譲渡企業
アルファコックス株式会社
譲受企業
株式会社マイクロニティ
執行役員アライアンス戦略部 部長 海老原 成敏氏
着手金・中間金無料 完全成功報酬型
本件担当コンサルタント
根山 大輝
根山 大輝

海老原 様:株式会社マイクロニティは、ソフトウェア領域に特化した事業承継プラットフォームを運営しています。従業員数はグループ全体で約150名です。
日本のソフトウェア産業を振り返ると、1990年代にインターネットを基盤とした企業が次々と立ち上がり、多くの経営者がその時期に創業しています。その背景には、DARPA(アメリカ国防高等研究計画局)を起点とする技術やネットワークの発展が、民間へ広がっていった流れもありました。
そうした時代に創業した経営者の方々が、現在では60代、70代に差しかかっています。ソフトウェア産業は比較的新しい業界と見られがちですが、実際には今、業界全体として第一次事業承継の波が本格化しつつある局面です。株式会社マイクロニティは、「AI駆動型ソフトウェア事業承継プラットフォーム」で事業承継課題を解決したいという想いのもと、代表・山﨑祐一郎が創業した会社になります。
海老原 様:当社には同業他社と呼べる存在はありません。近しい存在としては、同じようなターゲット企業に投資しているケースもあるグロースファンドなどが挙げられるかもしれませんが、当社のように「ソフトウェア領域」に特化していて、エンジニアを多数抱えている企業は、他にはないと考えています。
また、当社に在籍するエンジニアは、単に依頼されたものを作るのではなく、自らソフトウェアを開発し、それを事業として形にしていくことを得意としています。ゼロから価値を生み出すことに強みを持つメンバーが多く、自由闊達な社風につながっている点も、当社らしさの一つです。
海老原 様:私自身、前職ではファンドに在籍していました。ファンドも事業承継に取り組んでいますが、最も大きな違いは、ファンドには必ずEXITがあるという点です。売主様が一度「この企業に譲る」という決断をされたとしても、その先で再び別の相手にバトンタッチされることが前提となります。売主様にとっては、譲渡後の次の承継には関与しない形になるケースが一般的です。
一方で、私たちは永続保有を前提としています。そのため、一定期間後の売却を見据えて運営するのではなく、譲り受けた会社が長く存続し、継続的に成長していくことを第一に考えています。長年培ってこられたブランドや、そこで働く従業員の皆様、そしてこれまで価値を提供してきたお客様との関係を守りながら成長していく。その実現に向けて、私たちも全力で考え、支えていく点が、ファンドとの大きな違いです。
海老原 様:永続保有を前提という意味では近しいですが、事業会社とも異なる特徴があります。事業会社が買手として手を挙げる場合、多くは自社事業とのシナジーを前提に判断されます。”どのように自社の既存事業に貢献できるか”が重要な判断軸になることが一般的です。
それに対して、私たちは事業そのものが「事業承継プラットフォーム」です。特定の事業とのシナジーを求めるのではなく、売手企業がこれまで築いてきた事業や組織、ネットワークに価値があり、かけがえのない財産だと捉えています。
だからこそ、M&Aによって組織が空中分解してしまうようなことは、できる限り避けなければなりません。私たちは、そうした事態を防ぎながら、会社の強みや価値をしっかり引き継いでいく運営を常に心がけています。事業承継に不安を感じている経営者の方々に対しては、ファンドや事業会社とは異なる立場だからこそできるご提案があると考えています。

海老原 様:M&Aで企業様を拝見する際に重視しているのは、その会社が特定の分野で、どれだけ確かな価値を提供してきたかという点です。当社はAI駆動型ソフトウェア事業承継プラットフォームとして、業界特化型のソフトウェアを提供している企業様を主な対象としています。
仮に市場としてはニッチであったとしても、その業界の現場で必要とされ、長く使われてきたソフトウェアには大きな価値があります。売上規模だけで判断するのではなく、その分野で築いてきた地位や信頼、そして顧客から選ばれ続けてきた実績を重視しています。
ソフトウェア業界では売上としては決して高くない中小企業が大半だと思いますが、そうした企業様の中にも、特定領域で強い存在感を発揮している会社様は多くあります。私たちは、そのような企業様とともに歩み、これまで培われてきた価値を次の成長に繋げていきたいと考えています。
海老原 様:そうですね。アルファコックスさんは、まさに当社の考える理想に合致する会社様でした。特に魅力を感じたのは、3Dモデリングソフト「SketchUp」シリーズに特化して事業を展開されている点です。
3Dモデリング市場の中でも、SketchUpは独自の地位を確立しているソフトウェアです。その中で、アルファコックスさんは国内でトップシェアを担う存在であり、高い専門性と確かな実績を築いてこられました。
海老原 様:廣瀬代表と田中取締役については、創業以来、一貫してSketchUpというソフトウェアに向き合い続けてこられたことが、対話を通じて強く伝わってきました。その歩みの中では様々なご苦労もあったのだと思いますが、そうしたことを感じさせないほど、おふたりとも非常に明るく、エネルギーに溢れている印象でした。
率直に申し上げて、ご年齢を踏まえても、まだまだおふたりで事業を続けていくことは十分に可能だったのではないかと思います。それでも、アルファコックスという会社の将来、そしてSketchUpというソフトウェアの未来を見据えたうえで、早い段階からM&Aという選択肢を真剣に検討されたのだと受け止めています。
そうしたご判断には、経営者としての高い先見性が表れていると感じました。どこよりも早くSketchUpというソフトウェアに着目し、事業として育ててこられたこと自体にも、おふたりの優れた視点と確かな意思が表れていると思います。
海老原 様:アルファコックスさんがグループに加わることで、新たな価値創造の可能性が大きく広がると考えています。たとえば建築分野においても、SketchUpやアルファコックスさんが持つ強みを軸にしながら、グループ内の異なる業界の知見やネットワークを掛け合わせることで、建設や土木など周辺領域に対して、これまでにない価値を提供できる可能性があります。
私たちは、10年で100社をグループに迎え入れることを目標にしています。それぞれの会社様は特定の業界に深く特化し、その領域で確かな強みを持っていますが、業界が異なれば異なるほど、普段は接点が生まれにくいのも事実です。その中で、グループとして点と点をつなぎ、線にし、さらに面へと広げていくことができれば、個社では実現できなかった新しい価値が生まれてくると考えています。経営を担う方々や幹部の皆様が交流し、それぞれの知見を交わすことで、マイクロニティというグループならではの社会的価値を創出していきたいと思っています。
アルファコックスさんにも、今回グループに加わっていただいたことをきっかけに、自社の事業領域にとどまらない新たな可能性へ目を向けていただけるような機会を、今後は作っていきたいと考えています。

海老原 様:根山さんについては率直に申し上げて、不安に感じる点は一つもありませんでした。クロージングに至る最後の局面まで、非常に丁寧に寄り添っていただいたと感じています。これは私たち買手側だけでなく、廣瀬代表や田中取締役にとっても同様だったのではないかと思います。
特に、クロージングのタイミングや最終段階で発生した各種調整において、そのサポートの丁寧さが強く印象に残っています。終盤は、金融機関を含めた複数の関係者との調整が必要となり、慌ただしい局面もありましたが、その中でも一つひとつ丁寧に対応していただきました。
最後まで安心して進めることができたのは、そうしたきめ細かなご支援があったからだと感じています。ありがとうございました。
根山(担当コンサルタント):当初は比較的順調に進んでいたと思いますが、終盤のフェーズではいくつか調整が必要な項目が出てきました。その中でも両社が互いに歩み寄りながら、前向きに向き合ってくださったことが、成約につながった大きな理由だったと感じています。
印象的だったのは、調整が必要な局面でも、どちらかが強く反発することなく、お互いの立場や想いを尊重しながら進めておられた点です。両社の中に「一緒になりたい」という気持ちがしっかりとあったからこそ、最終的に良い形でまとまったのだと思います。こちらこそ、ありがとうございました。
海老原 様:2025年は3社をグループに迎え入れましたが、今年5社、来年7社、再来年は8社というペースで拡大を進め、5年後には30社を超える規模を目指しています。中期的な目標としては、「10年で100社」という構想を掲げています。
ただ、私たちが重視しているのは、単なる拡大ではありません。グループとして成長していく中で、どのような人材を育て、体制を作るかが重要だと考えています。現在はそれぞれのエンジニアが目の前のプロダクトやお客様に向き合っていますが、今後はグループ各社のプロダクトや経営にも視野を広げ、エンジニア出身の人材が経営を担うような体制をつくっていきたいと考えています。
長期的には、ソフトウェアを軸として、マイクロニティのグループ全体で社会課題の解決に取り組める存在になることを目指しています。従来型の開発や運用だけでは限界が生じる場面もある中で、AIを活用しながら、生産性向上と社会的価値の創出を両立する実装を進めていきたいです。
AIという言葉が先行しやすい時代ではありますが、私たちが目指しているのは流行ではなく、現実の課題解決に活かせる技術活用です。事業の現場に根差した形でAIを実装し、より大きな社会的価値を生み出していくことが、今後の大きな目標です。

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