プラント設備の技術サービス会社がM&Aで業界大手のグループ会社に縁を引き寄せたのは、一通の手紙だった

譲渡企業

株式会社テクノ・スタッフ

代表取締役社長   大谷博昭 氏

譲受企業

株式会社マイスターエンジニアリング

代表取締役社長   平野大介 氏

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本件担当コンサルタント

執行役員パートナー

中川 徹哉

執行役員パートナー

中川 徹哉

譲渡企業
  • 株式会社テクノ・スタッフ
  • https://techno-staff.co.jp
  • 1990年9月設立。石油精製、石油化学プラントなどの設備診断、設備計画、コンサルティング業務を手掛ける。2023年8月に全株式譲渡により、株式会社マイスターエンジニアリングのグループ会社となる。従業員37名(2023年9月末現在)
譲受企業
  • 株式会社マイスターエンジニアリング
  • https://www.mystar.co.jp/
  • 1974年6月設立。建物や設備の保守・運用やリノベーションを手掛ける「ファシリティ事業」と、半導体や液晶製造設備、産業機器の新規立ち上げやメンテナンス、トラブル対応などを担う「メカトロ事業」を展開。従業員は単体1,203名、連結2,409名(2023年3月末現在)

最初に両社の事業内容と特長について教えていただけますか。

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大谷様

テクノ・スタッフは石油精製や石油化学などのプラント設備に関する技術サービス会社です。プラントの故障や損傷を早期に発見して原因を究明し、オーナーに対策を提案するほか、施設を管理するための保全計画や寿命評価も組み合わせた総合的な技術サービスを提供しています。検査サービス会社は国内に数百あると言われますが、当社のように設備診断・設備管理・コンサルティングまで一貫して請け負える会社はほとんどなく、そこが強みです。私と嶋津を含む大手エンジニアリング会社関係者の8名で1990年に創業しました。メンバーは検査や溶接、材料、法令関係などの仕事経験があり、それぞれの知見を生かせば勝負できると考えて始めた会社です。

インタビュー画像2

平野様

マイスターエンジニアリングは建物や設備の保守・運用やリノベーションを手掛ける「ファシリティ事業」と、半導体を中心とした産業機器メンテナンスの「メカトロ事業」を柱とする来年設立50年を迎える会社です。私は証券会社や外資系コンサルの勤務を経て2016年に入社し、父が創業したこの会社を引き継ぎました。「日本の産業・社会インフラの保守・改修を中心とした技術サービスにおけるプラットフォーム」となることを目指して、後継者不在や人手不足に悩む技術サービス会社をM&Aによって承継する戦略をとってきました。テクノ・スタッフさんを含め、これまで10社超の株式を取得し、グループ化しています。

会社名がなくなる、社員が辞める……
漠然とした不安をM&Aに抱いていた

テクノ・スタッフ様に伺います。M&Aを考えられたきっかけは何でしょうか。

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嶋津様

当初はM&Aなんてまったく考えてもいませんでした。M&A自体がよくわからなかったですし、他社に吸収されて会社名がなくなるのではないかという不安もあって、いろいろなM&A仲介会社から届く勧誘のパンフレットや手紙類は捨てていました。

ただ、堅調な経営を続けている一方で、私たち創業メンバーも70歳を目前に控え、どのような形で会社を継続させるか考えていました。そうしたときに、M&Aロイヤルアドバイザリーさんからの手紙が届いたんです。書かれていた内容が、定型のDMとは少し違っていたので、大谷と「聞くだけ聞いてみようか」と話してご連絡しました。

当初はM&Aに対する不安感が大きかったのですね。

インタビュー画像4

大谷様

当社の財産は人財です。M&Aによって社員のモチベーションが下がったり、辞めていったりすれば、会社自体の価値がなくなります。それが一番心配でした。手紙をいただいた翌月の2022年5月にM&Aロイヤルアドバイザリーの本社を訪ねて、ご担当いただいた中川さんにお会いしました。手紙の内容と印象が違っていたらすぐに帰ろうと嶋津と話していましたが、優しく語りかけられて、対応も丁寧で、悪い人たちではなさそうだと感じて、引き続き話を聞いてみることにしました(笑)。

マイスターエンジニアリング様はテクノ・スタッフ様のどこに興味を持たれたのでしょうか。

インタビュー画像5

上野様

技術力です。大谷社長からお話がありましたが、プラント設備の診断・管理・コンサルティングまでできる人財がそろった会社は国内にほとんどありません。石油精製プラントの増設ピークは高度経済成長期の1970年代でした。それから50年が経ち、今は既存のプラントを、いかに生産能力を損なわず効率的に稼働させるかが重要で、高いメンテナンス技術が求められています。私は前職で石油元売会社の設備診断部門にいたのでテクノ・スタッフさんは知っていました。その技術力をお借りできれば、新たな事業展開が図れるのではないかと思いました。

複数回の両社面談を経て互いに理解を深める
社員を大事にする会社とわかり譲渡に合意

2022年9月が両者初顔合わせの面談でした。平野社長はどんな印象を持たれましたか。

平野様

大谷社長と嶋津さんお二人とも緊張されていましたし、どことなく私どもをいぶかしむ様子がうかがえました。でも、それは当然だと思います。社会インフラの保守・改修を担う「技術サービス連邦」となる構想を当社は掲げていますが、「一緒にやっていきましょう」といきなり申し上げても、特にプラント分野での実績はまだこれからなので、不安に思われる気持ちもわかりました。そこで2か月後に行われた2回目の面談では、テクノ・スタッフ創業者の金子様もご同席されるということで、先にグループ入りされた石油プラントの設計などを手掛ける東日本エンジニアリングの社長にも入っていただきました。この場のやりとりで、「この会社となら大丈夫」と思ってもらえたのではないでしょうか。

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大谷様

東日本エンジニアリングさんは同じ業界で知っていましたので、率直な話を聞いてみたいと思い、M&Aロイヤルアドバイザリーの中川さんに私どもからご参加をお願いしました。その場でお聞きしたのは、承継後に離職者が出たかどうかでした。グループ会社となったことが原因で辞めた社員は一人もいないと聞けたことは大きかったです。

また、1回目の面談でご出席いただいたマイスターエンジニアリングの平野会長が、人を育て大事にする経営哲学を熱く語られていました。社員を大切にする会社だとわかったことが譲渡に合意する決め手になりました。社員の待遇が変わらないことを第一の条件に挙げました。

平野様

社員の雇用と待遇の維持、会社名を変えないことは、M&Aにおける当社の基本方針です。私は「買収」というより、「株式をお預かりする」つもりでM&Aに臨んでいます。高齢化や後継者不在に直面している会社の優れた技術が途絶えることがないように、オーナーとして引き継ぎ、事業をさらに発展させる。それが社会のニーズに応えることでもあると思っています。

会社を譲渡するにあたって手続き面で苦労されたことはありましたか。

大谷様

創業時のメンバーを含めて株主が16名いました。株式譲渡への同意を取り付けることに時間を要しました。会社を立ち上げるときに協力し、支えてくれた人たちですから、一人ひとりに「どう思いますか」と意見を聞きながら丁寧に進めました。会社名も残るし、みなさん高齢になったこともあり、M&Aも一つの方策だと納得されて同意をいただきました。

社員への説明はいつ、どのような形で行いましたか。

大谷様

成約の2週間ほど前に説明の場を設けました。当社に平野社長もお越しいただき、私が経緯を説明した後に、マイスターエンジニアリングの紹介をしていただきました。「今後、何が変わりますか」といった質問も出ましたが、そこは平野社長が真摯に、仕事内容や働き方、待遇などは変わらないと答えてくださったので社員も納得できたようです。

小さな会社で叶わなかった人財の獲得に期待
ベテランの技術を受け継ぐ若手を育成したい

2023年8月に全株式譲渡によりM&Aが成立しました。グループ傘下となって早速取り組まれていることはありますか。

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平野様

人財の採用です。大谷社長も嶋津さんも会社を経営しながら今も現場仕事に携わっておられます。創業メンバーは何でもできるスーパーマンなんです。そうしたベテラン社員の技術やノウハウを受け継ぐ若い人財を早く育成しないといけません。どこも技術者が不足し、求人の取り合いですが、当社はグループで年間200名以上を採用しています。その採用力を生かし、テクノ・スタッフとして年に4、5名は採っていきたいですね。

嶋津様

私たちの課題はまさに採用でした。従業員40名ほどの小さな会社に、まず経験者は来てくれません。新卒も2、3名採れるかどうかです。マイスターエンジニアリング傘下となって期待するのは人財の獲得で、50名体制を当面の目標にしています。

M&Aロイヤルアドバイザリーのサービスや担当者についての感想を教えてください。

嶋津様

中川さんはレスポンスが非常に早く、M&Aのことがわからない私たちに時間を問わず真摯に対応してくれました。M&A仲介会社は成約しないと報酬が得られないので、そこに目が行きがちになると思うのですが、中川さんは、双方の会社がどんなメリットを享受できるかを常に考えてくれました。担当していただいて良かったです。

平野様

M&Aロイヤルアドバイザリー社は、譲渡側と譲受側のバランスを保ちつつ、双方に寄り添った対応を取られるサービスレベルの高い会社だと思います。最近のM&A業界には未経験の社員の方も多く入っていますが、ある程度経験を積まなければ、事業承継を考える高齢の経営者の気持ちに寄り添うのは難しい面もあります。私は多くのM&A仲介会社とお付き合いがありますが、M&Aロイヤルアドバイザリー社には経験を積まれた人財の豊富さを感じます。

お褒めの言葉をいただきましたが、中川さんから見て今回のM&Aの特徴と、担当者として心がけたことを教えてください。

中川氏

社内のメンバーとも話していたのは、非常に前向きな事例であるということです。大谷社長も嶋津様も継続して経営に関わっていかれますので、金額やご勇退の時期というより、両社のシナジーをどこに見出すかとか、今後の経営体制をどうするかなどといった将来に向けた話の比重が大きかったことが印象的でした。双方のお考えに齟齬が生じないように、しっかりと意思伝達を図り、助言させていただくことを心がけました。

事を急かす仲介会社は避けたほうが良い
M&Aは人対人の話し合い、人間関係の構築が大事

経験者としてM&Aを考えている方へのアドバイスをお願いします。

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大谷様

譲渡側のペースを考えずに事を急かすようなM&A仲介会社は避けたほうが良いと思います。私たちはプレイングマネージャーですから現場に出向くことが多く、中川さんやマイスターエンジニアリングさんをずいぶんと待たせてしまいました。私たちの状況を理解されて、気長に付き合っていただきました。M&Aは企業間の交渉ですが、最終的には人対人の話です。M&A仲介会社と良い人間関係が構築できるかどうかを見極めることが大事だと思います。

平野社長はM&Aを事業戦略に位置付けておられますが、今後の構想を最後にお聞かせください。

平野様

都市インフラを支えるライフライン(受変電設備、上下水道、鉄道など)や、各種プラントに対し点検・工事を行っている、技術力があり、社会に価値を提供し続けている会社に、ぜひ仲間になっていただきたいと思います。そうした会社を集結した「技術サービス連邦」を築いて、社会における存在価値を高めていきたいと考えています。

貴重なお話、ありがとうございました。

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