譲渡企業
mederi株式会社
代表取締役 坂梨 亜里咲 氏
譲受企業
レバレジーズ株式会社
経営企画室 室長 チョ ズンヒョク 氏、中嶋 一揮 氏(オンライン診療事業部 事業部長)
着手金・中間金無料 完全成功報酬型
本件担当コンサルタント
海住 昌紀
海住 昌紀
チョ 様:レバレジーズは特定の事業に特化している会社ではありませんが、柱となっているのは人材紹介、人材派遣といったHR系の事業です。IT人材紹介の「レバテック」、医療・ヘルスケア人材紹介の「レバウェル」といったブランドは電車広告やテレビCMなどマーケティングも積極的に行っておりますので、一度は目にしたことのある方も多いと思います。
一方、人材系ばかりかと言われたら決してそうではなく、当社のスタンスとして”社会課題の解決に資するビジネス”であれば、幅広く挑戦していきたいと考えています。人材系の事業は全体の50%程度となっており、その他では、オンライン診療の「レバクリ」や従業員のモチベーション管理ツール「NALYSYS」、スクラム開発に向けた効率化支援ツール「Agile Effect」などのサービスを展開しております。
中嶋 様:今回のM&Aにおける関連事業となりますのが、2023年にリリースした「レバクリ」というオンライン診療プラットフォームです。AGA、ED、ピル、ダイエットといった領域で自由診療のオンライン対応が可能となっており、社会でもニーズが高まっている分野になります。
立ち上げの背景としましては、新型コロナウイルスの感染拡大を経て、オンライン診療の法改正などもありましたので、初診からオンラインでの診療が日本でも可能となり、需要が高まることが予想されました。また、日本での社会問題として、地方での医師不足などがありますので、オンライン診療が広まればその課題の解決に貢献できるのではという想いがありました。
中嶋 様:日本は今後、医師が足りなくなるというのは人口統計上で判明しています。具体的には、医師の居住地と患者の居住地の偏在から、都市部や県庁所在地周辺では均衡するのに対して僻地においては医師が不足するということが予想されているので、これを深刻な問題と捉えています。もちろん厚生労働省が主導となり対策を検討されているのですが、医師の働き方を制限するようなマイナスの側面があるのも実情です。
地方に住んでいる方や患者さんだけではなく、医師も含めた様々なニーズに応えるような解決策がない状況で、やはりオンラインで可能なものは対応していくというのは必須だと思います。オンライン診療の認知度はまだまだ低いのが現状ですので、レバレジーズが市場を広げ、皆さんが使いやすいものを提供したい、そんな想いから「オンライン診療を、当たり前の選択肢に。」というビジョンを掲げました。
チョ 様:当社ではトップラインの成長率で130%を必ず維持するといった目標があるのですが、昨年の実績で売上が約1,428億円となりますので、このまま目標通りに成長を続けると10年以内に1兆円を達成する見込みとなります。
この目標はボードメンバーが掲げ、大枠でのマイルストーンもあったのですが、昨年から戦略ストーリーを緻密に作り始めました。この1兆円という目標を達成するためには、既存事業の投資強化、ポートフォリオの見極めは当然として、M&Aのような非連続的な成長も取り組むことで事業の幅・可能性を広げられる、スピード感をあげられると結論付けました。
当社で強みを持っている分野に関してはゼロイチで新規事業を立ち上げる方向で進めると思いますが、そうでない領域、我々が持っていない強みを持っている会社さんであれば、M&A、パートナーシップを結んでいく方針も浸透しつつあります。
チョ 様:これは私個人の考えになりますが、その会社が目指す姿であったり、沿革、創業者の想いなどは、最初に見る重要ポイントになります。DNA的な部分が分からないと、カルチャーフィットするか、当社とうまくやっていけそうかなど、想像しづらいんですよね。
融合することが出来そうかを見極めたうえで、具体的なシナジープランをディスカッションしながら練っていく形を取っています。文化や考え方が合わない会社とは、入口の段階で破談となるケースが多い印象です。
先程申し上げた通り、当社は「社会課題解決に資する」というところを非常に重視している会社になります。もちろん、会社はビジネスになりますので、一定の合理性を持って筋が通った意思決定をするのは当然ですが、それ以外の部分に関しては基本的に「これは世の中のためになるんだっけ?」という自問を繰り返し、原点に立ち返る習慣が当社には根付いているのです。そのあたりに共感していただけそうか、社会課題解決のためにビジネスという手段があるのか、そこは大切にしています。
坂梨 様:創業経緯としましては、私の不妊治療経験が大きく影響しております。自分が結婚し、ブライダルチェックで不妊症であると診断されてから、トータルで7年くらい治療と向き合いました。金銭面でも負担が大きく、総額で1,800万円くらいは使ったと思います。
「治療にはお金と時間が必要なんだ」と自ら経験して学びましたが、不妊治療は現在、4.4組に1組と言われているのを知ったときに、これは自分だけの問題ではなくて、社会課題なんだと痛感しました。1人でも多くの女性に、望むタイミングで妊娠・出産を経験してもらいたい。そして、キャリアというところで自由に行き来できるような社会を作りたい。そんな想いから2019年8月に起業しました。 現在は、生理トラブルに悩む女性と産婦人科医をつなげるオンラインピル診療サービス「mederi Pill(メデリピル)」、企業の健康経営を支える福利厚生サービス「mederi for biz」を展開しており、女性の健康課題に向き合っています。
坂梨 様:当社の場合は株主がいて、出口戦略として上場準備を進めていました。我々も蓋然性のある事業計画を立て着実に進めてきた一方で、オンライン診療サービス市場は成長を続けながらも、以前より競争が激化し、体力の求められる市場になっているなと感じていました。
こうした環境変化の中で、当初の事業計画を見直す必要が何度か生じ、果たして上場が最善のゴールなのかを改めて議論しました。その結果、今年に入りM&Aという選択肢も視野に入れることにしました。
正直なところ、トップ面談の段階でもまだ気持ちの整理ができていなかったというのが本音となります。M&Aというのは選択肢のひとつであり、本当にシナジーであったり、カルチャーフィットが感じられる企業との出会いがあれば実施する価値があると考えていました。
坂梨 様:もしM&Aをするのであれば、互いをリスペクトし合えて、win-winな関係を築ける企業とご一緒したいと考えていました。特にリスペクトの姿勢は、私自身が経営の中で最も大切にしている価値観のひとつなので、常に意識はしていたと思います。
坂梨 様:第一印象は基本的にどの企業も良かったのですが、レバレジーズさんはその中でも抜けて良かった印象がありました。初回はWebでの面談だったのですが、シナジーまで含めて綿密に作り込まれた資料をご準備いただき、その熱量に圧倒されてしまったんですよね。
実はレバレジーズさんとの初回面談の際は、簡単な質問を何問か投げかけるだけで終わったんです。レバクリは同業であることもあり、当初の私は情報開示に慎重だったんです。しかし、その後、海住さん(弊社コンサルタント)を通じて、「mederiさん、あまり感触よくなさそうでしたけど、大丈夫ですか?」とレバレジーズさんが気にかけてくださっていたことを知り、そういった人間としての温かい一面からとても良い方々という印象を抱きましたね。その後も印象がブレるようなことは一切なく、丁寧に、そして真摯に毎回対応してくださり、面談を重ねる度に信頼が深まっていきました。
中嶋 様:「レバクリ」はオンライン診療領域で業界No.1を目指しているのですが、この市場において参入が特別早かったわけではありません。シェアを伸ばされている競合はたくさんいるような状況でしたので、“どうやって後発組でありながら業界No.1を目指していくか”という部分は、集客の戦略はじめ、M&Aなど様々な観点で考えておりました。
ピルに関しては自由診療の領域のなかでも、特に事業開発が遅れている状況でしたので、どのような戦略を立てるか常に考えてはいたのですが、そのタイミングでmederiさんのお話をいただきました。競合他社ということもあり、ずっと調べさせていただいていた会社さんでしたし、認知度が高く、優れたUXやブランドイメージのあるサービスということで注目していましたので、最初から意向は高かったです。
中嶋 様:当社としての意向度は高かったのですが、先程、坂梨様からお話あったような反応でしたので、当社に対しての意向はそこまで高くないのかなという印象でした。(笑)
ただ、面談を重ねてより深いお話をすることができ、提携といった話も徐々に進んでいった記憶があります。創業の背景であったりが、当社の目指す未来、ビジョンといった部分と方向性は一緒だなと。「統合して進めることで、より良いシナジーを作っていけるはず」といった印象を持ちました。
中嶋 様:まず最初に取り組みたいと考えているのはマーケティングの部分です。レバレジーズではマーケティングを全てインハウス化しているのが特徴でして、広告運用やプロダクトマネジメントの専門家が社内に複数名いるような形となっています。
mederiさんには素晴らしいプロダクトやサービスが既にありますので、当社からマーケティングのノウハウであったり、資金を投入することによって、さらに伸ばしていけると考えています。また、オペレーション効率化の観点においても相乗効果はあります。mederiさんは運営期間も長いので、オペレーションの部分で我々も学ばせていただき、改善できればと考えています。
坂梨 様:私もマーケティング効率の最大化は、すごく期待しています。やはり単独でやっているのは正直なところマーケティング手法の限界を感じる部分はありましたので、「レバクリ」と「mederi」が一緒になることで、やれることは広がっていくのではないでしょうか。
オンライン領域では、いかに”面”でユーザーを獲得していくかというところだと思うんですけど、両社が組むことでこれまでにない効果的なアプローチができていくと期待しています。また、レバレジーズさん全体で考えても約40事業やられているということで、私個人としては、例えばオンライン診療領域とHR領域が融合する可能性も全然あると思っています。お互いの強みを活かしながら新規事業を生み出していけたらいいですよね。
チョ 様:我々としては温度感が非常に高く、少し恋愛に近い感じになってしまったんですよね。最初から急にアプローチしすぎてしまい、期待していた反応が返ってこなくて、ソワソワしちゃったんですが、自分たちで聞きづらいことも含めて、海住さんには間に入って真意を伝えていただきました。
また、お互いの認識齟齬なくディールを進められるように、丁寧にご調整いただいたのかなと思います。柔軟に会議体を設定いただいたり、本件の場合はデューデリジェンスの期間も短かったので、資料の要求にご対応いただいたりもしました。インタビューの枠を押さえていただいたり、海住さんにはタイトなスケジュールのなかで円滑に進められるようにご調整いただきましたね。本当に信頼のおけるコンサルタントの方だったと思います。ありがとうございました。
海住(担当コンサルタント):本件では関係者が多数いらっしゃったため、交渉や調整というよりも、両社のご意向を率直にお伝えし、認識の齟齬が生じることなく円滑にディールが進むよう努めてまいりました。特に、レバレジーズ様にはタイトなスケジュールの中、社内リソースを総動員してご対応いただきましたおかげで、このタイミングで無事に成就できたと深く実感しております。
また、ご両社にとって重要な局面において、コンサルタントとして一端を担えたことを担当者として大変光栄に感じております。今後、mederi様とのシナジー効果を最大限に発揮され、さらなる成長と発展を遂げられることを心よりお祈り申し上げます。この度はありがとうございました。
坂梨 様:まずは、女性のキャリア課題をクリアにしたいと考えています。妊娠・出産といったライフステージによって、女性の生き方やキャリアは分断されがちです。社会として課題解決に向けた動きはあるものの、管理職の機会を諦めたり、キャリアでの挑戦に踏み切れないなど、上を目指すことが難しい現実があります。だからこそ私は、キャリアに夢を描く、期待を抱ける女性を増やしたいと願っています。
同時に、少子化という課題にも向き合いたいと考えています。 ピル処方サービスを運営していると避妊のイメージが強く、少子化対策と遠いように感じる方も多いと思います。実際はそうではなく、ピルには卵巣がんリスクの軽減や、子宮内膜症の予防効果があるので、将来の妊娠を見据えた健康維持にも繋がります。また、ピルは出産したいタイミングで産める環境を整えるバースコントロールの一環でもあります。 だからこそ、女性がキャリアで自信を持ち、望むタイミングで出産できる――そんな社会を実現していきたいと考えています。
中嶋 様:DXの推進を通じて、医療業界全体の課題解決に貢献したいと考えています。今後数年間はオンライン診療分野に注力しますが、医療はそもそも“負”の多い領域であり、その先では製薬における開発・製造プロセスや、対面診療におけるオペレーション効率化など、他領域でも価値を発揮できるはずです。将来的には、こうした領域にもプロジェクトを拡大していきます。
坂梨 様:この度、mederiはM&Aという形をとりましたが、「mederi Pill(メデリピル)」というサービスは今後も変わらず存続しますし、その良さは変わりません。むしろ、レバレジーズさんと一緒になることで、さらにアップデートしていけるとワクワクしています。
レバレジーズさんには多くの優秀なエンジニアさんがいらっしゃり、システム面の基盤が非常に優れていますので、mederi社のシステム面も大きく改善されるはずです。また、レバクリさんは私たちが取り扱っていない領域の医薬品も取り扱っており、ピルに限らず、医療・医薬品全般がより身近に感じていただける環境を一緒に作っていけると確信しています。これからの進化にぜひご期待ください。
中嶋 様:mederiさんとレバクリが一緒になったことによるプラスの価値提供をできるようにしたいと考えています。両方のプロダクトを連携していく形での新しいプロモーションや、診療体験含め新たな価値を提供していきたいと考えておりますので、期待していただければと思います。
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