても、提出基準に該当する場合は支払調書の作成が必要となる点にも注意が必要です。 

    源泉徴収税額 

    源泉徴収税額の欄には、その年に源泉徴収すべき所得税と復興特別所得税を合算した金額を記載します。実際に年内に徴収した税額だけでなく、支払調書の作成時点で報酬が未払いとなっており、まだ徴収できていない税額がある場合には、その未収納分を区別して記載します。一方で、法令に基づき徴収の猶予を受けている税額については、この欄には含めません。 

    源泉徴収税額は、報酬の金額に応じた税率を用いて計算します。一般的な報酬では、所得税に復興特別所得税を加えた税率が適用され、一定額までは低い税率、それを超える部分には高い税率が用いられます。計算の際は、1円未満の端数を切り捨てる点にも注意が必要です。また、消費税が報酬額と明確に区分されている場合には、その消費税相当額を源泉徴収の対象から除くことができます。 

    なお、全ての報酬が同じ計算方法になるわけではありません。報酬の種類によっては、一定額を差し引いた後の金額に税率を掛ける特例的な計算方法が定められているものもあります。源泉徴収税額を誤って計算すると、修正や追加対応が必要になるため、報酬の内容に応じた正しい計算方法を確認した上で記載することが重要です。 

    摘要 

    摘要欄は、支払調書の中でも特定の事情がある場合にのみ補足情報を記載する項目です。全てのケースで記入する必要はなく、通常の記載項目だけでは支払いの内容や状況が正しく伝わらない場合に使用します。 

    摘要欄へ記載するケースは、次のとおりです。 

    • 診療報酬に家族診療分が含まれている場合 

    家族診療に該当する金額を明示し、通常の診療報酬と区別できるよう補足します。 

    • 災害による被害を理由に源泉徴収税の猶予を受けている場合 

    報酬や料金に係る源泉所得税および復興特別所得税について、徴収猶予の対象となっている税額があることを記載します。 

    • 広告宣伝を目的とした賞金が金銭以外で支払われた場合 

    物品など金銭以外の形で支給した場合は、その内容や種類を具体的に記載します。 

    • 源泉徴収が不要となる特別な事情がある場合 

    支払いを受ける者が源泉徴収の免除証明書を提出している場合や、法律上そもそも源泉徴収が不要とされている場合には、その旨を明記します。 

    摘要欄は、税務署が支払内容を誤解なく把握するための補助的な役割を担っています。該当する事情がない場合には空欄のままで問題はなく、必要なケースに絞って簡潔かつ正確に記載することが重要です。 

    支払者の情報 

    支払者欄には、報酬や料金を支払った側の情報を記載します。ここに記載する内容は、支払調書を作成した責任主体を明確にするためのもので、税務署が支払いの出どころを確認する際の重要な情報です。 

    具体的には、次のような事項を記載します。 

    • 氏名または名称 

    個人の場合は氏名、法人の場合は正式な法人名を記載します。 

    • 住所または所在地 

    個人事業主であれば住所、法人であれば本店所在地を記載します。 

    • 電話番号 

    内容確認が必要になった場合に備え、連絡可能な番号を記載します。 

    • 個人番号(マイナンバー)または法人番号 

    これらの番号を記載できるのは、税務署などの官公庁へ提出する支払調書のみです。支払いを受ける相手に交付する控えには、支払者のマイナンバーを記載してはいけないため、提出用と交付用で取り扱いを分ける必要があります。 

    なお、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」は、個々の支払い内容を示す個別の法定調書にあたります。税務署へ提出する際には、これらの個別調書とは別に、全体の集計結果をまとめた「給与所得の源泉徴収等の法定調書合計表」を作成し、併せて提出する点にも注意が必要です。 

    支払調書は単独で完結する書類ではなく、合計表とセットで提出することが前提です。 

    支払調書を作成するときのポイント

    支払調書を作成するときのポイントは、次のとおりです。 

    • 支払先への交付は義務ではないが、対応できる準備が重要 
    • 個人への支払いはマイナンバーの取り扱いに注意する 
    • 非居住者・外国法人かどうかを必ず確認する 

    それぞれをわかりやすく解説します。 

    支払先への交付は義務ではないが、対応できる準備が重要 

    支払調書は、あくまで税務署に提出することが義務付けられている書類であり、支払先に必ず渡さなければならないものではありません。そのため、法律上は支払先へ交付しなくても問題はありません。ただし実務では、支払先が確定申告を行う際の参考資料として、支払調書の写しを求めてくるケースが少なくありません。交付しない選択も可能ですが、問い合わせがあった際に対応できないと、無用なトラブルにつながる恐れがあります。 

    そのため、控えを適切に保管しておくことや必要に応じて再発行できる体制を整えておくことが現実的です。一方で、税務署への提出は必須であるため、交付の有無に関わらず、提出期限や提出漏れには十分注意する必要があります。 

    個人への支払いはマイナンバーの取り扱いに注意する 

    支払先が個人の場合、支払調書には原則としてマイナンバーの記載が求められます。これは税務署が支払い内容と申告内容を照合するために必要とされているためです。ただし、支払先がマイナンバーの提供を拒んだ場合でも、番号が記載されていないことだけで直ちに違反になるわけではありません。そのような場合に備え、マイナンバーの提供を依頼した経緯が分かるよう、書面やメールなどで記録を残しておくことが重要です。 

    また注意すべき点として、支払先に渡す支払調書の写しにはマイナンバーを記載してはいけません。提出用と交付用では記載内容が異なるため、作成時には取り違えが起こらないよう、管理方法を分けておく必要があります。 

    非居住者・外国法人かどうかを必ず確認する 

    支払先が日本国内に住所を持たない個人、または外国法人に該当する場合には、通常の支払調書とは異なる取り扱いが必要です。この場合、一般的な様式ではなく、非居住者や外国法人向けの専用の支払調書を作成します。 

    さらに、年間の支払額が一定の基準を超える場合や、相手方の所在地が国際的な情報交換の対象となっている国・地域にある場合には、提出部数が増えるなど、提出方法にも注意が必要です。国内の個人や法人と同じ感覚で処理してしまうと、書類の不備や提出漏れにつながる恐れがあります。 

    そのため、契約時や支払い前の段階で、支払先が居住者か非居住者か、国内法人か外国法人かを確認しておくことが重要です。支払先の属性を正しく把握しておくことが、支払調書作成時のミスを防ぐポイントといえます。 

    支払調書の発行方法

    支払調書の発行方法にはいくつかの選択肢があり、発行枚数や事務体制、IT環境によって適した方法が異なります。よく利用される代表的な発行方法は次のとおりです。 

    • 国税庁フォーマットを利用して発行する 
    • Excelを使って発行する 
    • 専用ソフトを利用して発行する 

    それぞれを詳しく解説します。 

    国税庁フォーマット(様式)を利用して発行する 

    支払調書は、国税庁が定めた公式様式を使って作成できます。この方法では、あらかじめ用意された様式に必要事項を記入し、印刷して発行します。 

    様式には、 

    • 手書きで記入することを前提としたもの 
    • パソコンで入力後に印刷することを想定したもの 

    の2種類があり、作業方法に応じて選択できます。パソコン入力用の様式は、ダウンロード後に編集して使用します。 

    また、手書き用の様式については、税務署の窓口でも入手できるため、インターネット環境が整っていない場合でも対応可能です。発行件数が少なく、簡易的に対応したい場合に適した方法といえるでしょう。 

    Excelを使って発行する 

    支払調書は、Excelに情報を入力しての作成もできます。国税庁が提供している入力用のExcel形式を利用すれば、項目に沿って入力するだけで調書を作成できます。 

    また、必要な記載項目を満たしていれば、事業者が独自に作成したExcel様式を使用することも可能です。作成したデータは、印刷して提出するだけでなく、光ディスクなどの電子媒体に保存して提出もできます。 

    Excelでの発行は、一定数の支払調書を扱う事業者にとって柔軟性の高い方法ですが、計算や入力を手作業で行うため、確認作業を怠ると誤りが生じやすい点には注意が必要です。 

    専用ソフトを利用して発行する 

    発行件数が多い場合や、正確性と効率を重視したい場合には、法定調書作成に対応した専用ソフトを利用する方法があります。これらのソフトでは、報酬額や支払先情報を入力するだけで、支払調書や合計表が自動で作成される仕組みです。

    手作業による計算や転記が不要になるため、作業時間の短縮だけでなく、記載ミスや計算ミスの防止にもつながります。特に、毎年継続的に多数の支払調書を作成する事業者にとっては、業務負担を大きく軽減できる手段といえるでしょう。

    支払調書の作成が年末業務の中で大きな割合を占めている場合は、専用システムの導入を検討する価値があります。 

    支払調書の提出期限

    支払調書は、作成するだけでなく期限・提出方法・提出義務を正しく理解した上で提出することが重要です。ここでは、提出期限を中心に、実務上押さえておきたいポイントを詳しく解説します。 

    原則は支払年の翌年1月31日まで 

    支払調書の提出期限は、報酬や料金を支払った年の翌年1月31日までと定められています。 

    これは、法人・個人事業主を問わず共通のルールであり、多くの事業者が作成する「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」についても同様です。毎年必ず訪れる期限であるため、あらかじめスケジュールに組み込んでおくことが大切です。 

    提出期限を過ぎてしまうと、税務署から内容確認や提出状況について問い合わせを受ける可能性があります。また、期限直前は年末調整や決算準備と業務が重なりやすく、ミスや提出漏れが起こりやすい傾向があります。 

    そのため、年内のうちから支払先や支払金額を整理し、年明け早い段階で提出準備を進めておくことが、実務を円滑に進めるポイントです。 

    合計表の添付を忘れない 

     支払調書は、個別の調書だけを提出しても手続きが完了するわけではありません。税務署へ提出する際には、必ず 「給与所得の源泉徴収等の法定調書合計表」 を作成し、併せて提出する必要があります。 

    合計表は、提出する支払調書全体の件数や金額をまとめた書類であり、税務署が内容を確認する上で欠かせないものです。個々の支払調書と合計表はセットで提出することが前提となっているため、どちらか一方が欠けていると、不備として差し戻される可能性があります。特に、複数の支払調書を作成している場合は、合計表の作成漏れが起こりやすいため注意が必要です。 

    提出前には、支払調書と合計表の両方がそろっているか、件数や金額に食い違いがないかを必ず確認することが重要です。 

    支払調書を提出しなかった場合や虚偽記載の場合

    支払調書は、提出が義務付けられている法定書類であるため、正しく作成・提出しなければ法的な責任が生じる可能性があります。例えば、提出義務があるにもかかわらず支払調書を提出しなかった場合や支払金額・支払先などについて事実と異なる内容を記載して提出した場合には、罰則の対象となることがあります。 

    また、給与等の支払いを受ける人に対して、必要な支払明細書を交付しなかったり、内容に虚偽がある明細書を交付した場合についても、刑罰が科される可能性があります。このように、支払調書は単なる社内管理用の書類ではなく、税務行政を支える重要な公的書類です。提出期限や記載内容を軽視せず、法令に基づいて正確に対応する姿勢が求められます。 

    支払調書の提出方法

    支払調書は、事業規模や提出件数や社内の管理体制に応じて、いくつかの方法から提出手段を選べます。現在、実務で利用されている提出方法は大きく分けて次のとおりです。 

    • 用紙に記載して税務署へ提出・郵送する 
    • e-Taxを利用して電子申告する 
    • 光ディスク(CD・DVD)に記録して提出する 
    • クラウドサービスを利用して提出する 

     それぞれを解説します。 

    用紙に記載して税務署へ提出・郵送する 

    支払調書の提出方法として、最も基本的な方法が紙の様式に記入し、税務署へ持参または郵送することです。電子申告の利用環境が整っていない場合や、提出する支払調書の件数が少ない事業者にとっては、導入しやすい手段といえるでしょう。 

    紙で提出する場合は、所定の様式に必要事項を正確に記載し、法定調書合計表と併せて提出します。郵送で提出することも可能ですが、到着までに日数がかかるため、期限間際ではなく余裕をもって発送することが重要です。 

    一方で、この方法は全ての事業者が選べるわけではありません。前々年に提出すべき法定調書の枚数が、種類ごとに一定数以上となる場合には、書面での提出が認められず、電子的な方法での提出が義務付けられます。そのため、現在は紙提出が可能であっても、将来的な提出枚数の増加を見据え、他の提出方法への切り替えを検討しておくことも大切です。 

    紙による提出は分かりやすい反面、記載ミスの修正や再提出の手間が生じやすいため、提出前のチェックを丁寧に行うことが欠かせません。 

    e-Taxを利用して電子申告する 

    e-Taxを利用すれば、支払調書をインターネット上で作成し、そのまま税務署へ電子提出できます。紙の書類を印刷したり、税務署へ持参・郵送したりする必要がないため、提出作業にかかる時間や手間を大きく削減できる点が特徴です。 

    また、e-Taxでは提出したデータが電子的に保存されるため、過去の提出内容や提出日時を後から確認しやすいというメリットもあります。控えの保管や再確認がスムーズに行えるため、実務管理の面でも安心です。 

    さらに、提出件数が多い場合や、前々年の提出枚数が一定数を超えて電子提出が義務付けられている事業者にとっては、e-Tax等(クラウドや光ディスク含む)の利用が事実上必須です。CSVデータを取り込んで一括提出できるため、毎年多くの支払調書を作成する事業者ほど効率化の効果が高まります。 

    光ディスク(CD・DVD)に記録して提出する 

    支払調書の提出件数が多い場合には、作成したデータをCDやDVDなどの光ディスクに記録し、税務署へ提出または郵送する方法を選択できます。オンラインで送信するe-Taxとは異なり、電子データを物理媒体に保存して提出する形式である点が特徴です。 

    この方法は、大量の支払調書を一括で提出したい場合や社内システムで作成したデータをまとめて提出したい事業者に向いています。一方で、データの記録形式やファイル構成、ラベル表示の方法などについて国税庁が定める要件を満たす必要があるため、事前に提出要領を確認しておくことが欠かせません。 

    また、提出期限に間に合うよう、ディスクの作成や郵送にかかる日数も考慮する必要があります。オンライン提出と比べると即時性は劣るものの、電子提出義務を満たしつつ、安定した方法で大量提出ができる手段として、一定の実務ニーズがある提出方法といえるでしょう。 

    クラウドサービスを利用して提出する 

    比較的新しい提出手段として、認定されたクラウドサービスを利用して支払調書を提出する方法があります。この方法では、支払調書に記載すべき情報をクラウド上に登録し、税務署長に対して当該データの閲覧・記録権限を付与することで、提出が行われたものと扱われます。 

    クラウドサービスによる提出は、令和4年1月から正式に利用可能となっており、導入にあたっては事前に「認定特定電子計算機による申請等の開始(変更)届出書」を税務署へ提出し、承認を受ける必要があります。届出を行わずに利用することはできないため、導入時期には注意が必要です。 

    この方法の大きな特徴は、支払調書の作成・保存・提出を一つのシステム上で管理できる点にあります。毎年継続して多数の支払調書を作成する事業者にとっては、提出業務の効率化や書類管理の簡素化につながる手段といえるでしょう。 

    一方で、利用できるのは国税庁の要件を満たした認定サービスに限られるため、導入前には対応範囲や運用方法を確認しておくことが重要です。 

    支払調書に関するQ&A

    最後に、支払調書に関するよくある質問とその回答を紹介します。 

    支払調書にミスがあった場合はどう対処すべきか 

    提出後に支払調書のミスや漏れが発覚した場合、まずは「税務署への提出義務がある基準(金額など)」を超えているかを確認します。 

    もし提出範囲外の軽微なミスであれば、個別の訂正分を提出する必要はありません。一方で、税務署へ報告済みのデータに誤りがある場合は、「提出した調書の写し」「無効分の合計表」「正しい調書」「訂正分の合計表」を提出する必要があります。

    実務上の手順としては、システム内で対象者のデータを正しい内容に修正し、異動区分を適切に設定した上で、合計表の摘要欄に「修正内容のコメント」を添えます。 
     
    この際、前回の「受付番号」と「受付年月日」を正しくひも付けることが、二重登録を防ぐための重要なポイントです。正確なデータによる上書き保存を行うことで、税務当局との整合性を保てます。 

    確定申告で支払調書の添付は必要か 

    確定申告において、支払調書を書類に添付して提出する必要はありません。元々、支払調書は、報酬を支払った側が税務署に対して報告の義務を負うものであり、既に当局へ情報が届いているため、受取人による提出は不要とされています。 

    また、支払調書には受取人への交付義務がないため、発行自体を行わない事業者も増えていますが、申告に支障はありません。確定申告は本来、自ら作成した帳簿に基づいて行うものであり、帳簿に売り上げや源泉徴収税額が正しく記帳されていれば、支払調書がなくても正確な申告が可能です。 

    以前は添付が義務付けられていた源泉徴収票との混同による誤解も多いですが、現在は参考資料としての利用に留まります。 

    支払調書の書き方で、消費税の扱いに決まりはあるか 

    支払調書を作成する際の消費税の扱いについては、国税庁の指針により「原則として消費税等を含んだ税込金額を記載する」と定められています。例えば、原稿料やデザイン料などの報酬を支払う場合、請求書に税抜価格が記載されていても、実際に消費税を上乗せして支払っているのであれば、その税込金額を「支払調書に記載する金額」として報告するのが基本的なルールです。

    ただし、実務上は例外もあります。報酬額と消費税額が請求書や契約書などで明確に区分されている場合に限り、税抜金額のみでの記載が認められるケースもあります。また、相手方が免税事業者である場合は消費税が発生しないため、結果として税抜相当額を記載することになります。

    さらに、2023年10月に開始されたインボイス制度の影響により、消費税の取り扱いが従来よりも複雑化しています。支払調書の作成にあたっては、契約形態や相手方の課税事業者・免税事業者の区分を正確に把握することが重要です。記載ミスは税務調査での指摘対象になりやすいため、細心の注意を払って対応する必要があります。

    支払調書はいつもらえることが一般的か 

    支払調書が手元に届くタイミングは、一般的に「支払った年の翌年1月中旬から下旬」にかけてです。多くの事業者が、税務署への提出期限である1月31日に合わせて、支払先への発送業務を並行して行うためです。 

    しかし、実務上理解しておくべき重要な点は、事業者には支払調書を税務署へ提出する義務はあっても、支払先(受取人)へ交付する法的な義務はないという事実です。支払調書を本人に送付するかどうかはあくまで事業者の任意判断に委ねられており、近年ではコスト削減や事務効率化を理由に、紙の支払調書の発行・郵送を廃止するケースも増えています。 

    そのため、もし2月に入っても事業者から支払調書が届かない場合には、発行を待つのではなく、自ら管理している請求書や領収書の控え、銀行口座の入金履歴などを照合して収入金額を集計し、確定申告の準備を進める必要があります。 

    支払調書はあくまで「支払者側の記録」を確認するための補助資料であり、それ自体がなくても、自身の正確な帳簿記録があれば確定申告を正しく完結させることが可能です。 

    マイナンバーの提出を拒否された場合はどう対応すべきか 

    支払調書へのマイナンバー記載は、所得税法などの法令で定められた義務です。そのため、支払先から提出を拒否された場合には、まず「公平な課税と納税状況の確認のために国が必要としている法定書類である」という背景を丁寧に説明し、再考を促すことが実務上の第一歩となります。 

    もし、説明を尽くしても提供が得られない場合は、無理に強制できません。その代わり、支払者側は「いつ、どのような手段で提供を求めたか」という経緯をメールの履歴や書面で記録に残しておく必要があります。 

    税務署から未記載の理由を問われた際、収集に向けて適切な努力を払ったことを客観的に証明できる状態にしておけば、実務上の責任を果たしたとみなされることが一般的です。 

    まとめ

    この記事を通じて、支払調書の役割や作成方法、提出期限について基本的な理解を深めていただけたでしょうか。支払調書とは、事業主が税務署に対して報酬や料金の支払いを報告するための重要な書類です。正しく作成しないと税務上の問題につながることがあります。

    支払調書に関する課題を解決するためには、まずは基本をしっかり押さえ、実際の作成や提出の際にはミスを防ぐためにチェックリストを活用するのもおすすめです。また、専門家のアドバイスを受けることで、より安心して手続きを進めることができるでしょう。

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