譲渡企業
株式会社フードキャッチ(※「かいり」事業のみを譲渡)
譲受企業
株式会社ペッパーフードサービス
執行役員 川野 秀樹 氏、佐野 雄太 氏(常務取締役)、大竹 伸和 氏(経営企画室)
着手金・中間金無料 完全成功報酬型
本件担当コンサルタント
宮崎 辰義
宮崎 辰義
川野 様:事業内容としては外食チェーンになります。その中心となるブランドが「いきなり!ステーキ」で、一号店の頃から余計なものを入れずにお肉100%、そしてその大半が牛肉というところにこだわってきたブランドです。現在は「いきなり!ステーキ」のほかに、創業時からのブランドとなる「ステーキくに」、とんかつ「かつき亭」、すき焼き「すきはな」、そして今回のM&Aで新たに3月よりグループに入っていただいた痛風鍋「かいり」、この5ブランドがあります。
フィリピン、インドネシア、台湾といった海外にも展開しておりますので、店舗数としては2025年の5月末時点で190となります。社員数は330人程度で、パートさんを含めると3,000人くらいでしょうか。
川野 様:ステーキに特化しているところが最大の特徴で、珍しいと思います。他にもステーキを展開されている会社さんも出てきましたが、200店舗以上に広げることが非常に難しいとされるステーキレストランの業界で、「いきなり!ステーキ」は最盛期に500店舗を超えた実績があります。創業者・一瀬邦夫は仕組化を好む人間でして、他社よりもそこを追求してきた結果、日本を代表するステーキレストランへと成長しました。
川野 様:創業者であり、先代社長の一瀬邦夫は上野の聚楽台や赤坂にあった山王ホテルで修行した料理人です。1970年に独立して「キッチンくに」という洋食屋を開業。お店も順調にいくなかで、牛肉の輸入規制緩和という後押しがあり、ステーキに特化した「ステーキくに」へと改名しました。先代は周囲からよく「ホテル出身のコックは店を潰す」と言われていたそうです。そう口にしていた人たちを見返してやるといった気持ちで一生懸命に努力を重ねてきたと本人から聞いています。
外食産業のコンサルティング会社を入れていた時期があり、その時に先代が知り合った飲食店の経営者はコンサルの助言を受けて店舗数を拡大していったそうです。それならば自分も拡大しようと、3店舗を持つようになったのですが、「従業員が辞めてしまったら、どうしよう」と気にかけるあまり、心労が溜まっていったと聞いています。そこでの大変さからヒントを得て、効率化を追い求めたノンコックのチェーン店に切り替えました。
川野 様:はい。先代の頃より経営理念は”正しく笑う”と書いた「正笑」を掲げています。これは、「正しく仕事、正しい行いをして、会社の成功を見ることで全員で笑顔になろう。」という意味なのですが、会社を大きく発展させて、社員も出世することで笑顔になるのかといったら、令和となった今はそういう時代ではないですよね。
現在の代表・一瀬健作ともよく話しているのですが、「正笑」の経営理念はそのまま貫きながらも、「スタッフもお客様も本当の笑顔。作り笑いではなく、全員が心の底から笑顔でいられる会社を目指そう。」という意味に変更しています。創業当初からの理念を大切にリスペクトしつつ、少しずつ時代に合わせて解釈を変えていく。ペッパーフードサービスという会社はそういったフェーズでもあります。
川野 様:私は2010年、先代が社長と営業本部長を兼任すると決まったタイミングで補佐役として入社しました。2009年に焼肉店やステーキレストランで腸管出血性大腸菌O157が問題となったばかりでしたので、会社としても難しく、従業員のモチベーションが下がっていた当時の元気がない雰囲気を今でも覚えています。そんな中でも先代は諦めることなく、私も一歩ずつ前に進みながら未知の領域を開拓していきました。O157が少し落ち着いた2013年に「いきなり!ステーキ」を開店して躍進。ニューヨーク進出も経験することができ、これだけのチャレンジができたのも、ペッパーフードサービスならではと感じています。
大竹 様:私も10年この会社にいますが、チャレンジができる環境というのはペッパーフードサービスの特徴だと思いますね。私は主に経理業務を担当していますが、経営企画室としてこういったM&Aにも携わることができました。私自身のキャリアとしても、これだけの経験をさせていただけたのは大きな意味を持ちますし、”チャレンジ精神”こそが良さではないでしょうか。
川野 様:「いきなり!ステーキ」は”ステーキを文化にしたい”という想いから始まっておりますので、牛肉100%を低価格で提供しております。以前は原価率60%と普通の飲食店では考えられないような原価率で経営していたのですが、常にリスクと隣り合わせでいながらも、その結果として世間にも受け入れられ浸透していきました。「いきなり!ステーキ」は原価率が高い分、当時は店舗あたりの利益が大きくないので、1,000店舗に拡大を目指していました。難しいのは承知の上でしたが、話題性も高く爆発的な人気となったので、本当に目指せるかもしれないと感じたのを覚えています。
ただ、やはりそこまで甘くなかった。流行にも陰りが見え始め、失速したタイミングで輸入肉の価格も高騰し、すべての対応が後手後手にまわってしまったのです。社長を筆頭に役員、社員が一丸となって立て直すことに成功しましたが、やはり「いきなり!ステーキ」に頼りすぎるのもリスクが大きいと考えています。
そこで考えたのがM&Aです。牛肉やノンコックの外食チェーン事業に関しては経験とノウハウが当社にはありますので、M&Aでは全く違うジャンルを検討して良いのではないかと。ただ、時間と空間を提供するビジネスは当社に難しいことも理解しているので、商品軸のビジネスであれば事業買収を幅広く検討しようと考えたのです。
大竹 様:まず、商品軸では痛風鍋という美味しく、話題性も抜群な商品があるのが魅力でした。そして、かいりは店舗としては大きいわけではなく、決しておしゃれとも言い難いお店ですが、10代や20代の女性から絶大な支持を得ているというのも興味深かったです。当社の場合はターゲット層が30代~50代の男性が軸となりますので、痛風鍋という商品で若い女性から人気というのは驚きでしたね。SNSでお客様がアップして広めてくれる、いわゆる「バズる商品」があるのです。
川野 様:最初に痛風鍋と聞いたときに、私は「痛風が治る鍋」かと思ったんです。それが、牡蠣や白子、あん肝といった「痛風を促進する鍋」と知った時には本当に驚きました。痛風になるために通うといった発想は私にはなかったのですが、一度お店を訪れた時に、これは人気が出るわけだと納得しましたね。痛風鍋という名前は最近よく聞くようになりましたが、「かいり」がその先駆けとのことで、笹岡代表の創造力には感服するばかりです。
川野 様:もちろんです。ただ、当社代表の一瀬健作からは、「かいり」に関しては必要以上のことはしないように言われています。労務や商品開発、衛生管理など当社が培ってきたノウハウによって良くなる部分はもちろん着手しますが、「かいり」の魅力は残していくことを大切にします。
あとは、どうしても鍋となると冬のイメージが強いので、夏場もお客様に喜んでいただけるような商品開発は既に着手しています。ただこれも現場の声を大切にしたいと考えておりまして、「いきなり!ステーキ」では本部が発案・開発を担っているところを、「かいり」では各店舗の店長とスタッフが提案してくれたものをベースに、我々がブラッシュアップして、当社の商品開発担当と完成させました。
5月9日にプレスリリースを出しましたが、各店の個性が光る“涼・香・旨”メニューとなりますので、ぜひご賞味ください。
大竹 様:そうですね。痛風鍋は既に完成された商品だと思いますし、冬季が繁忙期となるのも当然だと思います。だからこそ、夏場もお客様にしっかりと楽しんでいただけるように当社の商品開発力やプロモーション力を活かし、より良い「かいり」を共に目指していくというのが我々の意向になります。
当社の店舗開発部門は非常に強いですので、店舗数も拡大していくプランもあります。店舗数を増やして「かいり」のブランドを多くの方に知っていただきたいですね。
川野 様:ペッパーフードサービス側の話をさせていただくと、今回のM&Aで手にいれることができたのは主に2つで、それは「居酒屋事業」と「海鮮」となります。意外に思われるかもしれませんが、実は当社は居酒屋事業をこれまで経験したことがないのです。オペレーションやそもそもの文化が違いますので、例えば「いきなり!ステーキ」で働く従業員が居酒屋でスムーズに動くことは難しいわけです。お酒を出す居酒屋のノウハウを手に入れられたのは大きいですね。
そして、海鮮です。ご存じの通り、当社は牛肉を中心としたステーキ事業でここまで成長した会社ですので、海鮮の取り扱いはありませんでした。「かいり」がグループに入ってくれたことで、そこも経験できますので、ペッパーフードサービスにとっては大きな一歩です。
大竹 様:今回のM&Aはプロセスも非常に複雑だったと感じており、宮崎さんでなければ3月1日のクロージングは迎えられなかったのではないでしょうか。1日に10回くらいコンタクトを取らせていただくこともありながら、丁寧にご対応いただき、次回のM&Aでも宮崎さんを指名させていただきたいと、私としては本心で思っています。
川野 様:宮崎さんは当社でいえば店長になるかどうかといった年齢だとお見受けしておりました。しかし、若いからといって不安は一切なく、その気迫と、真っ直ぐに向き合う姿勢からすべてをお任せできる安心感がありました。ご自身の意思も強く、一言で表現するなら”プロフェッショナル”です。イエスマンでないところも好感が持てたので、何でも本心で相談ができて心強かったですね。
佐野 様:川野からもありましたが、第一印象としてはお若く見えましたよね。しかし、実際に進めてみると、メールひとつでも本当にロジカルな考えをされているのが伝わり、先方とのコンタクトも細部まで詰めて準備してから挑む姿勢が素晴らしかったです。終始、安心してお任せすることができました。ありがとうございました。
宮崎(担当コンサルタント):大竹様が仰ってくださった通り、今回は本当に複雑なM&Aでした。株式譲渡ではなく事業譲渡となりますので、従業員様との契約や、仕入先との契約を全て巻き直すという作業が発生しました。それ以外にも労務・法務の論点が非常に多かったということで、佐野様、川野様、大竹様のお三方にはご尽力いただき、一緒に乗り越えて実現したM&Aという意識が私としても強いです。大変お世話になりました。ありがとうございました。
佐野 様:そうですね。やはり「いきなり!ステーキ」でも出店でコストが結構かかってしまうというのがありますので、M&Aでグループに入っていただいて当社も成長していくという経営戦略は十分にあり得るとおもいます。また、社長の想いとしても後継者不在のローカルなお店の支援であったり、地域貢献に対する意欲が強いんですよね。そういう観点でも、M&Aは継続していくのではないでしょうか。
川野 様:後継者不在のお店の支援についてですが、我々が想像していたよりも社長としては本気で考えているようです。経営戦略観点ではやはり財務インパクトの強い企業・事業をターゲットとして重視したいと考えていましたが、ペッパーフードサービスとしては別軸で社会的インパクトの部分も考慮しながら計画を立てていくことになるはずです。
佐野 様:長期的な目標でお話できる範囲は限られてしまうのですが、その数字を目指すためにも店舗数を増やしていく必要性は感じております。当社は「いきなり!ステーキ」のイメージが強いかもしれますが、「かいり」も仲間となってくれましたので、5つのブランドすべてでスタッフもお客様も心の底から笑顔になれる「正笑」を目指して頑張って参ります。引き続き、よろしくお願いいたします。
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