譲渡企業
株式会社アルファコックス
代表取締役 廣瀬 繁伸氏、田中 雅子氏(取締役)
譲受企業
株式会社マイクロニティ
着手金・中間金無料 完全成功報酬型
本件担当コンサルタント
根山 大輝
根山 大輝

廣瀬 様:株式会社アルファコックスは、建築・土木・インテリア分野などで使われる3Dモデリングソフト「SketchUp」シリーズの日本正規販売代理店として、SketchUp本体に加えて関連ソフトの販売・サポートを行っている会社です。従業員数は私と取締役の田中が抜けた現在で12名となります。
田中 様:廣瀬とは、以前勤めていた不動産関連の会社で上司と部下の関係でした。創業当初は「ペット関連の商材で、楽しいことをやりたい」という思いから、二人で事業を始めたのが始まりです。ただ、好きなものをそのままビジネスにするのは想像以上に難しく、ペット事業を続けながら、私は一度CAD(Computer-Aided Design)関連の会社に入社することになります。
そこで出会ったアメリカ国籍の元同僚から、「SketchUpというソフトを日本で販売したい。会社を辞めて、こちらに来ないか」と声をかけてもらい、私はその会社へ転職を決めました。しばらくはペット商材と二軸で取り組んでいましたが、ペット商材はなかなか成果が出ず、廣瀬と「自分たちの会社でもCADの販売を軸にしていこうか」と話していたタイミングで、SketchUpの権利に関する話が持ち上がります。
当時は円高だったこともあり、アメリカの上司から「給料が出せないので契約を終えたい。その代わり、SketchUpの版権を渡す。自分で販売する分には構わない」と告げられました。実質的な解雇通達です。
そこで廣瀬に相談し、力を貸してもらったことが、アルファコックスとしての本当のスタートです。私たちは不動産関連の仕事を経験していたこともあり、「SketchUpは必ず売れる」「これだけ便利なら需要は高い」という確信はありました。
創業直後は、サポートから出荷、営業まで、すべてを一人で回さなければならず、本当に大変でした。実家の父や母にも手伝ってもらい、家族の支えも得ながら、なんとか事業を回していた時期でした。
廣瀬 様:特徴を説明するのは難しく、何故なら当社には「同業他社」が存在しないからです。建築や設計で使われるソフトと言えばCADが一般的ですが、簡単に言うとSketchUpは、より安価で、直感的なUIで手軽に扱うことのできる3Dモデリングソフトです。
背景として大きかったのは、2006年にSketchUpを開発した企業である「@Last Software」がGoogleに買収されたことです。GoogleはSketchUpを大幅に普及させるために無料版をリリースしました。ユーザーがSketchUpで建物や地形の3Dモデルを作り、それをGoogle Earthにアップロードすることで、地図をよりリアルで詳細なものにしていく狙いがありました。
当社はGoogleの買収以前から正規販売店として関わっており、その後も継続して取り扱っています。一方で、無料版でも多くの機能が使えた時期が長く、市場としては「同じ立ち位置で競合する会社」が生まれにくい環境になりました。そのため、一般的な意味での同業比較が成立しにくい点が、当社の特徴と言えるかもしれません。
廣瀬 様:そうですね。SketchUpは優秀なソフトでしたが、当時は認知度がほとんどなく、最初の2〜3年は「1日1本売れたら十分」という感覚で、細々と続けていました。そして、少しずつ軌道に乗り始めたタイミングでGoogleが無料版をリリースしたことで、今度は「無料のソフト」という印象が強く定着してしまい、商売としては一気に厳しくなりました。実際、販売という意味では成り立たなくなった感覚がありました。
田中 様:今でも鮮明に覚えているのが、2006年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)をテレビで応援して、オフィスに戻った時のことです。留守番電話が大量に入っていて、@Last SoftwareがGoogleに買収されたことを知りました。そして、その翌月に無料版がリリースされました。
ただ、唯一の救いもありました。建築士の方々にとってどうしても必要な重要機能が一つだけ、有料版にしか搭載されていなかったのです。DXFやDWGといったCADデータをSketchUp側に取り込む機能が、有料版にのみ入っていました。
とはいえ、目的がその機能に絞られると「1本あれば十分」という使われ方になります。実際には、有料版を1本だけ購入して、無料版を多数のアカウントで運用するのが一般的でした。それでも、その機能を頼りに販売を続けるしかありませんでした。
また、大手建設会社様の場合、サポートが十分でない無料版を業務で使うことに不安があり、結果として有料版を選ばれるケースがありました。私たちはまさに、その部分で踏ん張っていたという感覚です。
廣瀬 様:Googleが2012年にSketchUpをTrimbleという会社に売却するまでの期間は、ずっと厳しかったです。無料版の影響は大きく、正規販売店として価値をどう示すかを常に考えながら踏ん張っていた時期でした。
その後、Trimbleが開発・販売を担うようになってから約2年が経った頃に、海賊版と無料版の不正利用に対する大規模な取り締まりが行われました。そこで市場の空気が少しずつ変わり、ようやく状況が良い方向に動き始めた実感がありました。

廣瀬 様:私も田中も、M&Aはもちろん、親族承継や従業員承継といった選択肢も含めて、事業承継を具体的に考えたことはありませんでした。最小限のメンバーで、楽しく働くこと。リスクを極力取らないこと。そして引退するときは、社員も一緒に引退するようなイメージで、ここまでやってきました。実際、M&Aロイヤルアドバイザリーさんからお声がけいただくまでは、事業承継について真剣に考えたことはなかったです。
数年前に、ロイヤルアドバイザリーの橋場社長と一度お会いしたことがあります。当時はまだ当社も成長する前のタイミングでした。そのときに橋場社長から「今はまだ売るタイミングではないと思います。売らない方がいいですよ!」と言っていただいたことが、とても印象に残っています。M&A仲介会社は売却方向に無理にでも説得する印象がありました。
その後、当社の売上が大きく伸びたこともあり、M&A仲介会社からのDMは多く届くようになりましたが、実際に会うことはありませんでした。そうした中で、ロイヤルアドバイザリーさんから改めてご連絡をいただいた際に、以前の橋場さんの言葉が強く残っていたこともあり、「一度会ってみよう」と思ったのがきっかけです。
田中 様:私は正直なところ、M&Aをするには少し早いのではないか、と感じていました。ただ、廣瀬は今年67歳になります。また、健康年齢が77歳だと聞いたときに、「元気に動ける時間は、あと10年ほどなのかもしれない」と現実的に考えるようになりました。
それを踏まえると、ここまで一生懸命に頑張ってきた分、これから元気なうちに、楽しく過ごせる時間を持てるのであれば、それも悪くない。そういう気持ちに切り替わっていきました。
廣瀬 様:私も田中も、このM&Aを人生における一つの大きな区切りと捉えていますので、引継ぎ期間が終わった後は退任したいという希望がありました。そのため、「退任の時期が延びないこと」を特に重視しています。マイクロニティさんには、その希望をきちんと叶えられる体制が整っている印象があり、そこは大きな決め手の一つでした。
もう一つは、残る社員に辛い思いをしてほしくないという点です。会社を譲る以上、社員の環境が急に変わって苦しくなるようなことだけは避けたいです。マイクロニティさんとお話しする中で、社員のこともきちんと考えてくれる会社さんだと感じられたことが、安心材料になりました。
田中 様:マイクロニティさんは、私たちが持っていないものを持っていました。例えば当社でも、SEOを中心とした集客を強化したいという思いは以前からあったのですが、正直なところノウハウがありませんでした。
その点、マイクロニティさんはマーケティング領域の知見が深く、グループ内にマーケティングを専門とする会社もお持ちです。私たちが「やりたい」と思いながら実現できなかった施策を導入し、事業をもう一段成長させてくれる。そうした具体的なイメージを持てたことが、最終的な後押しになりました。
廣瀬 様:特に期待しているのは、人材の確保です。これまで当社は、ヘッドハンティングができるような体制ではありませんでしたし、必要なスキルをピンポイントで持った優秀な人材を採用することは、正直かなり難しかったのが実情です。
その点、マイクロニティさんは採用が順調だと伺っています。規模感やネームバリューの面でも当社とは異なる強みがあり、これまでとは違った採用戦略を取れるはずです。必要な人材を確保できれば、事業として挑戦できる範囲が広がり、次の成長につながっていく。そこに大きな期待を持っています。

廣瀬 様:田中ともよく話していますが、今回のM&Aは根山さんが一生懸命に動いてくださり、的確に全体をコントロールしてくれたからこそ成立したものだと思っています。こちらは初めてのことで不安もありましたが、論点を整理しながら次に何をすべきかを明確に示してくれたので、迷いなく進めることができました。
当社の事業内容についても、表面的にではなく丁寧に理解したうえで対応してくださった印象があります。こちらの意向や大事にしたい点もきちんと汲み取って、相手先との調整まで含めて進めてくれたことは本当に心強かったです。結果として最後までスムーズに進められたのは、根山さんの推進力があったからだと感じています。
根山(担当コンサルタント):3月に廣瀬様・田中様へメールをお送りしたことがきっかけで、そこからすべてが始まりました。全体としてはスムーズに進んだ印象がありますが、ここまで順調に進んだのは、お二人だったからこそだと考えています。
どのようなお願いに対してもすぐにご対応いただき、意思決定も迅速で、常に前向きに進めてくださいました。私としても大変助けられましたし、心から感謝しております。
廣瀬 様:私や田中が以前在籍していた不動産関連の会社は、古い体制が色濃く残っていました。そうした環境を見てきたからこそ、「朝起きて会社に行きたくない」と社員が感じてしまうような会社にはしたくない、という思いは二人の共通認識でした。上から物を言わないこと、権力を振りかざさないことは、創業以来、変わらず大切にしてきた価値観です。
結果として、社員との距離が近すぎた部分はあったかもしれません。ただ、社員が居心地よく働けているのであれば、それが一番だと考えてきました。私たちが守ってきた「社員の働きやすさを最優先に考える風土」は、会社が変化していく中でも残ってくれたら嬉しいです。
田中 様:会社に対する不平不満は、どれだけ良い会社でもゼロにはならないと思います。好みが人それぞれ違うように、不満の感じ方も十人十色です。だからこそ、「この会社は嫌だな」「辞めようかな」と思ったときに、少し立ち止まって「よく考えたら、そんなに悪い会社ではないよね」と踏みとどまれるような会社を、廣瀬と一緒に築いてきたつもりです。
気が付けば5年、10年と在籍していた、という社員が自然に増えていくような会社であり続けてほしい。その土台となる空気感や人との向き合い方は、これからも大切にしてもらえたらと思います。
田中 様:後半の15年で特に痛感したのですが、もともとは「廣瀬田中商店」のような形で始めた事業が、ある時期から「アルファコックス」という会社組織になり、私たち個人の手を離れていく瞬間がありました。会社としての基盤が整い、社員やお客様との関係性が積み重なる中で、事業が一段階大きくなっていったのだと思います。
今回のM&Aは、私たちにとって決して後ろ向きな選択ではありません。アルファコックスがこれまで培ってきたものを土台に、さらに成長し、次のステージへ羽ばたくための節目だと捉えています。
これからはマイクロニティさんが、当社に足りなかった部分を補いながら、より強い体制をつくり、さらなる成長につなげてくださるはずです。引き続きアルファコックスをよろしくお願いいたします。

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