休職とは?条件や期間、給料、デメリット、欠勤・休業との違いを解説

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休職とは、労働者が心身の不調や家庭の事情により、仕事を続けることが難しくなった際に雇用関係を維持したまま一定期間の休みを取得することを言います。しかし、休職制度の内容や取得条件、休職中の給料・保険料・手当の扱いなど、複雑でわかりにくい点も多く、不安を感じる方も少なくありません。 

本記事では、休職の基本的な仕組みから手続きの流れ、休職中に発生する費用や受け取れる手当など詳しく解説します。 

休職とは

休職の基本的な情報について、詳しく解説します。 

休職の意味・定義 

休職とは、従業員の個人的な事情により、一定期間仕事から離れることを会社が認め、雇用関係を継続したまま職務の義務を一時的に免除する制度を指します。休職の理由はさまざまですが、いずれの場合も「働く能力や環境が整うまでの猶予を与える仕組み」という点が共通しています。 

なお、休職制度は法律で必ず設けるものと定められているわけではなく、導入するかどうか、期間をどの程度とするかなどは各企業の就業規則によって決められます。 

休職の英語表現 

休職を英語で表す場合、「on a leave of absence」が最も汎用的で、ビジネス文書・社内外の連絡のいずれにも使える表現です。一定期間、業務から離れている状態を中立的に表します。「take a leave of absence」は「休職する」という動作を表す言い方で、理由を限定しない点が特徴です。「medical leave」は病気や治療、メンタルヘルスなど健康上の理由による休職を指します。 

  • He is currently on a leave of absence. 

  (彼は現在、休職中です) 

  • She decided to take a leave of absence from work. 

  (彼女は休職することを決めました) 

  • He is on medical leave due to health issues. 

  (彼は健康上の理由で休職しています) 

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    休職と似た言葉との違い

    次に、休職と似た言葉との違いを解説します。 仕事上で使う表現として「欠勤」「長欠」「休暇」「休務」「休業」があります。

    欠勤 

    欠勤は、本来出勤すべき日に働かなかった状態を指し、会社が特別な措置をとるわけではなく、単純にその日の労務提供が行われなかった扱いです。通常は給与が支給されず、理由によっては遅刻・早退と同様に勤怠上のマイナスとして処理されます。 

    一方、休職は、長期間の勤務が難しい従業員に対して、会社が正式に「業務を免除する期間」を認める制度であり、欠勤の延長ではありません。 

    長欠 

    長欠とは「長期欠勤」の略称で、欠勤が一定期間以上継続している状態を指す実務上の呼称です。法的・制度的に定義された言葉ではなく、あくまで勤怠管理上の便宜的な表現として用いられます。長欠は欠勤と同じ扱いであるため、会社が正式に業務免除を認めた状態ではなく、原則として給与は支給されません。 

    休職は、長期間の就業が困難な事情を前提に会社が制度として就労義務を免除するものであり、単に欠勤が続いている状態である長欠とは明確に区別されます。ただし、長期間の欠勤が続く場合、休職に移行する規定を定めているケースもあります。

    休暇 

    休暇は、就業を継続することを前提に、一定の日数または期間について労務提供を免除する制度です。休暇には、法律で付与が義務付けられている法定休暇と、企業が独自に定める法定外休暇があります。 

    法定休暇の代表例には年次有給休暇があり、一定の要件を満たした労働者に対して、会社は取得を認めなければなりません。一方、慶弔休暇やリフレッシュ休暇、夏季休暇などは法定外休暇にあたり、内容や日数、取得条件は企業ごとに異なります。 

    休暇は通常、比較的短期間の取得を想定しており、取得中であっても従業員としての就業状態や雇用関係は維持されます。 

    休務 

    休務とは、勤務を休むこと全般を指す包括的な表現であり、特定の制度や手続きを示す言葉ではありません。一般に、土日祝日などの休日、年次有給休暇や特別休暇といった休暇、病気や自己都合による休業や休職など、業務に従事しないあらゆる状態を広く含んで用いられます。 

    そのため、休務という言葉自体には、取得理由や期間、給与支給の有無、法的な位置付けといった制度上の意味は含まれておらず、実務や法令における正式な区分を示す用語ではありません。 

    休業 

    休業は、会社側の事情によって従業員が働けなくなる状態を指し、業務の停止や経営上の理由、災害などが原因で就労ができない場合に発生します。休業時は、労働基準法により会社に休業手当の支払い義務が生じるため、従業員は一定割合の賃金保障を受けられます。 

    対して休職は、従業員自身の事情または会社の都合を理由に、会社が長期的な職務免除を認める制度です。給与の支給有無や期間の上限は会社ごとに異なり、休業のように法律で統一された保障があるわけではありません。 

    つまり、休業は「会社都合で働けない場合に適用される措置」、休職は「従業員の個人的な理由による長期離脱」という点が異なります。 

    休職が認められる主なケース

    休職が認められる主なケースは、次のとおりです。 

    • 私傷病による休職 
    • 事故欠勤休職 
    • 自己都合休職 
    • 留学による休職 
    • 公職就任休職 
    • 起訴休職 
    • 組合専従休職 
    • 出向休職 

    それぞれを詳しく解説します。 

    私傷病による休職 

    私傷病休職とは、仕事とは無関係の病気・ケガ・心身の不調を理由に、長期間の治療や療養が必要になった従業員に対して会社が職務を免除する制度です。業務外の負傷や疾病が対象となり、私生活中の事故によるケガや精神面の不調(適応障害・うつ病・パニック障害など)で働き続けることが難しくなった場合などが典型例です。 

    医師の診断書などによって「一定期間の休養が必要」と判断されると、就業規則に定められた期間内で休職が認められます。労災とは異なり、給与や補償の有無は企業ごとに異なるため、制度内容の確認が欠かせません。 

    事故欠勤休職 

    事故欠勤休職とは、病気やケガではない理由で、継続して出勤できない状況に置かれた従業員に対して適用される休職です。典型的には、捜査・逮捕・勾留などにより長期間勤務できない場合が該当します。「事故」という言葉が含まれるものの交通事故を指しているわけではありません。 

    また、交通事故で欠勤した場合は、通勤中なら労災や私的場面での事故なら私傷病休職に分類されるなど、会社が状況に応じて判断します。社会的信用や業務継続に影響が生じるため、一時的に休職として扱う企業が多く見られます。 

    自己都合休職 

    自己都合休職は、従業員が個人的な理由や希望に基づいて仕事を離れる期間を会社が認める制度です。家庭の事情や長期ボランティアへの参加、業務と直接関係のない資格取得のための勉強期間など、従業員側の自主的な意思で申請するケースが中心です。 

    企業側にとって業務調整が必要になるため、制度そのものを設けていない会社もあり、利用可否や条件は企業次第です。多くの場合、休職中の給与は支払われません。 

    留学による休職 

    留学休職は、自己啓発・キャリア形成・語学習得などを目的として海外へ留学する際に利用できる休職制度です。私費での留学では無給となることが一般的ですが、教育制度に力を入れる企業では、留学費用の一部または全額を会社が負担し、給与や手当が支給されるケースもあります。 

    制度の内容は企業ごとに大きく異なるため、事前の確認が不可欠です。特に休職中の扱いや復帰条件は企業によって幅があります。 

    公職就任休職 

    公職就任休職とは、従業員が議会議員・市町村長・知事などの公的役職に就任し、企業での業務との両立が困難になるときに適用される休職です。公的業務に専念する必要があるため、一定期間会社を離れますが、雇用関係は継続されます。任期終了後の復職を認める制度を設けている企業も多く、社会的活動を支援する目的が含まれています。 

    起訴休職 

    起訴休職とは、従業員が刑事事件で起訴され、被告人となった際に適用される休職制度です。会社としては、業務遂行や社会的信用に大きな影響が出る恐れがあることから、判決が確定するまで職務から外すために休職扱いとします。 

    勾留によって継続的に出勤できない場合も含まれ、企業の秩序維持のために必要な措置として運用されます。 

    組合専従休職 

    組合専従休職とは、労働組合の活動に専念するために、従業員が会社の業務を離れる場合に設定される休職です。専従期間中は、給与は会社からではなく労働組合の組合費から支払われます。会社との雇用関係は維持され、専従終了後には職場復帰が可能です。 大企業で導入されていることが多い制度です。 

    出向休職 

    出向休職とは、在籍出向(元の会社に籍を残しつつ別企業で働く形態)を採用する際、元の会社での業務義務が停止されることから休職扱いとする制度です。出向先での活動が中心になるため、元会社での労務提供は停止されます。雇用契約は出向元と維持されたままですが、給与の支給方法や評価は企業間の取り決めによって異なります。 

    なお、籍ごと移す「転籍出向」は休職ではなく、別企業との新しい契約となるため区別されます。 

    休職中の給料と賞与について

    休職中の給料と賞与について、わかりやすく解説します。 

    休職中の給与は一般的に支払われない 

    休職中は就業できない状態であるため、通常の給与は原則として発生しません。これは「働いた時間に応じて賃金が支払われる」という労働契約の原則(ノーワーク・ノーペイ)に基づいています。 

    ただし、一部の会社では休職者の負担を軽減するために、期間限定で給与の一部を補填する制度を設けていることがあります。しかし、これはあくまで企業独自の運用であり、法律で義務付けられているものではありません。休職に入る際には、「無給期間」がどのくらい発生するかを把握し、生活費の見通しを立てた上で準備することが不可欠です。 

    休職期間の賞与は支給されない・減額される 

    賞与(ボーナス)は法律で義務付けられていないため、支給の可否や算定方法は会社の規程に委ねられています。多くの企業では次のような運用がとられています。 

    • 賞与の支給額は「算定期間の勤務状況」や「人事評価」に基づく 
    • 休職期間は勤務日として扱われない 
    • 算定期間をほぼ休職で過ごした場合、賞与は支給されないことがある 
    • 部分的に勤務していた場合は、その勤務期間に応じて減額されるケースがある 

    つまり、賞与は「働いた成果に対して支払われる性質」が強いため、実際に働いていない期間が長いほど支給額は小さくなりやすいという仕組みです。 

    休職中に受け取れる手当

    休職期間は一般的に給与は支給されませんが、従業員の生活を支えるために利用できる公的制度が複数存在します。休職中に該当者が受け取れる主な手当は、次のとおりです。 

    • 傷病手当金 
    • 労災保険給付金 
    • 出産手当金 
    • 育児休業給付金 
    • 介護休業給付金 

    それぞれをわかりやすく解説します。 

    傷病手当金 

    傷病手当金は、私生活での病気やケガによって仕事ができなくなった従業員に対し、健康保険から支給される所得補償です。休職期間中は多くの会社で給与が支払われないため、傷病手当が収入の中心になります。

    対象となる症状は幅広く、入院や手術が必要なケースだけでなく、うつ病・適応障害などのメンタル不調も含まれます。医師から「労務不能」と判断されることが受給の前提です。支給額は休職前の標準報酬月額の平均を基準に算出され、1日当たり約3分の2が支給されます。支給期間は最長1年6カ月で、連続3日の待機期間を経て4日目から補償が始まります。 

    労災保険給付金 

    労災保険給付は、仕事中の事故や作業環境が原因の疾病、または通勤途中のトラブルによって労働者がケガを負ったり病気になった際に、生活や治療を支えるために設けられた公的制度です。一般には「労災」と呼ばれますが、正式名称は「労働者災害補償保険」で、働く人の安全網として広く機能しています。 

    補償の対象は正社員だけに限定されず、短時間労働者やアルバイト、日雇い労働者など、雇用形態にかかわらず使用者の指揮命令下で働く全ての人を含みます。職場での転倒や機械操作中の負傷といった典型的な災害に加え、職務上のストレスが原因で発生する精神疾患、さらには通勤中の事故も補償の範囲に入ります。 

    給付内容は多岐にわたり、医療費を全額補償する「療養給付」、働けなくなった日から生活費を補う「休業給付」、長期間治療が必要な場合の「傷病年金」、後遺障害が残った場合の「障害給付」などがあります。 

    出産手当金 

    出産手当金は、出産に伴い仕事を休む期間に給与が支払われない場合、健康保険の加入者が受け取れる手当です。対象となる期間は、出産予定日を基準に産前42日(多胎妊娠は98日)と産後56日の範囲で、実際に働いていない日が支給の対象です。予定日より出産が遅れた場合は、その分も産前期間として加算されます。支給額は、休業に入る前の標準報酬月額の平均を基に算定され、1日当たり「標準報酬月額÷30×3分の2」が基本です。 

    申請は産前・産後で分けて行うことも可能で、退職後であっても一定の加入期間があり受給条件を満たしていれば継続して手当を受け取れます。ただし、退職日に出勤すると継続給付の対象外となるため注意が必要です。 

    育児休業給付金 

    育児休業給付金は、雇用保険に加入している労働者が、1歳未満の子どもを育てるために一定期間仕事を離れる際、その生活を支える目的で支給される給付金です。一般的には「育休手当」と呼ばれていますが、制度上の正式名称は「育児休業給付金」です。 

    育児休業を申し出た場合、企業はその取得自体を拒否できません。ただし、休業中の賃金をどのように扱うかは法律で定められておらず、支払いの有無は各企業の判断に委ねられています。多くの職場では育休期間中の給与補償が存在しないため、休業に入ると収入が減少するケースが一般的です。 

    このような収入面の不安を軽減し、働きながら子育てをする人が休業を選択しやすい環境を整えるため、国は育児休業給付金の制度を設けています。これにより、育休中であっても一定の所得が確保でき、子育てに専念しやすい状況が整えられています。 

    介護休業給付金 

    介護休業給付金は、家族の介護のために一定期間仕事を離れる労働者に対し、休業期間中の所得を補うために支給される制度です。休業中は給与が満額支払われないものの、雇用保険から賃金の67%が給付されるため、収入の急減を抑えながら介護に専念できる仕組みです。制度の利用は介護と仕事の両立を支える目的で設けられており、支給対象期間は通算93日まで、最大3回に分けて取得できます。 

    介護休業は職場に戻ることを前提とした制度で、休業終了後に退職する予定がある場合は給付金は支給対象となりません。また、介護の対象となる家族は「常時介護が必要」と判断される状態が条件で、負傷や疾病、心身の障害などにより継続的な支援が必要なケースが該当します。対象者は雇用保険に加入している労働者で、公務員も含まれます。 

    休職中の保険料と税金

    休職中の保険料と税金について、分かりやすく解説します。 

    健康保険料 

    休職して収入がなくなった場合でも、健康保険の加入そのものは継続されるため、保険料は支払う必要があります。保険料は通常どおり会社と従業員が分担しますが、休職中は給与から控除できないため、企業側がいったん負担した上で後日精算したり、従業員が自分で振り込む形を取ることもあります。 

    病気やケガが理由で休む場合には、健康保険から傷病手当金が支給されることも多く、この手当を保険料の支払いに回すケースも見られます。ただし、立替・精算の方法や支払時期は企業によって扱いが異なるため、休職に入る前にどのように負担するのかを会社側と明確にしておくことが重要です。 

    厚生年金保険料 

    休職によって給与が支給されなくなっても、厚生年金の加入者資格は継続するため、保険料の納付義務はなくなりません。収入がゼロであっても、在籍している限りは毎月の保険料が発生し、会社と本人で通常どおり負担する必要があります。給与天引きができない期間は、会社が一時的に立て替える、本人が直接支払うなど企業ごとに取り扱いが異なるため、休職前に支払い方法を確認しておくことが不可欠です。 

    また、保険料の未納が続くと将来の受給額に影響する可能性があるため、休職中も継続して納付できる体制を整えておくことが重要です。 

    介護保険料 

    40歳以上の社員は介護保険への加入が法律で義務付けられており、休職で給与が途絶えても加入資格はそのまま続きます。そのため、休職期間中であっても介護保険料の負担はなくならず、毎月の保険料は発生し続けます。本来は給与から自動的に差し引かれる本人負担分も、無給の期間は控除できないため、会社が一時的に肩代わりして後から従業員に請求する方法や従業員が直接納付する方法が取られます。 

    企業ごとに精算のタイミングや支払い方法は異なるため、休職が決まった時点で取り扱いを確認しておくことが大切です。 

    雇用保険料 

    雇用保険は、支払われた賃金額を基に保険料が決まる仕組みです。そのため、休職により給与がゼロの期間は保険料そのものが発生しません。雇用保険の被保険者資格は休職中も引き続き維持されますが、保険料の納付が不要になる点は、健康保険や厚生年金など他の社会保険制度とは大きく異なる特徴といえます。 

    無給期間中は保険料の心配をする必要はありませんが、資格は継続しているため、復職すれば自動的に保険料の支払いも再開されます。 

    所得税 

    所得税は、受け取った給与額を基準に計算される税金です。そのため、休職によって給与が全く支払われない月は、課税対象そのものがなくなるため所得税も発生しません。源泉徴収も行われず、後からまとめて請求されるようなこともありません。 

    ただし、これはあくまでも「給与がゼロ」の期間に限られる取り扱いであり、復職後に給与支給が再開されれば、通常どおり所得税が再び計算され、給与から天引きされます。休職期間中の税負担がなくなる点はメリットですが、復帰後の課税が再開するタイミングについても理解しておくことが大切です。 

    住民税 

    住民税は、その年の収入ではなく「前年度の所得」を基に税額が決まる仕組みです。そのため、休職により収入が途絶えても、前年に所得があれば納税義務は継続します。通常は給与からの天引きで支払いますが、休職により給与が出ない場合はこの方法が使えなくなるため、自分で自治体へ支払う方式(普通徴収)へ切り替える必要があります。 

    切替手続きや支払いスケジュールは会社との調整が欠かせず、休職前に手続き方法を確認しておくと安心です。 

    従業員が休職するときの流れ

    従業員が休職するときの流れは、次のとおりです。 

    1. 社内規定を確認する 
    1. 休職申請書を提出してもらう 
    1. 私傷病による休職は医師の診断書を提出してもらう 
    1. 傷病手当金・労災給付を確認する 
    1. 社会保険料・住民税などの支払い方法を確認する 
    1. 休職期間中の連絡方法を取り決める

    それぞれを詳しく解説します。 

    1.社内規定を確認する 

    休職の申し出があった際に、まず確認すべきことは自社の就業規則や休職制度に関する社内ルールです。前述のとおり、休職は法律で統一された制度ではなく、導入の有無や運用方法は企業ごとに異なります。そのため、利用できる休職の種類や申請に必要な書類や、取得条件、最大期間、復職の判断基準などを事前に把握しておくことが欠かせません。 

    制度の内容を確認せずに対応すると、申請者と会社側で認識のずれが生じやすく、後々のトラブルにつながる可能性もあります。休職希望者にもルールを丁寧に説明し、双方が同じ情報を共有した上で手続きを進めましょう。 

    2.休職申請書を提出してもらう 

    休職を正式に受け付けるためには、従業員から「休職申請書(休職届)」を提出してもらうことが一般的です。申請書には、休職を希望する理由、開始日と予定期間、緊急時の連絡先などを記入してもらい、会社として判断するための基礎情報を整えます。 

    書面として残すことで、双方の認識をそろえられるだけでなく、後に内容を確認する際の証拠にもなり、トラブルの防止につながります。休職の取り扱いは企業ごとに異なるため、提出の必要性や記載項目は就業規則に基づき、事前に明確化しておくことが重要です。 

    3.私傷病による休職は医師の診断書を提出してもらう 

    体調不良やケガなど、本人の健康状態が原因で勤務の継続が難しい場合には、医師が作成する診断書を提出してもらうことが一般的です。診断書には、休職が必要と判断された理由や見込まれる療養期間が記載されており、企業側が休職の可否や期間を決定する際の重要な判断材料です。 

    診断書は即日発行されるケースもある一方、メンタルヘルスの不調など症状によっては作成まで時間がかかることがあります。発行手数料は通常本人の負担となるため、休職手続きを案内する際にあらかじめ伝えておく方が、従業員が手続きを進めやすいでしょう。 

    4.傷病手当金・労災給付を確認する 

    私傷病による休職では、給与は支払われないことが一般的ですが、健康保険加入者で条件を満たす場合には傷病手当金を受給できます。一方、仕事中の事故や通勤途上のケガで休む場合は労災保険の対象となり、休業補償給付を受けられる可能性があります。 

    いずれのケースでも従業員が受けられる給付を会社側が把握し、手続き漏れがないようフォローが大切です。 

    5.社会保険料・住民税などの支払い方法を確認する 

    前述のとおり、休職中は給与が出ない一方で、社会保険料や住民税の納付義務は継続します。傷病手当金の一部を保険料に充てる方法や従業員が直接支払う方法など、どの方式を採用するかを事前に明確にしておく必要があります。立替払いは退職リスクを考えると慎重な判断が必要でしょう。 

    住民税については、給与天引き(特別徴収)ができない場合、「普通徴収」に切り替えて従業員が自治体へ直接納付します。 

    6.休職期間中の連絡方法を取り決める 

    休職に入る前に、会社との連絡手段を確認しておくことも欠かせません。適切なタイミングで状況を共有し、復職判断に必要な情報を得るためにも、定期的なやり取りが大切です。 

    休職願には、休職中に連絡が取れる手段を記載してもらうとトラブルを防げます。 

    休職のための診断書の取得方法

    私傷病による休職のために必要な診断書の取得方法は、次のとおりです。 

    1. 医療機関を受診する 
    1. 診断書を発行してもらう 
    1. 診断書を会社へ提出する 

    それぞれを解説します。 

    1.医療機関を受診する 

    最初のステップは、精神科や心療内科などの医療機関で専門医の診察を受けることです。体調面の不調や仕事が続けにくい状況を医師に詳しく伝え、現在の状態を総合的に判断してもらいます。受診するときには、不眠や強い不安、集中力の低下など、日常生活や業務へどのような影響が出ているのかを整理しておくと、医師が状態を正確に把握しやすいでしょう。 

    また、企業に産業医がいる場合は、事前に相談しておくことで休職手続きの進め方が明確になり、調整がスムーズに進むこともあります。 

    2.診断書を発行してもらう 

    診察の結果、医師が「就労を続けることは難しい」と判断した場合、休職の必要性を示す診断書が作成されます。この診断書には、病名や具体的な症状、療養を要する理由、休養が必要とされる期間などが記載されます。診断書の発行には保険が適用されず、数千円程度の費用がかかることが一般的です。 

    特にメンタルヘルスに関わる症状の場合、診断までに一定期間を要することがあり、発行のタイミングは主治医との相談によって調整されます。 

    3.診断書を会社へ提出する 

    診断書を受け取ったら、速やかに会社へ提出することが求められます。提出先は職場の上司や人事部門、産業医など企業によって異なるため、事前に誰へ提出するべきか確認しておくことが大切です。突然診断書を提出するよりも、提出前にメールや電話で状況を伝えておくと、その後の手続きが滞りなく進みます。また、診断書を提出する前にコピーを残しておくと、紛失時の確認や再手続きの際に役立ちます。 

    休養期間中に体調の改善が進まず、医師が復職は難しいと判断する場合には、追加の診断書が必要となるため、早めに主治医と相談しておきましょう。診断書に関する取り扱いや提出方法は会社ごとに細かいルールが設けられていることも多いため、就業規則を確認した上で、医師や会社の指示に沿って適切に手続きを進めることが大切です。 

    休職させるときの注意点

    企業が従業員を休職させるときの注意点は、次のとおりです。 

    • 休職期間中のフォローは必要最小限かつ計画的に行う 
    • 休職期間の延長が必要になった場合の判断基準を明確にする 
    • 復職支援は段階的に行い、無理のない復帰計画を組み立てる 
    • 休職期間満了後に復職できない場合の取り扱いを明確にしておく 

    それぞれを詳しく解説します。 

    休職期間中のフォローは必要最小限かつ計画的に行う 

    休職中は、従業員の心身の回復が最優先です。会社として状況把握や情報共有は必要ですが、無計画な連絡はかえって負担になり、療養を妨げる可能性があります。そこで、休職開始時に「どの程度の頻度で連絡するか」「連絡手段はメールか電話か」など、双方が合意できるコミュニケーションルールを設定し、頻度も決めておくと良いです。 

    休職期間中は「過干渉にならず、放置もしない」適度な距離感を保ちながら、復職に向けた信頼関係を維持することが求められます。 

    休職期間の延長が必要になった場合の判断基準を明確にする 

    休職者の体調が想定より回復せず、休職期間の延長が必要になるケースは少なくありません。この場合、会社が恣意的に判断するのではなく、就業規則の定めと医師(主治医・産業医)の意見を根拠に、客観的に可否を判断することが重要です。 

    まず、従業員から提出された最新の診断書を確認し、追加の療養が必要とされているかを判断します。診断書に休職延長の必要性や見込まれる回復期間が明記されているかも大切なポイントです。その上で、就業規則に「延長できる期間」「延長申請の手続き」「延長が認められる条件」が定められているかを確認し、ルールに沿って対応します。 

    また、延長を認める場合も、休職期間満了後の取り扱い(自然退職・復職判断の時期など)を本人に説明し、後のトラブルを避けるための情報共有が必要です。 

    復職支援は段階的に行い、無理のない復帰計画を組み立てる 

    休職者が復帰を希望した場合でも、いきなり休職前と同じ働き方に戻すのは負荷が大きく、再休職のリスクを高める恐れがあります。そのため、復職支援は「段階的」に進めることが重要です。一般的な支援策としては、短時間勤務から始める、試し出勤(リワーク)制度を利用する、負担の少ない業務から徐々に担当するなどがあります。 

    復職の可否は、主治医の診断書だけではなく、産業医の意見や職場の受入れ体制も踏まえて総合的に判断します。復職面談を行い、本人の体調・不安・働ける範囲や制限事項などを丁寧に確認した上で、会社と従業員が共有する「復職プラン」を策定することが欠かせません。 

    休職期間満了後に復職できない場合の取り扱いを明確にしておく 

    休職期間が終了しても従業員の回復が進まず、復職が難しいケースは一定数発生します。この場面で最も重要なのは、企業の対応が就業規則に明確に定められているかどうかです。規定が不十分なまま対応すると、後にトラブルや紛争へ発展する可能性があります。 

    多くの企業では「休職期間が満了しても働ける状態に回復しない場合は自然退職とする」といった取り扱いを定めています。規定がある場合、期間満了をもって雇用契約が終了します。一方、自然退職規定がない企業では、従業員を退職扱いにするために解雇の手続きを取る必要が生じます。 

    しかし、解雇は労働契約法16条により厳格な要件が求められ、合理的な理由と社会通念上の相当性がなければ無効と判断されます。従って、企業側が安易に解雇に踏み切ることは非常にリスクが高く慎重な対応が必要です。 

    休職から復職までの流れ

    うつ病などの私傷病による休職の場合の、復職までの流れは次のとおりです。 

    1. 復職の意思表示 
    1. 復職可能かどうかの判断 
    1. 復職に向けた面談 
    1. 復職の最終決定 

    それぞれを詳しく解説します。 

    1.復職の意思表示 

    休養を続ける中で、日常生活や就労に支障がない程度まで体調が回復したと判断した段階で、従業員は会社へ復帰の意向を伝えます。 

    復職の申し出方法は企業ごとに異なりますが、多くの職場では「復職願」やそれに準じた書面の提出を求めるケースが一般的です。提出のタイミングや記載内容(復職希望日・現在の体調・勤務可能な範囲 など)については、就業規則や人事部の指示に従う必要があります。 

    口頭の連絡だけでは誤解が生じやすいため、書面で手続きを残すことは双方の認識をそろえる意味でも重要です。 

    2.復職可能かどうかの判断 

    従業員が復職を希望したとしても、その時点で直ちに復帰が認められるわけではありません。実際に職務へ戻れる状態かどうかは、会社が医学的意見と職場の状況を踏まえて総合的に判断します。 

    復職可否の検討では、まず主治医が作成した診断書や意見書が重要な材料です。さらに、企業側で産業医面談を実施し、労働負荷に耐えられるか、再発のリスクがないか、安全に業務を任せられるかなど、多角的に確認します。 

    主な判断ポイントは、次のとおりです。 

    • 通常勤務が可能な体力・精神状態か 
    • 部署変更や業務量の調整によって働ける状態になるか 
    • 症状の再燃リスクや、職場環境との相性に問題がないか 

    なお、主治医が「復職可能」と判断した場合でも、企業側が就業に耐えられないと判断すれば、復帰を延期します。 

    3.復職に向けた面談 

    復職が現実的になった段階で、本人・人事担当者・直属の上司・産業医などが集まり、復帰後の働き方を具体的に検討する面談を行います。このプロセスは、無理のない復帰を実現するための重要な調整の場です。 

    面談では、まず従業員の体調や業務に対する不安を確認し、それを踏まえた勤務形態を一緒に整理します。議論されるポイントは次のとおりです。 

    • 復帰後、どの業務から再開することが適切か 
    • 勤務時間・業務量を段階的に増やす必要があるか 
    • ストレス要因や、職場での不安点がないか 
    • 上司や同僚がどのようにサポートするか、フォロー体制をどう整えるか 

    こうした話し合いを通じて、従業員が安心して働ける条件を確認するとともに、会社側も受け入れに必要な準備を整えられます。双方が同じ認識を持つことで、復職後のミスマッチやトラブルを防ぎ、スムーズな職場復帰につながります。 

    4.復職の最終決定 

    復職の可否についての最終判断は、主治医や産業医の意見を踏まえつつ、会社が自社の就業規則に沿って総合的に判断します。医学的には「復職可能」とされていても、業務内容や職場環境との適合性、安全に働ける状態かどうかなど、企業側が慎重に確認する必要があります。 

    復職が正式に認められた場合に次の事項を従業員へ通知します。 

    • 復職する具体的な日程 
    • 勤務時間・仕事内容・配属先の扱い 
    • 必要な配慮やサポート体制 

    復職判断は「戻らせるための手続き」というだけでなく、従業員が健康を維持しながら長く働き続けられるかを見極める大切なプロセスといえます。 

    休職に関するQ&A

    最後に、休職に関するよくある質問とその回答を紹介します。 

    休職したらキャリアに不利になるのか 

    休職=キャリアの終わり、というわけではありません。企業側も、人材流出を防ぎつつ従業員の健康を守ることを重視しており、復職プログラムの導入や産業医との連携強化、段階的な勤務再開制度(短時間勤務・試し出勤など)を整える動きが進んでいます。 

    そのため、一時的に休むことがキャリアに致命的な影響を与えるわけではなく、適切なサポートを受けながら復職し、以前より安定した状態で働き続けている人も多く存在します。 

    アルバイトでも休職制度は使えるか 

    休職制度は法律上で規定があるわけではないため、アルバイトが休職制度を使えるかどうかも会社の規程次第です。多くの企業では、休職制度は正社員を前提に設計されており、アルバイト・パートには適用されないケースが一般的です。ただし、近年は人材確保や働き方の多様化を背景に、非正規社員にも一定の休職制度を認める企業も見られます。 

    アルバイトスタッフが休職を希望する場合は、まず自社の就業規則の確認、または人事・上司への相談が欠かせません。制度がない場合でも、シフト調整や一時的な休業扱いなど、個別に配慮を受けられる可能性もあります。 

    公務員の休職制度とは何か 

    公務員の休職制度は、人事院規則に基づいて明確な基準で運用される制度で、一定期間職務を続けることが難しい場合に適用されます。主な対象となるのは、長期療養が必要な心身の不調による休職、公務災害などの事故を原因とした休職、刑事事件で起訴された際の職務制限に伴う休職、さらに留学や海外赴任など一時的に職場を離れるケースです。 

    特に利用が多い病気休職では、うつ病や適応障害などメンタル面の不調も幅広く含まれます。ただし、公務員には「休職」とは別に一定期間の病気休暇があり、まずはこの休暇を消化した上で、なお勤務が困難な場合に休職へ移行する仕組みが一般的です。 

    制度が法令で細かく定められているため、民間企業よりも運用が統一されている点が特徴です。 

    休職の条件は誰でも同じか 

    休職の条件は「全ての従業員に共通」というわけではありません。休職制度は法律で統一ルールが定められているものではなく、各企業の就業規則によって運用が異なります。そのため、休職できる事由(病気・メンタル不調・家族介護・留学など)、休職期間、必要書類、復職の基準などは会社ごとに違いがあります。 

    例えば、正社員には休職制度が適用される一方で、契約社員やパート・アルバイトには制度が用意されていない企業もあります。また、私傷病休職の場合は医師の診断書が必須とされることが多く、勤務年数や雇用形態によって休職可能かどうかが左右されることもあります。 

    そのため、「誰でも同じ条件で休職できる」とは限りません。自分がどの区分に該当するか、どの条件で休職が認められるかを知るために、就業規則の確認は必須です。 

    うつ病で休職すると給料はどうなるか 

    うつ病を理由に休職した場合、多くの職場では休職中の賃金は発生しないことが一般的です。法的にも企業へ支給義務が課されているわけではありません。 

    ただし、全ての企業が同じ運用をしているわけではなく、従業員の生活面を支える目的で、一定の期間だけ基本給の一部を支給したり、独自の補助制度を導入しているケースも存在します。どの程度の金額が支払われるのか、そもそも支給対象になるのかは企業ごとに違いがあり、統一された基準はありません。 

    そのため、休職を検討する際には、まず自社の就業規則に記載されている休職中の賃金規定を確認することが大切です。 

    まとめ

    休職は、心身の不調や家庭の事情で働けなくなったときに役立つ制度ですが、その手続きや条件、休職中の給料、保険料、手当の扱いについては不安や疑問を抱く方も多いでしょう。特に、休職を考えている方は、まず自分の状況に適した制度を理解し、必要な手続きを進めることが大切です。本記事を参考に、職場の担当者や医師、家族と相談しながら、最適な選択をしていきましょう。

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