譲渡企業
株式会社トータルプロデュース
代表取締役社長 山手 淳氏
譲受企業
コーエィ株式会社
着手金・中間金無料 完全成功報酬型
本件担当コンサルタント
岩崎 隼也
岩崎 隼也

山手 様:株式会社トータルプロデュースは、花火をはじめ、音楽、レーザー、映像、照明などを組み合わせた総合演出事業を手がけています。自治体イベントや各種催事における演出に加え、これまでブライダル分野などにも取り組んできました。
近年は、映像・音響・照明を活用した夜間演出にも注力しています。庭園や城、寺社仏閣といった場所を舞台に、その地域ならではの歴史や文化、特色を取り入れながら、夜の空間そのものに新たな価値を加える演出を行っている点が当社の特徴です。単に華やかさを演出するのではなく、その土地の魅力や物語が伝わる構成を大切にしています。
山手 様:私はもともと、福岡県北九州の総合レジャーパーク「スペースワールド」で勤務し、花火演出に携わっていました。退職のタイミングで、北九州で唯一花火を扱う会社の社長から声をかけていただき、事業に関わる話が進みました。花火会社を私が継ぐ可能性もあったのですが、私自身が花火の世界は世襲で引き継がれていくのが自然だと考えていたため、「株式会社トータルプロデュース」という法人を引き継ぐ形でスタートしたのが当社の始まりです。
創業当初も花火を軸に事業を開始しましたが、花火だけでは他社との差別化が難しいという課題意識があり、音楽と組み合わせた演出に着目しました。さらに、レーザーや映像、照明などを取り入れながら、花火を主役に据えた総合演出へと発展させていきました。
その後、イベント演出に加えてブライダル分野や夜間演出へと領域を広げ、現在の事業につながっています。振り返ると、花火を出発点にしながら、その価値をどのように広げていくかを考え続けてきたことが、創業から今日まで一貫している姿勢だと感じています。
山手 様:やはり、他社と同じことをしていても意味がないという思いは強くあります。あとから真似をすることはできても、最初に形にするのは簡単なことではありませんし、そこに価値があると考えています。
その原点の一つになっているのは、若い頃にアメリカでさまざまなショーや演出に触れた経験だと思います。当時、日本ではまだあまりなかった表現や仕掛けを目の当たりにし、「こういう見せ方があるのか」と強い刺激を受けました。その経験があったからこそ、既存の形にとらわれず、自分なりに新しい演出を考えるようになったのだと思います。
実際、これまで取り組んできたことも、当時はまだ世の中にあまりないものばかりでした。花火に音楽を合わせた演出もそうですし、さらにレーザーや映像、照明を組み合わせて空間全体を演出する形も、始めた当初は珍しかったと思います。その後、同じようなことを手がける会社が増えていきましたが、それは自然な流れですし、だからこそ、常にその先を考えていかなければならないという意識がありました。
私たちは大手のように規模や資本力で勝負できるわけではありませんので、発想や切り口で違いをつくることが重要です。大きな会社がやらないこと、あるいはやりにくいことの中にこそ自分たちの活路があると考え、これまで挑戦を重ねてきました。

山手 様:もともとは、60歳を迎える前に一つの区切りをつけようと考えていました。60歳を過ぎたら、これまでのように会社を大きくしていくことに軸足を置くのではなく、自分が本当にやりたいことに時間を使っていきたい、という思いがあったからです。
そのため会社については、誰かに引き継げるのであればそれも一つですし、難しければ従業員の行き先をきちんと決めたうえで廃業することも選択肢として考えていました。そうした会社の将来を考える中で、M&Aという形で事業をつないでいく方法があることを知りました。それまでは、廃業するか、あるいはごく近い範囲の誰かに託すか、という程度のイメージしかありませんでしたが、別の選択肢があると知ったことで、考え方が少しずつ変わっていきました。
私が最も重視していたのは、金額条件よりも、事業がこの先も継続していけるか、そして社員たちが新しいことに挑戦しながら成長できる環境をつくれるか、という点です。自分がいなくなった後も、この会社や事業が前向きに発展していくことが何より大切だと考えていました。
山手 様:当社がこれからやりたいことは明確にありましたが、それを次の段階に進めていくには、新しい基盤やネットワークが必要だとも感じていました。
実際にM&Aのお話をいくつかいただく中で、相手によって広がる可能性がまったく違うことも見えてきましたし、テーマパークを持つ会社さん、コンテンツを持つ会社さんなど、相手の強みによって当社の展開イメージが変わると実感しました。そう考えたとき、M&Aは単に会社を引き継ぐための手段ではなく、事業の可能性を広げる選択肢でもあると感じるようになりました。
当社はこれまで、花火に加えて映像・音響・照明を組み合わせながら、独自の演出を形にしてきましたが、どれだけアイデアがあっても、自社だけでは届く範囲に限界があります。だからこそ、自分たちの価値を理解したうえで、新しい市場やエリアに一緒に挑戦できる相手と出会えれば、事業はさらに面白くなると考えました。
山手 様:最初は正直、意外な印象がありました。建設レンタルを主軸にされている会社という認識がありましたので、当社の事業とどうつながるのか、当初はすぐにはイメージできなかったのです。
ただ、実際にお話を重ね、関口代表のお考えや会社全体の事業内容を知る中で、非常に多角的に事業を展開されていて、新しいことに前向きに取り組む姿勢が、会話の端々から伝わってきました。今ある事業を守るだけではなく、その先の可能性まで見据えている点に、大きな魅力を覚えました。
山手 様:これまで当社だけでは十分に広げきれなかったエリアに挑戦できることだと思っています。九州では長く積み上げてきた実績がありますが、北関東をはじめ、まだ当社の演出が十分に届いていない地域には大きな可能性があると感じています。コーエィ様のネットワークや基盤があることで、そうしたエリアでも新しい提案がしやすくなるのではないかと期待しています。
加えて、これまで温めてきたアイデアに、より形になっていくはずです。新しい場所、新しい市場、新しい見せ方に挑戦していく中で、当社だけでは実現が難しかった企画にも取り組める余地が広がると思っています。これまで培ってきたものを土台にしながら、もう一段階先の表現に踏み出していけることは、当社にとって大きな挑戦となるはずです。
私としては、これまでと同じことを繰り返すのではなく、コーエィ様とご一緒することで新しい価値をつくっていきたいという思いがあります。地域に新しいにぎわいを生み出すことはもちろん、自分たちらしい演出の可能性をさらに広げていくことに、これから挑戦していきたいですね。

山手 様:非常に一生懸命に対応していただいたという印象です。私自身、数字や条件だけでなく、事業の中身や表現の部分を強く重視するところがあるタイプの経営者ですので、担当される側としては大変だったと思います。
その中で岩崎さんは、表面的に話を合わせるのではなく、まずこちらのことをきちんと理解しようとしてくれました。実際に私たちの仕事や演出にも触れたうえで、ご自身なりの感想を返してくださっていましたし、分からないことは分からないとはっきり言いながら、理解しようとする姿勢が一貫していたのが印象に残っています。岩崎さんは常に誠実に向き合ってくださったと感じています。ありがとうございました。
岩崎(担当コンサルタント):私自身、九州出身ということもあり、小倉という街には以前からなじみがありました。そうした場所で、山手社長率いるトータルプロデュース様とご縁をいただけたことは、非常に印象深い出来事でした。
ご提案を進める中では、山手社長が「良いご縁がなければ、それはそれで構わない」とお考えになる場面もありましたが、私としては、これまで築いてこられた実績や、これから実現していきたい構想を伺うたびに、この会社の価値がここで終わってしまうのは非常にもったいないと感じていました。だからこそ、トータルプロデュース様と山手社長の思いや価値をしっかり受け止め、共感してくださるお相手は必ずいらっしゃるはずだという思いで取り組んでいました。
その中で、コーエィ様がこれまでの実績だけでなく、今後やっていきたいことまで含めて前向きに受け止めてくださり、「次のステージを一緒に目指していきましょう」と言ってくださったことは、非常に嬉しかったです。山手社長が大切にされてきたものと、コーエィ様が描かれている今後の方向性が重なったことで、とても良いご縁につながったと感じています。
私にとっても、強く印象に残るM&Aになりました。大変お世話になりました。
山手 様:一つあるとすれば、「できない」で終わらせない考え方は残していきたいと思います。当社では最初から無理だと決めつけるのではなく、「どうすればできるか」「何なら実現できるか」を考えることを大切にしてきました。そこは、この先会社が変わっていく中でも、土台として持ち続けてほしいです。
当社はこれまで、前例のないことや新しい表現に挑戦しながら事業をつくってきました。もちろん、すべてが同じやり方で受け継がれていく必要はないですし、感性や発想は人によって違っていいと思っています。ただ、新しいことに対して最初から線を引くのではなく、まず可能性を探る姿勢は大切です。
私自身、若い頃にさまざまな刺激を受けたことで発想の幅が広がりましたし、そうした経験が今の考え方にもつながっています。これから先は、時代もやり方も変わっていくと思いますが、否定から入らない文化は、この会社らしさとして残っていけばいいなと思います。

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