譲渡企業
株式会社ジーアンドエフ
創業者 下前 雄 氏
譲受企業
株式会社TOKAIコミュニケーションズ
着手金・中間金無料 完全成功報酬型
本件担当コンサルタント
池田 大輝
池田 大輝

下前 様:株式会社ジーアンドエフはサーバーやネットワークといったITインフラに特化したシステム会社になります。ウェブや組み込みなど「何でもやります」という会社もありますが、当社はITインフラに特化しており、業界でも比較的早くにクラウド分野に注力したことで成長しました。また、未経験者採用や新人研修、人事ローテーションといった「人を育てる文化」を整備したところも、当社ならではの特徴と言えます。
下前 様:私がビジネスマンとしてキャリアをスタートしたのは三井不動産となります。都心部で再開発の仕事を担当しているときに、テナントとしてマイクロソフトさんと接点を持つ機会がありました。当時のマイクロソフトさんはMS‐DOSやWindows3.1を提供しており、これから日本市場で急激な成長が期待される企業といった立ち位置でした。
マイクロソフトさんが私の関わった再開発のビルを一棟借りすると、天井、床、壁に穴をあけ配管を通すといった、好きなようにカスタマイズをしていて、当時もそれができる大きな会社というのはなかなかありませんので、私にも大きな衝撃でした。当時の私はコンピューターへの関心は低く、どちらかと言えば苦手な人間でしたが、ビジネス的に興味・関心を持って調べてみると、「これから間違いなく伸びていくだろう」と確信を持てる分野でした。
下前 様:サラリーマンを長期でやろうとは考えていませんでしたが、実は三井不動産に在籍中は一切起業の準備をしていませんでした。辞めた人間が口にするのも恐縮ですが、三井不動産という会社は本当に素晴らしい会社で、サラリーマンという選択肢しかないのであれば、古巣以外は考えられないと言えるほどです。なので、在籍中は三井不動産での仕事に集中し、退職して暫くしてから会社を作りました。
創業初期の頃に何をやっていたかで言うと、パソコンのゲームソフト開発を行っておりました。当時は政治をテーマにしたゲームというのは前例がありませんでしたので、毎日新聞政治部記者であり、政治評論家として活躍された細川隆一郎先生に監修していただきながら、私が脚本まで担当して「政界立志伝」を発売したのです。
そこからコンピューターのシステム等を作るなどしていましたが、2008年頃にITのインフラ、ネットワークに私は目を付けました。表には出てこない地味な部分かもしれませんが、この土台があってこそシステムは成り立ちます。そこに魅力を感じて、当社も注力するようになりました。
下前 様:有名企業なら別かもしれませんが、当社のような中小企業でエンジニアの中途採用となると今も昔も難しいものがあります。それなら、「未経験者を育ててしまえ!」ということで、未経験者、しかも新卒ではなく既卒・第二新卒を中心に採用しました。
これは日本社会の良くない部分だと私は思うのですが、いくら優秀であっても新卒カードを上手く使えずに短期で離職した若者は、転職市場で相手にされない傾向があります。でも、彼らは野菜で言えば曲がったキュウリ、台風で落ちてしまったリンゴです。形が悪くて青果コーナーに並べてもらえなくても、味は美味しいのです。だから、優秀でやる気がある子たちにフォーカスして採用を進めました。私は一度も新卒マーケットで採用を進めようとしたことはありません。
とはいえ、求職者側もエンジニアに興味がある子ばかりではありませんから、「手に職があれば一生食べていけるよ」「将来性もあるよ」と説明して、若くてやる気のある子を集めました。途中から会社経営をしているというより、中学校の校長先生をしている気分でしたね。ビジネスマナー、プロ意識の持ち方、継続的な勉強の必要性、全てを一から教えました。「誰のためでもなく、自分のために勉強しなさい」と常に言い続け、資格取得に向けた参考書代、受験費など全て会社が負担し、合格時のご褒美まで渡していました。

下前 様:私には大学生の息子がいるのですが、経営者に向いているタイプではないと判断しましたので、後継者が身内にはいない状況でした。もし私に何かあっては社員や妻に迷惑がかかってしまいますので、それは私にとって大きな不安でした。
そういった事情もありましたので、実はM&Aは10年以上前から選択肢の一つとして考えていました。まだ自分が元気なうちに次のステージに進みたいという想いも強かったので、57歳でM&Aを決断した形です。
下前 様:私にとって社員は最も大切な存在ですので、重視していたのは安定感です。リーマンショックのときなど、会社の業績が厳しいなかでも私は社員を支えてきました。しかし、今の規模感で世界的な大不況が訪れたときに社員を支えられるかというと、正直なところ難しいというのが本音です。社員には安心できる環境で働いてもらいたい。それ故に、比較的規模も大きく、上場しているような会社が理想的と考えていました。
下前 様:M&Aロイヤルアドバイザリーさんにご紹介いただき、様々なタイプの会社とトップ面談を行いました。TOKAIコミュニケーションズさんは東証プライムの上場企業グループとしての安定感がありましたし、社員が安心してキャリアを築ける環境が整っていました。社員の将来を最優先に考えたときに、TOKAIコミュニケーションズさんが最適だと判断した形です。
それに、トップ面談をするなかで、TOKAIコミュニケーションズさんの社長さん、会長さんも非常に紳士で真面目な会社という印象を持てました。ITインフラの分野にも注力されていましたので、そこに当社のエンジニアが入れば彼らも力を発揮できますし、TOKAIコミュニケーションズさんのお役にも立てるイメージが湧きました。
下前 様:M&Aはクローズドで進めるのが一般的で、初期段階で社員に伝える経営者はあまりいないと思います。しかし、私はM&Aを進めると決断した時点で社員総会を開き、全社員にM&Aを検討している旨を発表しました。これは、社員に対して隠し事をしたくないという思いが強かったからです。
一方で、私自身の退任については影響が大きいため、M&A契約締結後の臨時社員総会まで伏せました。その際は、後継者問題を解決する目的であること、会社の安定と持続的な成長を実現するためのM&Aであることを説明しました。
私の退任についても、その方がTOKAIコミュニケーションズさんにとって事業を進めやすいと思った点、それが結果的に社員のプラスになると感じている点についても、臨時社員総会で隠さずに伝えています。

下前 様:池田さんは本当に丁寧で迅速、そして何よりも誠実でした。こちらからの連絡や質問に対しても常に迅速にご対応いただき、的確なアドバイスには本当に助けられました。特に、会社にとってリスクとなるような点について不安を感じている際にもご助言をいただき、結果的に先方との議論をより深めることができたのが印象的です。担当者によっては見過ごされかねない部分をフェアに対応してくださったことが、大きな安心につながりました。細部まで的確にサポートしていただいたからこそ、プロセス全体を通じて建設的な議論ができたと感じています。M&Aは担当者の力量が大きく影響するものですが、私は池田さんに担当していただけて本当に良かったです。
また、御社にご紹介いただいた候補先はいずれも魅力的で、マッチング力の高さを実感しました。短期間で成約に至ったのは、池田さんと御社の力があってこそだと思います。さらに、公認会計士の佐藤先生による専門的なサポートも非常に心強く、安心して進めることができました。
池田(担当コンサルタント):初めてお会いしたときには既に、下前様はM&Aを有力な選択肢として検討されており、ご勇退の時期まで明確に定められておりました。質問を重ねていくなかで感じたのは、1993年の創業から30年以上に渡り大変なご苦労があったこと、そして、従業員の皆様を第一に考えているオーナー様であるというところです。
下前様はどんなときでもご決断が非常に早く、仕事のスピード感も速い印象でして、私自身も下前様とのやり取りを通じて鍛えられたところが多数ございます。下前様にご満足いただきたい一心で仕事をさせていただきましたので、少しでもお役に立てたのであれば大変嬉しく存じます。
下前 様:M&Aはこれからの社会で非常に重要だと考えています。後継者不在の企業は世の中にたくさんありますので、そこの需要はもちろんですが、もう一つは2030年から上場して5年以内に時価総額100億という上場維持基準の見直しも大きく影響するはずです。
上場の難易度というのも上がると思いますので、上場ではなくM&Aという選択をする会社も増えると予想しています。そうなれば、M&A仲介の重要性は増すと思いますが、昨今は杜撰な仲介会社も多いのが実情です。ロイヤルアドバイザリーさんには業界を整備するという意味でも、業界全体に対して主張していただける立場になっていただけたら嬉しいです。
下前 様:会社に残してもらいたいのは「人を育てる文化」です。未経験者を採用・育成し、計画的にキャリアを積む仕組みというのが、ジーアンドエフの価値そのものだと思います。そして、「社員が自分で学び、それを会社が応援する文化」も継承してほしいです。社員が自ら学ぶことを会社が支えることで組織が強くなると私は信じています。
下前 様:M&Aより前から続けてきたベンチャー投資が今後の中心になるかと思います。若い経営者と議論するのはとても刺激的です。経営経験を活かしながら、新しい挑戦を楽しんでいきたいと思います。ジーアンドエフにとってもそうですが、私にとってもM&Aは終わりではなく、新しい人生の始まりだと実感しています。

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