コーエィ株式会社|相互補完の経営で未来を拓く。成長戦略の先に見据える「百年企業」の実現

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代表取締役社長   関口 典明氏

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本件担当コンサルタント

大阪企業情報第一部

岩崎 隼也

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岩崎 隼也

譲渡企業
  • 株式会社トータルプロデュース
  • http://www.totalproduce.co.jp/
  • 株式会社トータルプロデュースは福岡県北九州市に本社を置くイベント会社。レーザー花火やプロジェクションマッピングなどのイベント企画制作で数多くの実績を持つ。2026年2月にコーエィ株式会社とのM&Aを選択。
譲受企業
  • コーエィ株式会社
  • https://www.koei-corp.jp/
  • コーエィ株式会社は群馬県前橋市に本社を置く企業。建設機械レンタル事業とイベント事業を二本柱に、グループ12社で幅広い事業を展開している。2026年2月に株式会社トータルプロデュースとの資本提携を選択。

コーエィ株式会社の事業基盤と成長を支える二本柱

コーエィ株式会社の事業内容や従業員数について教えてください。

関口 様:コーエィ株式会社は、群馬県前橋市に本社を置いています。従業員数はグループ全体で約650名、本体では約250名です。グループ会社は全12社で構成されており、事業の柱は「建設機械のレンタル事業」と「イベント事業」の二軸となります。

建設機械レンタル事業、イベント事業とは珍しい組み合わせですね。

関口様:確かに一見すると意外な組み合わせに見えるかもしれません。当社は昭和44年に先代が創業し、建設機械や産業用機械機器の販売から事業を開始しました。その後、事業の流れの中で建設機械のレンタル事業を立ち上げ、会社の成長とともに主力事業へと発展していきました。以来、約57年にわたり建設機械レンタルは当社の中核を担う事業となっています。

また、単にレンタルを行うだけではなく、機械のメンテナンスを担う部門や車検を担う部門も傘下に置き、関連機能をグループ内に一通り備えている点が当社の特徴です。

一方で、イベント事業は今から35年前に私が立ち上げました。企画から会場施工、機材レンタルまでを一貫して請け負える体制を整え、現在ではもう一つの事業の柱として成長しています。

関口代表が手掛けるイベント事業部についても詳細をお聞かせください。

関口様:イベント事業は領域が非常に広く、当社としてもライブをはじめ、音響、照明、舞台演出まで含めて得意分野としています。式典のように厳粛さが求められる催しから、賑わいを重視したイベントまで種類は多岐にわたりますが、当社ではそうした幅広いニーズに対応できる体制を整えています。

また、スポーツイベントは重要な分野の一つです。例えばマラソン大会では、会場設営にとどまらず、計測業務まで一貫して担っています。さらに、国体をはじめとする公共性の高い事業にも携わり、運営全体を取り仕切る役割を果たしてきました。

大型案件での実績としては、パブリックビューイングの運営も挙げられます。2019年ラグビーワールドカップでは、大型機材を活用しながら運営を支えました。企画力に加え、必要な機材を自社で保有している点も当社の強みです。

機材を自社で保有しているからこそ、受託にとどまらず主催事業にも取り組めます。実際に、3日間で2万人規模のお客様を集めるイベントを実施した実績もあります。依頼を受けて運営するだけではなく、自ら企画し、集客まで含めて形にできる点は、この事業部ならではの強みだと捉えています。

さらに当社では、「シクラメン」「風輪」といったアーティストもマネジメントしており、シクラメンは2019年ラグビーワールドカップでオフィシャルテーマソングを手がけました。そのほかにも、スポーツチームの応援に関連する楽曲提供を数多く行っており、バレーボールのVリーグ、ジュビロ磐田、現在では宇都宮ブレックス、当社がスポンサーを務めているバニーズ群馬FCホワイトスターの応援曲なども担当しています。

御社の成長が加速したタイミングについても教えていただけますか。

関口 様:私が代表に就任したのは2009年ですが、その前後はリーマンショック、さらに東日本大震災と、社会全体が大きく揺れ動く時期でした。特に震災発生直後は、イベント事業の案件が一気になくなり、大きな影響を受けました。これは後のコロナ禍も同様で、社会情勢の変化によってイベントが一斉に止まる局面を何度も経験しました。

一方で、そのような局面だからこそ、建設機械レンタル事業の役割の大きさを改めて実感しました。震災時には非常用発電機の需要が急増し、病院をはじめ電気を止めることのできない施設への対応が求められます。計画停電が行われる中で、建設機械レンタル事業が社会インフラを支える重要な役割を担っていることを、現場で強く感じたのです。

また当社は、多くの自治体と災害協定も締結しており、重機だけでなく仮設トイレなどの設備についても被災地支援を行ってきました。東日本大震災の際には、震災当日に連絡を受け、その日のうちに宮城県や福島県へ大型トラック約20台で向かい、仮設トイレの設置を行っています。緊急時に現場で求められるものを迅速に届けることは、当社にとって大きな使命の一つでした。

こうした経験を重ねる中で、イベント事業が止まる局面では建設機械レンタルが下支えとなり、反対に建設機械レンタルの需要が落ち着く局面ではイベント事業が伸びるという、二つの事業の補完関係が明確になっていきました。この体制が整ったことにより、当社の成長は加速したと捉えています。

御社は海外にも進出されていますよね。

関口 様:はい。当グループには株式会社シーキュー・アメニックという会社があり、アトラクションや遊具のレンタル、企画を中心とした遊園地事業を展開しています。シーキュー・アメニックは台湾とカンボジアにも進出するなど、海外での事業展開を進めています。

台湾では、三井不動産様が手がける三井アウトレットパークやららぽーとにおいて、大型観覧車や遊具、室内エンターテインメントの展開を行っています。

またカンボジアでは、イオン様が手がけるASEAN最大級のショッピングモール「イオンⅡ・イオンモール セン ソック シティ」に遊園地を設置しました。バイキングのような大規模アトラクションに加え、暑い気候に合わせて屋外にはウォーターパークも備え、現地のニーズに応じた施設づくりを行っています。

さらにカンボジアのシェムリアップでは、大観覧車を設置しています。シェムリアップはアンコールワットをはじめとした遺跡が有名な地域ですが、この観覧車はもともと北九州のスペースワールドに設置されていたものを再活用したものです。閉園に伴い一度解体し、現地で再生させました。

現地では、メイドインジャパンが一つのブランドとして高く評価され、大変喜んでいただきました。加えて、シェムリアップは遺跡保護の観点から高さ制限のある地域であり、この観覧車はその制約を超える規模でした。それでもカンボジア政府が観光誘致の観点から承認し、設置が実現した経緯があります。本格的な観覧車としては、カンボジアで初めての事例といえる取り組みです。

「演出」の分野を強化するため、優れた「感性」を持つ会社を探していた

M&Aを成長戦略として取り入れた経緯を教えてください。

関口 様:私が代表に就任した当時、会社はコーエィ株式会社1社のみでしたが、現在に至るまでにグループは12社へと規模を拡大してきました。その背景にあったのは、事業をワンストップで提供できる体制を整えたいという考えです。関連する事業領域を広げることで、お客様の多様なニーズに対し、より幅広く応えられる体制を築いてきました。

もう一つの大きなテーマが、事業の柱を一つに依存しない経営体制の構築です。先述の通り、建設機械レンタルとイベント事業は、それぞれ異なる市場環境の影響を受けます。どちらか一方が厳しい局面となった際には、もう一方が支えとなる関係です。こうした経験を通じて、事業は複数の柱を持ち、相互に補完し合える体制であることが重要だと実感してきました。

この考え方は、現在に至るまで一貫した経営の根幹となっています。その方針のもとで、M&Aを成長戦略の一つとして取り入れながら、グループ拡大と事業基盤の強化を進め、現在の体制を築いてきました。

トータルプロデュース様に興味を持たれた経緯についてもお聞かせください。

関口 様:もともと私はイベント事業に強い思いを持って取り組んできましたが、事業を追求していく中で、当社だけではまだ十分に実現できていないことや、自分自身がさらに挑戦したいと感じる領域がありました。その一つが、「演出」の分野です。

当社はこれまで、会場設営をはじめとする裏方の業務を中心に担い、音響や照明にも携わってきました。しかし演出を本当の意味で高いレベルに引き上げるには、単に機材を扱える、あるいはプログラムを組めるだけでは不十分だと考えています。空間や場面に応じた感性を持ち、その演出によって会場全体の印象や価値を何倍にも高める力が必要です。以前から、そうした領域をさらに強化したいという思いがありました。

お客様に足を運んでいただき、入場料をいただく以上、「来てよかった」「本当にすごかった」と感じていただけるような感動を届けたいという思いがあります。そのためにも、演出という分野で高い専門性と突出した力を持つ会社とのご縁を求めていました。トータルプロデュース様はまさにその領域に特化した会社であり、当グループに迎えることができたことは大きな転機になりました。

トータルプロデュース様は、感性の面でもクオリティの面でも非常に優れた会社だと感じています。これまで手がけてこられた実績を拝見すると、仏閣や神殿、城郭など、普段は演出の舞台になりにくい場所も対象にしながら、高い品質の仕事をされていました。

さらに印象的だったのは、単にプロジェクションマッピングを施すだけではなく、対象物だけで完結させず、周囲の樹木や空間全体まで含めて演出を設計している点です。空間全体の価値を高めていく発想に、非常に高い感性とクオリティを感じ、強く惹かれました。

トータルプロデュース様がグループに入られて、今後どのようなチャレンジができそうですか。

関口 様:現在当社が運営している遊園地も光の演出は取り入れていますが、今後はそこにトータルプロデュース様が持つレーザーやムービングライトの技術を組み合わせることで、より動きのある演出を実現していきたいと考えています。

近年は機材の性能が大きく向上し、防水性能の高い機器も使えるようになったことで、これまで難しかった屋外での本格的な演出にも可能性が広がってきました。だからこそ、屋外の大型設備に対しても、これまでにない演出を施していきたいです。

もちろん、こうした取り組みは簡単ではありません。これまで誰も十分に手がけてこなかった領域でもありますが、だからこそ早い段階で挑戦する価値があると考えています。遊園地内にはさまざまな遊具や空間があります。バイキングのようなアトラクションも含めて、施設全体に演出の幅を広げていくことで、これまで以上に魅力ある空間をつくれるはずです。

演出が実現できれば、遊園地全体の価値向上はもちろん、集客面でも大きな効果が期待できます。単に遊具があるだけではなく、その場でしか味わえない体験を提供することで、「行ってみたい」「もう一度行きたい」と感じていただける施設にしていきたいと考えています。

さらに、演出の可能性は集客だけにとどまりません。例えば、周辺空間に映像演出を施したり、乗車した方にしか見られない特別な仕掛けを用意したりすることも可能なはず。そこにプライベートなメッセージを添えられれば、より夢のある体験にもつながります。特別な場面を演出するなど、新しい価値を形にしていけることは、今後の大きなチャレンジです。

社長の分身として説明してくれたからこそ、手応えを実感できた

M&Aロイヤルアドバイザリーのコンサルタントはいかがでしたか。

関口 様:「企業は人なり」という言葉がありますが、今回ご一緒したコンサルタントが岩崎さんで本当に良かったと思っています。出会いから両社が一緒になるまでには、いくつもの山や谷がありましたが、それを乗り越え、新たなスタートラインに立つことができた原動力は、「情熱と誠意」、そして「現場主義」だったと感じています。 トータルプロデュース様の特色や課題についても、岩崎さんが山手社長の思いや考えを丁寧に伝えてくださったことで、私たちも手応えを実感し、将来のイメージを持つことができました。

また、いくつかの現場視察にも常にご一緒いただき、丁寧に説明してくださる姿はとても頼もしく感じました。岩崎さん、両社のこれからの活躍をぜひ楽しみにしていてください。本当にありがとうございました。

岩崎(担当コンサルタント):有難いお言葉をありがとうございます。私の中で凄く印象的なのが初回の顔合わせです。トータルプロデュース社の事業に対し、コーエィ様が興味津々に沢山ご質問してくださったこと、今でも鮮明に覚えております。今後、強みの異なる企業様同士が日本、世界でどのような展開をされるのか凄く楽しみです。このたびは本当にありがとうございました。陰ながら引き続き応援させていただきます。

これから長い年月を重ね、次なる目標は「百年企業」の仲間入り

コーエィ様の今後の目標について教えてください。

関口 様:今回のM&Aもそうですが、私たちは常に、自社だけでは実現できないことや、結びつくことで生まれる相乗効果に着目してきました。各事業部、また各グループ会社には、まだ大きなポテンシャルがあると感じています。だからこそ中期的には、それぞれの強みをより確かなものにしながら、グループ全体の土台をしっかり固めていきたいと考えています。

一方で、長期的に見据えているのは「百年企業」を目指すことです。当社は現在、創業57年を迎えていますが、これは以前から一貫して掲げてきた企業ビジョンでもあります。かつては「百億百年企業」というスローガンを掲げていましたが、売上という面ではすでにその水準を超えることができました。だからこそ、これからはより一層、百年続く企業であることに重きを置いています。

売上は努力の積み重ねによって伸ばしていくことができますが、百年企業になるためには時間を重ねていくしかありません。そして、その道のりは私たち一世代だけで完結するものでもありません。ここから先の45年を考えれば、自分たちが第一線にいない時代も当然やってきます。だからこそ、次の世代、さらにその次の世代へとしっかりバトンを渡していけるよう、進むべき方向と道筋を今のうちにきちんと築いておきたいです。

最後にアピールしたいポイントがあればお願いします。

関口 様:今後、特に力を入れていきたいと考えているのが、官民連携による施設活用の分野です。近年は制度の見直しも進む中で、公園などの公共施設に民間の力を取り入れ、15年から20年といった長期スパンで活用していく事業が増えています。民間が施設を活用して収益を上げ、その一部を地域に還元するとともに、利用期間中の維持管理も担う。そうした形で、官と民が一体となって価値を高めていく取り組みが広がっています。

この領域は、民間にとっても大きな可能性があると捉えています。広大な遊園地や集客施設を一から整備しようとすれば莫大な投資が必要になりますが、すでにある施設を活用できれば、初期投資を抑えながら事業を展開できます。さらに、もともと市民や町民の集いの場として親しまれてきた場所であれば、人が集まりやすいという強みもあります。そうした地域資源に新たな価値を加え、魅力ある場として再生していくことは、当社としても大きな可能性を感じている領域です。

今後は、そうした機会があれば積極的に手を挙げ、各地で取り組みを広げていきたいと考えています。これまで培ってきた事業基盤とグループの力を生かしながら、新たな価値創出につながる挑戦を続けていきます。

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