譲渡企業
有限会社井上美装
代表取締役 井上 学氏
譲受企業
トラオム株式会社
着手金・中間金無料 完全成功報酬型
本件担当コンサルタント
岩崎 隼也
岩崎 隼也

井上 様:愛知県津島市を拠点に、商業施設や店舗、オフィスなどの内装・造作工事と、木製家具・什器の製作を手掛けています。木工については、自社工場での製作から納品・施工まで一貫して対応しています。
これまでに手掛けた仕事には、名古屋のTHE CONDER HOUSEの内装・造作工事や、三重県の自動車ディーラーの店舗改修・新築工事などがあります。イオンの直営店舗の工事にも数多く携わってきました。
工場は地元にありますが、現場は全国です。もともと大手スーパーなどの仕事で各地に出向いてきたので、遠方だからという理由で仕事を限定することはありません。当社がお手伝いできるのであれば、どこへでも伺うという姿勢でやってきました。フットワークの軽さは強みだと感じています。
井上 様:父がこの業界で現場監督の仕事をしていて、私もアルバイトとして働いていました。当時は別の道を目指していた時期もありましたが、そこに区切りをつけようと考えた頃、父から「一緒にやるか」と声を掛けられたことが始まりです。1993年、愛知県大治町で、父と私の2人で事業を始めました。
そこから仲間が3人、4人と増え、店舗の内装を中心に仕事を続けてきました。2002年には、事業拡大に伴って現在の津島市へ移転しています。
創業から30年以上経ちますが、決して順調に進んできたわけではなく、経営が厳しくなった場面も何度かありました。それでも、創業当初から仕事への向き合い方は変わっていません。お客様に満足していただくため、「いい仕事」に専念することで、ここまで続けてきました。
井上 様:工場を維持すれば固定費が掛かりますから、経営だけを考えれば、少人数で現場管理に専念する方が負担は小さいかもしれません。それでも工場を持ち続けているのは、高い品質を担保したいからです。
現場での取り付けや施工は、担当する人の技術や経験によって仕上がりに違いが出ることがあります。しかし、工場であらかじめ作り込んでおくことができれば、そのばらつきを抑え、品質を高めることができます。
当然、その分のコストは掛かります。それでも、「いい仕事」をしたいという気持ちがあるのです。こうした体制を続けていることも、お客様から仕事を任せていただける理由の一つだと感じています。

井上 様:一番大きかったのは、私に後継者がいないことです。私自身は、まだ10年、15年は仕事を続けられるという気持ちでいます。ただ、病気や事故など、突然の出来事についても考えなければならない年齢になってきました。
当社には若い職人、従業員もいます。私が仕事を辞めたら、その人たちはどうなるのか。会社を続けていくには、私自身の気持ちだけでなく、従業員の将来も考える必要がありました。
苦しい時期にも、ずっとついてきてくれた社員たちです。その存在が、事業承継を考えるうえで大きかったです。
井上 様:従業員に継いでもらうことについても、経営や財務の面を含めて、簡単には進められない難しさがありました。
また、私自身の経営の限界も感じていました。創業以来、厳しい経営環境のなかで会社を続けるための経験は積んできました。一方で、状況がよくなった時に、会社を大きく成長させる方法を十分に持ち合わせていないと感じていたのです。少しずつここまで来ることはできても、そこから大きく伸ばすには、私一人の力では足りないものがありました。
資金面を含め、私だけでは難しかったことも、ほかの会社と一緒になることで取り組めるかもしれない。M&Aには、会社を続けていくための選択肢としてだけでなく、今までとは違う形で成長していける可能性を感じました。
井上 様:一番大きかったのは、一緒にやっていくのが楽しそうだと感じられたことです。若い頃から当社で仕事をしてきたので、一般的な会社員のような同僚や同期がいる環境を経験したことがありません。仲間が欲しかったという憧れもあったのだと思います。
最初にお話をいただいた時は、飲食店を展開するトラオムさんと私たちでは業種が違うので、どのようなつながりがあるのだろうと考えていました。ただ、お話を重ねるうちに、グループ内にはTAKERUさんという私たちと近い領域の会社もあり、一緒に歩んでいけるイメージが湧いてきました。そうした仲間の輪に加わることができれば、当社もさらに成長していけるのではないかと感じたのです。
複数の候補企業とお話しするなかで、最も心が躍ったのがトラオムグループでした。異業種だからこそ、先入観を持たずにお話を聞けた面もあります。やりやすいか、やりにくいかということより、同じ方向を向いていると感じられたことが、決め手になりました。
堀江代表は、とてもフランクで、飾らない方です。堅苦しさがなく、人として魅力を感じました。まだ私がすべてを理解しているわけではありませんが、楽しげな雰囲気のある方だという印象を持っています。
井上 様:特に期待しているのは、グループ内の建設会社であるTAKERUさんとの連携です。すでに杉森社長とは、お互いのつながりを活かしながら、どのように事業を広げ、売上を伸ばしていくかという話をしています。
トラオムさんが展開する飲食店の工事だけに限らず、グループ内の会社と協力しながら、仕事の可能性を広げていけると感じています。事業を伸ばし、しっかり利益を生み出すことができれば、働くみんなにとってもプラスになります。そうした成長を、一緒に目指していきたいです。

井上 様:岩崎さんでなければ、今回のM&Aは実現しなかったと思います。私の仕事が忙しいこともあり、もう少し考える時間が欲しいとお伝えしたことがありました。その時には数カ月ほど待っていただきました。
一貫して決断を急かされることがなかったのが印象的です。愛知まで来ていただいても、特に進展もなく帰っていただく日の方が多かったかもしれません。それでも、そうしたやり取りを重ねるなかで、少しずつ検討を進める気持ちに変わっていきました。私のペースで考えられたことが、今回のM&Aにつながったと感じています。ありがとうございました。
岩崎(担当コンサルタント):初めてお会いした時から、井上社長からは「特に急いでいない」と伺っていました。そのため、社長のお気持ちを置き去りにして、私から検討を急かすべきではないと考えていました。
井上美装様は、百貨店やオフィスビルなどの内装を手掛けてこられた会社です。その技術や仕事に触れるなかで、私も一人のファンとして、社長のお気持ちとタイミングが重なった時には、これまでとは違う形で発展していただきたいという想いを持っていました。
今回、トラオムグループ様とのご縁によって、これまでとは違う形での発展を目指せることになり、非常に嬉しく感じています。
井上 様:これからの会社のあり方は、私の後を担う人たちが考えていくことだと思います。時代によって考え方は変わりますから、私のやり方をそのまま続けてほしいと求めるつもりはありません。
会社の名前を必ず残してほしいという気持ちもありません。それよりも、私と一緒にやってきた仲間たち、職人たちが、この業界で末永く仕事を続けていってくれたら、それだけで十分です。
これまで大切にしてきた「イズム」も、時代に合わせて形を変えてよいと思っています。昔のやり方を守ることより、その時々に合う形で続いていくことを願っています。
井上 様:冒頭でも触れましたが、ひと言で表すなら、「いい仕事をしよう」です。大切にしたいのは品質です。安いからといって質を落とす仕事はしたくありません。どのような条件であっても、いつもどおりの仕事をしようという気持ちでいます。いろいろな仕事に対応しながら、価格に対して品質がよいと評価していただける会社になりたいという想いは、昔から変わっていません。
井上 様:職人の技術が待遇にもきちんと反映されるようにしていきたいです。手に技術をつけてきた人たちの仕事は、誰でもすぐに代われるものではありません。社員たちにも家族があり、生活があります。収入の面での心配を一つでも減らせるよう、事業を伸ばして、みんなに還元していきたいと考えています。
働く環境がよくなれば、人も集まってくると思います。そして仲間が増えれば、みんなで仕事を回しながら、さらに成長していける。私自身、この業界で長く仕事をさせてもらってきましたから、そうした形で恩返しができたらと思っています。

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